弊社出版物でお世話になっている著訳者の皆さんの最近のご活躍をご紹介いたします。
★宮﨑裕助さん(共訳:ド・マン『盲目と洞察』、ガシェ『脱構築の力』)
単独著第二弾を先月上梓されました。2009年から2019年にかけて各媒体で発表されてきた10本のデリダ論に、加筆修正を施し、書き下ろしの序論を付して一冊としたもの。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。なお同書をめぐっては、宮﨑さんが関連する4冊とともにブックガイド「「死後の生」を考える、永遠の生を希求することなく」をhontoブックツリーに寄稿しておられます。また本書とガシェ『脱構築の力』に対して、星野太さん(著書『崇高の修辞学』)が書評をお書きになっておられます(「artscapeレビュー」2020年2月11日付)。
ジャック・デリダ――死後の生を与える
宮﨑裕助著
岩波書店 2020年1月 本体3,600円 四六判上製カバー装376頁 ISBN978-4-00-061385-9
帯文より:「私は私自身と戦争状態にある」。テクストの徹底的な読解と、現代への透徹した視線。〈デリダを超えてゆくデリダ〉に出会う、新たな時代の入門書。生きることの自由と未来のために。
★鵜飼哲さん(共訳:ジュネ『公然たる敵』)
一橋大学での最終講義が以下の通り行われます。参加自由、入場無料、事前予約不要とのことです。
◎鵜飼哲最終講義「アンティゴネーと絶対知――デリダ『弔鐘』をめぐって」
日時:2020年3月18日(水)18-20時
会場:一橋大学西キャンパス(国立駅南口より徒歩10分)第二講義棟405番教室
司会:西山雄二(首都大学東京)
主催:脱構築研究会
協力:鵜飼ゼミ有志
★入江哲朗さん(共訳:ガシェ『脱構築の力』)
単独著第一弾『火星の旅人』を先月上梓されました。2013年に東京大学大学院総合文化研究科へ提出した修士論文「火星の旅人――パーシヴァル・ローエルと世紀転換期のニューイングランド」を元に、4倍以上の分量に書き直されたもの。目次詳細は書名のリンク先でご覧になれます。なお本書の装丁と組版は、『脱構築の力』と同じ、新進気鋭のデザイナー、北岡誠吾さんが担当されています。また入江さんは、まもなく発売となるブルース・ククリック『アメリカ哲学史―― 一七二〇年から二〇〇〇年まで』(大厩諒/入江哲朗/岩下弘史/岸本智典訳、勁草書房、2020年2月)を共訳しておられます。
火星の旅人――パーシヴァル・ローエルと世紀転換期アメリカ思想史
入江哲朗著
青土社 2020年1月 本体3,200円 四六判並製384+76頁 ISBN978-4-7917-7245-2
帯文より:名門に生まれ、日本を旅した男はなぜ火星に魅せられたのか。ボストン・ブラーミンと称され、ハーアード大学の興隆に大きく寄与した名門ローエル家に生まれたパーシヴァル。詩文をよくし、科学的知性を携えた青年は19世紀末アメルカの知識階級の伝統と逸脱に揺れ動きながら、日本へ渡る。ラフカディオ・ハーンにも読まれたジャパノロジストの足跡と、ラヴクラフトのクトゥルー神話に接続する“観測”という想像力を追う、俊英による新たなるアメリカ思想史。
★中山元さん(訳書:ブランショ『書物の不在』)
光文社古典新訳文庫よりフロイト『モーセと一神教』(1939年)の新訳を今月上梓されました。中山さんによる同文庫でのフロイト新訳は、2007年9月刊『幻想の未来/文化への不満――フロイト文明論集1』、2008年2月刊『人はなぜ戦争をするのか――エロスとタナトス:フロイト文明論集2』、2011年2月刊『ドストエフスキーと父親殺し/不気味なもの』に続く4冊目です。
モーセと一神教
フロイト著 中山元訳
光文社古典新訳文庫 2020年2月 本体1,060円 文庫判並製344頁 ISBN978-4-334-75419-8
帯文表1より:十戒のモーセを殺したのは誰か? ユダヤ教成立の謎をフロイトが解読する。
