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注目新刊:ディディ=ユベルマン『受苦の時間の再モンタージュ』、ほか

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『受苦の時間の再モンタージュ――歴史の眼2』ジョルジュ・ディディ=ユベルマン著、森元庸介/松井裕美訳、ありな書房、2017年5月、本体6,000円、A5判上製292頁、ISBN978-4-7566-1754-5
『アール・ブリュット――野生芸術の真髄』ミシェル・テヴォー著、杉村昌昭訳、人文書院、2017年5月、本体4,800円、A5判上製250頁、ISBN978-4-409-10038-7
『ジャック・ラカン 不安(下)』ジャック=アラン・ミレール編、小出浩之/鈴木國文/菅原誠一/古橋忠晃訳、岩波書店、2017年5月、本体5,500円、A5判上製296頁、ISBN978-4-00-061187-9



★ディディ=ユベルマン『受苦の時間の再モンタージュ』は発売済。シリーズ『歴史の眼』の第2巻です。既刊書には刊行順に、第3巻『アトラス、あるいは不安な悦ばしき知』(伊藤博明訳、ありな書房、2015年11月)、第1巻『イメージが位置をとるとき』(宮下志朗/伊藤博明訳、ありな書房、2016年8月)があります。今回刊行された第2巻の原書は、Remontages du temps subi. L'Œil de l'histoire, 2 (Minuit, 2010)です。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。訳者の松井裕美さんによる巻末解説では本書はこう説明されています。「収容所の映像を読むために「モンタージュする」という行為が考察対象となる。そのためにディディ=ユベルマンが焦点をあてるのは、サミュエル・フラーとハルーン・ファルッキという二人の映画監督である。/本書第Ⅰ章〔「収容所を開き、眼を閉じる──イメージ、歴史、可読性」〕では戦地における経験の表象不可能性と出来事の記録の問題が扱われる。とりわけ記録映像の問題を検討するためにとりあげられるのがフラー〔による「ファルケナウ」1945年、など〕である」(275頁)。そして「本書第Ⅱ章〔「時間を開き、眼を武装する──モンタージュ、歴史、復元」〕では、記録映像を理解可能にするための作業に関するより根本的な方法論的考察が展開される。そのさいに焦点があてられるのはハルーン・ファロッキの作品〔「世界のイメージと戦争の書きこみ」1988年、「猶予」2007年、ほか〕である」(276~277頁)。ディディ=ユベルマンの著書は人文書に置くか芸術書に置くか分類が難しいため、書店さんによっては悩まれるだろうと思うのですが、どちらに置くにせよ、分散させずに一箇所にまとめるのもひとつの手ではあります。



★テヴォー『アール・ブリュット』は発売済。原書は、L'art brut (Skira, 1975)です。著者のミシェル・テヴォー(Michel Thévoz, 1936-)は美術史家、美学者。単独著の既訳書に『不実なる鏡――絵画・ラカン・精神病』(岡田温司/青山勝訳、人文書院、1999年)があります。1976年よりローザンヌの美術館「アール・ブリュット・コレクション(Collection de l'art brut)」の館長を務めておられ、本書『アール・ブリュット』はその設立者である画家のジャン・デュビュッフェが序文を寄せています。そもそも「アール・ブリュット」という概念を提唱したのがデュビュッフェで、本書の第一章にも引用されているテクスト「文化的芸術よりもアール・ブリュットを」でデュビュッフェは次のように書いています。「われわれの言うアール・ブリュットとは次のようなものである。すなわち、それは芸術的文化の影響を逃れた人たちによってつくられた作品であり、そこでは、知的な人々のなかで起きることとは反対に、模倣はほとんどと言っていいほどなく、作品のつくり手がすべてを(主題、材料の選択、作品化の手段、リズム、表現法、等々)伝統的芸術のありきたりの型からではなく、自分自身のなかの奥深い場所から引き出す。われわれはそこで、まったく純粋で生〔き〕のままの芸術的推敲が行なわれ、つくり手自身の固有の衝動を唯一の起点として芸術がその全局面において再発明される現場に立ち会うのである」(11~12頁)。巻頭16頁はカラー図版26点を掲載。目次詳細は書名のリンク先からご覧下さい。版元サイトではデュビュッフェの序文や訳者あとがきも公開されています。アール・ブリュット(英語圏での名称は「アウトサイダー・アート」)にご関心のある方には必携の基本書です。



★『ジャック・ラカン 不安(下)』は発売済。「セミネール」シリーズ第10巻の後半部分です。第12講義「不安、現実的なものの信号」から第24講義「aからいくつかの〈父の名〉へ」までを収録。目次詳細については書名のリンク先をご覧ください。セミネールは原書で全26巻予定、現在まで16巻が刊行されており、そのうち邦訳されたのは今回の『不安』までで9巻です。まだまだ道のりは遥かです。なお、同版元の2017年6月新刊案内によれば、受注生産方式の「岩波オンデマンドブックス」ではセミネール第2巻である『フロイト理論と精神分析技法における自我』上下巻(1998年)の復刻版が6月12日より受付開始だそうです。受注から2~4週間でお届け。本体価格は上巻が7000円、下巻が6600円と割高ですが、仕方ありません。同ブックスは「内容についてはオリジナル本と変わりませんが、装丁や外見が異なります」とのことで、新たな修正はなさそうです。ある場合はもう一度買わねばなりません。


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★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。


『戸籍と無戸籍――「日本人」の輪郭』遠藤正敬著、人文書院、2017年5月、本体4,000円、4-6判上製380頁、ISBN978-4-409-24117-2
『回想の青山光二――資料で読む「最後の文士」の肖像』池内規行著、共和国、2017年5月、本体5,000円、菊変型判上製288頁、ISBN978-4-907986-35-3
『パフォーマンスがわかる12の理論――「クリエイティヴに生きるための心理学」入門!』鹿毛雅治編、金剛出版、2017年4月、本体3,200円、四六判並製400頁、ISBN978-4-7724-1548-4
『マインドフルネス実践講義――マインドフルネス段階的トラウマセラピー(MB-POTT)』大谷彰著、金剛出版、2017年5月、本体2,800円、A5判並製184頁、ISBN978-4-7724-1555-2



★遠藤正敬『戸籍と無戸籍』は発売済。前著『戸籍と国籍の近現代史――民族・血統・日本人』(明石書店、2013年)で「戸籍が「日本人なるものを〔・・・〕いかに創出してきたのかを歴史的に検討した」(22頁)著者が今後は「無戸籍とは何か」を問うことによって研究を新たな段階へと進めたユニークな本です。ネタばれはやめておきますが、「あとがき」が非常に自由な筆致で書かれているのも印象的です。


★池内規行『回想の青山光二』は発売済。小説家・青山光二(あおやま・こうじ:1913-2008)さんから著者に当てられた多数の葉書や手紙を引用しつつ綴られた回想記で、巻頭には「秘蔵写真を駆使した」(帯文より)という文学アルバム、巻末には詳細な年譜と全著作目録が収載されています。投げ込みの「共和国急使」第15号(2017年5月20日付)で、下平尾代表は、本書は少部数出版ではあるけれども「諸事即席で売れる本だけが本ではないし、こういう含蓄のある本を世に出すのも版元の仕事であろう」としたためておられます。本書の「あとがき」で著者は下平尾さんを「わが友」と呼び掛けておられ、著者と編集者の麗しい交流に胸打たれる思いがします。


★最後に金剛出版さんの新刊より2点。まず『パフォーマンスがわかる12の理論』は『モティベーションをまなぶ12の理論――ゼロからわかる「やる気の心理学」入門!』(鹿毛雅治編、金剛出版、2012年4月)の続篇で、心理学用語としての「パフォーマンス」をめぐる12の理論を紹介するもの。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。次に『マインドフルネス実践講義』は『マインドフルネス入門講義』(大谷彰著、金剛出版、2014年10月)の続篇。「マインドフルネスを使いこなすための理論と方法をガイドする実践篇として刊行」(版元サイトより)。目次詳細はこちらも書名のリンク先をご覧ください。マインドフルネスとは「「今、ここ」での体験に気づき(アウェアネス)、それをありのままに受け入れる態度および方法」(16頁)であり、「仏教徒が2500年にわたり実践してきた瞑想がマインドフルネスという臨床手段へと変化し、しかも西洋、特にアメリカを経て仏教国である日本にセラピーとして逆輸入された」(15~16頁)と著者は説明しています。

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ブックツリー「哲学読書室」に岡本健さんの選書リストが追加されました

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オンライン書店「honto」のブックツリー「哲学読書室」に、『ゾンビ学』(人文書院、2017年4月)を上梓された岡本健さんの選書リスト「ゾンビを/で哲学してみる!?」が追加されました。下記リンク先一覧よりご覧ください。
◎哲学読書室星野太さん選書「崇高が分かれば西洋が分かる」
國分功一郎さん選書「意志について考える。そこから中動態の哲学へ!」
近藤和敬さん選書「20世紀フランスの哲学地図を書き換える」
上尾真道さん選書「心のケアを問う哲学。精神医療とフランス現代思想」
篠原雅武さん選書「じつは私たちは、様々な人と会話しながら考えている」
渡辺洋平さん選書「今、哲学を(再)開始するために」
西兼志さん選書「〈アイドル〉を通してメディア文化を考える」
岡本健さん選書「ゾンビを/で哲学してみる!?」



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注目新刊:W・ブラウン、G・アガンベン、『現代思想』資本論特集号

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★中井亜佐子さん(共訳:ロイル『デリダと文学』)
カリフォルニア大学バークレー校政治学教授のウェンディ・ブラウン(Wendy L. Brown, 1955-)さんの、『寛容の帝国』(向山恭一訳、法政大学出版局、2010年)に続く単独著日本語訳第二弾を手掛けられました。まもなく店頭発売開始と聞いています。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。原書は『Undoing the Demos: Neoliberalism's Stealth Revolution〔デモス(市民/人民/民衆)の解体――新自由主義のステルス革命〕』(Zone Books, 2015)です。


