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「人文書出版と業界再編――出版社と書店は生き残れるか」@首都大学東京

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◎講演会「人文書出版と業界再編――出版社と書店は生き残れるか」



日時:2017年5月24日(水)16.20-18.00
場所:首都大学東京(南大沢)国際交流会館 中会議室
講師:小林浩(月曜社取締役・編集者)
司会:西山雄二(首都大学東京准教授)
料金:入場無料、事前予約不要



内容:出版業界は激動期に突入しています。自費出版社が中堅版元を吸収し、新古書店がセレクト書店チェーンを傘下におき、大手印刷会社が書店や出版社を次々に買収しています。ネット通販会社が取次の大株主となり、IT関連企業と大出版社が合併しました。電子出版はジャンルによっては紙媒体の売上を上回るようになり、ネット書店最大手の販売力はリアル書店最大手のそれを凌駕しています。リアル書店は書籍だけでは売上を維持できず、文具や雑貨の売場、カフェなどを併設するのが当たり前になりつつあり、このトレンドは図書館にまで影響を及ぼしています。紙媒体の雑誌は広告収入が減少し、専門書の初版部数もまた減少しています。もはや戦後の従来の体制を維持できなくなりつつある出版界で、出版社は、書店は、物流は、人文書は、どう変わっていくのでしょうか。著者や読者はそこにどう巻き込まれていくのでしょうか。出版界に明るい未来はあるのでしょうか。五里霧中とも言える不透明な業界再編の現実について、零細出版社の立場から証言し、展望します。そして、誰しもが納得しうる万能な解決策の提示ではなく、出版の、書物の原点を再確認したいと思います。(講師・記)



主催:首都大学東京人文社会系フランス語圏文化論教室 Tel:042 677 2205


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本日スタート:森山大道写真展@森岡書店銀座店

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来月中旬に全国主要書店にて発売となる予定の弊社新刊『鉄砲百合の射程距離』の発刊を記念した「森山大道写真展」が本日より銀座の森岡書店さんでスタートしました。5月7日まで開催(4月30日は休店)。内田美紗さんによる俳句の数々と森山大道さんの写真が織りなす独特な世界観をご堪能いただけます。会期中は森山大道さんのオリジナルプリントも販売されています。

注目新刊『HAPAX 7:反政治』夜光社、注目イベント@PGI

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★江川隆男さん(訳書:ブレイエ『初期ストア哲学における非物体的なものの理論』)
夜光社さんの思想誌『HAPAX』第7号が刊行されました。江川さんは「最小の三角回路について――哲学あるいは革命」(118₋130頁)を寄稿されておられます。


反政治 ― HAPAX 7
夜光社 2017年4月 本体1200円 四六判変形並製186頁 ISBN978-4-906944-12-5


目次:
相模原の戦争(HAPAX+鼠研究会)
人民たちの反政治(HAPAX)
魂の表式(入江公康)
ウンコがしたい(栗原康)
翻訳解題
エイリアンと怪物――『ダーク・ドゥルーズ』における革命(アンドリュー・カルプ)
残酷の政治について(『ホスティス〔Hostis〕』1号より)
残酷の政治についての五つのテーゼ(『ホスティス〔Hostis〕』2号より)
最小の三角回路について――哲学あるいは革命(江川隆男)
火墜論(混世博戯党)
Raw power is laughin' at you and me.(World's Forgotten Boy)
武器を取れ――大道寺将司の俳句(友常勉)


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★星野太さん(著書:『崇高の修辞学』)
PGI(東京都港区東麻布2-3-4 TKBビル3F)で2017年5月10日(水)から7月8日(土)にかけて開催される、濱田祐史さんの写真展「Broken Chord」に関連して行われるトークショーにご出演されます。


◎濱田祐史×星野太トークショー


日時:2017年 6月17日 (土) 16:00~
会場:PGI
定員:30 名
料金:500 円(要予約/当日お支払い下さい)


内容:金沢美術工芸大学美術科芸術学専攻講師の星野太氏(美学/表象文化論)をお招きし、”exposure”というキーワードをもとに本作「Broken Chord」を紐解いていくと共に、濱田氏の過去の作品や東欧に滞在した体験にも触れるトークショーを予定しております。


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メモ(16)

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故桑原武夫先生のご遺族が京都市に寄贈した蔵書1万421冊を一昨年、市右京中央図書館副館長だった女性職員(57歳、生涯学習部部長から課長補佐へ降任)が廃棄していた件の無残さは言うまでもありません(毎日新聞、京都新聞その1、その2、読売新聞、日本経済新聞、朝日新聞)。おそらく蔵書家の多くはそもそも以前から図書館への寄贈に懐疑的だったはずですが、それを念押しする一例となってしまいました。


目下、出版業界をざわつかせているのは、「7月1日問題」です。版元営業の「記述師文庫堂」さんのツイートや、ひつじ書房のM社長のfacebookでの投稿をご参照ください。アマゾンから日販に日々飛んでいるバックオーダー(既刊書補充発注)の終了予定が6月30日なのです。この件については留意すべきことがドミノ式に増えていくため、まとめるのがしんどいのですが、しいてまとめると以下のようになります。


1)日販※がロングテールの在庫を抱えるのは現実的に無理では。
 ※納期短縮を懸命に推進してきたウェブブックセンターへのさらなる負担増大はリスキー。
 ※取次最大手と言えども王子RCのほかに巨大物流倉庫を一社単独で新設することは想像できない。
2)大阪屋栗田※がバックオーダーを支えきるのも無理では。
 ※現在でも日販で調達できない分の発注は大阪屋栗田に飛んでいる。
 ※アマゾン通達のQ&Aでは大阪屋栗田経由ではなく版元直取引の検討をと促している。
3)版元すべて※がアマゾンと一挙的に直取引になる可能性は低いのでは。
 ※継続的な出版活動をしているいわゆる「アクティブ」状態にあると思われる約2000社が想定される。
 ※そのほとんどは零細企業。ヤマトや佐川が運賃値上げするのに、アマゾンの各拠点への分散小口納品などできません。
4)トーハン※がバックオーダーを引き受ける可能性も低いのではないか。
 ※大阪屋や日販がさんざんアマゾンに振り回されるのを見てきたわけで。
 ※現在でもコミックと雑誌の、アマゾンへの調達を担当。


アマゾンもずいぶんとスレスレなカードを切ったものだ、というのが営業マンたちが囁き合っている本音です。また、本件はロングテールを維持するためのキックバック要求や、運賃上昇に伴う取引条件の改定、などが今後アジェンダ化する可能性と必然的に隣り合わせになっています。栗田や太洋社に続いてここでも問題なのは物流という足腰がすっかり弱くなっている現状です。ようするに今回のアマゾン通達は出版業界をなぎ払うかもしれない嵐がすぐそこまで近づいていることを意味しているわけです。


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ようやく「文化通信」の記事が出ました。「アマゾンジャパン、日販非在庫品の取り寄せ発注を終了へ」(2017年4月28日付)に曰く「アマゾンジャパンは4月28日、日本出版販売(日販)が非在庫書籍を出版社から取り寄せる「日販バックオーダー発注」を6月30日で終了することを、出版社に通知した。これにより、一時的に売上機会減少のリスクがあるとしながら、出版社に対して同社との直接取引による商品供給を検討するよう求めている」。


