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新書大賞2025に寄稿しました

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2月10日発売の『中央公論』2025年3月号で「新書大賞2025」が発表されました。「目利き45人が選ぶ2024年私のオススメ新書」に今年も寄稿いたしました。私が選んだベスト5は以下の通りです。
【1】日向咲嗣『「黒塗り公文書」の闇を暴く』朝日新書
【2】三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』集英社新書
【3】河野哲也『アフリカ哲学全史』ちくま新書
【4】渡辺正峰『意識の脳科学』講談社現代新書
【5】大野和基(編)『アメリカの罠』文春新書



「新書通100人が厳選した年間ベスト20」と唯一重なっているのは、大賞を194点というぶっちぎりの得票で獲得された三宅さんのベストセラー『なぜ働』。2008年から始まった新書大賞で、最年少、初の平成生まれの受賞者とのこと。受賞インタヴュー「これからの「名付ける責任」を担いたい」も非常に印象的です。「社会現象を名付けるだけにとどまらず、名付けたうえで疑問を提示するのが「批評」というジャンルの役割かなと。私が生業にする批評とは、世の中に問いを生み出すいとなみだと思っています」(88頁)。


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ふと思い出した言葉があります。「哲学とは、概念を創造することを本領とする学問分野である。〔…〕つねに新たな概念を創造すること、それこそが哲学の目的なのである」(『哲学とは何か』財津理訳、河出文庫、2012年、序論「こうして結局、かの問は……」13頁より)と書いたのは、ドゥルーズ=ガタリでしたね。


「概念は、天体のように、すでに出来あがったかたちでわたしたちを待っているわけではない。概念にとっては、天空など存在しない。概念は考案され製作されなければならない、いやむしろ、概念は創造されなければならないのであって、概念は、それを創造する者の署名がなければ何ものでもないだろう」(同、14頁)。「概念を創造しなかったと、自分の諸概念を創造しなかったと言われても仕方がない哲学者に、いったいどのような価値があるだろうか」(同)。


なお『哲学とは何か』は次のように始まるのでした。「「哲学とは何か」という問を立てることができるのは、ひとが老年を迎え、具体的に語るときが到来する晩年を措いて、おそらくほかにあるまい」(7頁)。同書の原書は1991年に出版。当時ドゥルーズもガタリもともに60代でした。ドゥルーズは今年生誕100周年です。

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