いかにして民主主義は失われていくのか――新自由主義の見えざる攻撃
ウェンディ・ブラウン著、中井亜佐子訳
みすず書房 2017年5月 本体4,200円 四六判上製336頁 ISBN978-4-622-08569-0
帯文より:いまや新自由主義は、民主主義を内側から破壊している。あらゆる人間活動を経済の言葉に置き換え、民主主義を支える理念、制度、文化を解体する過程を説き明かす。


★ジョルジョ・アガンベンさん(著書:『アウシュヴィッツの残りのもの』『バートルビー』『思考の潜勢力』『瀆神』『到来する共同体』)
3月下旬にミラノの出版社「ノッテテンポ」から初めての自伝となる『書斎の自画像』を刊行されました。秘蔵写真満載の一冊で、いずれ日本語でも読めるようになるのではないかと思われます。


Autoritratto nello studio
Giorgio Agamben著
nottetempo 2017年3月 18ユーロ 菊判変型上製176頁 ISBN978-88-7452-667-3


★アントニオ・ネグリさん(著書:『芸術とマルチチュード』)
『現代思想』2017年6月臨時増刊号「総特集=マルクスの思想――『資本論』150年」に、論文「共の構築――新たなコミュニズム」が長原豊さんの訳で掲載されています(98~111頁)。これの原典は以下のもののようです。'La construction du commun: Un nouveau communisme', trans. Jeanne Revel, in Alain Badiou and Slavoj Žižek (eds), L'Idée du communisme, II. Conférence de Berlin, Fécamp: Nouvelles Editions Lignes, 2010, pp. 199-213. これは、2009年にロンドンで開催されたシンポジウムが書籍化された、The Idea of Communism(Verso, 2010;『共産主義の理念』コスタス・ドゥズィーナス+スラヴォイ・ジジェク編、長原豊監訳、沖公祐+比嘉徹徳+松本潤一郎訳、水声社、2012年6月)に続く、第二弾(2010年6月25~27日にベルリンで開催されたシンポジウムの記録『共産主義の理念Ⅱ』)に収録された発表論文かと思います。ちなみに第一弾『共産主義の理念』ではネグリの論考は「共産主義――概念と実践についての省察」と題されたものでした。『現代思想』臨時増刊号に収録されている諸論考については下記誌名のリンク先をご覧ください。



現代思想2017年6月増刊号 総特集=マルクスの思想――『資本論』150年
青土社 2017年5月 本体1900円 A5判並製278頁 ISBN978-4-7917-1345-5



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メモ(18)

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「文化通信」2017年5月22日付記事「アマゾンジャパン「バックオーダー」終了で出版社2000社余に説明会」で報道されている通り、今般のアマゾン通知についての出版社への説明会が先週から始まっています。曰く「4月21日に「バックオーダー発注」の終了を決定。同24日から、同社売り上げランキング上位20社ほどを書籍事業企画本部・種茂正彦本部長が直接訪問し、それ以外の上位50社ほどにも担当窓口などから説明を実施。/同28日には同社が年間1冊以上販売した出版社として登録されている約2500社から、出版社がアマゾンサイトの商品登録などを行う「ベンダーセントラル」の利用出版社と、名簿などで住所が確認できる出版社約2000社にメールもしくは郵送で通知送った。これに加え5月15日から説明会を開始。上位約600社には5月、それ以降についても順次案内している」。



弊社に届いているのは4月28日付のメール「重要なお知らせ:商品調達および帳合取次との取引に関する変更について」(アマゾンジャパン合同会社書籍事業部購買統括部)と、その後封書で届いた同名の書類で、後者ではここ3年間の日販経由取寄注文高(月次)一覧や、欠品率、リードタイム、日販での引当率を月次で数値化したもう一つの一覧と、全28頁のカラーパンフレット「Amazon.co.jp和書ストアの仕組み」が添えられています。カラーパンフの詳細については今は脇に置きます。おおざっぱに言えば「現状よりも直取引の方が売上を伸ばせるよ」という内容ですが、なんだまたそれの繰り返しかと呆れるのではなく、熟読が必要であることは言うまでもありません。


二枚の一覧について言えば数字だけ見せられても書名が分からないので中身の分析のしようがないです。そもそも一覧表をどうやって見るべきなのか、その「見方」がどこにもまとめられていません(せめて用語については「パンフの××頁を参照」とか書いてくれればいいのに)。これだけ送られてもただちに「アマゾンと直取引しなければ」とはなりにくいのではないかと想像します。アマゾンの考え方がこれでは伝わりませんし(アマゾン側としては説明したいことはパンフで尽きている、と言いたいのだろうことはよく伝わりますが)、こうした書類だけを機械的に送ってくるスタンスがいったいどういうものなのか理解に苦しみます。まあ分からなかったら電話してよ、パンフもよく読んでね、ということなのでしょうが、経験的に言えば電話したって分かりっこない感じがします。アマゾンは出版社が知りたいパンフ以外の情報のすべてを公開することまではできないでしょうから。


むしろ日販さんがこれらの「欠品率、リードタイム、引当率」について出版社に説明できることがあれば、日販さんと出版社との連携が強まるだろうと思います。アマゾンの説明会だけでは、日販は「言われっぱなし」になるのがオチです。対抗して説明会を持つというのも立場上難しいのかもしれませんけれども、日販にも出版社に説明するチャンスがあるべきではないかと思います。「新文化」5月17日付記事「日販の平林彰社長、業界3者の在庫「見える化」と「出荷確約」態勢に意欲」によれば、「5月16日、東京・水道橋の東京ドームホテルで行われた「2017年度日販懇話会」の挨拶のなかで、〔・・・〕今年7月に出版社と日販、書店の在庫情報を共有できるネットワークを構築したうえ、「見える化」と「出荷確約」した流通を目指す考えを打ち出した。また、12月には王子流通センターにweb-Bookセンターを統合する計画を発表した。「1冊を丁寧に売る構造に変え、少部数・少ロットで成立する出版流通モデルを志向していく」と話した」とのことですが、この手の懇話会が案内されるのは限られた出版社です。


この2017年度日販懇話会の様子については日販の本日付ニュースリリースで紹介されています。平林社長の冒頭挨拶で2016年度の売上高概況報告(概算)が次の通りあったと書かれています。「書籍・開発品の売上高が前年より若干上昇し、返品率も改善傾向にあるものの、雑誌の売上高は引き続き減少傾向にある〔・・・〕。さらに、書店や取次の経営を支える非正規雇用労働者の賃金上昇や、出版流通を支える運送会社におけるトラック運転手の高齢化や運賃収入減少といった輸配送問題が業界への逆風になっている〔・・・〕。/こうした状況を改善するには、大量生産・大量販売の構造から、1冊を丁寧に売ることができる構造へと、出版産業を変革していく必要がある〔・・・〕。日販が目指すSCM〔サプライ・チェーン・マネジメント〕の姿として、「見える化」と「確約」を掲げ、書店・出版社・日販の在庫の連携に取り組んでいく〔・・・〕」。



話を戻しますが、先の「文化通信」記事ではこうも書かれていました。「これだけ多くの出版社を対象に説明会を開くことについて種茂本部長は、「この決断については特定のところにだけお話しするというわけにはいかないと判断している。誤解や不安を払拭しなければならないと思っているので、できるだけ説明の機会をたくさん設けて、説明に伺いたいと思っている」と述べる」。バックオーダーの発注が終わる6月30日までに説明会が間に合うのは上位600社のみなのかどうか、今は分かりません。弊社が600位までには入っているかどうかもまた、微妙なところです(ちなみにアマゾンの2015年1年間での「和書および雑誌部門出版社別年間売上ランキング」は「新文化」2016年2月1日付記事「アマゾンJ、出版社別年間1位はKADOKAWA」にてPDFを見ることができます。参考までに、「新文化」では紀伊國屋書店の「2016年出版社別売上ベスト100社〈修正版〉」もPDFで公開されています。



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イベント続報:首都大講演、ゲンロンカフェ

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首都大での講演が明日に迫りました。発表用レジュメ(A4用紙7枚=A3用紙裏表2枚)をお配りします。前半では出版不況期の20年間を既成の出版社ではない「サブプレイヤーの台頭期」と位置づけて概説し、後半では読書論と書物論を通じて出版社の存在意義を見直します。質疑応答の時間もあるので、お越しの皆様と意見交換できれば幸いです。入場無料、予約不要です。


◎講演会「人文書出版と業界再編――出版社と書店は生き残れるか」



日時:2017年5月24日(水)16.20-18.00
場所:首都大学東京(南大沢)国際交流会館 中会議室
講師:小林浩(月曜社取締役・編集者)
司会:西山雄二(首都大学東京准教授)
料金:入場無料、事前予約不要



内容:出版業界は激動期に突入しています。自費出版社が中堅版元を吸収し、新古書店がセレクト書店チェーンを傘下におき、大手印刷会社が書店や出版社を次々に買収しています。ネット通販会社が取次の大株主となり、IT関連企業と大出版社が合併しました。電子出版はジャンルによっては紙媒体の売上を上回るようになり、ネット書店最大手の販売力はリアル書店最大手のそれを凌駕しています。リアル書店は書籍だけでは売上を維持できず、文具や雑貨の売場、カフェなどを併設するのが当たり前になりつつあり、このトレンドは図書館にまで影響を及ぼしています。紙媒体の雑誌は広告収入が減少し、専門書の初版部数もまた減少しています。もはや戦後の従来の体制を維持できなくなりつつある出版界で、出版社は、書店は、物流は、人文書は、どう変わっていくのでしょうか。著者や読者はそこにどう巻き込まれていくのでしょうか。出版界に明るい未来はあるのでしょうか。五里霧中とも言える不透明な業界再編の現実について、零細出版社の立場から証言し、展望します。そして、誰しもが納得しうる万能な解決策の提示ではなく、出版の、書物の原点を再確認したいと思います。(講師・記)