「記述師文庫堂」さんが指摘している通り、在庫ステータス11番(在庫あり)以外の引当率が低いのは当たり前なのです。それを日販のせいにするのは無理があります。たとえば22番(重版中)や32番(版元品切)、33番(品切重版未定)はそもそも版元に商品がないのですから、版元と直取引したって引当率が上がるはずはありません。大取次にガチで無茶振りをするような会社を相手に、どの出版社が喜んで直取引をするというのでしょうか。最大手の講談社に対してすら電子書籍の取り扱いで酷い仕打ちをしているのが周知の事実なのに。一時的な売上機会減少のリスクどころではなく、ロングテール喪失の危険すらあるのに。


アマゾンがここまで直取引を推してくるのは、ここ数年来の相次ぐ取次危機にたいするリスクヘッジの側面もあるとはいえ、実際にアマゾンが目論んでいるほどには直取引が増えていないという現実の裏返しなのかもしれません。いきなり流通の蛇口を締めるようなことをするのではなく、「北風と太陽」の寓話を思い出してほしいところです。


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注目シリーズのスタート:『吉本隆明全集』第二期、「井筒俊彦英文著作翻訳コレクション」、ほか

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『吉本隆明全集(37)書簡I』晶文社、2017年5月、本体6,000円、A5判変型上製456頁、ISBN978-4-7949-7137-1
『老子道徳経』井筒俊彦著、古勝隆一訳、慶応義塾大学出版会、2017年4月、本体3,800円、A5判上製272頁、ISBN978-4-7664-2415-7


★『吉本隆明全集(37)書簡I』は5月10日頃発売。第13回配本で、今回から第二期のスタートです。帯文に曰く「『試行』単独編集、試行出版部創設、『初期ノート』刊行、「全著作集」刊行開始――。1962~68年に白熱の核心をむかえる川上春雄宛全書簡150通余りを収録」と。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。巻末の間宮幹彦さんによる解題によれば、川上春雄さんは吉本隆明さんにかんする資料の収集者であり、年譜作成者であり、著作集の編集・校訂をゆだねられた人物で、試行出版部の発行者だったと紹介されています。また、吉本さんと直接知り合うまでの経緯も解題に記載されています。その川上さんへの全書簡のほか、資料として吉本さん本人やそのご両親や友人に訪問取材した記録なども収録されています。付属の月報13は、山根貞男さんによる「ある世代の思い出」、田中和生さんの「文芸批評家から文人へ――書簡集刊行によせて」、ハルノ宵子さん「お気持ち」を掲載。次回配本は9月予定、第13巻(1972~1976年)で「はじめて外国の文学者たちを論じた『書物の解体学』と長くその資質にひかれて論じてきた『島尾敏雄』、その他の散文と詩を収録[単行本未収録二篇]」(全巻内容より)。


★『老子道徳経』は発売済。シリーズ「井筒俊彦英文著作翻訳コレクション」の第一回配本です。同コレクションは「『井筒俊彦全集』と併せて、今日にいたるまで世界で読み続けられている井筒俊彦の英文代表著作を、本邦初訳で提供し、井筒哲学の全体像をより克明に明らかにするもの」(特設サイトより)で、「日本語著作の空白の時代を埋める」(内容見本より)もの。全7巻全8冊の詳細や『老子道徳経』の目次詳細についても版元さんの特設サイトでご覧いただけます。『老子道徳経』の帯には中島隆博さんによる推薦文が掲載されていますが、それも特設サイトで読むことができます。凡例によれば底本は同出版会から2001年に刊行された『Lao-tzŭ:The Way and Its Virtue』で、「翻訳にあたり新たに原文を修正した部分がある。その異同などは適宜訳注に注記した」とのことです。本訳書には新たに訓読索引と事項索引が付されています。第2回配本は6月刊行予定、『クルアーンにおける神と人間――クルアーンの世界観の意味論』(鎌田繁監訳、仁子寿晴訳)とのことです。


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★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。


『大航海時代の日本人奴隷――アジア・新大陸・ヨーロッパ』ルシオ・デ・ソウザ/岡美穂子著、中公叢書、2017年4月、本体1,400円、四六判並製208頁、ISBN978-4-12-004978-1
『ジョルジュ・ペレック――制約と実存』塩塚秀一郎著、中公選書、2017年5月、本体2,600円、四六判並製456頁、ISBN978-4-12-110028-3
『灰緑色の戦史――ドイツ国防軍の興亡』大木毅著、作品社、2017年5月、本体2,800円、46判上製400頁、ISBN978-4-86182-629-0
『熟議民主主義の困難――その乗り越え方の政治理論的考察』田村哲樹著、ナカニシヤ出版、2017年5月、本体3,500円、A5判上製282頁、ISBN978-4-7795-1172-1


★『大航海時代の日本人奴隷』は発売済。カバー表4の紹介文は次の通り。「戦国時代の日本国内に、「奴隷」とされた人々が多数存在し、ポルトガル人が海外に連れ出していたことは知られていた。しかし、その実態は不明であり、顧みられることもほとんどなかった。ところが近年、三人の日本人奴隷がメキシコに渡っていたことを示す史料が見つかった。「ユダヤ教徒」のポルトガル人にたいする異端審問記録に彼らに関する記述が含まれていたのだ。アジアにおける人身売買はどのようなものだったのか。世界の海に展開したヨーロッパ勢力の動きを背景に、名もなき人々が送った人生から、大航海時代のもう一つの相貌浮かび上がる」。緒言にはこうあります。「我々〔著者〕がこの三人の「日本人奴隷」に関する記録に出会ったのは、マカオ、長崎、マニラを転々と暮らした「ユダヤ人」一家の異端審問裁判記録中であった。「ユダヤ人」とはいっても、国籍はポルトガル人で、さらには表面的にはカトリックのキリスト教徒であった。なぜ「ユダヤ教徒」のポルトガル人が、16世紀の長崎に住み、日本人を奴隷として連れ、アジア各地を転々としていたのか。それはアジアにおける人身売買と、多様な文化的アイデンティティを擁したイベリア半島社会の歴史が複雑かつ綿密に絡み合った結果に他ならない」(5頁)。目次も列記しておきます。緒言、はじめに、序章「交差するディアスポラ――日本人奴隷と改宗ユダヤ人商人の物語」、第一章「アジア」(Ⅰ:マカオ、Ⅱ:フィリピン、Ⅲ:ゴア)、第二章「スペイン領中南米地域」(Ⅰ:メキシコ、Ⅱ:ペルー、Ⅲ:アルゼンチン)、第三章「ヨーロッパ」(Ⅰ:ポルトガル、Ⅱ:スペイン)、おわりに、あとがき、参考文献、文献、注。あとがきによれば本書は、ポルトガルで出版されたルシオ・デ・ソウザ(Lúcio de Sousa, 1978-)の著書『16・17世紀の日本人奴隷貿易とその拡散〔Escravatura e Diáspora Japonesa nos séculos XVI e XVII〕』(NICPRI, 2014)の第一章と第二章を、吉田尚弘さんが翻訳し、著者の奥様でいらっしゃる岡美穂子さんが著者との調整のもと、日本で出版するにあたり、より理解しやすい内容と表現へと大幅に改稿したもの、とのことです。


