Quantcast
Channel: URGT-B(ウラゲツブログ)
Viewing all 1277 articles
Browse latest View live

注目新刊:「知泉学術叢書」が創刊、ほか

$
0
0
a0018105_02142011.jpg

★まずは単行本の新刊から。


『キリスト教と古典文化――アウグストゥスからアウグスティヌスに至る思想と活動の研究』C・N・コックレン著、金子晴勇訳、知泉学術叢書:知泉書館、2018年2月、本体7,200円、新書判上製926頁、ISBN978-4-86285-268-7
『デカルト 数学・自然学論集』(山田弘明/中澤聡/池田真治/武田裕紀/三浦伸夫/但馬亨訳・解説、フレデリック・ド・ビュゾン序、法政大学出版局、2018年2月、本体4,500円、A5判上製388頁、ISBN978-4-588-15090-6
『誰が世界を支配しているのか?』ノーム・チョムスキー著、大地舜/榊原美奈子訳、双葉社、2018年2月、本体1,600円、四六判並製384頁、ISBN978-4-575-31341-3
『情報経済の鉄則――ネットワーク型経済を生き抜くための戦略ガイド』カール・シャピロ/ハル・ヴァリアン著、大野一訳、日経BPクラシックス:日経BP社、2018年2月、本体3,000円、4-6変判上製656頁、ISBN978-4-8222-5557-2
『肉食行為の研究』野林厚志編、平凡社、2018年3月、本体4,600円、A5判上製496頁、ISBN978-4-582-83770-4
『〈原作〉の記号学――日本文芸の映画的次元』中村三春著、七月社、2018年2月、本体3,200円、四六判上製288頁、ISBN978-4-909544-01-8



★コックレン『キリスト教と古典文化』は、『Christianity and Classical Culture』(1939)の全訳。難解をもって鳴る古典的名著の待望の訳書です。目次詳細は書名のリンク先をご確認ください。「知泉学術叢書」の第一弾であり、この叢書は「研究基盤として役立つ、一次文献と基本的な二次文献の翻訳シリーズ」とのこと。続刊予定にイェーガー『パイデイア――ギリシアにおける人間形成』(上巻、曽田長人訳)、パラマス『東方教会の精髄 人間の神化論攷――聖なるヘシュカストたちのための弁護』(大森正樹訳)、トレル『聖トマス・アクィナス――人と作品』(保井亮人訳)などが予告されています。特に『パイデイア』は待ち遠しいですね。


★『デカルト 数学・自然学論集』は昨年の『デカルト 医学論集』(山田弘明/安西なつめ/澤井直/坂井建雄/香川知晶/竹田扇訳、アニー・ビトボル=エスペリエス序、法政大学出版局、2017年3月)に続く、貴重な論文集。最新の原典校訂テキストをふまえた「幾何学・代数学・力学分野での科学者デカルトの寄与を一望できる貴重な一冊」(帯文)。共訳者の山田さんは昨年、『デカルト ユトレヒト紛争書簡集(1642-1645)』(山田弘明/持田辰郎/倉田隆訳、知泉書館、2017年12月)も上梓されており、近年のデカルトの新訳と初訳を継続的に牽引されているその功績には大なるものがあると言うべきはないでしょうか。


★チョムスキー『誰が世界を支配しているのか?』は英米語圏でベストセラーになっていると聞く『Who Rules the World?』の翻訳。原書では2016年にハードカバーが出て、2017年にペーパーバックが発売されています。全23章で、訳書では巻頭に「日本の読者の皆様へ」、巻末に「あとがき 2017年版によせて」を収録。誰が世界を支配しているのかを問うことは「どんな原則や価値観が世界を支配しているのか」(367頁)を問うことでもあるとチョムスキーは示唆します。昨今、トランプ政権の内幕を暴いた『炎と怒り』が日本でもついに翻訳されましたが、チョムスキー本の方が共和党批判においては辛辣です。


★シャピロ/ヴァリアン『情報経済の鉄則』は『Information Rules: A Strategic Guide to the Network Economy』(Harvard Business Press, 1999)の新訳。既訳は『「ネットワーク経済」の法則――アトム型産業からビット型産業へ…変革期を生き抜く72の指針』(千本倖生監訳、宮本喜一訳、IDGコミュニケーションズ、1999年)でした。新訳の帯文は以下の通り。「Googleを世界一にした経済学者で同社チーフエコノミスト、ハル・ヴァリアンらが1999年に刊行した不朽の名著」。目次詳細は照明のリンク先をご覧ください。「本書の鉄則に従えば、成功の確率が格段に高まる」というジェフ・ベゾスの言葉が帯の背に刷られていて非常に説得的です。


★野林厚志編『肉食行為の研究』はまもなく発売。「人類学を中心に、人文・自然科学の枠を超えた研究者たちが、人間の肉食をめぐる問題群を全方位的に考え抜いた、前代未聞にして画期的な共同研究の成果」(帯文より)と。「肉食行為の文化誌」「肉食行為の人類史」「肉食行為のイメージ」「肉食行為のグローバリズム」の四部構成で16本の論考を収録。あとがきによれば、編者が代表者となって実施した国立民族学博物館共同研究(平成24~26年度)における研究発表をもとに、各執筆者が課題に沿って執筆したものとのことです。食(行為)の研究はいまもっとも重要な分野のひとつではないでしょうか。人文書売場でもちゃんとした位置付けが必要だと感じます。


★中村三春『〈原作〉の記号学』は昨年末創業されたひとり学術出版社「七月社」(しちがつしゃ)さんの書籍第二弾で、映画論です。「文芸原作を持つ第二次テクストとしての映画を理論的また分析的に研究したもの」(10頁)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。著者の中村三春(なかむら・みはる:1958-)さんは北海道大学大学院文学研究科教授で、ご専門は日本近代文学・比較文学・表象文化論専攻。近年の編書に『映画と文学――交響する想像力』(森話社、2016年)があります。この本の編集担当がほかならぬ七月社を起業したNさんです。


+++


★続いて文庫新刊より。


『政治の約束』ハンナ・アレント著、ジェローム・コーン編、高橋勇夫訳、ちくま学芸文庫、2018年3月、本体1,400円、文庫判416頁、ISBN978-4-480-09849-8
『人間とはなにか――脳が明かす「人間らしさ」の起源』上下巻、マイケル・S・ガザニガ著、柴田裕之訳、ちくま学芸文庫、2018年3月、本体各1,300円、文庫判384頁/368頁、ISBN978-4-480-09851/978-4-480-09852-8
『増補 ハーバーマス――コミュニケーション的行為』中岡成文著、ちくま学芸文庫、2018年3月、本体1,300円、文庫判400頁、ISBN978-4-480-09853-5
『現代語訳 三河物語』大久保彦左衛門著、小林賢章訳、ちくま学芸文庫、2018年3月、本体1,200円、文庫判336頁、ISBN978-4-480-09844-3
『ホームズと推理小説の時代』中尾真理著、ちくま学芸文庫、2018年3月、本体1,200円、文庫判352頁、ISBN978-4-480-09847-4
『わが思索のあと』アラン著、森有正訳、長谷川宏解説、中公文庫、2018年2月、本体1,200円、文庫判408頁、ISBN978-4-12-206547-5
『君主論 新版』マキアヴェリ著、池田廉訳、佐藤優解説、中公文庫、2018年2月、本体800円、文庫判272頁、ISBN978-4-12-206546-8
『怠惰の美徳』梅崎春生著、荻原魚雷編、中公文庫、2018年2月、本体900円、文庫判312頁、ISBN978-4-12-206540-6


★ちくま学芸文庫のまもなく発売となる今月新刊は5点。アレント『政治の約束』は『The Promise of Politics』(Shocken Books, 2005)の全訳で、訳書単行本は2008年に筑摩書房より刊行。文庫化にあたり、訳者解説によれば「訳文に少々手を入れた。いくつかの訂正箇所もあったが、大半は文章を読みやすくする作業であった」とのことです。後段には「多数の訳文の修正のみならず、無数の句読点の取捨や語尾の変更」ともあります。同じくコーンの編書『責任と判断』(中山元訳、2007年;ちくま学芸文庫、2016年)も文庫化されているので、筑摩書房のアレントの単行本はすべて文庫化されたことになります。


★ガザニガ『人間とはなにか』上下巻は、2010年にインターシフトより刊行された『人間らしさとはなにか?――人間のユニークさを明かす科学の最前線』の改題分冊文庫化。原書は『Human: The Science Behind What Makes Us Unique』(Ecco, 2008)です。帯文に曰く「ピンカー、ラマチャンドラン絶賛」と。特に本書の最終章「肉体など必要か?」は人間が科学技術によって変容を被りうる近未来についての考察を簡潔にまとめており興味深いです。


★中岡成文『増補 ハーバーマス』は1993年に講談社の「現代思想の冒険者たち」シリーズで刊行され、その後2003年に同シリーズのセレクト版として再刊された単行本の増補文庫化で、終章「対話は世界を変えられるのか――その後のハーバーマス」(291~331頁)が書き下ろしで追加されています。「対話が支える相互理解は可能か? 理性を信じる思想」という帯文は対話よりも圧力を選ぶ、恐怖と不信に絡めとられた現代政治への直球の提言として響きます。


★『現代語訳 三河物語』は、教育社より1980年に刊行された『三河物語』上下巻の改訳文庫化。「徳川家九代の歴史を今に伝える重要古典〔・・・〕当時の俗語で書かれた難解な原文を、読みやすい現代語訳で送る」(カヴァー紹介文より)と。「忠誠」を精神のよりどころに戦国時代を生き抜いた老武者のひたむきな生きざまと考え方に心奪われるだろう、と訳者は「はじめに」で書いています。


★中尾真理『ホームズと推理小説の時代』は書き下ろし。目次を列記しておきます。
前書き
第一部 『ストランド・マガジン』とシャーロック・ホームズ
 第一章 シャーロック・ホームズ登場
 第二章 ホームズの引退
 第三章 観察と推理――シャーロック・ホームズの先輩たち
第二部 推理小説の黄金時代(イギリスの場合)
 第一章 シャーロック・ホームズのライヴァル(同時代人)たち
 第二章 G・K・チェスタトンとE・C・ベントリー
 第三章 アガサ・クリスティ
 第四章 ドロシー・L・セイヤーズ
 第五章 A・A・ミルンとロナルド・A・ノックス
第三部 推理小説の黄金時代(アメリカの場合)
 第一章 S・S・ヴァン・ダイン
 第二章 エラリー・クイーン
 第三章 ジョン・ディクスン・カー
 第四章 アール・スタンリー・ガードナー
 第五章 レックス・スタウト
第四部 推理小説の黄金時代の余波
 第一章 黄金時代の余波
第五部 推理小説の黄金時代(日本の場合)
 第一章 日本の近代化と推理小説
附録1 千駄ヶ谷のシャーロック・ホームズ
附録2 人はなぜ推理小説を読むのか
参考文献
あとがき


★続いて中公文庫。「古典作品の歴史的な翻訳に光を当てる精選シリーズ」である中公文庫プレミアムの最新刊はアラン『わが思索のあと』。「円熟期を迎えた著者が師〔ラニョー〕との出会いからプラトン、ヘーゲルなどの哲学、第一次大戦の従軍体験、さらに唯物論、宗教まで繊細な筆致で綴る。稀有な思想的自伝全34章」(カヴァー裏紹介文より)。思索社より1949年に刊行された単行本の文庫化で原書は『Histoire de mes pensées』(Gallimard, 1936)です。文庫化にあたり新字新仮名遣いを採用し、固有名詞の表記を改め、誤植を修正し、新たな人名索引を付したとのことです。長谷川宏さんによる解説「過去の経験を思想化すること」が付されています。同シリーズではエリオット『荒地/文化の定義のための覚書』(深瀬基寛訳)が続刊予定となっています。


★マキアヴェリ『君主論 新版』は1995年に中公文庫で刊行された新訳版の新組再刊と見て良いかと思います。このかん、中公クラシックスでも2001年に刊行されており、訳者解説末尾の文献案内に新訳版以降の文献も加わっているのは2001年版からでしたでしょうか。いずれにせよ、「世界の名著」から数えて5度目の再刊となるロングセラーです。巻末には佐藤優さんによる解説が新たに付されています。独裁化の危険に抗する「愚行権」(幸福追求権)の重要性について語る佐藤さんの筆致が印象的です。


★梅崎春生『怠惰の美徳』は荻原魚雷さんが選んだ随筆と短編小説をまとめたもの。発売後早くも反響続々で、今年の再評価本として記憶に残るだろう一冊。「やる気がなくてもなんとかやっています」という帯文が無性に可笑しいです。表題作はその脱力感がよく表れている一篇。「私自身にしても、ナマケモノといわれるより、閑人といわれる方が気持ちがいい。私は「閑暇の美徳」という文章を書くべきであったようだ」(17頁)。あくせく働いて自分がどこを目指しているのか、目指したいのかが分からなくなっている現代の読者もまた、働かされることによって失った自由な自律的時間である「閑暇」を取り戻すべく、怠惰という力を見直すべきなのかもしれません。ラッセルの名著『怠惰への讃歌』(平凡社ライブラリー、2009年)やラファルグ『怠ける権利』(平凡社ライブラリー、2008年)とともに噛みしめたい一冊です。


★さらに言えば國分功一郎さん『暇と退屈の哲学』(増補新版、太田出版、2015年)や、スヴェンセン『働くことの哲学』(紀伊國屋書店、2016年)、カイヨワ『遊びと人間』(講談社学術文庫、1990年)、チクセントミハイ『フロー体験 喜びの現象学』(世界思想社、1996年)、ボイル『無銭経済宣言』(紀伊國屋書店、2017年)、フレイレ『希望の教育学』(太郎次郎社、2001年)、イリイチ『脱学校の社会』(東京創元社、1977年)、ブラック『労働廃絶論――ボブ・ブラック小論集』(アナキズム叢書、2015年)なども思い浮かびます。今月は講談社学術文庫でホイジンガの『ホモ・ルーデンス』の新訳がまもなく発売となりますし、政府が謳う「働き方改革」を考え直す上でこれらの読書が良いきっかけになるかもしれないと思います。


a0018105_02145228.jpg
+++

取次搬入日決定及び重版出来:佐藤真理恵『仮象のオリュンポス』、マッシー『空間のために』

$
0
0
佐藤真理恵『仮象のオリュンポスーー古代ギリシアにおけるプロソポンの概念とイメージ変奏』(シリーズ・古典転生、第17回配本、本巻16)の取次搬入日が決定しました。日販と大阪屋栗田は3月9日(金)、トーハンは3月12日(月)です。おおよそ中2営業日ほどで書店さんの店頭発売開始となります。


a0018105_15442188.jpg

+++

ドリーン・マッシー『空間のために』(森正人/伊澤高志訳、月曜社、2014年3月;原書『For Space』Sage, 2005)の重版ができあがりました。2刷です。著者であるイギリスの地理学者マッシー(Doreen Barbara Massey, 1944-2016)さんは一昨年逝去されています。
a0018105_15464338.jpg

+++

直近雑誌での取次人の寄稿記事まとめ

$
0
0
a0018105_17163532.jpg

2018年1月~2月に発売された雑誌で取次人が寄稿した記事をまとめます。


◆『しししし』vol.1(特集=宮沢賢治)、双子のライオン堂、2017年12月、本体1,800円、A5判並製180頁、ISBN978-4-0009283-4-6
「太平書林さんのこと」片山昌美(かたやま・まさみ:書籍取次業)
「偶然と必然の技法」松井祐輔(まつい・ゆうすけ:1984-;H.A.Bookstore店主)



◆『本の雑誌』2018年3月号(特集=本屋さんになろう!)、本の雑誌社、2018年3月【2月7日発売】、本体667円、A5判並製136頁、ISBN978-4-86011-379-7
「本屋さんになりたい~なるには」鎌垣英人(かまがき・ひでと:1961-;大阪屋栗田執行役員)
「あきらめる必要はない!!本をお店に並べるための方法」松井祐輔(前掲)



◆『多様体』第1号(特集=人民/群衆)、月曜社、2018年2月、本体2,500円、A5判並製416頁、ISBN978-4-86503-055-6
「書店空間の定点観測【1】リブロからブックファーストへ」鎌垣英人(前掲)


◆『現代思想』2018年3月号(特集=物流スタディーズ)、青土社、2018年3月【2月27日発売】、A5判並製230頁、ISBN978-4-7917-1361-5
「誰でも本屋をつくることができる仕組みをつくる」柳下恭平(やなした・きょうへい:1976-;鴎来堂代表/かもめブックス店主/ことりつぎ/エディトリアル・ジェットセット)