主催:首都大学東京人文社会系フランス語圏文化論教室 Tel:042 677 2205


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ゲンロンカフェさんでのトークイベントに多数のご予約をいただいたため(23日現在55名様)、57席から80席に増席されたそうです。皆様とお目に掛かれるのを楽しみにしております。辻山さんの著書『本屋、はじめました』(苦楽堂、2017年1月)や、辻山さんと竹田さんの発言が読める『これからの本屋』(書肆汽水域、2016年5月)、竹田さんが創刊された文芸誌「草獅子(そう・しし)」第1号(双子のライオン堂、2016年11月)などをお読みになっていただきますと、今回のイベントがより楽しめるのではないかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。



◎辻山良雄(Title)× 竹田信弥(双子のライオン堂)× 小林浩(月曜社)「出版不況が叫ばれるいま、なぜあえて本屋をはじめたのか」


日時:2017年5月31日(水)19:00-21:30
会場:ゲンロンカフェ(東京都西五反田1-11-9 司ビル6F)
料金:2,600円(前売券 1ドリンク付 ※当日、友の会会員証/学生証提示で500円キャッシュバック)


※友の会会員限定最前列席:2,600円(前売分 1ドリンク付、共有サイドテーブル・電源あり ※ キャッシュバックはありません ※複数予約される場合はお連れの方が会員でなくても結構です)


イベント概要:出版ベンチャーとして成長を続けるゲンロンが、出版業界・書店業界のこれからについて考えるイベントを行います。/すでに20年にわたり、出版業界全体の売上は落ち込み続けています。この間に倒産した出版社、閉店した書店は数え切れません。一方で、この厳しい状況のなか、希望を持ってこの業界で挑戦し続けている方々もいます。/話題の新刊『本屋、はじめました』の著者である辻山良雄さんは、長く全国のリブロで勤務した経験を活かし、本屋Titleの店主としてさまざまな試みを行っています。一方、もともとネット古書店として創業し現在は赤坂に実店鋪を構える双子のライオン堂の竹田信弥さんは、独特の選書サービスで読書家を魅了し続け、各方面で話題となっています。/そんな新しいタイプの本屋を運営するおふたりとともに、出版業界の状況について積極的な情報発信を行っている月曜社の小林浩さんをお迎えし、本を作り、本を売り続けるために必要なことは何か、さまざまな視点から考え、語り合っていただきます。


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取次搬入日確定:ソシュール『伝説・神話研究』

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ソシュール『伝説・神話研究』(金澤忠信訳、月曜社、2017年5月、本体3,400円、A5判上製248頁、ISBN978-4-86503-043-3; 「シリーズ・古典転生」第14回配本、本巻第13巻)の取次搬入日が決定しましたので、書店様にお知らせいたします。日販、トーハン、大阪屋栗田、以上三社すべて5月30日(火)です。書影も公開いたします。読者の皆様にお知らせいたします。書店店頭での発売は、おおよそ6月1日以降順次となる予定です。どのお店に配本されるかは、当ブログコメント欄や、電話、メールなどで地域を指定してお尋ねいただければお答えいたします。どうぞよろしくお願いいたします。


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シリーズ・古典転生


本巻1:第1回配本、2006年6月、本体3,400円
初期ストア哲学における非物体的なものの理論
エミール・ブレイエ著/江川隆男訳
※原著1908年刊。
※訳者長篇解題「出来事と自然哲学―非歴史性のストア主義について」


本巻2:第3回配本、2010年3月、本体3,800円
具体的なものへ――二十世紀哲学史試論
ジャン・ヴァール著/水野浩二訳
※原著1932年刊。


本巻3:第4回配本、2011年9月、本体3,200円
関係主義的現象学への道
エンツォ・パーチ著/上村忠男編訳
※日本語版オリジナル編集。


本巻4:第5回配本、2011年12月、本体3,600円
構造と生成Ⅰ――カヴァイエス研究
近藤和敬著


本巻5:第9回配本、2013年10月、本体3,200円
構造と生成Ⅱ――論理学と学知の理論について
ジャン・カヴァイエス著/近藤和敬訳
※原著1947年刊。
※訳者長篇解説「カヴァイエスの生涯と思想」


本巻6:第6回配本、2012年2月、本体3,800円
ヘーゲル弁証法とイタリア哲学――スパヴェンタ、クローチェ、ジェンティーレ
上村忠男編訳
※日本語版オリジナル編集。


本巻7:第7回配本、2012年3月、本体3,800円
ジョルダーノ・ブルーノの哲学――生の多様性へ
岡本源太著


本巻8:第8回配本、2013年10月、本体7,000円
カール・ヤスパースと実存哲学
ミケル・デュフレンヌ+ポール・リクール著/佐藤真理人ほか訳
※原著1947年刊。
※カール・ヤスパース「序文」。
※付録1:マルセル「カール・ヤスパースにおける根本状況と限界状況」
※付録2:リクール「カール・ヤスパースにおける哲学と宗教」


本巻9:第10回配本、2014年4月、本体3,500円
影像の詩学――シラー『ヴァレンシュタイン』と一義性の思考
青木敦子著

本巻10:第11回配本、2015年3月、本体3,700円
存在とロゴス――初期ハイデガーにおけるアリストテレス解釈
阿部将伸著


本巻11:第12回配本、2015年7月、本体3,200円
ヤスパース入門
ヴェルナー・シュスラー著/岡田聡訳
※原著1995年刊。


本巻12:第13回配本、2017年2月、本体3,600円
崇高の修辞学
星野太著


本巻13:第15回配本、2017年5月、本体3,400円
伝説・神話研究
フェルディナン・ド・ソシュール著/金澤忠信訳
※原著2003年刊。


本巻14:第14回配本、2017年5月、本体3,000円
ソシュールの政治的言説
金澤忠信著


別巻1:第2回配本、2010年2月、本体3,000円(品切)
ミクロコスモス――初期近代精神史研究 第1集
平井浩編


シリーズ連動企画(月曜社ウェブサイトにて2011年より連載中)
化学教程
ジャン= ジャック・ルソー著/淵田仁・飯田賢穂訳
※原著1747年作。


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注目新刊:ケック『流感世界』水声社、ほか

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流感世界――パンデミックは神話か?
フレデリック・ケック著 小林徹訳
水声社 2017年5月 本体3,000円 46判上製354頁 ISBN978-4-8010-0259-3


帯文より:レヴィ=ストロースの方法論を受け継ぐ気鋭の人類学者が描いた、パンデミック化したこの世界。「種の壁」を乗り越えるインフルエンザウイルスを、香港・中国・日本・カンボジアを股にかけて追跡し、ヒトと動物種とのあいだに広がる諸関係に新たな対角線をひく。ヒトが作り上げる〈社会〉のあり方を、《危機》への対応という観点から問い直す。


目次:
序論 動物疾病の人類学
第一章 バイオセキュリティをめぐる回り道
第二章 自然に面した衛生前哨地
第三章 家禽経営
第四章 仏教的批判
第五章 動物を開放すること
第六章 生物を生産すること
第七章 ウイルスの回帰――あるパンデミックの回想録
第八章 ドライとウェット――実験室の民族誌
結論 パンデミックは神話か?
謝辞/原註/訳註
訳者あとがき――パンデミックの神話論をめぐって


★発売済。叢書「人類学の転回」の第8回配本です。原書は『Un monde grippé』(Flammarion, 2010)です。著者のケック(Frédéric Keck, 1974-)はフランスの人類学者で哲学史家。第一章でケックは自らの人類学的教養の源泉を、アメリカの文化人類学(ボッズ、クローバー、ギアツ)と、フランスの社会哲学や心性史研究(コント、デュルケーム、フェーヴル、ブロック)から得ていると明かしています。また、著者が本書で神話という概念をパンデミックに適用する理由は次のように述べられています。「神話は、表象と現実の連環や、計算的な合理性と道徳的感情の連環より以上のものを含意している。この概念が提示するのは〔・・・〕「世界観」なのである。つまりそれは、共通の世界という地平に含まれるすべてのものを知覚させ、逆説的にこの世界を、それが常に脅かされてきたがゆえに、構築される前のものとして表象するものなのだ」(256頁)。


★そしてこうも著者は述べています。「本書において私が試みたのは、「神話の大地は丸い」というレヴィ=ストロースの断言を取り上げ直すことだったのだ。私は微生物学者たちを追いながら、ウイルスの起源に関する彼らの神話を共有していたが、彼らが国境を跨ぐときには、この神話の変換に注意を向け続けていた。微生物学者たちがウイルスは国境を知らないと言い続けるとしても、それでもなお、ウイルスについての社会的表象が意味をなすのは、歴史によって構成された国境を取り巻く文脈においてなのであり、ウイルスが国境を跨ぐときにこの表象が変換されたり反転したりするその在り方においてなのである」(263頁)。訳者は本書について「さまざまな観念が予感的に散りばめられた豊かな土壌となるべき書物である」(343頁)と評しておられます。科学人類学が有する越境的射程の魅力に溢れた本です。


★帯表4に記載されたシリーズ続刊予定には、クリス・ハン/キース・ハート『経済人類学』、マイケル・タウシグ『模倣と他者性』が挙がっています。また、水声社さんの2015年9月25日付「《叢書 人類学の転回》まもなく刊行開始!」に掲出された刊行予定のうちで未刊の書目には、アルフレッド・ジェル『アートとエージェンシー』、フィリップ・デスコラ『自然と文化を超えて』があります。



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★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。いずれも発売済です。