★塩塚秀一郎『ジョルジュ・ペレック――制約と実存』はまもなく発売(5月8日頃)。カバー表4の内容紹介文は次の通りです。「ユダヤ系移民の子としてパリに生誕したペレックは、第二次世界大戦によって戦争孤児となり、想像を絶する人生の断絶を体験した。のち特異な言語遊戯小説の制作者となり、評価は歿後ますます高まっている。本書は、日常・自伝・遊戯・物語の四分類よりペレックの総合的読解に挑み、20世紀後半を彗星の如く駆け抜けた作家の魅力へと縦横に迫る」。目次を列記すると、はじめに、第1章「制約が語る――『煙滅』におけるリポグラムの意味」、第2章「制約下の自伝――『Wあるいは子供の頃の思い出』におけるフィクションと自伝」、第3章「制約と自由の相克――『人生 使用法』における諸プロジェクトの表象」、第4章「発見術としての制約――『さまざまな空間』はなぜ幸福な書物なのか」、おわりに――「大衆的な作家」、あとがき、注。ちなみに「リポグラム」とは「アルファベットの特定の文字を使わずに書く技法」(22頁)で、古代ギリシア以来の歴史があるそうです。ペレックには「リポグラムの歴史」という小文があります(酒詰治男訳、『風の薔薇(5)ウリポの言語遊戯』所収、書肆風の薔薇〔現・水声社〕、1991年、86~105頁)。周知の通りペレックの小説『煙滅』(水声社、2010年)はEを使わずに書かれており、それを塩沢さんはなんと、い段(いきしちにひみりゐ)を使わずにお訳しになっておられます。


★大木毅『灰緑色の戦史』は発売済。帯文はこうです。「シュリーフェン計画、電撃戦から、最後の勝利「ゼーロフ高地の戦い」まで、その“勝利”と“失敗”の本質から学ぶ。戦略の要諦、用兵の極意、作戦の成否。独自の視点、最新の研究、ドイツ連邦軍事文書館などの第一次史料の渉猟からつむがれる「灰緑色」の軍隊、ドイツ国防軍の戦史」。灰緑色はドイツ国防軍の軍服の色で、シンボルカラー。目次は以下の通りです。序「ドイツ国防軍にまつわる「神話」の解体」、第Ⅰ部「国防軍――その前史と誕生:第一次大戦 1939年」(第一章「軍事思想の相克」、第二章「総統と国防軍」)、第Ⅱ部「巨大なる戦場へ 1940-1944年」(第三章「閃く稲妻――電撃戦の時代」、第四章「ロシアのフォン・マンシュタイン」)、第Ⅲ部「鋼鉄軍の黄昏 1943-1945年」(第五章「ビヒモス陸に退く」、第六章「狼たちの落日」)、あとがき、註、主要参考文献、索引。作戦や戦線の数々を視覚化した作図の数々が圧巻です。


★田村哲樹『熟議民主主義の困難』はまもなく発売(5月15日頃)。田村哲樹(たむら・てつき:1970-)さんは名古屋大学大学院法学研究科教授でご専門は政治学・政治理論。複数のご著書がありますが、本書は『熟議の理由――民主主義の政治理論』(勁草書房、2008年)に続いて再び熟議民主主義(deliberative democracy)を論じたもの。序論によれば前著が「一定の包括的な構想を示そうとしたもの」で、今回の新著の主題は「熟議民主主義の困難」であり、その困難をもたらす阻害要因について論じられています。「本書の最終的な目的は、様々な阻害要因に対して、熟議民主主義の意義や可能性を擁護することである」(iii頁)。三部構成となっており(目次詳細は書名のリンク先をご参照ください)、第Ⅰ部「現代社会の状況への対応可能性」では「熟議では対応できないとされがちな現代社会の状況を取り上げ」、第Ⅱ部「問題としての思考枠組」では「熟議民主主義の、機能的に等価な代替案となり得る二つのもの〔情念、アーキテクチャ〕について検討」し、第Ⅲ部では「熟議民主主義に関する私たちの「思考枠組」こそが熟議の阻害要因となり得ると考え」、「思考枠組を転換し、より熟議民主主義の可能性を開くために三つの重要な問題〔親密圏、ミニ・パブリックス、自由民主主義〕を検討する」と。


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大竹昭子「写真とことばの編集術」@Title/吉田昌平展覧会 「新宿(コラージュ)」@B GALLERY

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★大竹昭子さん(編書:内田美紗+森山大道『鉄砲百合の射程距離』)
今月(2017年5月)下旬発売予定の弊社新刊『鉄砲百合の射程距離』の刊行を記念し、編者の大竹さんが以下のレクチャーを行います。なお、さる4月27日に森岡書店銀座店にて行われた大竹さんのトークショウについては「大竹昭子のカタリココ」の記事「内田美紗さんと森山大道さんをゲストに、ことばと写真の関係を探りました。」をご覧ください。また、大竹さんは亜紀書房さんより『間取りと妄想』という新刊を近く上梓されるとのことです。


◎大竹昭子「写真とことばの編集術」


日時:2017年5月26日(金)19:30~21:00
会場:Title 1階特設スペース
料金:1000円+1ドリンク500円
定員:25名


内容:長年、ことばと写真の両方に関わってきた大竹昭子さんによる”ことばと写真の良い関係”を探るレクチャーです。最近、大竹さんは内田美紗さんの俳句と森山大道さんの写真をセレクトして、俳句写真集『鉄砲百合の射程距離』を編集しました。ことばが写真に、あるいは写真がことばに寄りかかることなく、互いが独立した存在として刺激しあうにはどうすればよいか。本書をテキストにしながら、観客のみなさんとともに考えます。


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★森山大道さん(写真集:『新宿』『新宿+』『ニュー新宿』『大阪+』『Osaka』『パリ+』『ハワイ』『NOVEMBRE』『にっぽん劇場』『何かへの旅』『オン・ザ・ロード』『カラー』『モノクローム』『犬と網タイツ』、エッセイ集:『通過者の視線』、対談集:『絶対平面都市』)
森山大道さんの伝説的写真集『新宿』(月曜社、2002年)を解体し、全てのページを素材として使用しコラージュした全128点からなる作品集『Shinjuku(Collage)』が、内沼晋太郎さん率いるnumabooksの書籍出版第一弾として刊行されます。その中から厳選した作品の展示、販売が5月19日より行われ、さらに森山さん自身をゲストに迎えたアーティスト・トークも開催されます。


◎吉田昌平展覧会 「新宿(コラージュ)」


日時:2017年5月19日(金) 〜 6月4日(日) 11:00 - 20:00<会期中無休>
場所:B GALLERY(新宿 / BEAMS JAPAN 5F;新宿区新宿3-32-6)
電話:03-5368-7309


内容:B GALLERYでは初となる吉田昌平の展覧会を開催します。吉田昌平は、書籍のデザインや展覧会のアートディレクションといった仕事をする傍ら、アーティストとしてコラージュ作品を数多く制作、発表しています。彼の欲と衝動に溢れた、大胆かつ自由で美しいコラージュは、森山作品に新たな息吹を与えています。どうぞご期待ください。「ぼくは吉田さんのコンセプトによって、すでにぼくの手から離れた〈もうひとつの新宿〉風景の中を歩き回れることを楽しみにしている」(森山大道)。


◎アーティスト・トーク:吉田昌平

ゲスト:森山大道(写真家)、杉江宣洋(『BRUTUS』副編集長)
日時:2017年6月3日(土) 18:00〜19:30
会場:B GALLERY
予約定員制:先着30名様 ※ご予約はB GALLERYまで


◎書籍『Shinjuku(Collage)』
コラージュ:吉田昌平
写真:森山大道『新宿』(月曜社)
編集・発行:numabooks
定価:5,800円(税別)
ブックデザイン:吉田昌平(白い立体)
仕様:w182×h247mm/256p シリアルナンバー付き・スリーブケース入り
ISBN:978-4-909242-00-6
2017年4月11日より、クラウドファンディング・プラットフォーム「CAMPFIRE」にて先行予約受付中(~5月17日(水)23:59)。5月19日より展示会場にて先行発売し、その後6月末まで、一部の書店にて限定先行発売。7月1日より、トランスビュー扱いにて、全国書店に一般流通を開始予定。