+++


これらと一緒に併読しておきたいのは、取次に新刊が搬入されるまでの印刷製本所さんの仕事に焦点をあてた、講談社の『小説現代』2018年3月号内の「大特集=本を造る!」です。四部構成となっていて、東村アキコさんと安藤祐介さんの対談「本は「宝物」で「宝箱」」に始まり、作家さんの執筆から出版社、印刷所、製本所へと至る作業工程を簡潔に図式化した「一冊の本ができるまで」、豊国印刷、国宝社、黒柳製本、日本樹脂工業に取材した「入稿から搬入まで、16人の“職人”に訊く!」、最後に印刷所の営業マンが主人公の、安藤祐介さんによる新作小説『本のエンドロール』(3月7日発売)の第一章「スロウスタート」が掲載されています。
また『しししし』を創刊した双子のライオン堂さんが今月、「本屋入門」講座を開講されるそうです。


◎〈本屋入門SWITCH!〉~本屋になるのにうってつけの日~


日時:2018年3月18日(日)10:00~18:30
場所:双子のライオン堂(東京都港区赤坂6-5-21-101)
費用:18,000円 ※懇親会は別途費用
募集人数:6名程度
主催:BOOKSHOP LOVER/双子のライオン堂


内容:この度、2015年2016年と好評いただいた「本屋入門」を、1日集中で濃縮体験する特別版を開催することに致しました。われわれ本屋入門は、過去2回長期的なゼミを開催しました。受講生の中から数名の本屋さんが誕生し一定の成果があったと自負しております。昨年1年間は「本屋入門」の充電期間として、主催それぞれの活動に注力しておりました。そんな中、本屋さんになる講座をまたやってほしいという声をいただくことが増えてきました。過去に頂いた意見などを今一度見直し、また類似の講座も増えてきているので、少しやり方を変えて、開催してみようと思い、1日集中型の講座を開講します。本屋入門SWITCH!は、1日集中して「理想の本屋」を考え抜いていただきます。授業は、講義とワークショップを取り入れて行います。「理想の本屋」を考えることで、実際に本屋をやる上での課題などを浮き彫りにして、本屋を始める、本屋について考える「スイッチ」を押すことができればと考えております。


スケジュール:
10:00~10:30 はじめに~趣旨説明・紹介等~ 司会進行:BOOKSHOPLOVER和気、双子のライオン堂竹田
10:30~12:00 対談講義「中と外から見た本屋の世界」講師:どむか氏(本屋さんウォッチャー)×K氏(大手取次執行役員)with和気、竹田
12:00~13:00 昼食
13:00~14:30 講義「いい本屋ってどんな本屋?」講師:「マガジン航」編集人・仲俣暁生氏/司会:和気、竹田
14:30~14:45 休憩
14:45~17:15 ワークショップ「「理想の本屋」の計画書を書いてみよう」司会進行:和気、竹田、ゲスト調整中 ※適宜休憩あり
17:30~18:30 発表(一人3分くらい発表して、3分くらい討議する)
18:30~20:00 懇親会 ※懇親会は任意参加。参加費別回収。


+++

注目新刊:ファム・コン・ティエン『深淵の沈黙』、入江公康『現代社会用語辞典』、ほか

$
0
0
a0018105_23502792.jpg

『深淵の沈黙』ファム・コン・ティエン著、野平宗弘訳、東京外国語大学出版会、2018年2月、本体3,200円、本体3,200円、四六変型並製368頁 ISBN978-4-904575-66-6
『現代社会用語辞典』入江公康著、新評論、2018年2月、本体1,700円、四六判変型上製192頁、ISBN978-4-7948-1070-0
『ナボコフ・コレクション 処刑への誘い/戯曲 事件 ワルツの発明』ウラジーミル・ナボコフ著、小西昌隆/毛利公美/沼野充義訳、新潮社、2018年2月、本体4,800円、四六判上製494頁、ISBN978-4-10-505607-0
『墨子』金谷治訳、末永高康解説、中公クラシックス、2018年2月、本体1,800円、新書判288頁、ISBN978-4-12-160179-7
『ホモ・ルーデンス――文化のもつ遊びの要素についてのある定義づけの試み』ヨハン・ホイジンガ著、里見元一郎訳、講談社学術文庫、2018年3月、本体1,200円、400頁、ISBN978-4-06-292479-5
『宇治拾遺物語 上 全訳注』高橋貢/増古和子訳、講談社学術文庫、2018年3月刊、本体2,400円、848頁、ISBN978-4-06-292491-7
『戦う操縦士』サン=テグジュペリ著、鈴木雅生訳、光文社古典新訳文庫、2018年3月、本体880円、340頁、ISBN978-4-334-75372-6
『フレーベル自伝』長田新訳、岩波文庫、1949年12月、本体720円、212頁、ISBN978-4-00-337043-8


★『深淵の沈黙』は旧南ベトナムの首都サイゴンで1967年にアンティエム出版より刊行された『Im lặng hố thẳm』の全訳。著者のファム・コン・ティエン(Phạm Công Thiện, 1941-2011)はベトナム出身の詩人、思想家。1975年から1983年までフランスのトゥールーズ大学で西洋哲学の助教授を務めた後、アメリカに移住し、テキサス州ヒューストンにて死去。本書執筆当時は26歳。ベトナム戦争のさなかにハイデガー哲学との対話/対決を通じて「西洋形而上学は、現在のベトナムでの過酷な戦争において成就した」(152頁)と説き、西洋思想と東洋思想をともに乗り越える「到来すべきベトナム思想」を展望するユニークな試みとなっています。目次詳細は版元名のリンク先でご確認いただけます。「深淵の沈黙へと到る道は破壊の道であり、同時にまた、背理の道でもある。究極まで破壊し背理した後には、さらに何が残っているというのだろうか?/この最後の問いは砂のない砂漠に飛んでいく。深渕に跳び入る『易経』の龍のように」(32頁)。詩人の言葉の刃が思惟の奥底を自在に切り開きます。


★『現代社会用語辞典』は、ことば(アニミズム~リベラリズム)、ひと(アガンベン~戸坂潤)、出来事(QCサークル~ラッダイト)、シネマ(エネミー・オブ・アメリカ~ル・アーヴルの靴みがき)、の四部に148項目を収めた個性的かつ魅力的なキーワード/キーパーソン集で、「われわれが生きるこの「社会」の自明性を剥ぐこと、つまり「あまりまえ」を疑ってみる/疑うこと」を目的としているとのことです。巻末附録として、関連年表、コメント付きブックリスト、名著引用集を併載。入江公康(いりえ・きみやす:1967-)さんの単独著は『眠られぬ労働者たち』(青土社、2008年)以来のもの。以文社さんから先月刊行されたキーワード集『Lexicon 現代人類学』と一緒に購読されることをお薦めします。


★『処刑への誘い/戯曲 事件 ワルツの発明』は美しいカヴァーが惚れ惚れとさせる『ナボコフ・コレクション』シリーズの第二回配本。「処刑への誘い」は1938年に刊行された作品で、既訳には英語版からの富士川義之さんによる訳「断頭台への招待」(『世界の文学8』所収、集英社、1977年)があります。今回の新訳はロシア語からの初訳で、英語版への序文も訳出されています。近未来の某都市で「認識論的卑劣さ」という罪状によって死刑判決を受けた男性が主人公の「アンチ・ユートピア的不条理小説」(帯文より)。カフカの『審判』を連想させると当時の書評家たちは思ったようですし私もそう思いますが、ナボコフは「なんのかかわりもない」と英語版への序文で書いています。併載された二つの戯曲は初訳。大手版元が出す文芸書としてはやや高額で学生さんには手が出しにくいかもしれませんが、妥当だと思います。


★『墨子』は凡例によれば、中公バックス版『世界の名著10 諸子百家』(1978年)所収の「墨子」を底本とし、末永高康さんによる新たな解説「墨家の思想と論理」を巻頭に付したもの。「墨子」全71編のうち現存する53篇から主要な部分を抄録し、省略した諸篇には概要が付されています。博愛主義としての兼愛を説いたのちに侵略戦争反対論である非攻を説くその思想は反運命論でもあります。「すべて人しだいであって、宿命があるなどとどうしていえようか」(130頁、第35「非命篇」上)。この言葉は時を越えて現代人をも励ますものではないでしょうか。


★『ホモ・ルーデンス』は河出書房新社版「ホイジンガ選集」第一巻(1971年;新装版1989年)の文庫化。翻訳の底本は、オランダのハーレム社版全集第5巻所収のテクスト(1950年)。「学術文庫版あとがき」によれば「紙幅の都合でオランダ語目次と索引を削除した」とのことです。「遊びは文化より古い」という一文から始まるこの古典的名著は、「人間社会に固有で偉大な活動にはすべてはじめから遊びが織り込まれている」(21頁)と教えます。既訳では、高橋英夫訳の中公文庫版がロングセラーとなっているのは周知の通りです。


★『宇治拾遺物語 上 全訳注』は上下巻の上巻。「中世前期、鎌倉時代成立の代表的説話集」(解題)であり、「日本人を楽しませてきた「話」の宝庫」(帯文)です。上巻ではこぶとりの話(第3話)、舌切り雀の話(第48話)などを含む104話を収めています。古本系統「伊達本」『宇治大納言物語』を底本に、本文、現代語訳、語釈、参考で構成されています。続刊となる下巻では196話までを収録。


★『戦う操縦士』は『Pilote de guerre』(1942年)の新訳。既訳には堀口大学訳(三笠書房、1951年;「現代世界文学全集7」所収、三笠書房、1954年;新潮社、1964年;新潮文庫、1978年)や、山崎庸一郎訳(「サン=テグジュペリ著作集2」所収、みすず書房、1984年;「サン=テグジュペリ・コレクション4」みすず書房、2000年)があります。本作は「ヒトラー『我が闘争』に対する「民主主義からの返答」として高く評価され」ているとカバーソデ著者略歴では紹介されており、「戦争体験を描いた自伝的小説」と帯文に謳われています。「私は信じる。《人間》の優越こそが唯一意味ある《平等》を、唯一意味ある《自由》を築きあげるものだと。私は《人間》の権利が各個人を通して平等であると信じる。《自由》とは《人間》の上昇にほかならないと信じる。《平等》とは《同一性》ではない。《自由》とは個人を《人間》よりも称揚することではない。したがって私が戦うのは、それが誰であれ、《人間》の自由をある個人に――あるいは個人からなる群れに――隷従させようとする者だ」(297頁)。危機の時代にこそ読みたい一冊です。


★『フレーベル自伝』は岩波文庫の2018年春のリクエスト復刊37点40冊のうちのひとつ。「マイニンゲン公に宛てたる書翰」と「フリードリヒ・クラウゼに宛てたる書翰」を収録。岩波文庫ではフレーベルの『人間の教育』上下巻が出ていましたが、現在は品切。フレーベルの訳書で定期的に重版されるのは岩波文庫だけなので、いずれ重版されるだろうと想像します。



+++


★また最近では以下の新刊との出会いがありました。


『科学的人間と権力政治』ハンス・J・モーゲンソー著、星野昭吉/髙木有訳、作品社、2018年3月、本体2,500円、46判上製270頁、ISBN978-4-86182-669-6
『摂政九条兼実の乱世――『玉葉』をよむ』長崎浩著、平凡社、2018年3月、本体5,400円、A5判上製324頁、ISBN978-4-582-46911-0
『エリー・フォール映画論集 1920-1937』須藤健太郎編訳、ソリレス書店、2018年2月、本体2,800円、四六判並製278頁、ISBN978-4-908435-09-6
『原発事故と「食」――市場・コミュニケーション・差別』五十嵐泰正著、中公新書、2018年2月、本体820円、新書判240頁、ISBN978-4-12-102474-9
『バカロレア幸福論――フランスの高校生に学ぶ哲学的思考のレッスン』坂本尚志著、星海社新書、2018年2月、本体920円、新書判190頁、ISBN978-4-06-511232-8
『高校生のための ゲームで考える人工知能』三宅陽一郎/山本貴光著、ちくまプリマー新書、2018年3月、本体950円、新書判272頁、ISBN978-4-480-68998-6
『享楽社会論――現代ラカン派の展開』松本卓也著、人文書院、2018年3月、本体2,200円、4-6判300頁、ISBN978-4-409-34051-6
『モスクワの誤解』シモーヌ・ド・ボーヴォワール著、井上たか子訳、人文書院、2018年3月、本体2,200円、4-6判上製172頁、ISBN978-4-409-13039-1
『天皇制と民主主義の昭和史』河西秀哉著、人文書院、2018年2月、本体2,500円、4-6判並製300頁、ISBN978-4-409-52068-0
『灰色のユーモア――私の昭和史』和田洋一著、鶴見俊輔/保阪正康解説、人文書院、2018年2月、本体2,500円、4-6判上製304頁、ISBN978-4-409-52069-7
『アーレントのマルクス――労働と全体主義』百木漠著、人文書院、2018年2月、本体4,500円、4-6判上製340頁、ISBN978-4-409-03097-4



★『科学的人間と権力政治』は『Scientific Man vs. Power Politics』(The University of Chicago Press, 1946)の全訳。訳者後記の言葉を借りると本書は「国際政治学の父」と呼ばれるモーゲンソー〔Hans Joachim Morgenthau, 1904-1980〕の米国でのデビュー作であり、「彼の主唱する現実主義政治哲学の体系的解説書」。目次は以下の通りです。


まえがき
第一章 科学的人間のジレンマ
第二章 科学の時代と社会
第三章 政治の否定
第四章 平和の科学
第五章 自然科学という怪物
第六章 科学的人間の非合理性
第七章 科学的人間の道徳的盲目性
第八章 科学的人間の悲劇
訳者後記
原注
索引


★『摂政九条兼実の乱世』は、後白河院、平清盛、源頼朝の同時代人である公卿、九条兼実(くじょう・かねざね:1149-1207)の膨大な日記「玉葉」を乱世の政治文書として読みといたもの。目次は以下の通り。


はじめに
第一章 青年右大臣――政治家デビュー
第二章 摂関政治の理念――二頭政治の狭間で
第三章 朝務を演じる――官奏・陣定・除目
第四章 大衆蜂起――朝廷の「外部」に直面する
第五章 乱世の至り――クーデタ・遷都・南都焼亡
第六章 葬送の年――漂流する兼実
第七章 京中周章――平氏・義仲・義経
第八章 摂政への道――社稷に身命を惜しまず
第九章 摂政兼実――政に淳素に返す
第十章 危うい均衡――行き違う「天下草創」
第十一章 兼実最後の政治――摂籙の臣を演ずる
あとがき
玉葉略年譜


★『エリー・フォール映画論集 1920-1937』はフランスの高名な美術史家フォール(Élie Faure, 1873-1937)の映画論を日本語版独自編集でまとめたもの。4部構成で16篇を収録。目次は以下の通りです。


Ⅰ 映画の発見
   映画造形〔シネプラスティック〕について 
Ⅱ 芸術・文化・文明
   機械主義の美学 
   ティントレットの予感 
   映画神秘主義序説 
   映画の知的役割 
Ⅲ 映画作家のかたわらで
   シャルロ礼賛 
   アベル・ガンス『ナポレオン』のプレミア上映に寄せて 
   三面スクリーンの発見 
   アベル・ガンスの著書『プリズム』に寄せて 
   S・M・エイゼンシュテインと未来の映画 
   戦争映画と平和主義 
   生粋の映画作家――『アタラント号』の作者ジャン・ヴィゴ 
   イタリアの映画小屋 
Ⅳ 講演録から
   写真展《社会生活のドキュメント》 
   スペイン内戦に関する記録映画 
   映画は普遍言語である 
シネプラスティックとその彼方̶̶訳者後記にかえて
人名・映画作品名索引


★先月と今月の新書新刊より3点。中公新書『原発事故と「食」』は、首都圏の電力だけでなく食を支えてきた福島県をめぐり、風評被害の実態やそのメカニズムを精緻に検証する力作。星海社新書『バカロレア幸福論』はフランスにおける高校の哲学授業や大学試験を紹介しつつ、思考力と表現力の訓練を日本の読者に提供する貴重な試み。ちくま新書『高校生のための ゲームで考える人工知能』は気鋭のゲームクリエイター2氏による、デジタルゲーム作成に仮託した人工知能入門。