『現代思想2017年6月号 特集=変貌する人類史』青土社、2017年5月、本体1,400円、A5判並製230頁、ISBN978-4-7917-1346-2
『なぜ世界中が、ハローキティを愛するのか――“カワイイ”を世界共通語にしたキャラクター』クリスティン・ヤノ著、久美薫訳、作品社、2017年5月、本体3,600円、46判上製526頁、ISBN978-4-86182-593-4
『カネと暴力の系譜学』萱野稔人著、河出文庫、2017年5月、文庫判208頁、ISBN978-4-309-41532-1
『澁澤龍彦ふたたび』河出書房新社編集部編、河出書房新社、2017年5月、本体1,300円、A5判並製224頁、ISBN978-4-309-97918-2
『増補新版 ブラック・マシン・ミュージック――ディスコ、ハウス、デトロイト・テクノ』野田努著、河出書房新社、2017年5月、本体4,300円、46判上製512頁、ISBN978-4-309-27846-9



★『現代思想2017年6月号 特集=変貌する人類史』は中沢新一さんと山極寿一さんの討議「「人類史」のその先へ」をはじめ、日本人研究者のインタヴューや寄稿が充実しています。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。次号(2017年7月号)の特集は「宇宙への旅」と予告されており、昨年末『宇宙倫理学入門』(ナカニシヤ出版、2016年12月)を上梓された稲葉振一郎さんが三浦俊彦さんと討議されるようです。


★『なぜ世界中が、ハローキティを愛するのか』の原書は『Pink Globalization: Hello Kitty's Trek across the Pacific』(Duke UNiversity Press, 2013)。原題にある「ピンクのグローバリゼーション」とは日本の《カワイイ》をめぐるカルチャーの世界的な伝播と受容を表わすもの。ハワイ大学の人類学教授によるサンリオ研究であり、ユニークです。なお著者には、本書の訳者でもある久美薫さんによる既訳書『パン・アメリカン航空と日系二世スチュワーデス』(原書房、2013年)があります。


★最後に河出書房新社さんの今月新刊より3点をご紹介します。『カネと暴力の系譜学』はシリーズ「道徳の系譜」の単行本を文庫化したもの。文庫化にあたり、國分功一郎さんが解説「理論的であること」を寄せておられます。なお、同シリーズから文庫化された本には酒井隆史『暴力の哲学』(単行本2004年;文庫2016年)があります。


★『澁澤龍彦ふたたび』は「文藝別冊・KAWADE夢ムック」の新刊。編集後記によれば「2002年に「文藝別冊」で澁澤特集を編み、2013年にその増補新版を出した。今回、歿後30年という節目にあらためて澁澤とこの時代の通路をひらくべく新たに別冊を編んだ」とのことです。東雅夫さんによるアンソロジー「掌上のドラコニア――澁澤龍彦による澁澤龍彦」のほか、『現代思想』にも登場されていた中沢新一さんが「水の発見」という論考を寄稿されています。


★『増補新版 ブラック・マシン・ミュージック』は2001年に刊行された長大なクラブミュージック論の新版で、巻末に書き下ろしとなる「16年目のブラック・マシン・ミュージック」が収録されています。「日の当たらないところには、明るい場所にはない力強い繋がりがある」(488頁)。「チャート・ミュージックではないのにかかわらず、途絶えることなく拡大し続けている」ものの力。巻頭に置かれた「ビギン・トランスミッション」にはこう書かれていました。「ディスコ、ハウス、あるいはテクノ、これらアンダーグラウンド・ミュージックは、世界の周辺に住むひとたちが、世界の秩序から隔離された場所で繰り広げてきたものだ。なるだけ世界の痛みから遠ざかろうとする感情が、最初この音楽の根底にはあった。が、この音楽はときを経て、世界を不透明にするシステムに牙をむきはじめた」(12頁)。「ぼくはこの本でなるだけ彼らの背景や考え、その変遷を伝えようと努めている。今や世界中の若者を虜にしているダンス・カルチャーの原風景を見つめ、彼らのやってきたことを歴史的に追い、現在やっていることの意義を読者に問いたいと思う」(13頁)。


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取次搬入日確定:荒木経惟『私情写真論』

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荒木経惟『私情写真論』(月曜社、2017年6月、本体1,500円、46判並製256頁、ISBN978-4-86503-048-8)の取次搬入日が決定しましたので、書店様にお知らせいたします。日販、トーハン、大阪屋栗田、以上三社すべて6月2日(金)です。書影も公開いたします。読者の皆様にお知らせいたします。書店店頭での発売は、おおよそ6月6日以降順次となる予定です。どのお店に配本されるかについては、当ブログコメント欄や、電話、メールなどで地域を指定してお尋ねいただければお答えいたします。どうぞよろしくお願いいたします。


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メモ(19)

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武久出版株式会社さんの2017年05月31日付プレスリリース「図書新聞の発行」に衝撃を受けました。「2017年6月1日より、週刊書評紙『図書新聞』の発行が武久出版株式会社に移管武久出版株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:加藤啓・菅原秀宣)は、2017年6月1日付で株式会社図書新聞からの移管を受けて、以降、週刊書評紙『図書新聞』の刊行・発売をいたします。〔・・・〕創業以来六〇余年、一貫して知のトレンドを練り続け、ラジカリズムに徹した辛口の本格批評をお届けしてきました。武久出版は、この灯を絶やすことなく伝えつつ、日本の知および出版のなりわいに資するべく、『図書新聞』の一層のブラッシュアップを図っていく所存です」と。


書評紙と言えば「図書新聞」さんと「週刊読書人」が有名ですが、自社経営が困難となる時代にもはや突入していたのだと見るべきでしょうか。仄聞するところによると、株式会社図書新聞は今後、書籍事業のみとなるようです。


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注目新刊:『メルロ=ポンティ哲学者事典』第二巻、ほか

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『メルロ=ポンティ哲学者事典 第二巻 大いなる合理主義・主観性の発見』モーリス・メルロ=ポンティ編著、加賀野井秀一/伊藤泰雄/本郷均/加國尚志監訳、白水社、2017年5月、本体5,400円、A5判上製382頁、ISBN978-4-560-09312-2
『タラウマラ』アントナン・アルトー著、宇野邦一訳、河出文庫、2017年6月、本体800円、文庫判224頁、ISBN978-4-309-46445-9



★『メルロ=ポンティ哲学者事典 第二巻 大いなる合理主義・主観性の発見』は、第2回配本。目次は以下の通り。スラッシュで区切ってある一群は書き手のイニシャルが付された小項目です。


Ⅳ 大いなる合理主義(モーリス・メルロ=ポンティ)
大いなる合理主義(17世紀):ガリレイ/ベーコン/ホッブズ/デカルト
ベーコン(アンドレ・ラランド)
ホッブズ(レイモン・ポラン)
デカルト(フェルディナン・アルキエ)
ガッサンディ/メルセンヌ/ラ・フォルジュ/コルドモワ/ユエ/クラウベルク/ゲーリンクス/アルノー/レジス/
スピノザ(ロラン・カイヨワ)
スピノザ/ラミ/ブーランヴィリエ/ドルトゥス・ド・メラン/マルブランシュ/ベルナール・ラミ/フェデ/アンドレ
マルブランシュ(フェルディナン・アルキエ)
ライプニッツ(イヴォン・ベラヴァル)
ライプニッツ/ヴォルフ
ロック(レイモン・ポラン)
ディグビー/ジョン・スミス/カドワース/モア/ロック/ロシュ/ニュートン/クラーク/コリンズ/ベール/フォントネル
18世紀の合理主義(ジャン・スタロバンスキー)
モンテスキュー/ヴォーヴナルグ/ヴォルテール/ディドロ/ダランベール/ラ・メトリ/エルヴェシウス/ドルバック/ビュフォン/ボスコヴィチ/ケネー
コンディヤックと観念学:コンディヤック/ハートリー/ボネ/カバニス/デステュット・ド・トラシ
Ⅴ 主観性の発見(モーリス・メルロ=ポンティ)
16世紀:ラブレー/タロン/モンテーニュ
モンテーニュ(ジャン・スタロバンスキー)
パスカル(ジョルジュ・ギュスドルフ)
17世紀:デカルト/パスカル
18世紀:シャフツベリ/マンデヴィル/ビュフィエ/コリアー/バークリー
バークリー(T・E・ジェソップ)
ハチソン/ユベール/ヒューム
ヒューム(ギルバート・ライル)
ヘルムステルホイス/アダム・スミス/リード/サン=マルタン
コンディヤック(ジョルジュ・ル・ロワ)
ルソー(ピエール・ビルジュラン)
カント(ジュール・ヴュイユマン)
カント/レッシング/ヘルダー/ヤコービ/マイモン
フィヒテ(ジュール・ヴュイユマン)
19世紀:フィヒテ/ゲーテ/シラー/フリース/ヘルバルト/ショーペンハウアー/ブーストレム/スチュワート/ブラウン/ハミルトン/ミル/ニューマン
メーヌ・ド・ビラン(ジョルジュ・ル・ロワ)
ビシャ/メーヌ・ド・ビラン/ラロミギエール/ロワイエ=コラール/アンペール/ジュフロワ/クザン/ボルダス=ドゥムラン/マレ/グラトリー/ヴァシュロ/シモン/ジャネ/テーヌ/ルキエ/ロスミーニ=セルバーティ/ジョベルティ/マッツィーニ/キルケゴール
キルケゴール(ジョルジュ・ギュスドルフ)
エマーソン/アミエル/スクレタン/マッハ/アヴェナリウス
19世紀の終わりと批判主義の復活:ルヌヴィエ/カントーニ/コーエン/ナトルプ/ヴィンデルバント/リッケルト/フォルケルト/バウフ/リーベルト/ヘフディング/ラシュリエ/ラニョー/ブロシャール/アムラン/セアイユ/フイエ/デュナン/パロディ
索引