◎作家紹介:吉田昌平(よしだしょうへい) / アートディレクター、グラフィックデザイナー。1985年、広島県生まれ。桑沢デザイン研究所卒業後、デザイン事務所「ナカムラグラフ」での勤務を経て、2016年「白い立体」として独立。カタログ・書籍のデザインや展覧会ビジュアルのアートディレクションなどを中心に活動。その傍ら、アーティストとして字・紙・本を主な素材・テーマとしたコラージュ作品を数多く制作発表する。2016年、雑誌『BRUTUS』(マガジンハウス)No.818「森山大道と作る写真特集」への参加を契機に、森山大道氏の写真集を素材としたコラージュ作品の制作を始める。作品集に『KASABUTA』(2013年/WALL)がある。


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ブックツリー「哲学読書室」に篠原雅武さんと渡辺洋平さんの選書リストが追加されました

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オンライン書店「honto」のブックツリー「哲学読書室」に、篠原雅武さんと渡辺洋平さんの選書リストが追加されました。
◎哲学読書室星野太さん選書「崇高が分かれば西洋が分かる」
國分功一郎さん選書「意志について考える。そこから中動態の哲学へ!」
近藤和敬さん選書「20世紀フランスの哲学地図を書き換える」
上尾真道さん選書「心のケアを問う哲学。精神医療とフランス現代思想」
篠原雅武さん選書「じつは私たちは、様々な人と会話しながら考えている」
渡辺洋平さん選書「今、哲学を(再)開始するために」



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注目新刊:大橋喜之訳『ピカトリクス』八坂書房、ほか

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ピカトリクス――中世星辰魔術集成
大橋喜之訳
八坂書房 2017年4月 本体6,800円 A5判上製748頁 ISBN978-4-89694-233-0


帯文より:西欧中世の闇を映す伝説の魔道書、その全貌を明らかにする、待望の原典訳! オカルティストたちが渇仰し、ネオプラトニストたちが偏愛した、隠された知の宝庫への深水への錘鉛を垂らすラテン語版からの全訳。韜晦に満ちた奇書の読み書きに欠かせぬ、註・解題・資料も充実!


★発売済。巻頭の注記によれば底本はデイヴィッド・ピングリー(本書の表記ではピングレー)が19もの写本を校合してウォーバーグ研究所より出版したラテン語版(1986年)。元々の原本であるアラビア語版『ガーヤット・アル-ハキーム(賢者の目的)』がスペイン語に翻訳されたのが1256年、それをさらにラテン語に重訳したのが本書です。数々の歴史的魔術書のまとめ本にして便覧(マニュアル)、西欧中世を代表する魔導書(グリモワール)として後世に影響を及ぼしたあまりにも高名な本でしたが、活字化されたのは20世紀後半になってからです。ピカトリクスというのはその編者の名前であるとされています。


★巻頭の「序」では本書の構成について次のように説明されています。「本書は四書に分けられ、またそれぞれが諸章に分けられている。第Ⅰ書では諸天の存在とそれらがそこでなす像(イマジネ)の効果について論じる。第Ⅱ書では諸天の形象全般、そして第八天の運動およびそれがこの世にもたらす諸効果について語る。第Ⅲ書では諸惑星および星座の数々の特徴およびそれらの形象(フィグーラ)と形相(フォルマ)をそれらの色とともに明らかにし、諸惑星の霊(スピリトゥス)の性質また降霊術(ネグロマンツィア)についてもできるだけ述べることとする。第Ⅳ諸では霊の諸特徴およびこの業において遵守しなくてはならないことども、そして図像と燻香その他の補助的なことがらについて語る」(4頁)。


★いわば幻の書が全訳されるというのはそれ自体大きな事件です。訳者はローマ在住の翻訳家にして錬金術研究者の大橋喜之(おおはし・よしゆき:1955-)さん。数々の訳書を八坂書房さんから上梓されているほか、ブログ「ヘルモゲネスを探して」では錬金術関連の古典の日本語訳の数々を公開されています。『ピカトリクス』訳書では写本から図版を多数掲載しており、さらに充実した付録「『ピカトリクス』を読むために」では参考文献が訳出されています。以下に付録の目次を転記しておきます。



『ピカトリクス』大要――M・プレスナーによる亜版梗概
解題 中世星辰魔術『ピカトリクス』再発見の途――20世紀諸賢による所見の紹介
 ソーンダイクによる『ピカトリクス』概説
 エウジェニオ・ガレン「魔術便覧ピカトリクス」
補遺Ⅰ 哲学としての魔術――ペッローネ・コンパーニ
 ペッローネ・コンパーニ「ピカトリクス・ラティヌス」
補遺Ⅱ 像(イメージ)の遡及と典拠の探索――羅版刊行者ピングレー
 ピングレー「『ガーヤット・アル-ハキム』の典拠の幾つか」抄
 ピングレー「『ガーヤ』と『ピカトリクス』の間Ⅰ:スペイン語異文」抄
 ピングレー「『ガーヤ』と『ピカトリクス』の間Ⅱ:ジャービルに帰される『自然学精華集』」抄
補遺Ⅲ ピカトリクス分光
 『クラテスの書』(全訳)


★4月発売の新刊では本書とともに、伊藤博明『ヨーロッパ美術における寓意と表象――チェーザレ・リーパ『イコノロジーア』研究』(付属資料:『イコノロジーア』一六〇三年版全訳)について特記すべきですが、本体価格36,000円という高額本のため、まだ現物は見たことがありません。hontoでは相変わらず購入できませんし、丸善やジュンク堂の店頭にもありませんが、アマゾン・ジャパンではついに在庫されるようになりました。さすがです。



★このほか、4月新刊単行本には以下の注目書がありました。先月は豊作で、そのすべてを月内には取り上げきれないほどでした。


『美学講義』G・W・F・ヘーゲル著、寄川条路監訳、石川伊織/小川真人/瀧本有香訳、法政大学出版局、2017年4月、本体4,600円、四六判上製408頁、ISBN978-4-588-01057-6
『美味礼讃』ブリア=サヴァラン著、玉村豊男編訳/解説、新潮社、2017年4月、本体2,800円、46判上製429頁、ISBN978-4-10-507031-1
『アレゴリー――ある象徴的モードの理論』アンガス・フレッチャー著、伊藤誓訳、白水社、2017年4月、本体7,600円、4-6判上製598頁、ISBN978-4-560-08309-3
『ラカニアン・レフト――ラカン派精神分析と政治理論』ヤニス・スタヴラカキス著、山本圭/松本卓也訳、岩波書店、2017年4月、本体6,600円、A5判上製464頁、ISBN978-4-00-002428-0
『科学とモデル――シミュレーションの哲学 入門』マイケル・ワイスバーグ著、松王政浩訳、名古屋大学出版会、2017年4月、本体4,500円、A5判上製328頁、ISBN978-4-8158-0872-3



★ヘーゲル『美学講義』は、1820~1821年冬学期の講義(アッシェベルクとテルボルクの筆記録、ヘルムート・シュナイダー編、ランク社、1995年)の全訳。これまでに翻訳されてこなかったものです。美学講義の既訳には、甘粕石介訳『美学講義』(全2巻、北隆館、1949~1950年)、竹内敏雄訳『美学』(全3巻9分冊、岩波書店、1956~1981年;ラッソン編ヘーゲル全集、1931年)、長谷川宏訳『美学講義』(全3巻、作品社、1995~1996年;グロックナー版ヘーゲル全集12~14巻)がありますが、底本が異なります。