★最後に人文書院さんの先月下旬から今月初旬に掛けて発売された新刊5点。いずれも書名のリンク先で目次をご確認いただけます。『享楽社会論』は『人はみな妄想する――ジャック・ラカンと鑑別診断の思想』(青土社、2015年)に続く松本卓也さんによる注目の単著第二作。版元サイトで序章をPDFで立ち読みできます。『モスクワの誤解』は67年に執筆された中編小説で単行本としてはようやく2013年にL'Herneより公刊された『Malentendu à Moscou』の全訳。初老の夫婦が経験する精神的危機が描かれており、ボーヴォワールとサルトルのソ連訪問がヒントとなっているようです。


★『天皇制と民主主義の昭和史』は『「象徴天皇」の戦後史』(講談社選書メチエ、2010年)の増補改題版。『灰色のユーモア』は新聞学者の和田洋一(わだ・よういち:1903-1993)さんの『私の昭和史』(小学館、1976年;旧版は『灰色のユーモア』理論社、1958年)から「灰色のユーモア」を含む5篇を収め、それに著者の「スケッチ風の自叙伝」と鶴見俊輔さんの「亡命について」(ともに『抵抗と持続』所収、世界思想社、1979年)を加え、巻末に保阪正康さんの書き下ろし「註解」を併載したもの。『アーレントのマルクス』は百木さんの博士論文「「労働」と全体主義――「無限増殖運動に抗するアーレント」に大幅な加筆修正を施したもの。序章のPDFが書名のリンク先で公開されています。


a0018105_23510740.jpg
+++


保管用:2016年12月~2017年2月既刊書書評情報

$
0
0
◎2017年2月16日発売:松江泰治『Hashima』本体3,600円。 無記名氏記事(『CANON PHOTO CIRCLE』2017年4月号「今月の新刊」欄)

 無記名氏記事(「信濃毎日新聞」2017年3月26日(日)付「読書欄」)
◎2017年2月10日発売:佐野方美『SLASH』本体4,000円。
 『アサヒカメラ』2017年4月号「TOPICS/BOOK」欄「写真に封じ込められた一瞬の集積――時代の空気を写しとめた新作写真集を読む」(解説=山内宏泰、聞き手=池谷修一)
◎2017年2月8日発売:星野太『崇高の修辞学』本体3,600円、シリーズ古典転生12。
 n11booknews_staff氏書評「「崇高」に惑わされないための丁寧な考察」(「Book News|ブックニュース」2017年3月4日エントリー)
 中島水緒氏書評(「美術手帖」2017年5月号「BOOK」欄)
◎2016年12月26日発売:マッシモ・カッチャーリ『抑止する力』本体2,700円。
 篠原雅武氏書評「オレンジとバカにされている偉そうなジジイのアポカリプスとともに、アメリカのいたるところは主の到来を待ち望む人たちによって埋め尽くされようとしている」(「図書新聞」2017年3月18日号)
 中村勝己氏書評「「カテコーン」の概念の解釈を主題に――〈世界の再宗教化〉をどう捉えどう向き合うべきか」(「週刊読書人」2017年3月31日号)
◎2016年12月7日発売:荒木経惟×荒木陽子『東京は、秋』本体3,500円
 山本アマネ氏書評(『FUDGE』2017年2月号「PICK UP NEW BOOKS 今月の新刊&注目作」欄)
 山本アマネ氏書評(『men's FUDGE』2017年3月号「BOOKS」欄)
 無記名氏書評(『母の友』2017年5月号「polyphony/Books」欄)



4月末発売予定新刊:『表象12:展示空間のシアトリカリティ』

$
0
0
2018年4月24日取次搬入予定 *人文/芸術/現代思想



表象12:展示空間のシアトリカリティ
表象文化論学会=発行 月曜社=発売
本体:2,000円、A5判並製304頁 ISBN978-4-86503-062-4


★アマゾン・ジャパンにて予約受付中



近年の映像技術やメディア環境の発展に伴い、ダンスやパフォーマンスの身体表現をどのように作品として収蔵し展示するかという問題意識がますます高まってきている。特集では、美術館における身体表現のアーカイブ化、新たな観客の身体経験の登場といった、美術と舞台芸術を横断する諸問題の検討を通して、パフォーマンスと展示の現在をめぐって多角的に論じる。また、亀山郁夫、東浩紀らの白熱するドストエフスキー座談会を特別掲載。


目次:
◆巻頭言「二一世紀の文学部」佐藤良明
◆特集「展示空間のシアトリカリティ」
共同討議「越境するパフォーマンス──美術館と劇場の狭間で」加治屋健司+門林岳史+中島那奈子+三輪健仁+星野太
「ブラストセオリー──都市と記憶を斜めに横断する」住友文彦
「演劇性の拡張──演劇と現代アートの交錯をめぐって」相馬千秋
「インスタレーションの政治学」ボリス・グロイス|星野太+石川達紘訳
◆特別掲載
座談会「ドストエフスキーの現在をめぐって──テロル、キャラクター、家族の哲学」東浩紀+亀山郁夫+乗松亨平+番場俊
◆論文
「近代運動」のパリンプセスト──《トッレ・ヴェラスカ》とエルネスト・ロジャースの建築論」鯖江秀樹
「水晶とカテドラル──ヴィオレ゠ル゠デュクの構造概念」後藤武
「演奏する映画/歌い終えるオペラ──一九一〇~二〇年代のシェーンベルクの舞台作品と映画との関係」白井史人
「環境芸術以後の日本美術における音響技術──一九七〇年代前半の美共闘世代を中心に」金子智太郎
「梶井基次郎の歩行──「路上」における空漠の美と抵抗」坂口周
「のらくろは口笛を吹かない?──昭和戦前・戦中期の子供向け物語漫画における口の表現」宮本大人
「グランド・ナラティヴの誘惑──人新世、新たなエポックへの批判的介入に向けて」飯田麻結
◆書評
「修辞学的崇高の新しい地平──星野太『崇高の修辞学』書評」谷川渥
「ユートピア建築家の夢と革命都市──小澤京子『ユートピア都市の書法──クロード゠ニコラ・ルドゥの建築思想』書評」大橋完太郎
「過去に触れる、身振りをなぞる──田中純『歴史の地震計──アビ・ヴァールブルク『ムネモシュネ・アトラス』論』書評」岡本源太
「「これは比喩ではない」──高村峰生『触れることのモダニティ──ロレンス、スティーグリッツ、ベンヤミン、メルロ=ポンティ』書評」三原芳秋
「「文化史」への挑戦──井戸美里『戦国期風俗図の文化史──吉川・毛利氏と「月次風俗図屏風』書評」斉藤研一
「モダニズム美術の危うさ──利根川由奈『ルネ・マグリット──国家を背負わされた画家』書評」香川檀
「網膜と表象──増田展大『科学者の網膜──身体をめぐる映像技術論 一八八〇―一九一〇』書評」大久保遼
「変貌するペルソナ──北村匡平『スター女優の文化社会学──戦後日本が欲望した聖女と魔女』書評」河野真理江
「特攻隊表象を「食い破る」ものたちのために──中村秀之『特攻隊映画の系譜学──敗戦日本の哀悼劇』書評」田中純
「その子はいかにして救われたのか──岡田温司『映画とキリスト』書評」森元庸介
「アニメーション表現の「向こう側」を志向する実践の書──土居伸彰『個人的なハーモニー──ノルシュテインと現代アニメーション論』書評」石岡良治
「〈プレイ〉と〈パフォーマンス〉のあいだで──大久保美紀『Exposition de soi à l'époque mobile/liquide(可動的/流動的時代の自己表象)』書評」熊谷謙介


ブックツリー「哲学読書室」に百木漠さんの選書リストが追加されました

$
0
0
オンライン書店「honto」のブックツリー「哲学読書室」に、『アーレントのマルクスーー労働と全体主義』(人文書院、2018年3月)を上梓された百木漠さんによるコメント付き選書リスト「アーレントとマルクスから「労働と全体主義」を考える」が追加されました。リンク先にてご覧いただけます。
◎哲学読書室星野太(ほしの・ふとし:1983-)さん選書「崇高が分かれば西洋が分かる」
國分功一郎(こくぶん・こういちろう:1974-)さん選書「意志について考える。そこから中動態の哲学へ!」
近藤和敬(こんどう・かずのり:1979-)さん選書「20世紀フランスの哲学地図を書き換える」
上尾真道(うえお・まさみち:1979-)さん選書「心のケアを問う哲学。精神医療とフランス現代思想」
篠原雅武(しのはら・まさたけ:1975-)さん選書「じつは私たちは、様々な人と会話しながら考えている」
渡辺洋平(わたなべ・ようへい:1985-)さん選書「今、哲学を(再)開始するために」
西兼志(にし・けんじ:1972-)さん選書「〈アイドル〉を通してメディア文化を考える」
岡本健(おかもと・たけし:1983-)さん選書「ゾンビを/で哲学してみる!?」
金澤忠信(かなざわ・ただのぶ:1970-)さん選書「19世紀末の歴史的文脈のなかでソシュールを読み直す」
藤井俊之(ふじい・としゆき:1979-)さん選書「ナルシシズムの時代に自らを省みることの困難について」
吉松覚(よしまつ・さとる:1987-)さん選書「ラディカル無神論をめぐる思想的布置」
高桑和巳(たかくわ・かずみ:1972-)さん選書「死刑を考えなおす、何度でも」
杉田俊介(すぎた・しゅんすけ:1975-)さん選書「運命論から『ジョジョの奇妙な冒険』を読む」
河野真太郎(こうの・しんたろう:1974-)さん選書「労働のいまと〈戦闘美少女〉の現在」
岡嶋隆佑(おかじま・りゅうすけ:1987-)さん選書「「実在」とは何か:21世紀哲学の諸潮流」
吉田奈緒子(よしだ・なおこ:1968-)さん選書「お金に人生を明け渡したくない人へ」
明石健五(あかし・けんご:1965-)さん選書「今を生きのびるための読書」
相澤真一(あいざわ・しんいち:1979-)さん/磯直樹(いそ・なおき:1979-)さん選書「現代イギリスの文化と不平等を明視する」
権安理(ごん・あんり:1971-)さん選書「そしてもう一度、公共(性)を考える!」
河南瑠莉(かわなみ・るり:1990-)さん選書「後期資本主義時代の文化を知る。欲望がクリエイティビティを吞みこむとき」
百木漠(ももき・ばく:1982-)さん選書「アーレントとマルクスから「労働と全体主義」を考える」


+++


3月25日イベント:芸術(アート)としての精神医療 vol.1 ウリ『コレクティフ』

$
0
0
弊社出版物でお世話になっている著訳者の方々の最近のご活躍をご紹介します


★上尾真道さん(共訳:ウリ『コレクティフ』)
◎芸術(アート)としての精神医療 vol.1 ジャン・ウリ著『コレクティフ-サン・タンヌ病院におけるセミネール』(月曜社)

2017年の冬に本邦初訳となった待望の書籍『コレクティフ――サン・タンヌ病院におけるセミネール』(月曜社)。著者は、ラ・ボルド病院院長にして、精神科医であり思想家のジャン・ウリ(1924-2014)です。本書で幾度となく登場する「コレクティフ=人びとが集まること、動くこと」ということば。~~人びとが集団を形作りながら個々の特異性を尊重するための、「ほんのちょっとしたこと」とは何か。~~今回の「芸術としての精神医療」では、現代日本における「インティマシーとローカルスタンダード」から思索を続ける哲学者・鞍田崇氏を導き手に、本書翻訳をされた上尾真道氏とラ・ボルド病院に逗留した写真家・田村尚子氏を迎え、様々な映像や資料と共に、この「コレクティフ」を紐解き、現代社会へのつながりを探ってみたいと思います。


対話する人:
上尾真道(『コレクティフ』共同翻訳者、精神分析学)
田村尚子(写真家、ヴュッター公園代表、『ソローニュの森』著者)
ナビゲーター:鞍田崇(哲学者、明治大学理工学部准教授)
会期:3月25日(日)17 時半 開場• 18時開始 終了予定19時半 
会場:MEDIA SHOP GALLERY(京都市中京区河原町通三条下る大黒町44 VOXビル1F)
入場料:1,000円
主催:ヴュッター公園
共催:MEDIA SHOP
お問い合わせ先:ヴュッター公園 info@vutterkohen.com


★星野太さん(著書:『崇高の修辞学』)
『現代詩手帖』2018年3月号「特集=詩と哲学――新たなヴィジョンへ」で、佐藤雄一さんと「超越性、文体、メディウム」と題した対談を行っておられます。同誌編集部から提示された三冊の哲学書。國分功一郎さんの『中動態の世界』(医学書院)、千葉雅也さんの『勉強の哲学』(文藝春秋)、星野太さんの『崇高の修辞学』(月曜社)をめぐるお話しから始まり、星野さんはこう発言されています。「この三冊は、哲学の問題をほかならぬ言語への問いとして捉えている点では共通していると思います。ある意味では素朴な前提ではあるけれども、三者とも言語が思考や行為を規定するという考え方を強く共有している。今回これを死の問題と結びつけてもらえるのは個人的にもうれしいことです」(10頁)。なお同号では千葉さんの詩「始まりについて」も掲載されています。


a0018105_18281803.jpg

+++

注目新刊:『ラカン『精神分析の四基本概念』解説』、『ラカンの哲学』、ほか

$
0
0
a0018105_22460233.jpg

『ラカン『精神分析の四基本概念』解説』荒谷大輔/小長野航太/桑田光平/池松辰男著、せりか書房、2018年2月、本体4,300円、A5判上製250頁、ISBN978-4-7967-0370-3
『ラカンの哲学――哲学の実践としての精神分析』荒谷大輔著、講談社選書メチエ、2018年3月、本体1,750円、四六判並製272頁、ISBN978-4-06-258674-0
『額の星/無数の太陽』レーモン・ルーセル著、國分俊宏/新島進訳、平凡社ライブラリー、2018年3月、本体1,600円、B6変判並製430頁、ISBN978-4-582-76865-7



★今月は、松本卓也さんの『享楽社会論――現代ラカン派の展開』(人文書院、2018年3月)が刊行されましたが、ほかにも『ラカン『精神分析の四基本概念』解説』(2月28日取次搬入、書店店頭発売は実質3月)や『ラカンの哲学』が刊行され、賑わいを見せています。どちらにも荒谷大輔(あらや・だいすけ:1974-:江戸川大学教授)が関わっておられ、せりか書房さんのラカン読解本では2013年の『ラカン『アンコール』解説』にも共著者として参加されています。『ラカン『精神分析の四基本概念』解説』は言うまでもなくラカンのセミネール第11巻『精神分析の四基本概念』(小出浩之/新宮一成/鈴木国文/小川豊昭訳、岩波書店、2000年)の読解本。4つの基本概念「無意識」「反復」「転移」「欲動」が説明されたこの講義は「後期ラカンの重要概念「対象a」や「享楽」を理解するための鍵」(帯文より)であり、これを読解本では「真の意味でのラカンの入門書」(「はじめに」)として読むことが試みられています。目次詳細と執筆担当は以下の通り。


はじめに
Ⅰ講 破門|荒谷大輔
Ⅱ講 フロイトの無意識と我々の無意識|荒谷大輔
Ⅲ講 確信の主体について|荒谷大輔
Ⅳ講 シニフィアンの網目について|小長野航太
Ⅴ講 テュケーとオートマトン|小長野航太
Ⅵ講 目と眼差しの分裂|桑田光平
Ⅶ講 アナモルフォーズ|桑田光平
Ⅷ講 線と光|池松辰男
Ⅸ講 「絵とは何か」|池松辰男
Ⅹ講 分析家の現前|荒谷大輔
Ⅺ講 分析と真理、あるいは無意識の閉鎖|荒谷大輔
Ⅻ講 シニフィアンの列の中の性|荒谷大輔
XⅢ講 欲動の分解|小長野航太
XⅣ講 部分欲動とその回路|小長野航太
XV講 愛からリビードへ|小長野航太
XⅥ講 主体と大他者――疎外|荒谷大輔
XⅦ講 主体と大他者(Ⅱ)――アファニシス|荒谷大輔
XⅧ講 知っていると想定された主体、最初の双数体、そして善について|小長野航太
XⅨ講 解釈から転移へ|小長野航太
XX講 君の中に、君以上のものを|荒谷大輔

