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月曜社2021年9月新刊:ロドルフ・ガシェ『読むことのワイルド・カードーーポール・ド・マンについて』

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2021年9月15日取次搬入予定 *人文・哲学思想・批評

読むことのワイルド・カードーーポール・ド・マンについて
ロドルフ・ガシェ[著] 吉国浩哉/清水一浩/落合一樹[訳]
月曜社 2021年9月 本体5,400円 A5判上製360頁 ISBN978-4-86503-118-8 C1010

アマゾン・ジャパンにて予約受付中

内容:絶対的単独性の思想家への肉薄――人物像をめぐる狂乱から一線を画し、ド・マンのテクストをその思想のユニークさにおいて読みつつ、その可能性の消尽点まで追いつめる最重要書。彼が考える〈読むこと〉の徹底的に精密な論理構成と、それを方向づけている〈絶対的に絶対的な単独性〉という極端な概念がもつ厳密さを明らかにする試み。シリーズ・古典転生第25回配本、本巻24。


本書における各章はド・マンの仕事と対決することから浮かび上がるさまざまな問題を明らかにする試みである。それはたとえば、ド・マンにとって言語とは何なのか、メタファーとアレゴリーを何が区別するのか、行為遂行的というド・マンの概念はどの程度まで言語行為論に属しているのか、物質性という概念とその現象性からの区別をどのように理解すればいいのか、脱構築という言葉で彼は何を意味しているのか、といった問題である。これらの問題が主題化されているのは、すべて、読むことについてのド・マンの概念を解明し、読むことに内在する論理を詳細に描き出すためである。(序論より)

ド・マンの仕事のどこがユニークなのか。それ以前の哲学や批評の伝統からは何が異なっているのか。文学理論の非哲学的起源と、理論を構成すると同時に転覆する「実用的な契機」を、ド・マンは「理論的学問の行う真面目なゲームのなかの何かワイルド・カードのようなもの」にたとえる。文学理論、あるいはたんに理論とは、読むことのなかでのみ、そして読むことを通してのみ適切に折りあいをつけることができるような次元の言語理論である。読むことの理論、あるいはたんに(修辞学的に)読むこととは、このワイルド・カードなのである。

目次:
序論
第Ⅰ章 「措定」と「翻訳」
第Ⅱ章 哲学への無関心=無差異
第Ⅲ章 無感動なフォルマリズム
第Ⅳ章 読むことのフォールアウト
第Ⅴ章 読むべく与えること
第Ⅵ章 奇妙さを付け加えること
補遺 瀬戸際で
訳者あとがき

原書:The Wild Card of Reading: On Paul de Man (Cambridge, MA: Harvard University Press, 1998)

ロドルフ・ガシェ(Rodolphe Gasché, 1938-):ニューヨーク州立大学バッファロー校比較文学科卓越教授。訳書に『いまだない世界を求めて』(吉国浩哉編訳、月曜社、21012年)、『脱構築の力』(宮﨑裕助編訳、入江哲朗/串田純一/島田貴史/清水一浩訳、月曜社、2020年)、『地理哲学』(大久保歩訳、月曜社、2021年)がある。

吉国浩哉(よしくに・ひろき, 1972-):東京大学教養学部言語態・テクスト文化論コース教員。専門はアメリカ文学。訳書にKojin Karatani, Nation and Aesthetics (Oxford University Press, 2017)など。

清水一浩(しみず・かずひろ, 1977-):訳書にガルシア・デュットマン『友愛と敵対』(共訳、月曜社、2002年)、タウベス『パウロの政治神学』(共訳、岩波書店、2010年)、ガブリエル『なぜ世界は存在しないのか』(講談社選書メチエ、2018年)など。

落合一樹(おちあい・かずき, 1988-):ビンガムトン大学博士課程在籍・非常勤講師。専門は初期近代英語圏の文学・思想史、大西洋史。共著に『ローレンス・スターンの世界』(開文社、2018年)がある。

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