★ブリア=サヴァラン『美味礼讃』は帯に「50年ぶりの新訳」と。ただし抄訳です(正確に言えば「全編を翻訳した上で、その約3分の2を単行本としてまとめたもの」〔訳者あとがき〕)。全訳には周知の通り岩波文庫(『美味礼讃』上下巻、関根秀雄/戸部松実訳、1967年)がロングセラーとなっています。原題は『味覚の生理学』(1825年)。著者のジャン・アンテルム・ブリア=サヴァラン(Jean Anthelme Brillat-Savarin, 1755-1826)はパリ控訴裁判所の裁判官を務め、生涯独身だったそうです。「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人か言い当ててみせよう」という名言は、「美味学の永遠の基礎となる、教授のアフォリスム(箴言)」の4番目に挙げられています(414頁)。


★フレッチャー『アレゴリー』は「高山宏セレクション〈異貌の人文学〉」の最新刊。原書は『Allegory: The Theory of a Symbolic Mode』(Cornell University Press, 1964)で、著者34歳の折のデビュー作です。「批評そのものが「アナトミー(N・フライ)の超ジャンルたり得る一大奇観を目の当たりに、我々の「批評」などもはや赤子のたわ言でしかないと知って呆然とせよ」と高山さんは帯文に寄せられています。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。フレッチャー(Angus Fletcher, 1930-2016)の既訳書には『思考の図像学――文学・表象・イメージ』(法政大学出版局、1997年)があり、訳者は『アレゴリー』と同じく伊藤誓さんです。なお同シリーズではウィリアム・マガイアー『ボーリンゲン』が高山宏さんの翻訳で続刊予定とのことです。


★スタヴラカキス『ラカニアン・レフト』の原書は『The Lacanian Left: Psychoanalysis, Theory, Politics』(Edinburgh University Press, 2007)で、巻頭には「日本語版への序文」が付されています。目次詳細や立ち読みPDFは書名のリンク先にてご参照になれます。著者のスタヴラカキス(Yannis Stavrakakis , 1970-)さんは英国生まれのギリシア系思想家で、テッサロニキ・アリストテレス大学教授であり、専門は政治理論です。既訳書に『ラカンと政治的なもの』(有賀誠訳、吉夏社、2003年)があります。なお岩波書店さんでは今月18日発売で、ジャック・ラカン『不安(下)』(ジャック=アラン・ミレール編、小出浩之/鈴木國文 /菅原誠一/古橋忠晃訳)が刊行される予定です。


★ワイスバーグ『科学とモデル』の原書は『Simulation and Similarity: Using Models to Understand the World』(Oxford University Press, 2013)です。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。著者のワイスバーグ(Michael Weisberg, 1976-)はアメリカのペンシルヴェニア大学の哲学講座教授で、訳者解説によれば「いまや科学哲学界の重鎮の一人と言ってよい存在」とのこと。単独著としては今回訳された書籍があるのみのようです。帯文には戸田山和久さんの推薦文が掲載されています。「モデル概念を軸に科学哲学を書き換える。よりスリリングでリアルな科学哲学の始まり始まり!」。なお訳者の松王政浩(まつおう・まさひろ:1964-)さんはソーバーの『科学と根拠』(名古屋大学出版会、2012年)の翻訳も手掛けておられます。


★さらに4月刊行の文庫や新書では以下の書目に惹かれました。ウンベルト・エーコ『バウドリーノ』(上下巻、堤康徳訳、岩波文庫、2017年4月、文庫各464頁、ISBN978-4-00-327182-7/978-4-00-327183-4)、折口信夫『口訳万葉集(中)』(岩波現代文庫、2017年4月、A6判512頁、ISBN978-4-00-602288-4)、三木清『三木清大学論集』(大澤聡編、講談社文芸文庫、2017年4月、本体1,600円、A6判320頁、ISBN978-4-06-290345-5)、エドワード・スノーデンほか『スノーデン 日本への警告』(青木理/井桁大介/宮下紘/金昌浩/ベン・ワイズナー/マリコ・ヒロセ共著、集英社新書、2017年4月、本体720円、新書判208頁、ISBN978-4-08-720876-4)、エドワード・ルトワック『戦争にチャンスを与えよ』(奥山真司訳、文春新書、2017年4月、本体800円、新書判224頁、ISBN978-4-16-661120-1)。



★5月発売予定の文庫新刊では、講談社学術文庫が気になります。11日発売予定で、ガリレオ・ガリレイ『星界の報告』伊藤和行訳、『新版 平家物語(二)全訳注』杉本圭三郎訳注、フランシス・ギース『中世ヨーロッパの騎士』椎野淳訳、『荘子 全現代語訳(上)』池田知久訳、ジャンバッティスタ・デッラ・ポルタ『自然魔術』澤井繁男訳などが予告されています。池田知久訳『荘子』は『荘子 全訳注』(講談社学術文庫、2014年5月刊)の簡易版だそうで、総説、現代語訳、原文、解説からなるとのことです。


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★また、最近では以下の新刊との出会いがありました。


『〈男性同性愛者〉の社会史――アイデンティティの受容/クローゼットへの解放』前川直哉著、作品社、2017年3月発売(奥付4月)、本体2,400円、46判上製238頁、ISBN978-4-86182-626-9
『アンドレ・バザン研究1:特集=作家主義再考』アンドレ・バザン研究会、2017年3月(発行4月)、非売品、A5判並製116頁、ISSN2432-9002
『多田富雄コレクション(1)自己とは何か 免疫と生命』多田富雄著、中村桂子/吉川浩満解説、藤原書店、2017年4月、本体2,800円、四六上製344頁、ISBN978-4-86578-121-2
『柏木如亭詩集1』柏木如亭著、揖斐高訳注、東洋文庫、2017年5月、本体2,900円、B6変判上製函入304頁、ISBN978-4-582-80882-7


★前川直哉『〈男性同性愛者〉の社会史』は2015年に京都大学大学院人間・環境学研究科から学位を授与された博士論文「近現代日本における「男性同性愛者」アイデンティティの受容過程」に加筆修正したものとのこと。1920年代から70年代の日本を対象とし、アイデンティティ受容や悩みとその解決法をめぐって検証しています。著者の前川直哉(まえかわ・なおや:1977-)さんは現在、東京大学大学院経済学研究科特任研究員で、ご専門はジェンダー・セクシュアリティの社会史。ご著書に『男の絆――明治の学生からボーイズ・ラブまで』(筑摩書房、2011年)があります。


★『アンドレ・バザン研究』はアンドレ・バザン研究会の会誌で、記念すべき第1号では研究会代表の大久保清朗さんによる「バザンの徴の下に――『アンドレ・バザン研究』創刊によせて」のほか、「作家主義再考」と銘打って古典的なテクストの翻訳7編が掲載されています。


アレクサンドル・アストリュック「新しいアヴァンギャルドの誕生――カメラ万年筆」堀潤之訳
ロジェ・レーナルト「フォード打倒! ワイラー万歳!」堀潤之訳
アンドレ・バザン「ジャック・ベッケル『エストラパード街』」角井誠訳
フランソワ・トリュフォー「アリババと「作家主義」」大久保清朗訳
アンドレ・バザン「誰が映画の本島の作者か」大久保清朗/堀潤之訳
アンドレ・バザン「作家主義について」野崎歓訳
アンドリュー・サリス「作家理論についての覚え書き、1962年」木下千花訳