★第3回配本は7月27日発売予定、第1巻『東洋と哲学・哲学の創始者たち・キリスト教と哲学』とのことです。


★アルトー『タラウマラ』は6月6日発売。河出文庫のアルトー作品は『神の裁きと訣別するため』(宇野邦一/鈴木創士訳、2006年7月、品切)、『ヘリオガバルス――あるいは戴冠せるアナーキスト』(鈴木創士訳、2016年8月)に続いて3点目になります。奥付前の特記によれば「本書は『アルトー後期集成I』(河出書房新社、2007年)所収の『タラウマラ』を改訂の上、文庫化したもの」と。訳者による「解説」の末尾にはより詳しくこう説明されています。「この訳書は、『アルトー後期集成I』の中のタラウマラ関連の文章に、未訳の書簡三通を付け加えたものである。収録にあたって訳文を再検討し、できるだけ誤りをただすようにした」。この書簡三通というのは「タラウマラ族に関する手紙」において追加されたもので「ポケット版(Idées / Folio essais)には、ポーラン宛の三つの書簡(1937年5~6月)が増補されているので、本書にはそれも訳出した」と記されています。



★ご参考までに本書の目次を以下に列記します。


タラウマラ族におけるペヨトルの儀式
タラウマラの国への旅について
 記号の山
 ペヨトルのダンス
 アンリ・パリゾーへの手紙
トゥトゥグリ
『エル・ナシオナル』に掲載されたタラウマラ族に関する三つのテクスト
 東方の三博士の国
 自然はみずからの円環において……
 ある原理-種族
 アトランティス王たちの儀式
『ヴヮラ』掲載されたテクスト
 失われた人々の種族
『タラウマラの国への旅』の補遺
 付録
ペヨトルに関する一注釈
タラウマラ族に関する手紙
訳注
解説


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★このほか、最近では以下の新刊との出会いがありました。


『西洋美術の歴史(8)20世紀 越境する現代美術』井口壽乃/田中正之/村上博哉著、中央公論新社、2017年5月、本体3,800円、B6判上製600頁、ISBN978-4-12-403598-8
『異貌の同時代――人類・学・の外へ』渡辺公三・石田智恵・冨田敬大編、以文社、2017年5月、本体4,600円、A5判上製650頁、ISBN978-4-7531-0340-9
『クリストファー・ノーランの嘘――思想で読む映画論』トッド・マガウアン著、井原慶一郎訳、フィルムアート社、2017年5月、本体3,200円、四六判上製520頁、ISBN978-4-8459-1622-1
『ソヴィエト・ファンタスチカの歴史』ルスタム・カーツ著、梅村博昭訳、共和国、2017年6月、本体2,600円、菊変型判並製280頁、ISBN978-4-907986-41-4
『夜明けの約束』ロマン・ガリ著、岩津航訳、共和国、2017年6月、本体2,600円、菊変型判並製336頁、ISBN978-4-907986-40-7



★『西洋美術の歴史(8)20世紀 越境する現代美術』は同シリーズ全8巻の最終回配本。20世紀を扱う最終巻の構成は、序章「20世紀西洋美術史を語るために」、第1章「抽象芸術の成立と展開」、第2章「イメージと物」、第3章「第二次世界大戦後の抽象芸術」、第4章「現代生活と美術」、第5章「身体表象と20世紀美術」、第6章「美術と政治」、第7章「美術とさまざまなメディア」、となっています。なおシリーズ完結を記念して今月、よみうりカルチャー大手町にて、同シリーズの執筆者4氏による連続講演会「『西洋美術の歴史』完結記念講座」全4回が開催されるそうです。詳細はリンク先をご覧ください。



★『異貌の同時代』は文化人類学者・渡部公三さんの退官予定を見据えて企画された論文集ですが、いわゆる「退官記念論文集」然としたものではなく、「関係者の論文を寄せ集めただけの「記念」論文集にはしたくないという思い」から編まれた意欲的な論文集で、ポール・デュムシェル(第9章「知覚、感覚、感情、アフォーダンス」近藤宏訳)、マルセル・エナフ(第18章「他者とともに生きる――レヴィ=ストロースあるいは他者性と互酬性」渡辺公三訳)、そして最近水声社から初訳書『流感世界』が出たばかりのフレデリック・ケック(第19章「クロード・レヴィ=ストロースの陰画的エコロジー」泉克典訳)といった翻訳も収録されています。


★マガウアン『クリストファー・ノーランの嘘』の原書は『The Fictional Christopher Nolan』(University of Texas Press, 2012)。帯文によれば「『フォロウィング』から『インターステラー』まで、作品内で巧みに仕組まれた観客を欺く構造を、ヘーゲル哲学やラカンは精神分析で徹底的に読み解く」というもの。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。著者のマガウアン(Todd McGowan, 1967-)はバーモント大学准教授。ご専門は映画研究と文化理論で、ジジェクに近い立場の研究者かとお見受けしました。本書が初めての訳書で、未訳ですがデイヴィッド・リンチ論なども上梓されています。本書は本格的なノーラン研究本としても本邦初だそうです。巻末には中路武士さんによる詳細なノーラン作品解題が併載されています。


★カーツ『ソヴィエト・ファンタスチカの歴史』と、ガリ『夜明けの約束』は共和国さんの新シリーズ「世界浪漫派」の二冊同時初回配本です。巻頭にはフリードリッヒ・シュレーゲルの言葉「小説〔ロマン〕とは、ロマン的な書物のことである」が掲げられています。前者の原書は2013年刊の改訂第4版。凡例によれば「ファンタスチカ」とは現代ロシアにおいて、SFおよび幻想文学全般を指す言葉だそうです。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。カバーには「鎌とハンマー」の抜き型加工が施されていますが、これはロシア革命100周年記念で、初版のみの仕様とのこと。帯文にある「ソルジェニーツィンの『イワン・デニーソヴィッチ』は月面開発の物語」という文言に吃驚しましたが(詳細は162頁以降)、読者諸姉兄に一言だけ申し上げておくと、この本を楽しむためには絶対に訳者解説から読んではダメですし、訳者解説を読まずに終えるのも(たぶん)危ういです。


★後者『夜明けの約束』の原著は1960年刊。帯文に曰く「史上唯一、ゴンクール賞を2度受賞した作家で外交官、女優ジーン・セバーグの伴侶にして、拳銃自殺を遂げたロマン・ガリ。その代表作であり、戦後フランスを象徴する自伝小説の白眉、ついに刊行」と。2度の受賞作というのは、『自由の大地』(原著1956年刊;日本語訳上下巻、ロオマン・ギャリィ著、岡田真吉/澁澤龍彦訳、人文書院、1959年;『世界動物文学全集』第9巻所収、講談社、1979年;『澁澤龍彦翻訳全集』第4巻所収、河出書房新社、1997年)と、『これからの一生』(エミール・アジャール名義、原著1975年;日本語訳、荒木亨訳、早川書房、1977年)のこと。なお、同作品はエリック・バルビエ監督によって映画化されるそうで、年末(2017年12月)にフランスで上映決定なのだそうです。



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メモ(20)

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さいきん多くの反響を呼んでいるらしい風刺動画の原作はMoby & The Void Pacific Choirの楽曲「Are You Lost In The World Like Me?」(こちらは昨年10月に公開され500万回以上再生されており、公式動画を下段に掲出します)で、アニメーターはSteve Cuttsさん。風刺画の名手です。自然と人間の関係性を題材にした動画作品「MAN」も公式から掲出しておきます。




脱構築研究会イベント@新潟大学および慶応大三田

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★西山雄二さん(訳書:デリダ『条件なき大学』、共訳:『ブランショ政治論集』)
★宮崎裕助さん(共訳:ド・マン『盲目と洞察』)
★渡名喜庸哲さん(共訳:サラ-モランス『ソドム』)
★郷原佳以さん(共訳:『ブランショ政治論集』)


第26回 新潟哲学思想セミナー(NiiPhiS)
アーレント研究会&脱構築研究会共催企画
ポスト・トゥルース時代における「嘘の歴史」─アーレントとデリダから出発して
日時 2017年6月23日(金) 16:30~19:00
場所 新潟大学 五十嵐キャンパス 総合教育研究棟 D棟1階 大会議室
 *入場無料、事前予約不要。お気軽にご参加ください。
第1部 16:30~17:55
西山雄二(首都大学東京)「デリダ『嘘の歴史 序説』の概要と問題提起」
阿部里加(一橋大学)「「嘘をつくこと」と「理解すること」──デリダとアーレントのアウグスティヌス解釈の違いを中心に」
三浦隆宏(椙山女学園大学)「嘘にとり憑かれた政治と〈感覚〉の狂い──デリダ、アーレント、カントの三叉路」
第2部 18:10~19:00 *延長の場合あり
全体討議&フリートーク   司会:宮﨑裕助(新潟大学)


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シンポジウム「デリダと宗教的なもの」
2017年7月15日(土)12.30-17.00
慶應義塾大学(三田キャンパス)東館8階ホール(東門付近)
主催:脱構築研究会 入場無料、事前予約不要

第1部​「信じることと赦すこと」12.30-14.45 
司会:宮崎裕助(新潟大学) 日本語使用
『赦すこと』​守中高明(早稲田大学)
『信と知』​長坂真澄(群馬県立女子大学)
『最後のユダヤ人』​渡名喜​庸哲(慶應義塾大学)
『嘘の歴史 序説』​西山​雄二(首都大学東京)
コメント=佐藤啓介(南山大学)、郷原​佳以(東京大学)

第2部​「デリダにおける「ユダヤ性」」15:00-17:00 
司会:西山雄二 ​フランス語使用(日本語訳配布、通訳付)
ジョゼフ・コーエンJoseph Cohen(ユニバーシティ・カレッジ・ダブリン) ​
ラファエル・ザグリ=オルリRaphael Zagury-Orly(イスラエル・ベツァルエル美術デザイン学院)
共同講演「哲学が別の仕方で方向づけられるとき」 Lorsque la philosophie est orientée autrement.
コメント=鵜飼​哲(一橋大学)