キーワード別:縦読みガイド


★「縦読みガイド」というのは「主題ごとの参照箇所の一覧」で、「断片化された議論の文脈を各自で綜合した後、もとの語りの場面に戻れば、そこでラカンが企図していたことが何だったのかわかるはずである」とのことです。「ラカンの語りの断片性を補うために、最重要となるキーワードに限定して、辿るべき本書の項目を一覧で示し」たもの、とも説明されています。


★『ラカンの哲学』は荒谷さんの単独著。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。「難解晦渋で容易に人を寄せつけないその思想は、しかし「哲学」として読むことで明確に理解できる」(カヴァー裏紹介文)という謳い文句がそそります。巻頭の序「精神分析の哲学、哲学の精神分析」にはこう書かれています。「ジャック・ラカン(1901-81)ほど、読まれるべきで実際にはほとんど読まれていない「哲学者」はいないのではないか。この嘆きを読者と共有することを拒む壁は少なくとも二つある。ひとつは、難解なラカンのテクストに時間をかけて読む価値はあるのかという疑問。もうひとつは、そもそもラカンは哲学者ではないという認識である。/この二つの壁を取り払い、読者をラカンの実際のテクストに誘うのが本書の目的である。〔・・・〕初期から最晩年にかけてのラカンのテクストをたどりつつ、哲学としてのラカンの価値を示すのが本書の企図である」(9頁)。


★『額の星/無数の太陽』は人文書院で2001年に刊行された、ルーセルの戯曲2作を収めた単行本のライブラリー化。巻末に加えられた「平凡社ライブラリー版 訳者あとがき」によれば、「訳文に若干の修正を施し、また人文書院版に付されていた「「額の星/無数の太陽」小事典」、解題にあたる「星と太陽、双子の戯曲」も最小限の加筆をしたうえで再録した」とのことです。平凡社ライブラリーではこれまでにルーセルの散文作品を2点刊行しています。2004年に岡谷公二訳『ロクス・ソルス』、2007年に同じく岡谷訳で『アフリカの印象』。いずれも現在品切ですが、これをきっかけに重版に掛かるのではないかと期待できます。


+++


★また、最近では以下の新刊との出会いがありました。


『青猫以後』松本圭二著、航思社、2018年3月、本体3,400円、四六判上製仮フランス装天アンカット296頁、ISBN978-4-906738-28-1
『アストロノート』松本圭二著、航思社、2018年3月、本体3,000円、四六判上製仮フランス装天アンカット208頁、ISBN978-4-906738-29-8
『電波詩集』松本圭二著、航思社、2018年3月、本体2,800円、四六判上製仮フランス装天アンカット128頁、ISBN978-4-906738-30-4



★航思社さんの「松本圭二セレクション」の第4巻~6巻が同時発売。2006年度の萩原朔太郎章受賞作である第4詩集『アストロノート』(『重力』編集会議、2006年)を、著者の本来の意向だったという3巻本に分冊して刊行、と。3冊を揃えて初めて帯文の背が「朔太郎賞受賞作の」「本当の」「かたち」と一続きで読めるようになります。この作品が全国の一般書店へ配本されるのは今回が初めてとのことです。付属する栞のそれぞれに掲載されたテクストを下段に列記しておきます。なお初版『アストロノート』出版への陰影に富んだ戦いの記録は第5巻の栞に書き留められています(前橋文学館特別企画展図録『松本圭二 LET'S GET LOST』から転載したもの)。妥協を許さない著者とのかくも密接な伴走は、版元さんの強い執念を感じさせます。驚くべき3冊です。


第4巻栞:阿部嘉昭「書き捨てて、残光に「域」をつくる」、松本圭二「著者解題 『青猫以後』ノート」
第5巻栞:井土紀州「ONCE かつて…」、松本圭二「著者解題 宇宙の誕生」、松本圭二「著者解題 初版『アストロノート』ノート」
第6巻栞:中原昌也「正直に言おう、自慢ではないが」、松本圭二「著者解題 予言の書」


+++

本棚会議vol.1@ジュンク堂書店池袋本店、2018年4月13日開催

$
0
0
◎本棚会議vol.1:小林浩(月曜社)~月曜社『多様体』と哲学雑誌の系譜~


日時:2018年4月13日(金)19:00~
場所:ジュンク堂書店池袋本店(TEL:03-5956-6111)4階人文書売場カウンター前


※入場料無料。事前のご予約をお受けしております。状況により、当日参加も可ですが、ご予約されていない方はお入り頂けない場合もございますのでご了承くださいませ。当日の受付は開演時間の15分前からとなっております。


内容:この春、ジュンク堂書店池袋本店4階人文書フロアにて、売場の本棚の間で本についての話を聞く「本棚会議」シリーズを始めます。講師の方のお話を聞きつつ、時には棚を周りながら売場で話を聞くこの企画、より近い距離で講師の方のお話を聞いたり、書店という空間を見て頂きたいと思います。

 その第1回として、月曜社の編集者小林浩さんをお迎えします。今年3月に刊行された月曜社の新雑誌『多様体』。数々の哲学・文学に関する書籍を刊行してきた月曜社から、いまこの時期に雑誌を刊行された意義とは何なのでしょうか。また、哲学・思想・文学から書籍業界論まで網羅する『多様体』とは一体どのような雑誌なのか?『多様体』誕生の背景となった『エピステーメー』以降の哲学雑誌の系譜を交えながら、小林さんにお話を伺います。


講師紹介:小林浩(こばやし・ひろし)1968年生まれ。月曜社取締役。早稲田大学第一文学部を卒業後、未來社、哲学書房、作品社を経て、2000年12月に月曜社設立に参画。編集・営業の両面で人文書出版に携わる。手掛けている書籍として、アガンベン、ヴィルノ、ネグリ、カッチャーリなどイタリア現代思想の訳書のほか、「暴力論叢書」「シリーズ古典転生」「叢書エクリチュールの冒険」「芸術論叢書」などのシリーズがある。ウラゲツ☆ブログでは、自社他社を問わない新刊紹介のほか、出版業界の動向へのコメントを続けている。
ウラゲツ☆ブログ http://urag.exblog.jp
ツイッター @uragetsu


+++

注目新刊:『ドゥルーズ 思考のパッション』『ドゥルーズ=ガタリにおける政治と国家』ほか

$
0
0
a0018105_16475331.jpg

『ドゥルーズ 思考のパッション』ピエール・モンテベロ著、大山載吉/原一樹訳、河出書房新社、2018年3月、本体4,300円、46判上製400頁、ISBN978-4-309-24527-0
『ドゥルーズ=ガタリにおける政治と国家――国家・戦争・資本主義』ギヨーム・シベルタン=ブラン著、上尾真道/堀千晶訳、書肆心水、2018年3月、本体3,900円、四六判上製352頁、ISBN978-4-906917-77-8
『リズムの哲学ノート』山崎正和著、中央公論新社、2018年3月、本体2,200円、四六判上製272頁、ISBN978-4-12-005066-4
『中国名詩集』井波律子著、岩波現代文庫、2018年3月、本体1,340円、A6判並製480頁、ISBN978-4-00-602297-6


★今月はドゥルーズ研究書の重要作が立て続けに発売となっています。モンテベロ『ドゥルーズ 思考のパッション』は哲学書出版の名門ヴランから2008年に刊行された『Deleuze : La passion de la pensée』(Vrin, 2008)の全訳で、シベルタン=ブラン『ドゥルーズ=ガタリにおける政治と国家』はこれまた学術書出版の雄であるPUFから2013年に刊行された『Politique et État chez Deleuze et Guattari : Essai sur le matérialisme historico-machinique』(PUF, 2013)の全訳です。前者の目次詳細は以下に掲げます。後者は版元さんのそれはウェブサイトでご覧になれます。


書誌
イントロダクション
第一章 内在のパラドックス:存在と思考、ヌースとピュシス(作用:可逆性)
第二章 一義性のパラドックス:一と多、存在と意味(作用:離接的総合)
第三章 共立性のパラドックス(「超越論的経験論」、「非人称的超越論的領野」、「処女解体」「共立平面」)
第四章 自然のパラドックス:形式と実質、内容と表現(操作:二重分節)
第五章 器官なき身体(CsO)のパラドックス:生と死、苦行(精神/身体)、そして生産(生殖質/神霊〔ヌーメン〕)(中立化の実践)
第六章 美学のパラドックス:肉と宇宙〔コスモス〕(操作:図像)
第七章 即自的現われのパラドックス(操作:存在と現われ、光と意識との交差配列)
結論 哲学的絶対と諸々の錯覚

訳者あとがき
人名索引


★ピエール・モンテベロ(Pierre Montebello, 1956-)はフランスの哲学者で、何冊かのドゥルーズ論のほかにメーヌ・ド・ビランやニーチェに関する著書があります。ギヨーム・シベルタン=ブラン(Guillaume Sibertin-Blanc, 1977-)もフランスの哲学者で、ドゥルーズ/ガタリ論のほかに近現代の政治哲学を扱う著書を上梓しており、「アクチュエル・マルクス」誌の編集委員を務めています。二人とも訳書が出るのは今回が初めてですが、今後日本でも注目度が増すのは間違いありません。


★モンテベロは本書のイントロダクションの冒頭でこう切り出します。「ドゥルーズの哲学は、まず何よりもパラドックスの哲学としてその姿を現す」と。「哲学が哲学であるためには、いつも良識に用心しなければならないのである。というのも、良識は「本質的に分配、配分するものであり」、「諸事物を区別」するものであるからだ。それゆえ、良識の本質を表す定式は、「一方と他方」というものになるだろう。良識の関心はいつも、真実無比の方向を見つけることなのだ」(9頁)。上に列記した目次からも分かる通り、モンテベロは様々なパラドックスを論じていきます。その中の一つが第二章で扱われる「一義性のパラドックス」で、イントロダクションでは次のように説明されています。


★「多は第一のものである、多は原子論的である、多はモナド的なものである、多は物質的である、多は算術的である…と肯定する伝統もあれば、〈一〉は多を支配し、抑制し、組織し、取り囲む原理であると断言する伝統もある。要するに、一元論なのか、多元論なのか。世界はアナーキーな散乱状態なのか、君主による統一状態なのか。カオスなのか、コスモスなのか。必要になるのは、別の問いの立て方を発明することである。すなわち、これらの堅固な対立に浸透するのに十分なほどのしなやかさを備え、同時に二つの方向を掴むための操作を発明しなければならないということだ。それは、「〈一〉‐多」、「ノマド的散乱と戴冠せるアナーキー」、「カオスモス」といった、現実のなかに二つの方向を同時に織り上げる離接的総合という操作ということになるだろう。このようにして、一義性のパラドックスは、あらゆる哲学史を、つまり〈一〉と多の歴史を横断する対立から生じ、まさに離接的総合という操作によってこの対立の歴史を中立化するのである。離接的総合が施されたとき、〈一〉はもはや多の対立物ではなくなる。それどころか、〈一〉の指導原理を持たない固有の総合を産出するのは多の離接作用ということになるのである。つまり離接的総合は、それによって〈一〉が多とアレンジメントを形成する操作なのであり、型紙もモデルもなく、中心もモチーフもないままに、バラバラのピースが結びつくパッチワークのようなものである。/かくして、一義性は存在と意味、〈一〉と多という二つの面を備えた「存在論的命題」ということになる」(22~23頁)。


★モンテベロはドゥルーズの読解を通じ、哲学が「思考による解放の企み、運動の再開」(345頁)を望んでおり、「思考が思考しうるもの、それを思考は全ての閉鎖に抗して、〈開かれ〉として思考せねばならない」(350頁)と結論しています。訳者の大山さんは本書を「第一級のドゥルーズ研究書」として高く評価されています。


★シベルタン=ブランの訳書巻頭の「導入」も、モンテベロの本と同様に非常に印象的です。曰く「ドゥルーズ=ガタリの政治思想はひどくないがしろにされている。ときにいわゆるミクロ政治的アプローチのために後回しにされている。ときに言及されたかと思えば、フーコー、ネグリ、ランシエールなど同時代の思想家のために頼まれてもいない思弁を補う役を担わされている。別のときには奇妙な外挿法ではぐらかされている。ドゥルーズの著作の形而上的、ノエシス的、存在論的言表に政治的含意が読み取られる一方で、近代政治思想の集中と分裂の中心をなす鍵シニフィアンについての二人の命題は、いっさい考慮に入れられないのだ。もちろん彼らに公正であろうとすれば、言説の取り締まりを訴えて、もろもろの言表を言説的国境へと追い払い、「形而上学」、「美学」、「政治」のおのおのの管轄へと帰そうとすることなどあってはならない。彼らこそ、いつもそれらの輪郭を攪乱しようとしてきたのだから」(11頁)。


★幸いなことに日本ではこうしたシベルタン=ブランの指摘に呼応するかのように昨年末、佐藤嘉幸/廣瀬純『三つの革命――ドゥルーズ=ガタリの政治哲学』(講談社選書メチエ、2017年12月)が上梓されています。同書第二部第一章には『ドゥルーズ=ガタリにおける政治と国家』への言及があります(153頁、注2)。シベルタン=ブランと佐藤さんとの間にはエティエンヌ・バリバールがいることにも留意すべきかと思います。『ドゥルーズ=ガタリにおける政治と国家』の訳者解説では第六章「マイノリティへの生成変化、革命的なものへの生成変化」と結論がバリバールの『大衆の恐怖』(1997年)や『暴力と市民性』(2010年)での議論を踏まえていると指摘されています。また、バリバールは佐藤さんの指導教官であり、彼のもとで佐藤さんは『権力と抵抗――フーコー・ドゥルーズ・デリダ・アルチュセール』(人文書院、2008年)の元となる博士論文を書いておられます。


★シベルタン=ブランは『ドゥルーズ=ガタリにおける政治と国家』の元となる博士論文を、バリバールと同じくアルチュセールの弟子にあたるピエール・マシュレーのもとで書いており、その成果は本書とそれに先行する『ドゥルーズと『アンチ・オイディプス』――欲望の生産』(2010年)として出版されています。マシュレーへと捧げられた『ドゥルーズ=ガタリにおける政治と国家』が提案する『資本主義と分裂症』の読み筋を導くのは「政治空間における暴力の場をめぐる問い」(17頁)であり、「よりはっきり述べるなら、政治的衝突が暴力の非政治的次元へ転落し、葛藤の可能性じたいが抹消されるような、極限化への上昇の道をめぐる問いである」(同)とシベルタン=ブランは述べます。それは国家や戦争や資本主義による極限的暴力の上昇に抗するドゥルーズ=ガタリの思想に、多元的なマクロ政治学を見る読み筋であると見て良いものかと思われます。本書の結論が「ミクロ政治は起こらなかった」と題されているのはそうした背景によるものでしょうか。


★『リズムの哲学ノート』は、『アステイオン』第78~85号(2013年5月~2016年11月)での連載に大幅な加筆を施したもの。目次詳細は以下の通り。


第一章 リズムはどこにあるか
第二章 リズムと持続
第三章 リズムと身体
第四章 リズムと認識
第五章 リズムと自然科学――近代科学が哲学に教えるもの
第六章 リズムと「私」
第七章 リズムと自由――あるいは哲学と常識
あとがき
参考文献
人名・書名索引


★著者にとって「リズムの哲学」という主題は、約30年前の著書『演技する精神』で最初にとりあげて以来、「おりに触れて言及しつつも、正面からは書くことのなかった」主題(「あとがき」より)だといいます。「リズムは不思議な現象であって、力の流動とそれを断ち切る拍子とが共存して、しかも流動は拍子によって力を撓められ、逆にその推進力を強くするという性質を持っている。〔・・・〕このリズムの構造を諸現実の根底に据えることによって、私は長く哲学を苦しめてきた病弊と闘えると予想してきた。その病弊とは〔・・・〕「一元論的二項対立」と呼ぶべきものである。古代の形相と質料、近代の主観と客観、意識と外界、精神と物質など〔・・・〕善といえば悪、光といえば闇、神といえば悪魔というように、一元論は必ずその反対物を呼び起こすのである。/私はこのジレンマを解決するには、最初から内に反対物を含みこみ、反対物によって活力を強められるような現象を発見し、これを森羅万象の根源に置くほかはないと漠然と考えていた。そしてそういう現象がたぶんリズムだろうということも、これまた漠然と胸中の一隅に暖めてきた」(同、252~253頁)。