巻末の編集後記で堀潤之さんは次のようにお書きになっておられます。「本号がもっぱら過去の文献の翻訳から成っていることい、物足りなさを覚える読者もいるかもしれない。だが、日本の映画研究においては、近年、(とりわけ外国語による)基礎的な文献を精読するという、人文学の根幹を成すはずの作業が、いささか蔑ろにされている傾向はないだろうか。〔・・・〕本誌が慎ましい姿ではあれ翻訳と集癪という基礎的作業だけに専心していることには、こうした豊かな伝統にささやかながた連なろうという決意も込められている」。地道なご研鑽の姿勢に共感を覚えます。


★『多田富雄コレクション(1)自己とは何か 免疫と生命』はシリーズ全5巻の第1回配本。帯文に曰く「1990年代初頭、近代的「自己」への理解を鮮烈に塗り替えた多田の「免疫論」の核心と、そこから派生する問題系の現代的意味を示す論考を精選」と。目次詳細については書名のリンク先をご覧ください。同コレクションの続巻予定は以下の通りです。年内に完結予定。


第2巻『生の歓び 食・美・旅』[解説]池内紀・橋本麻里(6月刊行予定)
第3巻『人間の復権 リハビリと医療』[解説]立岩真也・六車由実(8月刊行予定)
第4巻『死者との対話 能の現代性』[解説]赤坂真理・いとうせいこう(10月刊行予定)
第5巻『寛容と希望 未来へのメッセージ』[解説]最相葉月・養老孟司(12月刊行予定)


★『柏木如亭詩集1』は東洋文庫第882弾。全2巻予定の第1巻です。帯文は以下の通り。「遊蕩、遊歴生活を貫いた天性の抒情詩人の主要作品を作詩年代順に収める。江戸後期に出現した異数の漢詩人の全貌を味読する訳注。第1巻は青年期から中年期まで。巻末に解説を付す」と。作品ごとに原詩、訓読、詩体、語注、現代語訳でワンセットとなっています。様々な詩がありますが、「蕎麦歌(そばのうた)」というのがあって、「信山蕎麦無物敵(しんざんのそば、もののてきするなし:信州の蕎麦に匹敵するものはない)」と詠んでいます。東洋文庫の次回配本は2017年7月、『柏木如亭詩集2』です。

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メモ(17)

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アマゾンの版元直取引宣言が取次を含む業界再編の強力なトリガーになるのではないかと「メモ(16)」で予想しました。トリガーとまで言わなくとも、対外的な大義とはなりうるわけです。アマゾンに対するヤマト運輸の対応のように。そして連鎖の始まりともなりえます。他の宅配業者が値上げや業態転換へと進んだように。「日販=大阪屋栗田=日教販=出版共同流通」というまとまりと「トーハン=中央社=協和出版」というまとまりがそれぞれ一体化へと向かう可能性は以前からあったわけですが、いよいよ統合が加速するかもしれず、その要となるのはまず、日販と大阪屋栗田の関係性ではないかと思われます(とはいえ、取次とその株主である大手版元は少なからず同床異夢の関係にあるように見えて複雑です)。「新文化」の過去記事に今後の業界再編に繋がるヒントが隠されているかもしれません。


2017年4月5日付記事「大阪屋栗田、服部達也氏が代表取締役副社長に」に曰く「4月1日、取締役会を行い、役員人事を決議した。服部取締役が代表取締役副社長執行役員に就いた。事業構造改革担当、マーケティング推進室、企画管理本部、リーディングスタイルを管掌する」。大阪屋栗田の筆頭株主が楽天なのは周知の通り。服部さんは楽天出身。



2017年4月19日付記事「大阪屋栗田、初のPB商品を販売」に曰く「4月下旬から、同社初のPB商品『DATE CHECK‐マスキングテープ』の販売を開始する。同社では「読書タイプ」と「日付タイプ」の2種類を用意。〔・・・〕同商品は同社と取引のある書店で展開する。参考希望小売価格は340円」。書籍ではなく文具だというのがミソ。昨今は書店さんでも文具売場を新設するお店が多いのは周知の通りです。日販やトーハンも文具は扱っていますし、かつて太洋社も2009年から輸入文具を扱っていたことがあり、好評だったと聞いたことがあります。



2017年4月25日付記事「トーハン、今秋から3種ポイントカードに対応」に曰く「楽天、NTTドコモ、ロイヤリティ マーケティングの3社と業務提携し、今秋から書店店頭で「楽天スーパーポイント」「dポイント」「Ponta」の各種カードに対応するサービスを開始する。来店者はいずれかのポイントカードを選択して、ポイント付与やポイントを使用することができる」と。それにしても、出版業界がポイントを実質的値引と批判をしていたのは今となっては昔の話、といった感が否めません。書協・出版再販研究委員会2004年3月11日見解「ポイントカードは値引き/ポイントカード制に関する「公取委の見解」等の経緯」、出版協2013年8月28日声明「ポイントカードによる値引き販売に反対します――読者、書店、取次店、出版社の皆様へ」。



同記事に続けて曰く「トーハンでは共通ポイント化にあたって、新POSレジを開発。その価格は従来のPOSと同額に抑えられているため、取引書店は追加負担なしで新POSに入れ替えて「共通ポイント機能」を導入することができる」と。楽天は先述の通り大阪屋栗田の筆頭株主であり、大阪屋栗田は日販との協力関係を深めている一方で、日販の対抗勢力であるトーハンともお付き合いをするということで、やや込み入った構図。日販はCCCとの連携が強いため、Tポイントとの競合を嫌ったかたちでしょうか。本件については私は版元営業マンのnishiyanさんの分析に同感です。


ちなみにアマゾンに対抗意識があるのは紀伊國屋書店だけではなく、CCCもおそらくはそうではないかと思われます。「東洋経済オンライン」2017年4月5日付、杉本りうこ記者記名記事「TSUTAYAが不振出版社を買い続ける狙い――徳間書店の買収で目指すは書店の「ユニクロ」」によれば「3月31日、東京都内のホテルで開かれたCCCの社員ミーティング。グループ傘下の多くの社員が一堂に会する恒例の年次会合の場で、増田氏は「SPA(製造小売業)をやらなければアマゾンには勝てない」と語ったという。〔・・・〕SPAとはユニクロのファーストリテイリングのように、小売業が川上の製造分野まで手がけ、オリジナル商品を開発する経営モデルだ。つまり増田氏はCCC系列の店舗で扱う商品・サービスを、自ら開発しようと考えているのだ。/徳間書店側も「自社から良質なコンテンツをCCCに提供し、出版やライツビジネスなどの事業を拡大する」(業務管理部)と東洋経済の取材に回答しており、今後はアニメなどエンタメ関連の雑誌・書籍や関連グッズを、グループ向けのオリジナル商材として開発するとみられる。/ネット通販のアマゾンが圧倒的な品ぞろえによるロングテールを強みとするのに対し、増田氏は「アマゾンにはない、ここにしかない」というオリジナル性で差別化を図ろうと考えているのだ」。徳間書店が、と考えるよりも、SPAそのものに注目すべきかと思われます。これは書店と出版社の未来が一体化や強い製販同盟へと行き着くかどうか、という問いへとつながります。少なくとも紀伊國屋書店や丸善のような、書店部門と出版部門を兼ね備えた会社の来し方を見る限り、それは簡単ではありません(しかし、今まではそうだったけれど、とも言えるのかもしれません)。「強度の経営統治」と「編集の自由」はしばしば相容れない価値観の尺度を持っているからです。平たく言えば、カネ儲けと文化創造は必ずしも一致しないのです。折り合いの付け方によって、出てくる結果は異なってきます。