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本日より一部書店にて先行発売:吉田昌平『新宿(コラージュ)』

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森山大道『新宿』(月曜社、2002年)を全編コラージュした、吉田昌平さんの『新宿(コラージュ)』(本体5,800円、ISBN978-4-909242-00-6)が内沼晋太郎さん率いるnumabooksの書籍出版第一弾として刊行されました。本日(2017年6月8日)より一部書店にて販売が開始されています。全国書店での一般発売は7月上旬からの予定。詳しくは書名のリンク先をご覧ください。また、吉田さんと森山さんの対談「無限にコピーされる街 ――『新宿(コラージュ)』をめぐって」が今週より「DOTPLACE」にて公開されています。併せてご覧ください。


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注目新刊:キャロル『セレンゲティ・ルール』紀伊國屋書店、ほか

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★まず先月発売の新刊でこれまで言及できていなかった新刊の中で特に注目している本を以下に列記します。


◎2017年5月刊行
02日『哲学としての美学――“美しい”とはどういうことか』ギュンター・ペルトナー著、渋谷治美監訳、中野裕考+中村美智太郎+馬場智一+大森万智子訳、晃洋書房
12日『ラテン語を読む――キケロー「スキーピオーの夢」』山下太郎著、ベレ出版、2017年5月、本体2,900円、A5判並製368頁、ISBN978-4-86064-510-6
12日『シャルリ・エブド事件を読み解く――世界の自由思想家たちがフランス版9・11を問う』ケヴィン バレット編著、板垣雄三訳、第三書館
14日『観念に到来する神について』新装版、エマニュエル・レヴィナス著、内田樹訳、国文社
15日『最後の人間からの手紙――ネオテニーと愛、そしてヒトの運命について』ダニ=ロベール・デュフール著、福井和美訳、書肆心水
22日『自己意識と他性――現象学的探究』ダン・ザハヴィ著、中村拓也訳、法政大学出版局
24日『キリスト教教父著作集(2/Ⅱ)エイレナイオス(2)異端反駁(Ⅱ)』エイレナイオス著、大貫隆訳、教文館
25日『ニーベルンゲンの歌』岡﨑忠弘訳、鳥影社
26日『ミルトン・エリクソンの催眠の経験――変性状態への治療的アプローチ』ミルトン・H・エリクソン/アーネスト・L・ロッシ著、横井勝美訳、金剛出版
26日『私たちのなかの私――承認論研究』アクセル・ホネット著、日暮雅夫+三崎和志+出口剛司+庄司信+宮本真也訳、法政大学出版局
27日『本棚の歴史』新装復刊版、ヘンリー・ペトロスキー著、池田栄一訳、白水社
30日『ボディ・スタディーズ――性、人種、階級、エイジング、健康/病の身体学への招待』マーゴ・デメッロ著、田中洋美監訳、兼子歩+齋藤圭介+竹﨑一真+平野邦輔訳、晃洋書房


★山下太郎『ラテン語を読む』はキケローの著作『国家について』の最終巻である「スキーピオーの夢」のラテン語原文、全文訳(直訳調)、現代語訳を掲出するだけでなく、原文を文章のまとまりごとに分け、それぞれの訳文を示した上で構成する一語ずつすべてについても語義と文法の解説を加え、さらに復習用の逐語訳を付す、という体裁の本です。原文は10頁強を占めるに過ぎませんが、じっくりと原典に向き合うことができ、独習者向けの親切な一冊です。著者の山下さんは東京、名古屋、京都を中心にラテン語講習会を精力的に続けられています。


★次に今月刊行済の新刊で未言及のものから注目書をピックアップします。これらのいくつかはあらためて後日触れるつもりです。

◎2017年6月
08日『西洋の没落(Ⅰ)(Ⅱ)』シュペングラー著、村松正俊訳、2017年6月、本体1,800円/1,600円、新書判並製384頁/288頁、ISBN978-4-12-160174-2/ISBN978-4-12-160175-9
09日『プラトーン著作集 第10巻書簡集・雑編 第1分冊 エピノミス/書簡集』水崎博明訳、櫂歌書房
09日『プラトーン著作集 第10巻書簡集・雑編 第2分冊 雑編』水崎博明訳、櫂歌書房
09日『フランス・ルネサンス文学集(3)旅と日常と』宮下志朗+伊藤進+平野隆文編訳、斎藤広信+篠田勝英+高橋薫訳、白水社
11日『新訳ベルクソン全集(7)思考と動くもの』竹内信夫訳、白水社
12日『ハイデガー『存在と時間』を読む』サイモン・クリッチリー/ライナー・シュールマン著、スティーヴン・レヴィン編、串田純一訳、法政大学出版局
13日『道徳哲学史』バルベラック著、門亜樹子訳、京都大学学術出版会 (近代社会思想コレクション20)


★さらに、これから月内に発売予定の注目新刊も掲出しておきます。今月は見逃せない重要作が続々と登場します。


15日『終わりなき対話(Ⅱ)限界-経験』モーリス・ブランショ著、湯浅博雄+上田和彦+岩野卓司+大森晋輔+西山達也+西山雄二訳、筑摩書房
21日『精神の革命――ラディカルな啓蒙主義者と現代民主主義の知的起源』ジョナサン・イスラエル著、森村敏己訳、みすず書房
22日『ミシェル・フーコー講義集成(3)処罰社会 コレージュ・ド・フランス講義1972-1973年度』八幡恵一訳、筑摩書房
28日『キマイラの原理――記憶の人類学』カルロ・セヴェーリ著、水野千依訳、白水社
29日『死刑Ⅰ(ジャック・デリダ講義録)』高桑和巳訳、白水社
30日『ラディカル無神論――デリダと生の時間』マーティン・ヘグルンド著、吉松覚+島田貴史+松田智裕訳、法政大学出版局


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★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。


『セレンゲティ・ルール――生命はいかに調節されるか』ショーン・B・キャロル著、高橋洋訳、紀伊國屋書店、2017年6月、本体2,200円、46判上製346頁、ISBN978-4-314-01147-1
『斎藤昌三 書痴の肖像』川村伸秀著、晶文社、2017年6月、本体5,500円、A5判上製504頁+カラー口絵8頁、ISBN978-4-7949-6964-4



★キャロル『セレンゲティ・ルール』はまもなく発売(15日頃)。原書は『The Serengeti Rules: The Quest to Discover How Life Works and Why It Matters』(Princeton University Press, 2016;書名のリンク先で著者の動画もご覧になれます)です。著者のショーン・B・キャロル(Sean B. Carroll, 1960-)はウィスコンシン大学マディソン校教授で、エボデボ(進化発生生物学)の第一人者。単独著の既訳書に『シマウマの縞 蝶の模様――エボデボ革命が解き明かす生物デザインの起源』(渡辺政隆+経塚淳子訳、光文社、2007年)、共著では『DNAから解き明かされる形づくりと進化の不思議』(Jennifer K.GrenierおよびScott D.Weatherbeeとの共著、上野直人+野地澄晴監訳、羊土社、2003年)があります。



★今回翻訳された『セレンゲティ・ルール』は彼の最新著。「さまざまな種類の分子や細胞の数を調節する分子レベルのルールが存在するのと同じように、一定の区域で生息可能な動植物の個体数を調節するルールが存在する」(18~19頁)ことを発見した著者は、この生態系レベルのルールをタンザニアのセレンゲティ国立公園にちなんで「セレンゲティ・ルール」と呼んでいます。訳者の高橋さんは巻末の訳者あとがきでこう指摘されています。「生態系の破壊は、言うまでもなく今日の大問題の一つであり、本書を読めば、生命や生態系の基盤となる調節の論理を無視した人間の営みによって予期せぬ破局が引き起こされ得るという環境倫理の問題を、具体例を通じて十分に理解できるはずである」(298頁)。地球の行く末を真剣に案じている読者は本書から大きな示唆を得られるはずです。


★著者はこう述べています。「もっとも差し迫った課題とは、私たちが住む世界の健康が蝕まれていることを、そして他の生物はもちろん、人間の生活をも支えている地球の生態系が、それによっていかなる影響を受けているかを理解することなのだ。〔・・・〕20世紀の標語が「医療による生活向上」であったとすれば、21世紀の標語は「環境保全による生活向上」というものになろう」(274頁)。さらにこうも述べます。「本書を執筆した同期の一つは、長期的な見通しを必要とし、不可能とすら思えるほど複雑で困難な挑戦であっても、これまで何度も克服されてきたという事実を示したかったことである。〔・・・〕メンドータ湖、イエローストーン、ゴンゴローザにおける成果は、特定の種の再生、生息環境の改善、さらには荒廃した生態系の再生すら可能であることを示す。今こそ私たちは態度を改めるべきだ」(276頁)。


★川村伸秀『斎藤昌三 書痴の肖像』は発売済。カバーソデ紹介文に曰く「大正・昭和の書物文化興隆期に、奇抜な造本で書物愛好家たち垂涎の書籍を作り上げたことで知られている書物展望社。その社主であり、自らも編集者・書誌学者・蔵票研究家・民俗学者・俳人・郷土史家と多彩な顔を持っていた斎藤昌三(1887-1961)の足跡を丹念に調べ直し、その人物像と同時代の作家・学者・画家・趣味人たちとの交友とを鮮やかに描き出した画期的な労作。今では貴重な傑作装幀本の数々をカラー頁を設けて紹介。詳細な年譜・著作目録も付す」と。カバーにはさらに仕掛けもあって、裏返しても使えるものとなっています(店頭にて現物をご確認いただくことをお薦めします)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。カラーグラビア「ゲテ装本・書物展望社本、少雨荘の本」はただただその美しさにため息が出ます。


