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本日取次搬入:『スティーヴ・レイシーとの対話』月曜社

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弊社新刊、ジェイソン・ワイス編『スティーヴ・レイシーとの対話』が本日10月29日に取次搬入となりました。書店さんの店頭に並び始めるのは11月2日以降順次となるかと思われます。編者のジェイソン・ワイス(Jason Weiss, 1955-)の既訳書には『危険を冒して書く――異色作家たちへのパリ・インタヴュー』(浅野敏夫訳、法政大学出版局、1993年)があります。こちらはワイスが聞き手となって、パリ在住の作家9名にインタヴューをしたもの(原著は1991年)。9名というのは、E・M・シオラン、フリオ・コルタサル、ブライアン・ガイシン、ウージェーヌ・イヨネスコ、カルロス・フエンテス、ジャン=クロード・カリエール、ミラン・クンデラ、ナタリー・サロート、エドモン・ジャベス。カリエールを除いては異国出身です。『スティーヴ・レイシーとの対話』は原著が2006年刊行で、ワイスによるものを含めて34篇のインタヴューが収録され、さらに13篇の自筆メモと3曲の楽譜を併録しています。


フランク・メディオニによる1995年のインタヴュー「余計な音はいらない、もう十分だ」(242~244頁)より:


メディオニ――あなたの音楽のなかには、構築と脱構築を統合したものがあると言ってもいいのでしょうか。


レイシー――もちろんです。私は曲を構築し、かつ脱構築しながらそれに取り組んでいます。最初のフレーズにあったものは、最終的には何も残りません。しかし構造の構築はずっとやり続けています。モンクはよく「掘り下げろ〔Dig it〕」と言っていました。一つの音楽的アイデアを理解するためには、掘り出し、評価し、とことんその作業をやり抜くことが必要です。


メディオニ――あなたは、フレーズをあまり吹きませんが・・・。


レイシー――時々、それでもまだ多すぎることがあります。自分が自由に使える手段には、疑い深くあるべきです。上達すればするほど、演奏が悪くなるんです。そこは、わけが分かりません。


メディオニーー普通に起こることとは正反対になると・・・。


レイシー――そうです。しかし実際にはそういうものなんです。


+++


メディオニ――あなたはマンデリシュターム、老子、サンドラール。ベケット、ウィリアム・バロウズ、ブライオン・ガイシン・・・といった人たちのテキストを援用することで、広範囲にわたって文学作品と取り組んできました。


レイシー――革新的なことをやる必要がありますからね。音楽の中に人の声が存在すると、ある種のしなやかさが生まれ、もっと人間的なものになります。それは出発点からして別のもので、それゆえに到達点も異なります。我々は文学を音楽として表現しているんです。そういうことをやっているのは我々だけではありません。フランスでは、アンドレ・オデールが既にやっています。


メディオニ――あなたはまた、振付師、画家、彫刻家とも一緒に仕事をしていますね。あなたの目的な、あらゆる芸術を結合すること、統一することなのでしょうか?


レイシー――あらゆる芸術は、本質的には同じものから生まれてきます。そこにあるのは空間であり、時間であり、それから音、色彩、物体、肉体です。あらゆる芸術の間には、統一できる何かがあるんです。ですから、それらをミックスするのは、理にかなったことだと私には思えます。これはたぶん、歌、ダンス、演劇と、あらゆる領域で数多くの仕事をしたデューク・エリントンからの影響でしょうね。それを統一したのがジャズという音楽であり、至るところにあって、その中に何もかもが染み込んでいました。加えて、作曲家になる前、エリントンは画家でした。ジャズを、様々な状況の関数として徐々に変化する音楽だとするなら、私は状況主義者です。それがダンスであれ、演劇であれ、絵画であれ、ジャズのあり方を決めるのは状況です。それに私は唯物論者〔マテリアリスト〕でもあるので、私が興味を引かれるのは曲であり、サウンドであり、素材〔マテリアル〕です。


メディオニ――あなたにとってジャズの定義とはどういうものですか?


レイシー――集団で行なう、友好的で、友愛的な探索行為であり、しかし同時にまた戦いでもあります。本性からも、起源からも、本来の使命からも、反体制的な音楽です。「そういうふうに演奏したい、他人のことは一切気にしない、自分たちのやり方で演奏したい」という音楽です。ジャズはパルチザン的な音楽なんです。だから我々はジャズのパルチザンです。



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