帯文表2より:なぜ、モーセはユダヤの民を選んだのか? なぜ、ユダヤ人は迫害されるのか?……ユダヤ教の成立とキリスト教誕生の間に隠された謎を、「原父殺害」「潜伏期」「抑圧されたものの回帰」といった精神分析の理論を援用して解読するフロイト最大の問題作。
カヴァー表4紹介文:ファシズムの脅威のなか書き上げられたフロイトの「遺著」。 猛威をふるっていた反ユダヤ主義の由来について、フロイトは、モーセはエジプト人だったとする仮説からユダヤ教の成立と歴史を考察し、みずからの精神分析の理論を援用してキリスト教の誕生との関係から読み解く。
★岡本源太さん(著書『ジョルダーノ・ブルーノの哲学』)
フランスの哲学者で美術史家のユベール・ダミッシュ(Hubert Damisch, 1928-2017)による80年代半ばの論文集『Fenêtre jaune cadmium ou les Dessous de la peinture』(Paris, Seuil, 1984)の全訳が昨年末に水声社のシリーズ「言語の政治」第22巻として刊行され、岡本さんは共訳者の一人として第Ⅱ部「定理」の翻訳を担当しておられます(「芸術、今日、註釈」「アンフォルメル」「戦略、1950-1960年」)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。
カドミウム・イエローの窓――あるいは絵画の下層
ユベール・ダミッシュ著 岡本源太/桑田光平/坂口周輔/陶山大一郎/松浦寿夫/横山由季子訳
水声社 2019年12月 本体4,000円 A5判上製341頁 ISBN978-4-8010-0445-0
帯文より:デッサンと色彩、抽象と具象、垂直と水平、地と図、見ることと読むこと、有限と無限……。モンドリアン、ポロック、デュビュッフェ、クレー、スタインバーグ、アダミ、ルーアンといった作家たちを導きの糸にしながら、二十世紀の美術が依拠してきた理論と歴史の布置を問い直し、その錯綜とした結び目に光を投げかける。
数十年前に刊行された書籍でもそう簡単に色あせないのは、人文学の営みというものがそもそも文化の歴史的深層へとその視線を果敢に届かせようとしているからでしょう。例えばダミッシュと同じく美術系の哲学者による「現代の古典」の翻訳としては、一年前にイヴ・ミショー(Yves Michaud, 1944-)の90年代の論争的著作『La crise de l'art contemporain : Utopie, démocratie et comédie』(PUF, 1997)の全訳が刊行されています。『現代アートの危機――ユートピア、民主主義、そして喜劇』(島本浣/中西園子訳、三元社、2019年1月、本体3,500円、A5判上製280頁、ISBN978-4-88303-471-0)。底本はカドリージュ版(2005年/2015年)。こうした書籍を意識的に扱っていらっしゃる書店さんは信用に値すると私は思います。
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★宮﨑裕助さん(共訳:ド・マン『盲目と洞察』、ガシェ『脱構築の力』)
単独著第二弾を先月上梓されました。2009年から2019年にかけて各媒体で発表されてきた10本のデリダ論に、加筆修正を施し、書き下ろしの序論を付して一冊としたもの。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。なお同書をめぐっては、宮﨑さんが関連する4冊とともにブックガイド「「死後の生」を考える、永遠の生を希求することなく」をhontoブックツリーに寄稿しておられます。また本書とガシェ『脱構築の力』に対して、星野太さん(著書『崇高の修辞学』)が書評をお書きになっておられます(「artscapeレビュー」2020年2月11日付)。
ジャック・デリダ――死後の生を与える