★類書には八木福次郎『書痴斎藤昌三と書物展望社』(平凡社、2006年)があります。また、晶文社さんでは出版人列伝として近年では、カルロ・フェルトリネッリ『フェルトリネッリ――イタリアの革命的出版社』(麻生九美訳、晶文社、2011年、ISBN978-4-7949-6756-5)も刊行されており、話題を呼びました。さらに同社では国内の出版人や書店員の様々な自伝的著作を出されていることも周知の通りかと思います。なお、晶文社さんの近刊書として、松岡正剛×ドミニク・チェン『謎床――思考が発酵する編集術』(晶文社、2017年7月上旬発売、本体1,700円、四六判並製360頁、ISBN978-4-7949-6965-1)が予告されています。たいへん楽しみです。



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新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる本屋さん

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2017年7月7日(金)
ブックファースト六本木店:図書120坪
東京都港区六本木6-1-24 ラピロス六本木 1F

トーハン帳合。弊社へのご発注は芸術書主要書と人文書少々。トーハン傘下の株式会社ブックファーストは、2017年4月1日付で、株式会社あおい書店の6店舗(中野本店、六本木店、高田馬場店、横浜店、川崎駅前店、西院店)を事業承継。横浜店は4月26日(水)に「ブックファースト横浜西口店」(ダイエー横浜西口店5~6階)として再スタートしており、弊社でも最近ご注文をいただくようになりました。来月リニューアルオープンする六本木店は、日比谷線六本木駅直結の好立地。ブックファーストの代表取締役社長・庄司和人さんのお名前が記載された挨拶文によれば、「〔あおい書店としては〕5月20日をもって一時休業し、大幅な改装」の真っ最中で、「店舗イメージを一新するとともに、MDを強化し、最先端の情報・文化に触れている六本木のお客様にこれまで以上にご指示いただける、魅力的な売場を構築していきます」とのことです。



周知の通りブックファーストは「渋谷文化村通り店」を今月(2017年6月)4日で閉店。2007年10月の開業ですから、10周年まであと少しでした。同店は「ヴィレッジヴァンガード渋谷本店」として7月14日(金)に生まれ変わる予定です(今のところ弊社へのご発注は確認できません)。旭屋書店だったころがもはや遠い昔の話になってしまいました。



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一方、池袋駅直結の駅ビル「Esola」4Fで今月末(6月30日)、ドトールコーヒーと「かもめブックス」さんのプロデュースするブックカフェ「梟書茶房」が開店します。大阪屋栗田帳合。弊社へのご発注は、秘密にしておきます。なぜかと言うと、大阪屋栗田さんによる《書店販促お役立ち情報サイト》である「Oak Press」の6月2日付記事「6月末「本と珈琲 梟書茶房(フクロウ ショサボウ)」OPEN!【東京都 池袋】」によれば、同店の特徴として三店が掲出されており、その筆頭が「シークレットブック」といって、「店頭の約3,000冊の書籍のうち、販売する約2,000冊の書籍はすべて袋綴じの『シークレットブック』。梟書茶房オリジナルブックカバーで包まれた書籍は、表紙の紹介文と自分のインスピレーションで新たな読書体験を生み出します」とのことだからです。



また、同記事によれば「132席の店内は「珈琲と食事を楽しむ、読書と珈琲を楽しむ、物思いに耽る、お喋りする」をテーマに、その日の気分で使い分けられるように、4つの空間に分けてデザインしています」とのこと。同店の経営母体はメトロプロパティーズ。選書はかもめブックスの柳下恭平さんです。メトロプロパティーズのプレスリリースPDFはこちら。


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7月上旬新刊:ロゴザンスキー『我と肉』

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2017年7月6日取次搬入予定 *人文・現代思想


我と肉――自我分析への序論
ジャコブ・ロゴザンスキー著 松葉祥一/村瀬鋼/本間義啓訳
月曜社 本体4,800円 A5判上製480頁 ISBN978-4-86503-047-1


アマゾン・ジャパンで予約受付中


私とは何か――。その問いは今もなお古びてなどいない。ハイデガーの存在論とラカンの精神分析を批判的に乗りこえ、より根源的な自我の思想へとまっすぐに錨を下ろす、ラディカルな哲学。シリーズ・古典転生、第16回配本、本巻15。


目次:序論/第一部 自我殺しに抗して/第二部 デカルトへの回帰/第三部 自我分析への序論/文献一覧/事項・人名索引


ジャコブ・ロゴザンスキー(Jacob Rogozinski):1953年生。フランスの哲学者。ストラスブール大学哲学科教授。邦訳論文が複数あるが、著書は本書が本邦初訳。このほかカント、デリダ、ドゥボール、アルトーらに関する著書(いずれも未訳)がある。


松葉祥一(まつば・しょういち):1955年生。同志社大学嘱託講師。専門は哲学、倫理学。著書に『哲学的なものと政治的なもの』(青土社、2010年)ほか。
村瀬鋼(むらせ・こう):1965年生。成城大学文芸学部教授。専門は哲学、倫理学。
本間義啓(ほんま・よしひろ):1978年生。成城大学非常勤講師。専門は哲学。


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ブックフェア「這いまわる思考」@紀伊國屋書店新宿本店3F

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◎ブックフェア「這いまわる思考」(『こびとが打ち上げた小さなボール』刊行記念)


期間:2017年6月5日(月)~6月30日(金) ※7月上旬まで延長の可能性あり。
場所:紀伊國屋書店新宿本店3階、I-28棚


チョ・セヒ『こびとが打ち上げた小さなボール』(河出書房新社、2016年12月)の刊行を記念し、翻訳者・斎藤真理子さんと紀伊國屋書店新宿本店3Fブックフェア委員会との共同選書フェアが行なわれており、好評を博していると聞きます。「韓国の文化や思想はもちろん、障害者運動や反差別運動、労働運動、移民の権利運動など、国を越えて各地で展開される地面からの抵抗の歴史を紹介します」という意欲的なもの。斎藤さんの選書23冊と委員会の41冊、合計で64冊が展開されています。弊社の既刊書、申鉉準(シン・ヒョンジュン)ほか『韓国ポップのアルケオロジー――1960-70年代』(平田由紀江訳、月曜社、2016年2月)や、ジャン・ジュネ『公然たる敵』(アルベール・ディシィ編、鵜飼哲・梅木達郎・根岸徹郎・岑村傑訳、月曜社、2011年3月)も並べていただいています。


斎藤さんのエッセイ「蹴散らされた人々の声」と64冊への選書コメントを掲載したパンフレットが店頭で無料配布されています。非常に興味深い選書内容で、必見です。


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注目新刊:ハマー『アルカイダから古文書を守った図書館員』紀伊國屋書店、ほか

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『ハイデガー『存在と時間』を読む』サイモン・クリッチリー/ライナー・シュールマン著、スティーヴン・レヴィン編、串田純一訳、法政大学出版局、2017年6月、本体4,000円、四六判上製298頁、ISBN978-4-588-01059-0
『新訳ベルクソン全集(7)思考と動くもの』竹内信夫訳、白水社、2017年6月、本体4,100円、4-6判上製368頁、ISBN978-4-560-09307-8
『西洋の没落(Ⅰ)(Ⅱ)』シュペングラー著、村松正俊訳、2017年6月、本体1,800円/1,600円、新書判並製384頁/288頁、ISBN978-4-12-160174-2/ISBN978-4-12-160175-9
『なぞ怪奇 超科学ミステリー 復刻版』斎藤守弘著、復刊ドットコム、2017年6月、本体3,700円、B6判上製218頁、ISBN978-4-8354-5492-4



★『ハイデガー『存在と時間』を読む』の原書は『On Heidegger's Being and Time』(Routledge, 2008)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。ニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチにおけるクリッチリーとシュールマンの講義をレヴィンがまとめて、まえがきを付したものです。何と言ってもシュールマン(Reiner Schürmann, 1941-1993)のハイデガー講義(1978年、1982年、1986年)をまとめて読めるようになったことが嬉しいです。シュールマンには主著であるハイデガー論『アナーキーの原理』やエックハルト論、大部の遺稿集などがあり、いずれも未訳ですが、これをきっかけに日本語でもいずれ読めるようになればと願わずにいられません。


★『新訳ベルクソン全集(7)思考と動くもの』は配本が遅れていましたが、何と言っても個人全訳ですから気長に待つということで全然良かったわけです。しかしながら本書巻末の「読者のみなさまへ」という白水社の特記や月報7での「訳者のつぶやき」において、事情が明かされています。巻末の特記(ほぼ同文の「『新訳ベルクソン全集』についてお知らせとお詫び」が版元サイトに掲出)にはこうあります。「既刊では「訳注」を「原注」と併せ付してまいりましたが、本巻においては、訳者の健康上の理由により、「訳注」は断念せざるを得ませんでした。〔・・・〕同様の理由により、現時点では、次回以降の配本(第6巻『道徳と宗教の二つの源泉』及び「別巻」)の見通しが立っておりません。つきましては、訳者と話合いの結果、今回配本をもちまして刊行をいったん中止させていただくことに致しました。みなさまのご賢察を願い上げ、ご寛恕を乞う次第です」と。竹内先生は月報にこう書かれています。「最後の一巻『道徳と宗教の二つの源泉』に取り組んでいきたいという思いにいささかの変りもない。しかし、自身の身体の現状をふまえ、白水社と協議した結果、刊行はいったん中止して、再開・完結を期したいと考えるに至った」。まさに命懸けのご訳業に胸が震えます。



