★モーリス・ブランショさん(著書:『問われる知識人』『ブランショ政治論集』『書物の不在【初版朱色本】』『書物の不在【第二版鉄色本】』『謎の男トマ 1941年初版』)
★郷原佳以さん(訳書:『ブランショ政治論集』)
★門間広明さん(訳書:『謎の男トマ 1941年初版』)
『文学時評1941-1944』モーリス・ブランショ著、郷原佳以/門間広明/石川学/伊藤亮太/髙山花子訳、水声社、2021年9月、本体8,000円、A5判上製576頁、ISBN978-4-8010-0492-4
先月公刊された、ブランショ『文学時評1941-1944』をようやく購入することができました。帯文に曰く「第二次大戦期に『ジュルナル・デ・デバ』紙に連載された、小説、詩、評伝、比較神話学、歴史言語学、神学、文明論など多岐にわたるジャンルの文学時評。批評家、思想家として本格的に活躍する以前の、ブランショの思想の原点!」。2段組で本文が500頁を超える大冊です。原著は『Chroniques littéraires du « Journal des Débats », avril 1941-août 1944』(Textes choisis et établis par Christophe Bident, Gallimard, coll. Les Cahiers de la N.R.F., 2008)です。
本書のほか、7月から9月までの新刊で以下の3点を購入しました。
『美女と野獣』マイケル・タウシグ著、上村淳志/田口陽子/浜田明範訳、水声社、2021年9月、本体3,200円、四六判上製285頁、ISBN978-4-8010-0595-2
『わたしの声―― 一人称単数について』アルフォンソ・リンギス著、水野友美子/小林耕二訳、水声社、2021年8月、本体3,200円、46判上製263頁、ISBN978-4-8010-0580-8
『残酷物語』ヴィリエ・ド・リラダン著、田上竜也訳、水声社、2021年7月、本体3,500円、四六判上製448頁、ISBN978-4-8010-0585-3
『美女と野獣』『わたしの声』はともに、叢書「人類学の転回」の新刊。前者『美女と野獣』は『Beauty and the Beast』(University of Chicago Press, 2012)の全訳で、同叢書でのタウシグ(Michael Taussig, 1940-)の翻訳は、『ヴァルターベンヤミンの墓標』(金子遊/井上里/水野友美子訳、2016年3月)、『模倣と他者性ーー感覚における特有の歴史』(井村俊義訳、2018年6月)に続く3冊目です。後者『わたしの声』は『The First Person Singular』(Northwestern University Press, 2007)の全訳で、同叢書でのリンギスの翻訳は、『変形する身体』(小林徹訳、2015年12月)、『暴力と輝き』(水野友美子/金子遊/小林耕二訳、2019年5月)に続く3冊目です。同叢書の既刊書はこれで18点になりました。素晴らしいシリーズです。
『残酷物語』は 齋藤磯雄訳『残酷物語』(『残酷物語――こんと・くりゆえる』上下巻、三笠書房、1938年;『こんと・くりゆえる・しゅいっと』三笠書房、1940年;『ヴィリエ・ド・リラダン全集(1・2)残酷物語(上・下)』三笠書房、1949年;『世界文学選書(64)残酷物語』三笠書房、1951年;『残酷物語』新潮文庫、1954年;『残酷物語』筑摩叢書、1965年;『残酷物語』、『ヴィリエ・ド・リラダン全集(1)』所収、東京創元社、1977年)や、辰野隆選『リイルアダン短篇集』(上下巻、岩波文庫、1952年)などの既訳で親しまれてきた作品の待望の新訳です。帯には「ヴィリエ・ド・リラダン・コレクション」として今後、木元豊訳『未来のイヴ』や、鈴木雅生訳『クレール・ルノワール』などが続刊予定だそうです。