★「日本語には主体の受動性、非主体性を暗示する表現がとくに多い。リズムの哲学は文明論的にいえば、本来、日本でこそ生まれてしかるべき哲学だったといいたくなる」(255頁)。本書は著者にとって「画期的な一冊」であり、代表作である『近代の擁護』において文明の近代化を支持したいわば「近代の擁護者」が書いた「ポスト・モダン」の哲学だと言明されています。


★『中国名詩集』は2010年に岩波書店から刊行された単行本の文庫化。「本書は、唐詩以降を中心としつつ、前漢の高祖劉邦から現代の毛沢東まで、中国の名詩137首を選んで紹介したもの」(「まえがき」より)。目次構成は以下の通り。


まえがき
第一章 春夏秋冬
第二章 自然をうたう
第三章 季節の暮らし
第四章 身体の哀歓
第五章 家族の絆
第六章 それぞれの人生
第七章 生き物へのまなざし
第八章 なじみの道具たち
第九章 文化の香り
第十章 歴史彷徨
第十一章 英雄の歌
あとがき
中国古典詩の底力――岩波現代文庫版のあとがき
時代別作者名一覧
作者の生没年、字号、本籍地一覧
人名索引
詩句索引
詩人別詩題索引
詩題索引
標題句索引


★文庫化にあたり「原本に大きな手直しを加えなかったが、第九章の『水滸伝』(第90回)からの引用(318~319頁)については、拙訳(『水滸伝』第5巻、講談社学術文庫)と入れ替えた」とのことです。同現代文庫の既刊書2点、2017年11月刊『中国名言集 一日一言』、2018年1月刊『三国志名言集』と併せて手元に置きたい一冊です。


+++


★このほか、以下の新刊との出会いがありました。


『現代アートとは何か』小崎哲哉著、河出書房新社、2018年3月、本体2,700円、46変形判並製448頁、ISBN978-4-309-27929-9
『最終獄中通信』大道寺将司著、河出書房新社、2018年3月、本体1,900円、46判並製320頁、ISBN978-4-309-02659-6
『一九五〇年代、批評の政治学』佐藤泉著、中公叢書、2018年3月、本体2,000円、四六判並製336頁、ISBN978-4-12-005068-8
『[増補新版]抵抗者たち――反ナチス運動の記録』池田浩士著、共和国、2018年3月、本体2,500円、四六判並製344頁、ISBN978-4-907986-39-1
『ジュディス・バトラー――生と哲学を賭けた闘い』藤高和輝著、以文社、2018年3月、本体3,500円、四六判上製352頁、ISBN978-4-7531-0345-4
『vanitas No. 005 特集=ファッション・デザイン・アート』蘆田裕史/水野大二郎責任編集、アダチプレス、2018年3月、本体1,800円、四六判変型並製176頁、ISBN978-4-908251-06-1



★『現代アートとは何か』はウェブマガジン「ニューズウィーク日本版」での不定期連載「現代アートのプレイヤーたち」(2015年10月~2017年7月)に加筆修正を施し、構成を若干変えたもの。帯文に曰く「政治、経済、そして美そのもの――アートジャーナリズムの第一人者による、まったく新しい《現代アート》入門」と。著者の小崎哲哉 (おざき・てつや:1955-)さんは『03』『ART iT』『Realtokyo』編集長を経て、現在「Realkyoto」編集長や京都造形芸術大学大学院学術研究センター客員研究員をつとめる編集者で、編著書に『百年の愚行』などがあります。浅田彰さんによる推薦文は書名のリンク先でご覧になれます。主要目次は以下の通り。


序章 ヴェネツィア・ビエンナーレ――水の都に集まる紳士と淑女
Ⅰ マーケット――獰猛な巨竜の戦場
Ⅱ ミュージアム――アートの殿堂の内憂外患
Ⅲ クリティック――批評と理論の危機
Ⅳ キュレーター――歴史と同時代のバランス
Ⅴ アーティスト――アート史の参照は必要か?
Ⅵ オーディエンス――能動的な解釈者とは?
Ⅶ 現代アートの動機
Ⅷ 現代アート採点法
Ⅸ 絵画と写真の危機
終章 現代アートの現状と未来
あとがき
主要人名・グループ名索引
図版クレジット
註・出典


★終章の後半部に「日本のアートシーンの問題点」と題されたパートがあります。ここの節題に特に注目しておきたいと思います。同様の問題意識を持っている方々には本書の切先を想像していただけるかと思います。「怠慢にして「へたれ」なジャーナリズム」「教育の劣化と「絵画バカ」の悪影響」「ポピュリズムとエリーティズム」「自治体の不勉強と不見識」。これに続く最終パートは「日本の未来、アートの未来」と題されており、次の二節から成ります。「女性や若年層、若い作家の搾取」「男尊女卑の業界構造」。現代アートのゴシップにもセオリーにも疎いかもしれない日本の状況に対して著者が抱いている危機感に学ぶ点は多いのではないでしょうか。


★『最終獄中通信』は帯文に曰く「死刑確定から30年、2017年5月に獄死した連続企業爆破の被告の書簡を集成。最晩年の胸中を結晶させた60の俳句も収録」と。梁石日さんが推薦文を寄せておられます。「獄中で悔い、詫び続けた大道寺将司の思念は、彼だから切り拓くことができた倫理の新しい領域に私たちを導くだろう」。1997年から2017年までの書簡(折々に俳句が挟み込まれています)に加え「大道寺将司が語る確定死刑囚のすべて」と題した5篇のテキスト、俳句の自選集、年譜と続き、そして巻末解説は太田昌国さんが寄稿されています。本書以前の書簡は『明けの星を見上げて』(れんが書房、1984年)と、『死刑確定中』(太田出版、1997年)で読むことができます。


★『一九五〇年代、批評の政治学』は巻頭の「はじめに」によれば「この本では、1950年代に活躍した三人の批評家、竹内好、花田清輝、谷川雁を軸にして、この時代独特の問題意識について再考したいと思う。なぜ50年代なのか。一つにはこの時代が、戦後史の落丁のページとなっているように感じられるからである」(3頁)と。目次は以下の通りです。


はじめに
第一章 竹内好
第二章 花田清輝
第三章 谷川雁
第四章 近代の超克
おわりに



★著者の佐藤泉(さとう・いずみ:1963-;青山学院大学文学部教授)さんは「あとがき」ではこう書いておられます。「本書では三人の批評家を取り上げた。彼らは共闘関係にあったわけでなく、それ以前にあまり仲が良かったわけでもなさそうだ。それでも時代を共有していた三人の間には共鳴しあう問題意識と思考のスタイルとがある。50年代は「転形期」であり、戦後史の方向がいくつもの可能性に向けて開かれていた時期である。彼らには共通して「今」が歴史の岐路だという感覚があった。そして「今」をそれが存在しているのと別のやり方で描こうとする熱望があった。それは、彼らが過去の歴史の中にも数々の可能性の分岐を見ていたことと不可分である。歴史に学ぶということは、まず第一に失敗から学ぶことであり、それを行ってきた戦後思想に対し私たちは敬意を惜しむべきではないのだが、ただ、歴史の「有効性」がそれにつきるわけではない。私たちは起こり得たけれど実際には怒らなかったこと、歴史の方向が定まる間際の時に、人々が見ていた夢にもまた学ぶことができる」(325~326頁)。


★またこうも書かれています。「彼らに共通する関心についてさらにもう一つ上げるとすれば、戦後社会を担うべき人々の力量を重視していたという点かと思う。50年代は戦争の時代と戦後の時代を蝶番のようにつないでいる。この転換期に民衆の力の行方を注視していた彼らは、自らも民衆の一人として、人々の力が戦時体制に吸収されるのを目撃し、またその力が民主主義の要求に結びついていく様も目撃した。民衆は固定した実体ではない。その力は、その都度別個の出来事を引き起こすのであり、歴史の中の流動的なコンテクストにおいてそのたびに再評価されるべきものだ。民衆の未来は確実に保証されているものではないが、しかしだからこそ、未来は失われているわけでもない。排外主義を主張するものも、平等を要求するものも含めて「ポピュリズム」が世界政治の潮流として注目されるようになったころ、私はいつも彼らの民衆論を思い浮かべることになった」(326頁)。転形期における民衆と批評、それは極めて現代的な主題ではないでしょうか。


★『[増補新版]抵抗者たち』は初版(TBSブリタニカ、1980年)と、写真および新たな「あとがき」を加えたその再刊(軌跡社、1990年)に続く、増補新版です。投げ込みの「共和国急使」第20号によれば、〈20世紀再考〉をテーマに過去の名著の復刊を試みる、その第一弾が本書であるそうです。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。「共和国版あとがき」によれば、「新しく書き下ろした長い「後章」〔「解放ののちに──自由と共生への遠い道」〕を加え」たとのことです。「旧版の記述に含まれる数字その他の誤りを正し、論旨を変えない範囲でいくつかの加筆や修正をほどこすという通例の補正に加えて、この大幅な加筆と追補を行なった結果、『抵抗者たち』は、長い年月を経ていま新たに、これまでとはまた別の一冊として小さな歩みを再開することになったわけです」。この最新版のあとがきで池田さんは、世の中のありようや出来事という現実のほかに人間が持っているもうひとつの現実、すなわちフィクションの世界(曰く「詩や小説、絵画や彫刻、演劇、映画、音楽、舞踏、さらには思想表象など、人間が行なうあらゆる表現活動とその成果」)を読み解くことの重要性について言及しておられます。


★「虚構が現実の先取りをする、ということが起こり得るだけではありません。私たちが日常を生きるなかで現実としてとらえていない現実を、虚構作品が描き出すこともあり得る、ということです。〔・・・〕人間の想像力こそが、もう一つの現実を思い描きそれの実現に向かって歩むための、少なくとも決定的に重要な源泉なのだと、私は思います。〔・・・〕ナチズムの権力掌握を人々が阻止できなかったのも、未来に対する想像力はおろか、いま眼前には見えない現実に対する想像力も放棄してしまったからでした。想像力を放棄した私たちは、目の前の「現実」のなかで確かな事実として姿を現わす強い政治家に、自分たちのすべてを委ねたのです」(340頁)。書名のリンク先にある「版元から一言」にはこんな言葉があります。「遠い過去のエピソードとしてではなく、やがて訪れる未来のこととして考えるとき、この本は、とてもかけがえのないものとして読者のわたしたちに迫ってくるはずです。〔・・・〕自由が権力によって奪われてゆくこの日本の政治文化状況のなかでは、むしろいっそうアクチュアルですらあります」。


★『ジュディス・バトラー』は藤高和輝(ふじたか・かずき:1986-;大阪大学等非常勤講師)さんが昨年大阪大学大学院人間科学研究科に提出した博士論文に加筆修正したもの。目次詳細は書名のリンク先でご覧になれます。序論で藤高さんはこう述べておられます。「バトラーは単に「哲学者」であるのではない。その由縁は、彼女が哲学だけでなくフェミニズム理論やゲイ&レズビアン・スタディーズ、社会学、人類学、精神分析など多様な学問分野を横断することによって自身の理論を構築したという方法論的な意味に尽きるのではなく、哲学という制度の外部に排除された「生」を哲学の内部に翻訳し、それを通して哲学の境界線に変容を促し、それを押し広げようとする、まさにその実践にこそある。このようなバトラーの営みを、本書ではヘーゲルの言葉をもじって「生と哲学を賭けた闘い」と呼ぶことにしたい。〔・・・〕本書はバトラーの「生と哲学を賭けた闘い」のドキュメントである」(15~16頁)。帯文にある「共にとり乱しながら思考すること」というのは本書の結論部の題名でもあります。


★ファッションの批評誌『vanitas』の第5号は特集「ファッション・デザイン・アート」。目次詳細や立ち読みは書名のリンク先をご覧ください。蘆田さんは「introduction」で次のように紹介しておられます。「今号では、ファッション・デザイン・アートがそれぞれ独立したジャンルであることを前提としながらも、現在において各分野がどのような関係を結びつつあるのか、多様な側面からの検証を試みます。インタビューでは、東京藝大で美学を学んだファッションデザイナーの小野智海氏、ファッションデザイナーやスタイリストとのコラボレーションも多い演劇作家の藤田貴大氏、Google の「プロジェクト・ジャカード」の開発にも携わるデザイナー/アーティストの福原志保氏の三者に話を聞いています。論文では、先述のファッションとアートをめぐる展覧会の意義を明らかにする利根川由奈氏、バイオファッションという新しい動向を探る高橋洋介・川崎和也両氏のテクストを掲載しています。その他、書籍紹介や展覧会紹介などでも本特集と共鳴するテーマを忍ばせています」。同誌の取扱書店はこちらで公開されています。



+++

ブックツリー「哲学読書室」に津崎良典さんの選書リストが追加されました

$
0
0
オンライン書店「honto」のブックツリー「哲学読書室」に、『デカルトの憂鬱――マイナスの感情を確実に乗り越える方法』(扶桑社、2018年1月)の著者、津崎良典さんによるコメント付き選書リスト「哲学書の修辞学のために」が追加されました。リンク先にてご覧いただけます。
◎哲学読書室星野太(ほしの・ふとし:1983-)さん選書「崇高が分かれば西洋が分かる」
國分功一郎(こくぶん・こういちろう:1974-)さん選書「意志について考える。そこから中動態の哲学へ!」
近藤和敬(こんどう・かずのり:1979-)さん選書「20世紀フランスの哲学地図を書き換える」
上尾真道(うえお・まさみち:1979-)さん選書「心のケアを問う哲学。精神医療とフランス現代思想」
篠原雅武(しのはら・まさたけ:1975-)さん選書「じつは私たちは、様々な人と会話しながら考えている」
渡辺洋平(わたなべ・ようへい:1985-)さん選書「今、哲学を(再)開始するために」
西兼志(にし・けんじ:1972-)さん選書「〈アイドル〉を通してメディア文化を考える」
岡本健(おかもと・たけし:1983-)さん選書「ゾンビを/で哲学してみる!?」
金澤忠信(かなざわ・ただのぶ:1970-)さん選書「19世紀末の歴史的文脈のなかでソシュールを読み直す」
藤井俊之(ふじい・としゆき:1979-)さん選書「ナルシシズムの時代に自らを省みることの困難について」
吉松覚(よしまつ・さとる:1987-)さん選書「ラディカル無神論をめぐる思想的布置」
高桑和巳(たかくわ・かずみ:1972-)さん選書「死刑を考えなおす、何度でも」
杉田俊介(すぎた・しゅんすけ:1975-)さん選書「運命論から『ジョジョの奇妙な冒険』を読む」
河野真太郎(こうの・しんたろう:1974-)さん選書「労働のいまと〈戦闘美少女〉の現在」
岡嶋隆佑(おかじま・りゅうすけ:1987-)さん選書「「実在」とは何か:21世紀哲学の諸潮流」
吉田奈緒子(よしだ・なおこ:1968-)さん選書「お金に人生を明け渡したくない人へ」
明石健五(あかし・けんご:1965-)さん選書「今を生きのびるための読書」
相澤真一(あいざわ・しんいち:1979-)さん/磯直樹(いそ・なおき:1979-)さん選書「現代イギリスの文化と不平等を明視する」
権安理(ごん・あんり:1971-)さん選書「そしてもう一度、公共(性)を考える!」
河南瑠莉(かわなみ・るり:1990-)さん選書「後期資本主義時代の文化を知る。欲望がクリエイティビティを吞みこむとき」
百木漠(ももき・ばく:1982-)さん選書「アーレントとマルクスから「労働と全体主義」を考える」
津崎良典(つざき・よしのり:1977-)さん選書「哲学書の修辞学のために」


+++



取次搬入日決定及び書影公開:ナンシー『ミューズたち』

$
0
0
ジャン=リュック・ナンシーの『ミューズたち』の取次搬入日が決定しました。日販、大阪屋栗田、トーハン、いずれも4月5日(木)です。ネットかリアルかを問わず、書店さんでの扱いは6日以降に、順次発売開始となるかと思われます。書影も公開いたします。46判より左右が短い、縦長のスリムな造本です。


