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注目新刊および既刊:羽良多平吉『断片集 二角形』港の人、ほか

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★最近出会いのあった新刊を列記します。


『断章集 二角形 Digon: fragments』羽良多平吉(著)、港の人、2024年1月、本体5,000円、新書判上製184頁、ISBN978-4-89629-430-9
『CHANGE 変化を起こす7つの戦略――新しいアイデアやイノベーションはこうして広まる』デイモン・セントラ(著)、加藤万里子(訳)、インターシフト(発行)、合同出版(発売)、本体2,200円、四六判並製384頁、ISBN978-4-7726-9581-7

『増補新版 言葉と戦争』藤井貞和[著]、編集室水平線、2023年11月、本体2,600円、四六判並製346頁、ISBN978-4-909291-06-6



★『断章集 二角形』は、エディトリアル・デザイナーの羽良多平吉(はらた・へいきち, 1947-)さんの初の単著で、500部限定、サイン、ナンバリング付き。1970年から2023年までに各媒体に掲載された文章をまとめたものです。談話、対談、インタヴューなど話し言葉のものは含まないとのこと。書き下ろしのイントロダクション、新作デッサン1点、ヴィジュアル・ポエトリー2点が加えられています。書容設計は羽良多平吉さんご自身と「港の人」の上野勇治さん。編輯はオルタナ編集者の郡淳一郎さんと「港の人」の井上有紀さん。協力者として編集者の室賀清徳さんとネットワーカーのばるぼらさんのお名前が記載されています。来月には京都でトークイベントが予定されています。書名のリンク先から詳細をご覧いただけます。


★『CHANGE 変化を起こす7つの戦略』は、ペンシルヴェニア大学教授で社会学者のデイモン・セントラ(Damon Centola, 1973-)の著書『Change: How to Make Big Things Happen』の訳書。「ネットワーク科学とは、物事がどう広まるかを研究する学問だ。〔…〕本書は〔…〕人間の行動が、いつ、なぜ、どのように変化するのかを、誕生したばかりのネットワーク科学によって解説する。また、社会の変化を広める決定要因を示し、それらの要因がなぜ長いあいだ誤解されてきたのか、どのように機能するのかを明らかにしたい」(序文、8~9頁)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。







★『増補新版 言葉と戦争』は、詩人で文学研究者の藤井貞和(ふじい・さだかず, 1942-)さんが大月書店より2007年に刊行した単独著に2篇を追加し、新たなあとがきを加えて刊行するもの。旧版は、第8回日本詩人クラブ詩界賞を受賞しています。目次詳細や新旧あとがきは書名のリンク先でご確認いただけます。長崎の出版社「編集室水平線」では、藤井さんの著書『非戦へ――物語平和論』を2018年に刊行しており、今回の新刊が藤井さんの本の2冊目になります。


★先週に続き注目既刊書のまとめ(2回目)です。さらにあともう1回は掲出する予定です。



『思考すること、それはノンと言うことである――初期ソルボンヌ講義』ジャック・デリダ(著)、松田智裕(訳)、青土社、2023年12月、本体3,200円、四六判上製208頁、ISBN978-4-7917-7609-2
『この世界はどんな世界か?――パンデミックの現象学』ジュディス・バトラー(著)、中山徹(訳)、青土社、2023年12月、本体2,200円、四六判並製178頁、ISBN978-4-7917-7614-6

『人種差別の習慣――人種化された身体の現象学』ヘレン・ンゴ(著)、小手川正二郎/酒井麻依子/野々村伊純(訳)、青土社、2023年11月、本体2,800円、四六判並製360頁、ISBN978-4-7917-7595-8

『フェミニズムとレジリエンスの政治――ジェンダー、メディア、そして福祉の終焉』アンジェラ・マクロビー(著)、田中東子/河野真太郎(訳)、青土社、2022年9月、本体2,400円、四六判並製244頁、ISBN978-4-7917-7491-3

『クリエイティブであれ――新しい文化産業とジェンダー』アンジェラ・マクロビー(著)、田中東子(監訳)、中條千晴/竹﨑一真/中村香住(訳)、花伝社、2023年2月、本体2,200円、四六判並製344頁、ISBN978-4-7634-2027-5

『K-PUNK 夢想のメソッド──本・映画・ドラマ』マーク・フィッシャー(著)、ダレン・アンブローズ(編)、サイモン・レイノルズ(序文)、坂本麻里子+髙橋勇人(訳)、ele-king books:Pヴァイン(発行)、日販IPS(発売)、2023年9月、本体2,980円、四六判並製416頁、ISBN-978-4-910511-57-3

『奇妙なものとぞっとするもの──小説・映画・音楽、文化論集』マーク・フィッシャー(著)、五井健太郎(訳)、ele-king books:Pヴァイン(発行)、日販IPS(発売)、2022年12月、本体 2,500円、四六判並製290頁、ISBN978-4-910511-31-3



★いくつか特筆しておきます。デリダの「最初期の貴重な講義録」(帯文より)である『思考すること、それはノンと言うことである』は、『Penser, c'est dire non』(Édition établie par Brieuc Gérard, Seuilm 2002)の全訳です。ソルボンヌ大学での1960~61年度講義(全4回)の手書き草稿とメモ資料(付録)で、巻頭には編者ブリュー・ジェラールによる序文「ウィ ノン」が置かれています。ジェラールは本書をこう紹介しています。「〔本書は〕脱構築を確立したテクストの刊行以前の、脱構築的なエクリチュールの兆しとして読まれるばかりではない。それは、「ウィ ノン」がデリダの思想にとってつねに根本的なものであったことを示してもいるのである。思考と信念を区別し、その差異を語ることがしばしば困難な時代にあって、彼の関心はおそらく、今日においてますます重要なものであると言えるかもしれない」(20頁)。


★バトラー『この世界はどんな世界か?』は、『What World Is This?: A Pandemic Phenomenology』(Columbia University Press, 2022)の全訳。目次詳細は書名のリンク先をご確認下さい。「多孔性という特徴をもつ身体は純然たる境界線ではないし、純然と開かれているわけでもない。それは、その二つの状態のあいだの複雑な駆け引きであり、呼吸、食べ物、消化、幸福――つまり、セクシュアリティ、親密さ、たがいの身体の取り込み、にとって満足のいく状態――が(自分にとっての、世界の、世界による)必要条件となる生の様態のなかに位置づけられている。われわれは生きていくためにたがいを必要とする。いいかえれば、他人の気孔の内部に取り込まれる必要があり、他人を取り込む必要がある。というのも、われわれが世界に対して開かれたものとして、境界の定まった自己とその自己のいだく奇想の外側で生きている場所とは、まさにそうしたところであるからだ。要するに、われわれは、われわれを支える世界との、ひとつの大地との、人間の居住地を含むその大地の生物環境との、関係のなかで生きている。この生物環境は、世界に積極的にかかわる政治に支えられている」(148~149頁)。

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