いずれにせよ、ここでの私の解釈は表層を撫でたものに過ぎません。深層はいつだって、もっと複雑怪奇です。一見分かりやすいように感じても、事実は小説よりも奇なり、という展開が今後も待ち受けているのでしょう。


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「はてな匿名ダイアリー」2017年5月7日付エントリー「アマゾンの「バックオーダー発注」廃止は、正味戦争の宣戦布告である」は、同業者にはとても共感できる鋭い記事で、すでに多くの反響が寄せられています。特に次の点は版元営業マンであれば必ずぶち当たる疑問です。


「実際にこの十数年、定番書であっても同じアイテムの「バックオーダー発注」の短冊が数週間に一度、同じ日に何枚も「市川13,6,4、小田原9,5,2、堺20,7、鳥栖6,5,2」というようにまわってきて、その前後でアマゾンで品切になり、回復まで10日間というような事態が繰り返されてきた。/ベンダーセントラルを見ると、受注は多少の波はあれどコンスタントであり、アマゾン自身の「需要予測」もおおむね頷ける値になっている。しかし、発注だけがすさまじく間歇的なのだ。/最初は倉庫の入荷オペレーションのためかと考えていた。しかし、倉庫が各地に増えた現在では、各倉庫の発注時期をずらせば、品切を回避できるはず。アマゾンの優秀な人たちがそれに気づかないはずはないが、折に触れてその点は提案してきた。/「発注時期を倉庫毎にずらせませんか」「バックオーダーの発注を版元に直接送りませんか」/しかし、そのたびに返ってくる返事は「当社独自の計算にもとづき、在庫量・発注時期は最適なかたちでおこなわれています」「流通にご不満がある場合は、e託契約をご検討ください」だった」。


「複数の出版社でこの問題を訴えようにも「e託契約」も「パートナー契約」も、すべて明細は秘密保持契約(NDA)の向こう側にあり、その訴訟リスクが情報共有と連帯を阻む。今回、筆者が匿名で書かざるを得ないのもそのためだ」。


アマゾンはこの筆者を特定しようとするでしょうか。私はこの筆者にむしろ感謝したいですし、こうした問題提起が広く公的に議論されることを望みたいです。アマゾンは直取引先が増えていることをなんとかアピールしたいようですが、「メモ(16)」で書いた通り、それには限界があるというのが私の予想です。アマゾンと同じ土俵に乗る必要はない、と判断した出版社をアマゾンが説得することはほぼ不可能でしょう。あと、この際アマゾンに言っておきます。版元に電話を掛けてくるなら、掛けてくる人間にちゃんと部署名くらい与えてあげなさいよ。


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ελενθερια

6月上旬新刊:荒木経惟『私情写真論』

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2017年6月2日取次搬入予定 *芸術/写真評論


私情写真論
荒木経惟著
月曜社 2017年6月 本体1,500円 46判[天地190mm×左右125mm]並製256頁 ISBN:978-4-86503-048-8


※アマゾン・ジャパンにて予約受付中


アラーキー写真観のエッセンス、写真論の大部分! 1964年太陽賞受賞(「さっちん」)の感想、1971年の写真家宣言「センチメンタルな旅 まえがき」からはじまる、45篇。装幀:町口覚


東京都写真美術館と東京オペラシティアートギャラリーで大規模展覧会開催
*東京都写真美術館「センチメンタルな旅 1971-2017」[2017.7.25—9.24]弊社刊行『東京は、秋』出品
*東京オペラシティアートギャラリー「写狂老人A」[2017.7.8-9.3]


荒木経惟(あらき・のぶよし):1940 年東京・三ノ輪生まれ。最近の主な刊行物に、『さっちん:オリジナル版』(2017年、河出書房新社)、『センチメンタルな旅』(2016年、河出書房新社)、『東京は、秋』(2016年、月曜社)、『写真ノ説明』(2016年、光文社新書)などがある。


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インタヴュー「星野太『崇高の修辞学』をめぐって」@REALKYOTO

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京都を中心とした関西圏のカルチャーイベント情報と、レビューや批評を掲載するウェブマガジン「REALKYOTO」で、美術作家の池田剛介さんによるインタヴューシリーズ「芸術論の新たな転回」が掲載され、記念すべき第1弾として星野太さんへのインタヴュー「星野太『崇高の修辞学』をめぐって」が公開されています。その1、その2、その3、の全3回です。


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取次搬入日決定:『鉄砲百合の射程距離』『ソシュールの政治的言説』

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弊社5月新刊2点の取次搬入日が決定しましたのでお知らせします。取次搬入日は書店さんでの店頭発売日ではありませんのでご注意ください。


内田美沙=句/森山大道=写真/大竹昭子=編『鉄砲百合の射程距離』は、日販、トーハン、大阪屋栗田、いずれも5月12日(金)です。帯文を寄せていただいている皆様がとても豪華、というお声を取次さんから頂戴しています。内田さんと森山さんは実の姉弟でいらっしゃいますが、コラボは初めて。俳句とモノクロ写真の合体は必見です。


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金澤忠信『ソシュールの政治的言説』は上述の取次三社とも、5月15日(月)です。シリーズ「古典転生」の第14回配本、本巻第14巻です。書影も公開します。ソシュールが一知識人として19世紀の歴史的事件に対してどう発言していたか、言語学者の知られざる一面を手稿群から剔抉した労作です。書影を初公開します。


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5月末新刊:ソシュール『伝説・神話研究』

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2017年5月31日取次搬入予定 *人文・現代思想・言語学


伝説・神話研究
フェルディナン・ド・ソシュール著 金澤忠信訳
月曜社 2017年5月 本体3,400円 A5判上製248頁 ISBN978-4-86503-043-3


アマゾン・ジャパンにて予約受付中!


北欧伝説の変遷やルクレーティウスの詩を分析する神話学者としてのソシュール。草稿群に加えて、大学生時代のドイツ留学期の書簡や、さらに遡る17歳の折にイラストを添えて描いた空想冒険譚を初訳する。言語学者と並走する「もう一人のソシュール」が明らかになる。シリーズ・古典転生、第15回配本、本巻13。


目次:
北欧の伝説と説話――ジークフリートからトリスタンまで
身体の始原空〔カオス〕、語の場〔コーラ〕――—愛の幻惑をめぐるルクレーティウスの11詩行
ライプツィヒからの手紙(1876‒1880年)
ポリティキュスの冒険


フェルディナン・ド・ソシュール(Ferdinand de Saussure, 1857-1913):スイスの言語学者。近代言語学の父と呼ばれる。生前は印欧歴史比較言語学の大家として知られる。死後出版の『一般言語学講義』(1916年)が20世紀後半の記号論および構造主義の理論的基盤となり、言語学だけでなく隣接諸科学にも多大な影響を与えた。


金澤忠信(かなざわ・ただのぶ):1970年生まれ。香川大学准教授。著書に『ソシュールの政治的言説』(月曜社、2017年)、訳書にジャン・スタロバンスキー『ソシュールのアナグラム』(水声社、2006年)などがある。