シリーズ「芸術論叢書」
1)イヴ=アラン・ボワ/ロザリンド・クラウス『アンフォルム――無形なものの事典』
2)リピット水田堯『原子の光(影の光学)』
3)ベルント・シュティーグラー『写真の映像――写真をめぐる隠喩のアルバム』
4)ジョルジュ・バタイユ『マネ』
5)ジャン=リュック・ナンシー『ミューズたち』


a0018105_17102097.jpg

+++

注目新刊:「中世思想原典集成」第II期刊行開始、ほか

$
0
0
a0018105_00172427.jpg

『中世思想原典集成[第Ⅱ期]1 トマス・アクィナス 真理論 上』上智大学中世思想研究所編訳/監修、山本耕平訳、平凡社、2018年3月、本体15,000円、A5判上製954頁、ISBN978-4-582-73434-8
『中世思想原典集成[第Ⅱ期]2 トマス・アクィナス 真理論 下』上智大学中世思想研究所編訳/監修、山本耕平訳、平凡社、2018年3月、本体15,000円、A5判上製1010頁、ISBN978-4-582-73435-5
『吉本隆明全集15[1974-1978]』吉本隆明著、晶文社、2018年4月、本体6,500円、A5判変型上製646頁、ISBN978-4-7949-7115-9
『ルトワックの“クーデター入門”』エドワード・ルトワック著、奥山真司監訳、芙蓉書房出版、2018年3月、本体2,500円、4-6判並製336頁、ISBN978-4-8295-0727-8



★『中世思想原典集成[第Ⅱ期]』が刊行開始となりました。第1回配本は『トマス・アクィナス 真理論』上下巻です。2巻合計で税込32,400円というしんどさですが、合わせて2000頁近い大冊です。現在は版元品切となっている第Ⅰ期第14巻の「トマス・アクィナス」はこれまた850頁以上の大部で1993年に刊行され当時消費税3%の折に税込6800円(本体6,602円)で、2009年までに4刷を数えていました(本体価格は10,000円に上昇)。高額な神学書が4刷というだけでもすごいことです。今般完訳された、若き日のトマスによる連続討論集『真理論〔Quaestiones disputatae de veritate〕』全29問は、かつて抄訳では花井一典(はない・かずのり:1950-2010)訳が1990年に哲学書房の「中世哲学叢書」第2巻『真理論』として、第1問「真理について」のみ訳出されていました(なお花井訳では『ペトルス・ロンバルドゥス命題集註解』第1巻第19篇第5問の翻訳も併載されていました)。今回の新訳はもともと訳者の山本さんが聖カタリナ女子大学の各種紀要に2002年から2012年にかけて発表した訳文に加筆訂正したもの。上下巻の目次を列記しておきます。


◆上巻
総序(稲垣良典)
真理論(山本耕平訳)
第一問題 真理について
第二問題 神の知について
第三問題 イデアについて
第四問題 言葉について
第五問題 摂理について
第六問題 予定について
第七問題 生命〔いのち〕の書について
第八問題 天使の認識について
第九問題 天使の知の伝達について
第一〇問題 精神について
第一一問題 教師について
第一二問題 予言について
第一三問題 脱魂について


◆下巻
第一四問題 信仰について
第一五問題 上位の理性と下位の理性について
第一六問題 良知について
第一七問題 良心について
第一八問題 無垢の状態での最初の人間の認識について
第一九問題 死後の魂の認識について
第二〇問題 キリストの魂の知について
第二一問題 善きものについて
第二二問題 善きものへの欲求について
第二三問題 神の意志について
第二四問題 自由決定力について
第二五問題 感能について
第二六問題 魂の情念について
第二七問題 恩寵について
第二八問題 罪人の義化について
第二九問題 キリストの恩寵について
索引(聖句引照索引、人名・固有名索引)


★総序で稲垣さんはこうお書きになっておられます。「トマスが本書で論じている問題の多くはすでに全訳されている『神学大全』においても考察の対象となっており、読者はそれらの箇所を比較検討することによって絶えざる「運動の内に」あったトマスの知的探求に親密に触れることができるであろう。そして、そのことによって「神とは何であるか」という問いを中心に置いてトマスがその全生涯を懸けて行ったとされる知的探求は、現代のわれわれにとって何か縁遠い、重大な関心の対象とはなりえないものではなく、実は人間が人間として善く生きるために必要な知恵の探究であることが明らかになることを期待したい」(25頁)。ちなみに稲垣さんは自らの著書である、講談社「人類の知的遺産」シリーズ第20巻『トマス・アクィナス』(1979年)において、『真理論』第一問第一項をお訳しになったことがおありです。


★第Ⅱ期では月報は付属しないようです。今後の続刊予定は、第3巻が『カンタベリーのアンセルムス著作集・書簡集』(矢内義顕監修)、第4巻および第5巻が『ニコラウス・クザーヌス著作集』上下巻(八巻和彦監修)となる、と予告されています。前者は第Ⅰ期第7巻『前期スコラ学』(『モノロギオン』『プロスロギオン』『言の受肉に関する書簡(初稿)』『哲学論考断片(ランベス写本五九)』『瞑想』)に続く主要著作と書簡集・伝記の新訳で、後者は第Ⅰ期第17巻『中世末期の神秘思想』(『創造についての対話』『知恵に関する無学者の対話』『信仰の平和』『テオリアの最高段階について』)に収録されていない著作約20篇を全新訳する、とのことです。第Ⅰ期全21巻は目下のところ版元品切。再刊は困難なのかもしれませんが、類例のない一大コーパスなのでぜひ定期的には復刊していただきたいところです。


★『吉本隆明全集15[1974-1978]』はまもなく発売(4月6日取次搬入)となる第16回配本。帯文に曰く「著者の古典思想家論の集大成ともいえる『最後の親鸞』、その後の宗教論の礎となった『論註と喩』、ならびに『野性時代』連作の開始期の詩篇を収録」と。目次詳細は書名のリンク先をご覧下さい。当時の様々な文章も収録されており、たとえば1977年8月13日付の「北日本新聞」に掲載されたエッセイ「戦争の夏の日」では敗戦戦後の著者が魚津市で経験した日常を垣間見ることができます。敗戦直後のことはこう振り返られています。「わたしが世界がひっくり返るほどの事態を感じているのに、なぜ空はこのように晴れ、北陸の海はこのように静かに、水はこのように暖かいのだろう。工場は昨日とおなじようになぜ在るのだろう。こういう疑問が頭の中をいつも渦巻いていた。私はこのときに感じたすべての疑問を、じぶんなりに解決しようとして生きてきたのではなかったか。その事をよく知るということがその事の解決であるということはありうる」(489頁)。


★このほか『映画芸術』1978年10月号に寄せた「宇宙フィクションについて」では著者が当時見たSF映画について論評しているのですが、次のようなくだりに出会うといささか驚きます。「わたしはここで観てきた宇宙もの映画を、出来ばえの順に、あるいは面白かった順に、あるいは感銘した順に並べてみたくなった。第1位『さらば宇宙戦艦ヤマト』、第2位『未知との遭遇』、第3位『惑星ソラリス』、第4位『スター・ウォーズ』、第5位『2001年宇宙の旅』」。これがもし並べ替えのクイズだったら、吉本マニア以外は正答を予想しがたいように思います。なぜこの順番なのでしょうか。おおよそ映画評論家の平均的文法とは無縁の視角がそこにはあります。その理由となる論評は同エッセイに書かれているので、ご興味のある方はぜひ本書現物をご覧ください。ちなみに小学生だった自分に当時尋ねたとしたら、タルコフスキーとキューブリックはまだ見ていなかったので、面白かった順番は吉本と同じように、『さらば宇宙戦艦ヤマト』『未知との遭遇』『スター・ウォーズ』の順で答えたかもしれません。この三本を一つの雑談の中で話せる大人など、子供にすぎない私にとってはいませんでしたが、いい歳になった今、そんな大人がいたのかもしれないことに気づいて驚きます。こんなおじさんが親戚にいたら面白かったかもなあと思うのです。


★付属の「月報16」は、佐々木幹郎「吉本さんとの出会い」、三砂ちづる「引き継ぐ課題」、ハルノ宵子「片棒」を掲載。次回配本は6月下旬、第16巻の予定とのことです。


★『ルトワックの“クーデター入門”』は、2016年に刊行された『Coup d'État: A Practical Handbook』の最新改訂版(Revised Edition)の全訳。原著初版は1968年に刊行されており、遠藤浩訳『クーデター入門――その攻防の技術』(徳間書店、1970年)が当時出版されています。実践論であるがゆえに危険視されかねない特異な一書であるものの、米国では1979年の旧改訂版以降はハーヴァード大学出版(!)から出版されています(初版も名門アルフレッド・クノプフ社から)。初版では英国の政治学者サミュエル・E・ファイナーによる序文が載っていますが、旧改訂版以降は米国の歴史学者ウォルター・ラカーによる序文に代わっています。最新改訂版は「2016年版へのまえがき」が追加され、そこでの記述を読む限りでは本書に細かい書き換えがあったことが窺われます(クノプフ版の著者まえがきはパリの五月革命への言及から始まっていますが、これもおそらくは旧改訂版から現在のヴァージョンに置き換えられたのだと思われます)。また、こうも書かれています。「初版が出てからほぼ50年がたつが、その間に私は本書がいくつかのクーデターで実際に使われたという報告を聞いたことがある」(9頁)。目次構成は初版より変わっていません。詳細は書名のリンク先をご覧ください。



★今回新訳が出た最新改訂版(2016年版)では様々な情報のアップデートがありますが、一方で変わらないものもあります。新旧の状況が交差するのが次のような一節です。「個人の間をつなぐソーシャル・メディアや、より全般的にはインターネットの利用が広がっているにもかかわらず(ファイヤー・ウォールで完全にブロックされている場合は除く)、マスメディアの統制というのは、われわれがクーデター後に権威を確立する際の最も重要な武器であり続けている。したがって、主なマスメディアを抑えることは、われわれにとって死活的に重要な課題となる」(191頁)。この指摘が政府転覆を試みる側にとってだけでなく、政府側にとっても重要であることは言うまでもありません。SNSを含むメディアの掌握は力を求める者にとって欠かせないものであり、それらは「よく見かける」評論家たちの勤勉な工作によっても乗っ取られうるのだということによくよく注意しなければならないと感じます。


+++


★『中世思想原典集成[第Ⅱ期]』を刊行された平凡社さんでは以下の新刊も発売されています。


『ザビエルの夢を紡ぐ――近代宣教師たちの日本語文学』郭南燕著、平凡社、2018年3月、本体4,000円、4-6判上製304頁、ISBN978-4-582-70358-0
『周作人読書雑記2』周作人著、中島長文訳注、東洋文庫:平凡社、2018年3月、本体3,300円、B6変判函入436頁、ISBN978-4-582-80888-9
『ジュニア地図帳 こども世界の旅 新訂第7版』高木実構成/文、花沢真一郎イラスト、平凡社、2018年3月、本体2,500円、A4判上製72頁、ISBN978-4-582-40743-3
『ジュニア地図帳 こども日本の旅 新訂第7版』高木実構成/文、花沢真一郎イラスト、平凡社、2018年3月、本体2,500円、A4判上製72頁、ISBN978-4-582-40742-6
『ジュニア地図帳 こども歴史の旅 新訂第4版』高木実構成/文、花沢真一郎ほかイラスト、平凡社、2018年3月、本体2,500円、A4判上製72頁、ISBN978-4-582-40744-0



★『ザビエルの夢を紡ぐ』はザビエルら5人の宣教師が日本文化に与えた様々な影響を考察したもの。著者の郭南燕(かく・なんえん:1962-)さんは上海生まれ、ご専門は日本文学、多言語多文化交流とのことで、著書に『志賀直哉で「世界文学」を読み解く』(作品社、2016年)があります。今回の新著は昨秋上梓された編著書『キリシタンが拓いた日本語文学――多言語多文化交流の淵源』(明石書店、2017年)に続き、「日本語文学」研究における宣教師の著作群の価値を明らかにすることが試みられています。目次を列記しておきます。


序章 日本へのザビエルの贈りもの
第1章 日本に情熱を燃やしたザビエル
第2章 ザビエルの予言へ呼応する近代宣教師たち
第3章 日本人に一生を捧げたヴィリオン神父
第4章 日本人を虜にしたカンドウ神父
第5章 私的な宣教者――ホイヴェルス神父
第6章 型破りの布教――ネラン神父
終章 日本人とともに日本文化を創る試み
あとがき
引用文献一覧
索引

★『周作人読書雑記2』は全5巻の第2回配本。東洋文庫第888巻です。第2巻は「民俗、故郷紹興周辺、その他の書をめぐる雑記」(帯文より)とのことで、「民俗」「越に関する書」「自然・動植物・医学」「絵画・工芸・金石」の4部構成。『遠野物語』『小さき者の声』など柳田國男の著作や、ファーブル『昆虫記』、『蘭学事始』などをめぐるエッセイ、全94篇が収められています。次回配本はふた月空いて6月、『周作人読書雑記3』とのことです。


★『ジュニア地図帳〔アトラス〕』新訂版3点「こども世界の旅」「こども日本の旅」「こども歴史の旅」は80年代後半に出版されて以来ロングセラーとなっている定番本の最新版。20代、30代の親御さんの中には子供の頃接したことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。懐かしさを感じさせるイラストに変わらない味わいを覚えます。


+++

4月下旬新刊:岡田聡/野内聡編『交域する哲学』

$
0
0
■2018年4月20日取次搬入予定 *人文/哲学



交域する哲学
岡田聡/野内聡編
月曜社 2018年4月 本体:3,500円 A5判[216mm×156mm×22mm]上製304頁 ISBN: 978-4-86503-061-7



アマゾン・ジャパンにて予約受付中


諸領域へと横断的に関わりつつ、現実の理論的、実践的な諸問題に取り組む哲学的な格闘としての「交域する」ことは、生きた「哲学する」ことがとる必然的形態である。知の「交差=越境」をめぐる16篇の清冽なインターヴェンション。


はじめに――「交域」に関連して|佐藤真理人
存在と永遠:スピノザにおける自然と様態の存在論|赤木真通
判断保留と哲学者の実践:ピュロン主義と現象学|岩内章太郎
ミルチャ・エリアーデの「新しいヒューマニズム」と軍団運動:「精神の革命」と「新しい人間」|大谷崇
ブルンナー、バルト、ヤスパース:ヤスパースの「自然神学」とその「限界」|岡田聡
民藝の美学的根拠:柳宗悦とカント『判断力批判』|大沢啓徳
スピノザの自然権思想とその成立背景|河合孝昭
理性としての懐疑:懐疑論再考|佐藤真理人
労働するとは別様に:生政治的生産の時代における人間活動|澤里岳史
実存と偶然と必然と|高橋章仁
〈リアル〉とは何か:フッサールの「実在性」概念と超越論的観念論の帰趨|田口茂
悲劇的な知とは何か:ヤスパースの悲劇論から|田辺秋守
伝達可能性と快|野内聡
前期ハイデガーにおける普遍性の問題|橋詰史晶
ベルクソン哲学における直観理論の生成と深化|増田靖彦
実存的哲学と実存論的哲学:アルフォンス・ド・ヴァーレンスのハイデガー批判を通じて|峰尾公也
高等教育における「文系廃止論」と「哲学」:人文科学に関する批判的議論の哲学的意義|和田義浩
おわりに|岡田聡


+++


◎本書を扱ってくださる書店様(4月2日現在)


ジュンク堂書店仙台TR店
ジュンク堂書店柏モディ店
BOOKS隆文堂(西国分寺)
丸善丸の内本店
MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店
丸善松本店
丸善京都本店
ジュンク堂書店大阪本店
MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店
ジュンク堂書店西宮店


+++


注目新刊:『百科全書の時空』、首都大人文研『人文学報』

$
0
0
a0018105_19151598.jpg

★飯田賢穂さん(共訳:ルソー『化学教程』)
★淵田仁さん(共訳:ルソー『化学教程』)
先月発売された、逸見龍生/小関武史編『百科全書の時空――典拠・生成・転位』(法政大学出版局、2018年3月)で、飯田さんが第13章「自然法は拘束力をもつか──ルソー『ジュネーヴ草稿』葉紙63裏面に書かれたディドロ執筆項目「自然法」批判」を担当され、淵田さんが第14章「『百科全書』項目の構造および典拠研究の概要」を担当されています。本書全体の目次詳細は書名のリンク先で公開されています。



+++


昨年五月に首都大学東京で行った拙講演を元にした駄文「人文書出版と業界再編――出版社と書店は生き残れるか」が「人文学報」514-15号に掲載されました。畏れ多いラインナップに紛れ込んでおり、驚くばかりです。目次を以下に列記しておきます。なおすべてのテクストは下記号数のリンク先でPDFで読むことができます。拙文はともかくとして、読み応え充分の素晴らしい誌面です。(拙文「人文書出版と業界再編」についてはPDFのほかに抜刷がありますので、私宛にEメール(月曜社ウェブサイトにて公開)ないしツイッターのDMをいただければ国内無料にてお送りします。)