★『西洋の没落(Ⅰ)(Ⅱ)』は、五月書房の縮約版の再刊。巻末の編集付記によれば「1976年に五月書房さから刊行された『西洋の没落』(縮約版)を底本とし、新たな解説を作品の前に付した。割注は訳者に拠る」と。新たな解説というのは第1巻巻頭に掲載された板橋拓己(成蹊大学教授)による「時代が生んだ奇書」のこと。訳者は1981年に死去されています。本文の改訂の有無についてですが、同付記によれば「明らかな誤字・脱字は訂正した。固有名詞や用字・用語については初版の表記に拠った」とあります。縮約版ではなく完全版が再刊されたらよかったのに(五月書房が廃業されているため新本での入手はできません)とも思いますが、親本は46判上下巻で1200頁を超える大冊なので、中公クラシックスに入れるには大きすぎたでしょうか。


★『なぞ怪奇 超科学ミステリー 復刻版』は「ジャガーバックス」に続いて復刊ドットコムが再刊に着手した「ジュニアチャンピオンコース」の第一弾。初版は1974年。個人的には「ジャガー」よりこちらのシリーズの方が好きで、しかも一番印象に残っている本書が復刻され、嬉しくてたまりません。頁をめくると脳裏の深い場所から記憶がまざまざと蘇ってくるのを感じます。どのイラストも写真もくっきりと思い出に一致して、どれほど自分がこの本に強い印象を抱いていたのかが分かります。送料も含めると4000円超えにはなりますが、満足です。強いて言えば、原本とは製本に差があって、ノドの開きに物足りなさを感じます。これは以後、何とか改善されればと願うばかりです。それにしても子供時代の本を大学生の頃に一挙に廃棄してしまったのは失敗だったなと今さらながらつくづく悔やまれます。


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★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。


『アルカイダから古文書を守った図書館員』ジョシュア・ハマー著、梶山あゆみ訳、紀伊國屋書店、2017年6月、本体2,100円、B6判上製349頁、ISBN978-4-314-01148-8
『人類はなぜ肉食をやめられないのか――250万年の愛と妄想のはてに』マルタ・ザラスカ著、小野木明恵訳、インターシフト発行、合同出版発売、2017年6月、本体2,200円、46判並製320頁、ISBN978-4-7726-9556-5
『現代思想2017年7月臨時増刊号 総特集=築地市場』青土社、2017年6月、本体1,600円、A5判並製254頁、ISBN978-4-7917-1347-9



★『アルカイダから古文書を守った図書館員』の原書は『The Bad-Ass Librarians of Timbuktu: And Their Race to Save the World's Most Precious Manuscripts』(Simon & Schuster, 2016)です。イスラム原理主義者はこれまで他宗教や多文化の遺跡や歴史的遺物の破壊を繰り返してきましたが、彼らのターゲットには古文書も含まれています。本書は西アフリカ・マリ共和国で37万点もの貴重書をアルカイダ系組織から守った図書館員アブデル・カデル・ハイダラの活躍を伝えるノンフィクションです。危険を察知したハイダラの機転により、トンブクトゥの図書館から1000キロ離れた首都バマコまで古文書が移されたお蔭で、被害は拡大せずに済んだと言います。イスラム原理主義者の行動範囲がイギリスやフランスまで広がりつつあるこんにち、この先に起こるかもしれない新たな悲劇のことを強く危惧せざるをえません。


★『人類はなぜ肉食をやめられないのか』の原書は『MEATHOOKED: The History and Science of Our 2.5-Million-Year Obsession with Meat』(Basic Books, 2016)です。目次および解説は書名のリンク先をご覧ください。肉食の長い長い歴史をひもとき、なぜ人類は肉を食べるのか好きなのかを解き明かします。それは「古代の細菌が他の細菌の「肉」の味のとりこになったときから始まっている」(14頁)というのです。そして「肉食は、人類がアフリカから外に出るのを後押ししただけでなく、(人類の親戚であるチンパンジーに比べて)体毛が薄くなり大量の汗をかくようになったことにもかかわっているのだ」(同)そうです。本書ではさらに食肉不足が予想される近未来を展望し、「肉のない世界」(296頁)での栄養転換について説明しています。「肉の消費を大幅に減らさなければ、地球温暖化や水不足、環境汚染に直面する可能性が著しく高くなる」(301頁)と著者は警告しています。


★『現代思想2017年7月臨時増刊号 総特集=築地市場』は中沢新一さんによる責任編集。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。中沢さんご本人は、伊東豊雄さんとの徹底討論「「みんなの市場」をめざす」「夢にあふれた近代建築――『東京市中央卸売市場築地本場・建築図集』を読む」を行い、仲卸業者の中澤誠さんへのインタヴュー「天才的な築地市場」を手掛けられているほか、論考「築地市場の「富」」や「築地アースダイバー」(図版協力=深澤晃平)を寄稿しておられます。「築地アースダイバー」で中沢さんはこう書いておられます。「築地市場のユニークさは、物流センターとしての機能だけに限定されない。仲卸の中心にしてかたちづくられてきた「中間機構」の中に、味覚をめぐる莫大な量の身体的暗黙知が蓄積され、それがいまも健全な活動を続けている。〔・・・〕築地市場は我々の宝物である。そしてなによりも築地市場には未来がある。この未来を絶ってしまってはならない」(39-40頁)。これがノスタルジーなどではないことは本特集号の内容がよく示しています。


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注目新刊:ブランショ『終わりなき対話(II)限界-経験』筑摩書房

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★西山達也さん(訳書:サリス『翻訳について』)
★西山雄二さん(訳書:デリダ『条件なき大学』、共訳:『ブランショ政治論集』)
共訳書、モーリス・ブランショ『終わりなき対話(Ⅱ)限界−経験』が発売されました。書誌情報は下記の通り。西山達也さんは訳者を代表して、訳者あとがきをお書きになっておられます。なお第三部は2017年10月予定と予告されています。


終わりなき対話(Ⅱ)限界−経験
モーリス・ブランショ著、湯浅博雄/岩野卓司/上田和彦/大森晋輔/西山達也/西山雄二訳
筑摩書房、2017年6月、本体5,900円、A5判上製496頁、ISBN978-4-480-77552-8
カバー表1紹介文より:意味と決別せよ。ニーチェ論を転回点にヘラクレイトスからバタイユへ、哲学と文学を架橋し、意味の極北を探る渾身の第二部。


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リレー講義「文化を職業にする」@明星大学

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先週土曜日(2017年6月17日)は、明星大学日野キャンパスにお邪魔し、リレー講義「文化を職業にする」で発表させていただきました。今年はテーマを「出版社の仕事と出版界の現在」と題し、読者にはなかなか見えない世界である編集者や営業マンの仕事について、また出版不況20年の変化についてお話ししました。ご清聴いただきありがとうございました。また、担当教官の小林一岳先生に深謝申し上げます。受講された皆さんから頂戴したご質問に対し、ひとつひとつ回答を書きましたので(A4用紙4枚)、いずれ皆さんのお手元に配付されることと思います。また皆さんとお目に掛かってお話をする機会があれば幸いです。


◎「文化を職業にする」@明星大学
2012年6月16日「文化を職業にする」
2013年6月15日「独立系出版社の仕事」
2014年6月07日「変貌する出版界と独立系出版社の仕事」
2015年6月13日「独立系出版社の挑戦」
2016年6月11日「出版界の現在と独立系出版社」
2017年6月17日「出版社の仕事と出版界の現在」


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ちなみに現在、明星大学資料図書館2Fの明星ギャラリーでは貴重書コレクション展示が開催されています。学外の方でも、事前予約すれば入場無料でご覧になれます。


来週月曜日まで開催されている「第1期:世界を学ぶ」ではロゼッタストーンの複製や、貴重書の数々が展示されています。シェーデル『ニュルンベルク年代記』1943年、マルコ・ポーロ『東方見聞録』ラテン語訳1483年(または1484年)、ダンテ『神曲』1497年、コメニウス『世界図絵』1672年、デフォー『ロビンソン・クルーソー』1719₋1720年、スウィフト『ガリヴァー旅行記』1726年、ディドロ/ダランベール『百科全書』1751-1780年、そしてナポレオンの命で作成された『エジプト誌』1809-1822年など。なんと言っても圧巻なのは『エジプト誌』です。1頁が畳半畳はあろうかという大きさに、精密なエッチングでギザのピラミッドやスフィンクスが描かれているページを見ることができます。また、個人的には『ニュルンベルク年代記』や『百科全書』にも圧倒されました。インキュナブラや近世近代の貴重書の実物を見ることができる貴重な機会ですので、稀覯書好きの方にお薦めします。


なお今月30日からの「第2期:自然を学ぶ」では、ファーブルの水彩画やキュリー夫人の「実験室ノート」のほか、コペルニクス『天体の回転について』1543年、ケプラー『新天文学』1609年、ガリレイ『天文対話』1632年、フォン・ゲーリケ『真空に関するマグデブルクの新実験』1672年、フォン・シーボルト『日本植物誌』1835-1870年、同『日本動物誌』1833-1850年が展示される予定だそうです。明星大学ではこうした貴重書を4500点あまり所蔵していて、シェイクスピアのファーストフォリオからフォース・フォリオをはじめ、一部がアーカイブ化されています。同学図書館の「貴重書コレクション」サイトをご覧ください。


◎「教育の明星大学の教育展――貴重書に見る「教育」と「学び」」


会期:2017年3月21日(火)~12月22日(金)
   第1期:世界を学ぶ 2017年3月21日(火)~ 6月26日(月)
   第2期:自然を学ぶ 2017年6月30日(金)~ 9月25日(月)
   第3期:日本を学ぶ 2017年9月29日(金)~12月22日(金)
会場:明星大学資料図書館2階 明星ギャラリー(入場無料)
時間:9時00分~17時00分(休館:日曜・祝日・大学行事日・展示替期間)
主催:明星大学、協力:NPO日本アンリ・ファーブル会、後援:エジプト・アラブ共和国大使館


※入場無料・事前予約制(明星大学の教職員や学生は予約不要)
※団体の予約手続きに関しては、お電話でお問い合わせください。明星大学図書館 TEL:042-591-5104


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