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注目文庫新刊:ヴォルテール『哲学書簡』新訳、ほか

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『哲学書簡』ヴォルテール著、斉藤悦則訳、光文社古典新訳文庫、2017年5月、本体980円、364頁、ISBN978-4-334-75354-2
『デカメロン(下)』ボッカッチョ著、平川祐弘訳、河出文庫、2017年5月、本体1,000円、560頁、ISBN978-4-309-46444-2
『星界の報告』ガリレオ・ガリレイ著、伊藤和行訳、講談社古典新訳文庫、2017年5月、本体600円、128頁、ISBN978-4-06-292410-8
『自然魔術』ジャンバッティスタ・デッラ・ポルタ著、澤井繁男訳、講談社学術文庫、2017年5月、本体980円、288頁、ISBN978-4-06-292431-3
『柄谷行人講演集成1985-1988 言葉と悲劇』ちくま学芸文庫、2017年5月、本体1,200円、384頁、ISBN978-4-480-09771-2



★今月も続々と古典の新訳が文庫化が続いています。ヴォルテール『哲学書簡』は、斉藤悦則さん訳によるヴォルテール新訳第三弾で、これまでに『カンディード』が2015年8月に、『寛容論』が2016年5月に上梓されています。『哲学書簡』は発禁書にしてベストセラー。既訳文庫には林達夫訳『哲学書簡』(岩波文庫、1980年)があります。



★ボッカッチョ『デカメロン(下)』は、平川祐弘さん訳の全三巻完結編。第八日から第十日、著者結び、までを収録。訳者解説は第六章「『デカメロン』に貼られた様々なレッテル」、第七章「東洋文学との比較」、第八章「結びにかえて」が収められています。なお河出文庫では6月6日発売で、アルトー『タラウマラ』宇野邦一訳が刊行予定だそうです。



★ガリレオ・ガリレイ『星界の報告』は文庫オリジナル版新訳。「1610年にヴェネツィアで刊行された初版に基づいて第一人者が完成させた決定版新訳」(帯文より)と。既訳文庫には、 山田慶児・谷泰訳『星界の報告 他一篇』(岩波文庫、1976年)があります。こちらは「太陽黒点にかんする第二書簡」を併載。



★デッラ・ポルタ『自然魔術』の親本は1990年に青土社より刊行。文庫化にあたっての「追記」によれば「この好機にあたって、科学史家の山本義隆氏から内容等に関して多大なご教示をいただき、感謝の念に堪えない」とありますから、改稿があったと受け止めてよいかと思います。なお同書の「人体篇」が1996年に同じく澤井さんの翻訳で青土社より刊行されており、現在は版元品切の様子。講談社さんから続けて文庫化されたら嬉しいですね。



★『柄谷行人講演集成1985-1988 言葉と悲劇』は、今年1月に刊行された文庫オリジナル版『柄谷行人講演集成1995-2015 思想的地震』に続く講演集。巻末の特記によれば「本書は、1989年に第三文明社より刊行され、1993年に講談社学術文庫に収録された。本文庫化に際しては、講談社学術文庫版を底本とし」、以下のような改変を加えた、とのことです。曰く「一、「バフチンとウィトゲンシュタイン」については、割愛した。一、「漱石の多様性」「坂口安吾その可能性の中心」については、『定本 柄谷行人文学論集』(岩波書店、2016年)所収の改稿版に差し替えた。一、内容の関連性を考慮し、一部講演の配列を差し替えた。一、その他、全体を通して改稿を施した」と。講談社学術文庫版『言葉と悲劇』(現在品切重版未定)と読み比べてみるのも面白そうですね。



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「週刊読書人」に松浦寿輝×星野太対談「酷薄な系譜としての〝修辞学的崇高〟」

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「週刊読書人」2017年5月12日号の1面、2面、8面に、松浦寿輝さんと星野太さんの対談「酷薄な系譜としての〝修辞学的崇高〟――『崇高の修辞学』(月曜社)刊行を機に」が掲載されました。「優れた学問論文がどれもそうであるように、これはアカデミックな専門性の閉域に閉じこもる思考ではなく、広く一般読書人の関心に訴える要素も持っている。そういう意味で、日本の出版界に一石を投じる意義深い仕事だと思いました」と松浦先生にご評価いただきました。


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ブックツリー「哲学読書室」に西兼志さんの選書リストが追加されました

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オンライン書店「honto」のブックツリー「哲学読書室」に、『アイドル/メディア論講義』(東京大学出版会、2017年4月)を上梓された西兼志さんの選書リスト「〈アイドル〉を通してメディア文化を考える」が追加されました。下記リンク先一覧よりご覧ください。
◎哲学読書室星野太さん選書「崇高が分かれば西洋が分かる」
國分功一郎さん選書「意志について考える。そこから中動態の哲学へ!」
近藤和敬さん選書「20世紀フランスの哲学地図を書き換える」
上尾真道さん選書「心のケアを問う哲学。精神医療とフランス現代思想」
篠原雅武さん選書「じつは私たちは、様々な人と会話しながら考えている」
渡辺洋平さん選書「今、哲学を(再)開始するために」
西兼志さん選書「〈アイドル〉を通してメディア文化を考える」





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重版出来:『表象11:ポスト精神分析的主体の表象』2刷

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『表象11:ポスト精神分析的主体の表象』の重版(2刷)が本日5月17日、できあがりました。補充予約を入れていただいた書店様のご発注分は明日より順次取次搬入となります。


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『羅独-独羅学術語彙辞典』まもなく八重洲BC本店での販売を終了します

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今年一月に廃業された哲学書房さんの『羅独-独羅学術語彙辞典』(麻生建+黒崎政男+小田部胤久+山内志朗編、哲学書房、1989年5月、本体24,272円、A5判函入上製797頁、ISBN4-88679-033-X)の、八重洲ブックセンター本店人文書売場(電話03-3281-8204)での販売を今月末で終了します。弊社での直販はまだ継続しておりますが、クレジットカードでの購入を希望される方はぜひこの機会に八重洲ブックセンター本店にてご購入ください。地方発送も可能です。


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日経新聞に『鉄砲百合の射程距離』の紹介記事

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「日本経済新聞」2017年5月19日(金)付「文化」欄の「文化往来」に弊社今月新刊『鉄砲百合の射程距離』の紹介記事「内田美紗と森山大道、写真と俳句の作品集」が掲載されています。「写真と俳句が響き合うというよりは、不協和音を恐れず激しく切り結ぶような、刺激的な作品集となっている。〔・・・〕写真に写っているものと俳句の内容は無関係だが、取り合わせの妙でイメージが重層化していくのが面白い」と評していただきました。


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一方、「毎日新聞」2017年5月14日付「今週の本棚」欄の「この3冊」で、青木敦子さんが選書人をつとめられています。お題は「シラー」です。「シラーに関心を持つ方が増えることを願うばかりである」として、シラー研究やシラーによる戯曲を紹介されました。青木さんは弊社より『影像の詩学――シラー『ヴァレンシュタイン』と一義性の思考』という論考を2014年に上梓されています。


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また、弊社より2013年に刊行したリピット水田堯『原子の光(影の光学)』の共訳者、門林岳史さんが、関西大学映像文化学会のニューズレター「EB」第8号(2017年3月15日発行)で、教員エッセイ「東日本震災以降の表現に寄り添って」を寄稿されています。「震災後の映像をめぐる状況が、私が「ポストメディア」概念で考えようとしていることと重要な接点を持っていることに気づきはじめた(講演はせんだいメディアテークの機関誌「ミルフイユ」第6号に収録」とお書きになっておられます。


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