◎「人文学報」no.514-15:フランス文学、首都大学東京人文科学研究科、2018年3月、ISSN0836-8729


目次:

研究集会

はじめに|藤原真実
仮想討論会としてのフランス文学|藤原真実
18世紀の小説と思想論争|ジュヌヴィエーヴ・アルティガス=ムナン
18世紀の思想論争をめぐって:バルザック作品からのアプローチ|大須賀沙織
思想論争の系列的構造|シルヴァン・ムナン
『コリドン』から『ソドムとゴモラ』へ:親近それとも対立?|吉川一義


講演会
人文書出版と業界再編:出版社と書店は生き残れるか|小林浩


ジョゼフ・コーエン/ラファエル・ザグリ=オルリ来日講演
ジュダイズムはヒューマニズムか?|ジョゼフ・コーエン/ラファエル・ザグリ=オルリ
哲学が別の仕方で方向づけられるとき:芸術を前提する真理は正義を前提する/真理は正義を前提する芸術を前提する|ジョゼフ・コーエン/ラファエル・ザグリ=オルリ
「脱構築」について語られていること:ジャック・デリダ『グラマトロジーについて』ヘブライ語訳序文|ジョゼフ・コーエン/ラファエル・ザグリ=オルリ


Catastrophe and cyclical time in Ancient thought|グロワザール・ジョスラン
ギュイヨン夫人とバルザックにおける幼子イエスの信心|大須賀沙織
アウシュヴィッツ以後の脱構築|ジャック・デリダ/ミハル・ベン=ナフタリ
注釈|ジャン=リュック ナンシー
ウエルベック批評の十年|サミュエル・エスティエ
ヘラクレスに象徴されるルイ14世|榎本恵子


a0018105_19165696.jpg

+++

注目新刊:復刊ドットコムより『魔術妖術大図鑑』が復刻、ほか

$
0
0
a0018105_00320985.jpg

『フィレンツェ史 上』ニッコロ・マキァヴェッリ著、在里寛司/米山喜晟訳、ちくま学芸文庫、2018年4月、本体1,400円、文庫判464頁、ISBN978-4-480-09857-3
『フィレンツェ史 下』ニッコロ・マキァヴェッリ著、在里寛司/米山喜晟訳、ちくま学芸文庫、2018年4月、本体1,500円、文庫判512頁、ISBN978-4-480-09858-0
『論証のレトリック――古代ギリシアの言論の技術』浅野楢英著、ちくま学芸文庫、2018年4月、本体1,000円、文庫判256頁、ISBN978-4-480-09860-3
『大都会の誕生――ロンドンとパリの社会史』喜安朗/川北稔著、ちくま学芸文庫、2018年4月、本体1,200円、文庫判320頁、ISBN978-4-480-09862-7
『動物たちのすごいワザを物理で解く――花の電場をとらえるハチから、しっぽが秘密兵器のリスまで』マティン・ドラーニ/リズ・カローガー著、吉田三知代訳、インターシフト発行、合同出版発売、2018年4月、本体2,300円、四六判並製384頁、ISBN978-4-7726-9559-6
『魔術妖術大図鑑 復刻版』辰巳一彦著、復刊ドットコム、2018年4月、本体4,000円、B6判上製176頁、ISBN978-4-8354-5582-2
『奇妙な同盟――ルーズベルト、スターリン、チャーチルは、いかにして第二次大戦に勝ち、冷戦を始めたか Ⅰ』ジョナサン・フェンビー著、河内隆弥訳、藤原書店、2018年3月、本体2,800円、四六判上製376頁、ISBN978-4-86578-161-8
『奇妙な同盟――ルーズベルト、スターリン、チャーチルは、いかにして第二次大戦に勝ち、冷戦を始めたか Ⅱ』ジョナサン・フェンビー著、河内隆弥訳、藤原書店、2018年3月、本体2,800円、四六判上製384頁、ISBN978-4-86578-162-5
『フィルカル Vol. 3, No. 1』フィルカル編集部編、ミュー発行、2018年3月、A5判並製382頁、ISBN978-4-943995-19-7
『文藝 2018年夏季号』河出書房新社、2018年4月、本体1,300円、A5判並製518頁、ISBN978-4-309-97942-7



★ちくま学芸文庫のまもなく発売(10日予定)となる4月新刊は3点4冊。マキァヴェッリ『フィレンツェ史』上下巻は、筑摩書房版『マキァヴェッリ全集』第3巻(1999年刊)所収の「フィレンツェ史」を文庫化したもの。上巻では献辞、序文、第一巻~第四巻を収め、下巻では第五巻~第八巻、そして米山さんによる訳者解説「「フィレンツェ史」はいかにして書かれたか」と「『フィレンツェ史』理解のためのフィレンツェ史年表」が併載されています。訳者解説末尾には「本書の文庫化においては、特に訳注の部分で若干の訂正を加え」たと特記されています。『マキァヴェッリ全集』(全6巻、補巻1)から文庫化されるのは、『ディスコルシ』(第2巻)や『戦争の技術』(第1巻所収)につづき、3点目かと思います。


★『論証のレトリック』は1996年刊の講談社現代新書の文庫化。巻末の特記によれば文庫化に際し「一部図表を「付録」として巻末に移した」とのことです。帯文に曰く「説得は、いかにして可能か? 修辞・弁論術の発祥地に立ち返り、論証の「型」を伝授する」と。目次構成は以下の通りです。はじめに――「言論の技術」とは何か、第一章「レトリック(レトリケー)事始め」、第二章「アリストテレスのレートリケー理論」、第三章「ロゴスによる説得立証に役立つ固有トポス」、第四章「エートスまたはパトスによる説得立証に役立つ固有トポス」、第五章「さまざまな共通トポス」、第六章「レートリケーとディアレクティケー」、第七章「レートリケーと論理学」、むすび、引用ならびに参考文献、あとがき、『論証のレトリック』文庫版解説(納富信留)、付録。著者の浅野さんは一昨年に逝去されているため、納富さんの解説では親本刊行以後に刊行されたギリシア・ローマの古典文献の翻訳について紹介があります。


★『大都会の誕生』は、有斐閣選書の一冊として1986年に刊行された親本に、川北稔さんによる論考「盛り場のロンドン」(1993年、都市問題研究会編『都市問題研究』513号に掲載されたものを一部改稿)を加えて文庫化したもの。文庫化にあたり副題が「出来事の歴史像を読む」から「ロンドンとパリの社会史」に改められています。目次を以下に列記しておきます。


世界にひらく窓
 帝国の首都ロンドンの生活文化|川北稔
  1 ミンチン横丁の賑わい――ジェントルマン文化と「舶来品」
  2 コーヒーハウスの時代――「商業革命」と都市型文化の成立
  3 「首都の空気は自由にする」
  4 「ロンドンへのあこがれ」の増幅装置――「社交季節」と定期馬車
「世界の工場」の玄関口
 工業化とロンドン民衆の生活|川北稔
  1 ディケンズと工業化――なぜ「ロンドン」なのか
  2 イースト・エンド・スラムの成立
  3 ファッション・センターとしてのロンドン
  4 「苦汗労働」の成立
  5 針子と港湾労働者――ロンドンの二大カジュアル・ワーク
  6 「苦汗労働」の機械化?――ミシンの導入
  7 工業化のもたらしたもの
 盛り場のロンドン(増補)|川北稔
盛り場の形成
 パリのブルヴァールに集まる人びと|喜安朗
  1 ブルヴァールにおける出来事
  2 盛り場の移動
  3 新しい盛り場の舞台装置
  4 民衆の盛り場
  5 都市空間の分極化
民衆騒乱の舞台
 路上の権利|喜安朗
  1 カーニヴァルの民衆蜂起
  2 抑圧の解体――ブルヴァールの「祝祭」
  3 民衆のパロディー――既存秩序の流動化
  4 路上の権利
  5 境界領域の再現
  6 盛り場と騒乱の舞台
あとがき
 世界経済のメトロポリス――なぜロンドン史か|川北稔
 民衆史への新しい視点――民衆の生活圏と都市空間の意味|喜安朗
ちくま学芸文庫版へのあとがき|川北稔
ちくま学芸文庫版へのあとがき|喜安朗


★『動物たちのすごいワザを物理で解く』は『Furry Logic: The Physics of Animal Life』(Bloomsbury Sigma, 2016)の翻訳。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。熱、力、流体、音、電気・磁気、光、の全6章だてで、特異な能力を発揮する動物たちを科学的に解説したポピュラー・サイエンスの名作です。身近な動物や虫の何気ないすごい能力には感心するばかりですが、研究者の探究心にも驚かされます。例えば、水に濡れた犬がブルブルと体を震わせて水滴を払い落とし自力で体を乾かすあの行動について研究した学者、アンドリュー・ディッカーソンは、本書の後段では、雨の中でも蚊が飛べるのはなぜかを研究していることが紹介されています。同じように犬のブルブルを研究していたもう一人の研究者デイヴィッド・フーは、水上をすいすいと移動したり留まったりできるアメンボの物理を研究してもいます。素朴な疑問が科学の扉を開く様に読者は魅了されると思います。


★『魔術妖術大図鑑 復刻版』は立風書房の「ジャガー・バックス」シリーズで1976年に出版されたものの復刻版です。主な収録内容や見開き頁のサンプル画像は書名のリンク先でご覧になれます。巨匠たちによるおどろおどろしくも魅惑的なイラスト、子供向けながらモラルなどお構いなしのまじないや秘法の情報満載で強烈です。ジル・ド・レを描いた劇画は当時としてはスレスレの描写だったろうと思われ、狂気を感じさせます。錬金術師や魔術師、魔女の群像が子供たちの脳裏に刻まれただろうことは想像に難くありません。本書でパラケルススやクロウリー、エリファス・レヴィ、ブラヴァツキーらの名前を知った子供たちはその後、それぞれの著書を読む大人になったのでしょうか。いささかやりすぎとも思える本書の溢れんばかりのイメージ喚起力と情報力は、今日の児童書では自主規制によって失われてしまったものを思い出させます。復刊ドットのコムオリジナル特典として、限定生産の特製コースターが付属しています。


★『奇妙な同盟』は全二分冊で、『Alliance: The Inside Story of How Roosevelt, Stalin and Churchill Won One War and Began Another』(Simon & Shuster, 2006)の全訳。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。訳者あとがきの文言を借りると「本書は、1941年8月に行われた、ルーズベルト、チャーチルの大西洋会談に始まって、1945年7月のポツダムまでの主要会談、ほか数々の首脳会議における米英ソ三巨頭(ルーズベルト、チャーチル、スターリン、ただしルーズベルトの死後はトルーマンが引き継ぐ)及びかれらを取り巻く脇役たちの実像と史実を、各種史料を駆使して綴るノンフィクションである」と。著者のジョナサン・フェンビー(1972-)はイギリスの国際ジャーナリスト。既訳書には『国際報道の裏表』(小糸忠吾/橋本正邦/堀川敏雄訳、新聞通信調査会発行、共同通信社発売、1988年)があります。日本では先月末劇場公開となった映画『ウィンストン・チャーチル――ヒトラーから世界を救った男』(ジョー・ライト監督、2017年)が、特殊メイクでアカデミー賞を受賞した辻一弘さんのご活躍により話題となっていますが、第二次世界大戦の終結と冷戦の始まりに深くかかわった米英ソの政治的内幕を学ぶ上でうってつけの新刊がタイミングよく出たことにも注目したいです。


★『フィルカル Vol. 3, No. 1』は、「分析哲学と文化をつなぐ」をキャッチフレーズにしている雑誌で、今回で3年目の通算5号です。今まででもっともヴォリュームのある号となっています。昨秋発売された前号(Vol. 2, No. 2)につづき、野上志学さんによる「デヴィッド・ルイス入門」の第2回が掲載され、前号の発売後に同誌編集委員が企画して行われたトークイベント「哲学の夜」第一回の様子も収録されています。なお、今般発売された最新号の発売を記念し、寄稿者が登壇して「芸術における作品創造と複製、アメコミスーパーヒーローの定義と歴史」をテーマに討論するイベントが以下の通り行われます。


◎『フィルカル Vol. 3, No. 1』発売記念トークイベント
日時:2018年4月21日(土)18:30開場 19:00開演
場所:田原町「Readin’ Writin’」(東京都台東区寿2-4-7)
料金:参加費1,000円
登壇者:高田敦史、岩切啓人、森功次


内容:『フィルカル』最新号に論文が掲載された高田敦史さんと岩切啓人さん、コメンテーターとして森功次さんが登壇され、論文の背景にある研究分野を一般向けに解説しディスカッションします。高田さん論文「スーパーヒーローの概念史」は、ハッキングの歴史的存在論の展開として、アメコミのスーパーヒーロー概念の質的変化を分析する論考です。制度の変化も観点に入れた、虚構種の存在論としてもアメコミヒーロー論としても新しいタイプの議論が展開されています。分析美学の新世代を担う岩切さん論文「創造と複製」は、分析美学の本格的な論文です。芸術における作品複製は創造になりうるのか、というテーマをめぐって、それを否定する論証を批判し、肯定する立場を模索しています。高田さん、岩切さんがそれぞれ、論文をめぐって解説したうえで、来場の方々からの質問を受けてディスカッションする予定です。日本の分析美学を牽引する研究者たちと触れ合える貴重な機会です。美学に関心ある方々、作品複製やアメコミヒーローについて議論したい方々、ぜひともご参加ください。


※今回のイベントでは参加の事前予約を受け付けます。専用フォームからお気軽にお申込みください。 一度に4名様までご予約いただけます。料金の前払いはございません。なお、事前予約はイベント前日の4月20日(金)までの受け付けとなります。ご了承ください。



★『文藝 2018年夏季号』は4月9日発売。昨年末に幻戯書房より『文学問題(F+f)+』を上梓され乗りに乗っている文筆家の山本貴光さんが文芸時評「季評 文態百版」という新連載をお始めになり、第1回として「2017年12月~2018年2月」が掲載されています。文芸作品(本・雑誌・デジタルテキスト)、人物、文学賞、展覧会・その他催事、を「文芸的事象」として観察対象に設定し、クロニクルを編んでいくという、非常に手間のかかる地道なものです。山本さんのブログ「作品メモランダム」のプロフィールで公開されている通り、仕掛中のお仕事が山のようにある中での観測およびまとめ作業となるだけに、ご苦労が偲ばれます。なお同号では、石牟礼道子さんやECDさんの追悼ページもあります。陣野俊史さんは初の小説作品「泥海」を同号で発表されるとともに、「詩小説家としてのECD」という論考も寄せておられます。


+++

注目新刊:『知のトポス』第13号、『文芸研究』第135号、ほか

$
0
0
a0018105_15202874.jpg

弊社でお世話になっている訳者の皆さんの最近のご活躍をご紹介します。


★宮﨑裕助さん(共訳:ド・マン『盲目と洞察』)

新潟大学大学院現代社会文化研究科が発行する『世界の視点:知のトポス』第13号に、小原拓磨さんとの共訳、アレクサンドル・コイレ「フランスにおけるヘーゲル研究の状況報告」が掲載されています(99~159頁)。宮﨑さんは同号の編集後記も執筆されています。第13号の目次を掲出しておきます。


『世界の視点:知のトポス』第13号 目次
G・W・F・ヘーゲル「「精神の哲学」についての講義(ベルリン、1825年夏学期)」栗原隆/高畑菜子/岩下杜之訳
ゲルハルト・クリーガー「カントの批判における哲学と道徳(四)」宮村悠介訳
アレクサンドル・コイレ「フランスにおけるヘーゲル研究の状況報告」小原拓磨/宮﨑裕助訳
パウル・ツィヒェ「自然と芸術との間の人間」栗原隆訳
「編集後記」宮﨑裕助


★安原伸一朗さん(訳書:ブランショ『問われる知識人』、共訳:『ブランショ政治論集』)
★渡名喜庸哲さん(共訳:サラ-モランス『ソドム』)
明治大学文芸研究会が発行する紀要『文芸研究』第135号「特集:ピエール・パシェ」において、安原さんが論文「無言の言葉を聞く――『父の自伝』について」(37~43頁)とその仏語版を、そして渡名喜さんが論文「クロード・ルフォールとピエール・パシェ――抵抗の場としての内密性」(223~240頁)を寄せておられます。安原さんの論文はもともと、昨年年頭(2017年1月21日)に明治大学駿河台キャンパスで開催された国際シンポジウム「アジアにおける一個人――ピエール・パシェの作品を読む」において発表されたものです。安原さんは同シンポの第三部「中国における一個人」で司会も務められています。パシェ(Pierre Pachet, 1937-2016)は日本では単著未邦訳の作家で、特集が組まれるのも初めてです。


★江澤健一郎さん(訳書:バタイユ『マネ』)
ディディ=ユベルマン『イメージの前で』の増補改訂版をまもなく法政大学出版局さんより上梓されます。巻末の「第二版への訳者あとがき」によれば、2005年刊行の同書英語版に掲載された序「悪魔祓い師〔The Exorcist〕」が新たに訳出され増補されており(23頁もの長文)、「訳書を全体的に見直して修正を行」い、「著作リストを最新作まで補完した」とのことです。以下の引用はこの序文からです。



「美術史家が研究するイメージの実態は、強力で魅力的だが、変質を引き起こす実体なのだ。その実態は安心させてくれる。つまりそれは、このうえなく素晴らしい回答を学者にもたらすが、しかし注意だ! その実体は、それを過剰に飲みこむ者、破滅するほどそれと密着する者にとっては、すぐさま麻薬、さらには毒薬になってしまうのだ」(xii頁)。「イコロノジーを「客観的な科学」にするために、パノフスキーは、何かを文字通りに悪魔祓いしなければならなかったのだ。その何かとは、彼がその「科学」によって明確にしようとした対象の、その力に固有なものである」(同)。このあとディディ=ユベルマンはディブック(悪霊)に喩えてイメージをめぐる知やその歴史について語っており、非常に興味深いです。


a0018105_17184199.jpg

河出書房新社さんから2016年11月に刊行された川崎昌平さんの『重版未定』が重版されたのを祈念して、下北沢のブックカフェ「B&B」で同年12月に開催されたトークイベント、川崎昌平×下平尾直×小林浩「小さな出版社と編集者の大きな夢」がついに「DOTPLACE」においてウェブ公開が開始となりました。小出版社の現実や業界論を率直に語ったものだったので活字化不可能かもと個人的には危ぶんでいたのですが、ご高覧いただけたら幸いです。第一回目はリンク先にてお読みいただけます。以後順次公開開始となるかと思われます。


なお、川崎さんはぶんか社さんから今月、最新作『編プロ☆ガール』を上梓されました。「編集プロダクション、それは出版社の奴隷」という帯文が業界人の肺腑を抉ります。巻末対談は「マガジン航」の仲俣暁生さんと。以下に目次を含めた書誌情報を掲出します。目次だけでもすでに面白いという。


編プロ☆ガール
川崎昌平著
ぶんか社コミックス 2018年4月 本体1,000円 4-6判並製192頁 ISBN978-4-8211-3571-4
帯文より:編集プロダクション、それは出版社の奴隷――。理念と現実の狭間で何を掴みとるのか!? 心を突き動かすハードボイルド出版業界漫画!


目次:
第0話 編プロにつくれない本はない
第1話 いいから今は休め
第2話 いいから今は寝ろ
第3話 いいから今は忘れろ
第4話 あれは白昼夢だ
第5話 これが悪夢だ
第6話 それは夢だ
第7話 本は犠牲なくして生まれない
第8話 本は無駄なくして編めない
第9話 本は後悔なくして世に出ない
第10話 怒られれば悔しい
第11話 褒められればうれしい
第12話 読まれなければ悲しい
第13話 本は過去を語る
第14話 本は現在を知る
第15話 本は未来をつくる
仲俣暁生×川崎昌平「編プロ深層対談」
あとがき


+++

重版出来:アガンベン『アウシュヴィッツの残りのもの』8刷

$
0
0
弊社の書籍出版第一弾(2001年)である、ジョルジョ・アガンベン『アウシュヴィッツの残りのもの』の重版8刷ができあがり、本日より出荷再開しております。長い間にわたり多くの方にお手にとっていただいていることに深く御礼申し上げます。部数で言っても期間で言っても弊社刊行物でもっとも広く長く読まれているのが本書です。なお弊社ではアガンベンさんの初の自伝『書斎の自画像』(2017年)を続刊予定としております。どうぞよろしくお願いいたします。


a0018105_14503231.jpg
+++

注目新刊:セットガスト『先史学者プラトン』、水崎博明訳『プラトーン著作集』全10巻27分冊完結、ほか

$
0
0
a0018105_20541554.jpg

『先史学者プラトン――紀元前一万年―五千年の神話と考古学』メアリー・セットガスト著、山本貴光/吉川浩満訳、朝日出版社、2018年4月、本体2,800円、四六判並製480頁、ISBN978-4-255-01049-6
『プラトーン著作集 第九巻 人間存在と習わし 第一分冊 法律(上)/ミーノース』水崎博明訳著、櫂歌書房発行、星雲社発売、2018年2月、本体3,500円、四六判並製466頁、ISBN978-4-434-24162-8
『プラトーン著作集 第九巻 人間存在と習わし 第二分冊 法律(中)』水崎博明訳著、櫂歌書房発行、星雲社発売、2018年2月、本体3,300円、四六判並製429頁、ISBN978-4-434-24163-5
『プラトーン著作集 第九巻 人間存在と習わし 第三分冊 法律(下)』水崎博明訳著、櫂歌書房発行、星雲社発売、2018年2月、本体3,500円、四六判並製460頁、ISBN978-4-434-24164-2
『食べることの哲学』檜垣立哉著、世界思想社、2018年4月、本体1,700円、4-6判並製208頁、ISBN978-4-7907-1711-9
『アンドレ・バザン研究 第2号』堀潤之/伊津野知多/角井誠編集、アンドレ・バザン研究会発行、2018年3月、非売品、A5判並製180頁、ISSN2432-9002


★セットガスト『先史学者プラトン』は『Plato Prehistorian: 10,000 to 5000 B.C. Myth, Religion, Archaeology』(Anthroposophic Press, 1990)の翻訳。1987年に限定版でRotenberg Pressから刊行されたものの普及版と見てよいかと思われます。セットガスト(Mary Settegast, 1934-)はアメリカの独立研究者で、朝日出版社さんのウェブサイトでは「主要な関心は旧石器時代から現代までの宗教と文化、特に宗教と農耕の並行性にある」と紹介されています。訳書が出版されるのは今回が初めてです。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。巻頭には日本語版への序文として、國分功一郎さんによる「考古学と哲学」が置かれています。


★國分さんは本書を次のように紹介しておられます。『〔主に『ティマイオス』や『クリティアス』など〕プラトンの著作を現代考古学の知見をもとに読み直そうという野心的な試みである」(5頁)。セットガストは「はじめに」でこう書いています。「ひょっとすると古代世界にたいする私たちの見方は、とりわけ二つの神話によって改められるかもしれない。といっても、いずれの神話もそれほど時代をさかのぼることなく見出せるものだ。どちらもギリシアに由来する。そして、二つともなんらかの形でプラトンに関係している」(33頁)。「新石器革命の最初の大きなステップ、つまり前八千年紀後半の近東に現れた不可解なまでに洗練された移住者たちの群れは、じつのところ、プラトンが描いた西方で〔自然災害によって〕破滅した文化からの避難民だったのかもしれない」(同)。前一万年から前五〇〇〇年に渡る地中海周辺の世界を、プラトンをひもときつつ、戦争と自然災害(洪水)と定住・農耕から読み解く試みです。


★國分さんはまた、著者の問題意識についてこう論及されています。「今日の考古学は「ニュー・アルケオロジー」と呼ばれ、高度に計量化されているようである。様々な機材を用いた測定がその主たる作業となり、数値は細分化されている。そこで起こっているのはどうやら「木を見て森を見ず」という事態らしい(30頁)。誰も全体を把握できない。また高度に専門化されたために、考古学以外の分野の知見が考古学者から失われてしまっている」(10頁)。さらに曰く「考古学が実証的なハードサイエンスの要素を取り入れたこと〔・・・〕それによって「測定できないもの(芸術、宗教)が丸ごと無視されてしまう」のではないか(29頁)。このセットガストの問題提起は重い。我々はいま実証的データだけを取り扱い、測定できないものは無視する方向に学問を進めつつある。その時、学問は全体としての統一を志向することはなくなり、世界は非常に貧しいデータの蓄積として扱われることになってしまう。それでよいのだろうか」(10~11頁)。


★この言葉はただ学問にのみ当てはまる状況ではなく、社会人や社会一般にも該当するのではないでしょうか。データを取り込めば取り込むほど、活用すればするほど現実のありようを把握でき、市場や消費者に対してより適切な対応ができると信じられている世界というのは、データ化されないものを「存在しないもの」として扱う世界でもあります。出版界にもそうした傾向はすでに生まれています。将棋の駒を動かすようにして現実を操作できると思い込んでいる節が現代社会にはあるのではないかと疑います。だからこそセットガストの探究から学ぶべきではないかと感じます。


★セットガスト自身の言葉に帰ると、「単線的連続性」で歴史を見ないこと、「古い時代をまったく新しい目でみるための方法」(23頁)を、私たちも学ぶことが必要だと思われます。セットガストはイギリスの歴史家ハーバート・バターフィールド(Herbert Butterfield, 1900-1979)の『近代科学の誕生』(上下巻、渡辺正雄訳、講談社学術文庫、1978年、品切)からこんな言葉を引きつつこう述べます。「どんな種類の知的活動でも、なにより難しいのは「従来と同じデータを扱いながら、そこに別の枠組みを与えて、データを新たな関係の網〔システム〕のなかに位置づける技〔アート〕だ」」(23頁)。



★果たして先達の言葉の重みを現代人はどれほど理解しているでしょうか。「過去を理解できないのに、私たちが抱える現在の混乱と争いの意味を理解することなどいったいできるのだろうか」(32頁)というセットガストの言葉が胸に刺さります。


★『プラトーン著作集 第九巻』三分冊は、水崎さんによる個人全訳の新訳プラトン全集の最終回配本で最晩年の『法律――正義について』と『ミーノース――法について』が収められています。『法律』は第一分冊が第一巻から第四巻までを収め、第二分冊が第五巻から第八巻まで、第三分冊が第九巻から第一二巻までを収録しています。これで「プラトーン著作集」全10巻全27分冊が完結したことになります。2011年4月に刊行された第一巻「ソークラテースの四福音書」の第一分冊『ソークラテースの弁明/クリトーン』から約7年で完結したのは驚嘆に値します。水崎さんの地道な翻訳作業と、福岡市の版元・櫂歌書房さんの継続的刊行には深い敬意を覚えます。


★第三分冊の帯文は『法律』第一二巻について次のように紹介します。「プラトーン哲学の一大飛翔を我々は目撃する。冒頭はおよそ「法」というものを端的に問うものだがその問いの遂行の挙句には“立法者が魂に分かち与えてそれを立派にするものとは何か”という問いを最後の問いとし、すべての謎としながらそのまま閉じる」。第三分冊の後書き末尾において水崎さんは『法律』篇の核心についてこう書いておられます。「およそ国家の国制は「徳」を眼差ししてこそそこになるものの謂いであり、されば「魂」の秩序づけとその秩序づけの問答法的な学習こそがその眼差しの永続を可能にするものだというそういう哲学」である、と(460頁)。


★『食べることの哲学』は檜垣立哉さんの『日本哲学原論序説――拡散する京都学派』(人文書院、2015年)に続く約3年ぶりの単独著。世界思想社さんの新シリーズ「教養みらい選書」の第2弾です(第1弾は3月に発売された石黒浩さんの『僕がロボットをつくる理由――未来の生き方を日常からデザインする』)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。巻頭の序「われわれは何かを殺して食べている」で檜垣さんはこう書かれています。「食べることは人間を考えるときに、文化・社会としての人間と、身体・動物・生命をもった人間との両側面が、きわめて矛盾しぶつかりあいつつ接触する地帯である」(2頁)。「食についての思考が切り開く世界はかくも広大で深いものである。それは身体をもって生きている人間そのものを覆いつくすような壮大な力にみちている」(12頁)。食について考えることで人間の「生の複雑さ」に迫るユニークな一書です。


★檜垣さんの『食べることの哲学』と、同じく世界思想社さんより発売された佐川光晴さんの『おいしい育児』(こちらは「こどものみらい叢書」の第1弾)の2点の刊行を記念して、以下のトークイベントが今月末に行われるそうです。


◎檜垣立哉×佐川光晴トークイベント「殺して、食べて、育てる――哲学者と作家の異種格闘技」


日時:2018年4月29日(日)14:00~15:30 ※開場13:30~

料金:1,350円(税込)
定員:50名様
会場:青山ブックセンター本店小教室
電話:03-5485-5511 ※受付時間10:00~22:00


内容:4月に『食べることの哲学』を上梓した、哲学者の檜垣立哉さん。本書は、動物や植物を殺して食べる後ろ暗さと、美味しい料理を食べる喜び、という矛盾を昇華する、食の哲学エッセイです。/今回は、10年以上、屠畜場で働き、日々、ナイフを研いで牛の皮を剥くお仕事をされていた、作家の佐川光晴さんをお招きします。第1ラウンドでは、お二人が屠殺をどのように考えているのか存分に語り合っていただきます。/『食べることの哲学』では、焼いたものの量で価値を計るアングロサクソン系の食文化圏と、「味=発酵」の質を重視するアジアの食文化圏とに分ける、独自の食文化論も展開されます。第2ラウンドでは、主夫として家の料理を28年間つくり続けている佐川光晴さんと、食文化について語り合っていただきます。/佐川光晴さんは、2月に『おいしい育児』を上梓しました。この本は、主夫兼作家として二人の息子を育ててきた経験を綴ったエッセイ集です。父親が家事と育児をするのがあたりまえになるための実践的なヒントがぎっしり詰まっています。第3ラウンドでは、お子さんをお持ちの檜垣立哉先生と、男の育児について語っていただきます。/哲学者と作家の異種格闘技、どうぞご期待下さい。
※トークイベントの後にはサイン会を開催します。
※会場からも質問を受け付けます(トーク開始前に質問用紙をお配りしますので、そちらにご記入ください)。
※参加限定特典として、「檜垣立哉が選ぶ食のブックガイド」を配布予定です。


檜垣立哉(ひがき・たつや)哲学者、大阪大学教授。1964年埼玉県生まれ。フランスの現代思想を縦横無尽に駆使し生命論に挑む哲学者であるが思想にはいった入り口は吉本隆明。 また九鬼周造、西田幾多郎、和辻哲郎など日本哲学にも造詣が深く、20世紀初期の思想の横断性を突き詰めたいとおもっている。著書に、『瞬間と永遠 ジル・ドゥルーズの時間論』『賭博/偶然の哲学』『子供の哲学』『ドゥルーズ入門』など。死ぬ前に1つだけ食べるなら、讃岐うどん。 趣味(というか一面の本業)は競馬です。


佐川光晴(さがわ・みつはる)作家。1965年東京都生まれ、茅ヶ崎育ち。北海道大学法学部卒業。出版社勤務ののち、1990年から2001年まで大宮の屠畜場で働く。2000年「生活の設計」で第32回新潮新人賞受賞。2002年『縮んだ愛』で第24回野間文芸新人賞受賞。2011年『おれのおばさん』で第26回坪田譲治文学賞受賞。他の著書に『あたらしい家族』『銀色の翼』『牛を屠る』『大きくなる日』など。芥川賞に5回ノミネート。小学校教員の妻と二人の息子との四人家族。主夫として家事を引き受けながら執筆に励む。


★山形大学人文社会科学部附属映像文化研究所のアンドレ・バザン研究会が発行する『アンドレ・バザン研究』の第2号は、特集が「存在論的リアリズム」で小特集が「作家主義再考2」。後者は昨年3月に刊行された第1号(頒布終了)のメイン特集の続編です。目次詳細は誌名のリンク先でご覧になれます。また、堀潤之さんによる巻頭言「「草稿」に誘われて――第二号イントロダクション」と角井誠さんによる編集後記もリンク先に掲出されています。第二号の入手方法については同会ブログの2018年4月11日付エントリーをご確認下さい。数に限りがあるので、お早めにどうぞ。堀さんの巻頭言によれば本年末には「生誕百周年を迎えたバザンをめぐるシンポジウムを開催し、〔第2号に論考「フェティッシュの存在論」を掲載したダドリー・〕アンドリュー氏を招聘することが決まっている。次号はその記録を中心に編まれることになるだろう」とのことです。



+++

Viewing all 1277 articles
Browse latest View live