宮﨑裕助著
岩波書店 2020年1月 本体3,600円 四六判上製カバー装376頁 ISBN978-4-00-061385-9
帯文より:「私は私自身と戦争状態にある」。テクストの徹底的な読解と、現代への透徹した視線。〈デリダを超えてゆくデリダ〉に出会う、新たな時代の入門書。生きることの自由と未来のために。
★鵜飼哲さん(共訳:ジュネ『公然たる敵』)
一橋大学での最終講義が以下の通り行われます。参加自由、入場無料、事前予約不要とのことです。
◎鵜飼哲最終講義「アンティゴネーと絶対知――デリダ『弔鐘』をめぐって」
日時:2020年3月18日(水)18-20時
会場:一橋大学西キャンパス(国立駅南口より徒歩10分)第二講義棟405番教室
司会:西山雄二(首都大学東京)
主催:脱構築研究会
協力:鵜飼ゼミ有志
★入江哲朗さん(共訳:ガシェ『脱構築の力』)
単独著第一弾『火星の旅人』を先月上梓されました。2013年に東京大学大学院総合文化研究科へ提出した修士論文「火星の旅人――パーシヴァル・ローエルと世紀転換期のニューイングランド」を元に、4倍以上の分量に書き直されたもの。目次詳細は書名のリンク先でご覧になれます。なお本書の装丁と組版は、『脱構築の力』と同じ、新進気鋭のデザイナー、北岡誠吾さんが担当されています。また入江さんは、まもなく発売となるブルース・ククリック『アメリカ哲学史―― 一七二〇年から二〇〇〇年まで』(大厩諒/入江哲朗/岩下弘史/岸本智典訳、勁草書房、2020年2月)を共訳しておられます。
火星の旅人――パーシヴァル・ローエルと世紀転換期アメリカ思想史
入江哲朗著
青土社 2020年1月 本体3,200円 四六判並製384+76頁 ISBN978-4-7917-7245-2
帯文より:名門に生まれ、日本を旅した男はなぜ火星に魅せられたのか。ボストン・ブラーミンと称され、ハーアード大学の興隆に大きく寄与した名門ローエル家に生まれたパーシヴァル。詩文をよくし、科学的知性を携えた青年は19世紀末アメルカの知識階級の伝統と逸脱に揺れ動きながら、日本へ渡る。ラフカディオ・ハーンにも読まれたジャパノロジストの足跡と、ラヴクラフトのクトゥルー神話に接続する“観測”という想像力を追う、俊英による新たなるアメリカ思想史。
★中山元さん(訳書:ブランショ『書物の不在』)
光文社古典新訳文庫よりフロイト『モーセと一神教』(1939年)の新訳を今月上梓されました。中山さんによる同文庫でのフロイト新訳は、2007年9月刊『幻想の未来/文化への不満――フロイト文明論集1』、2008年2月刊『人はなぜ戦争をするのか――エロスとタナトス:フロイト文明論集2』、2011年2月刊『ドストエフスキーと父親殺し/不気味なもの』に続く4冊目です。
モーセと一神教
フロイト著 中山元訳
光文社古典新訳文庫 2020年2月 本体1,060円 文庫判並製344頁 ISBN978-4-334-75419-8
帯文表1より:十戒のモーセを殺したのは誰か? ユダヤ教成立の謎をフロイトが解読する。
帯文表2より:なぜ、モーセはユダヤの民を選んだのか? なぜ、ユダヤ人は迫害されるのか?……ユダヤ教の成立とキリスト教誕生の間に隠された謎を、「原父殺害」「潜伏期」「抑圧されたものの回帰」といった精神分析の理論を援用して解読するフロイト最大の問題作。
カヴァー表4紹介文:ファシズムの脅威のなか書き上げられたフロイトの「遺著」。 猛威をふるっていた反ユダヤ主義の由来について、フロイトは、モーセはエジプト人だったとする仮説からユダヤ教の成立と歴史を考察し、みずからの精神分析の理論を援用してキリスト教の誕生との関係から読み解く。
★岡本源太さん(著書『ジョルダーノ・ブルーノの哲学』)
フランスの哲学者で美術史家のユベール・ダミッシュ(Hubert Damisch, 1928-2017)による80年代半ばの論文集『Fenêtre jaune cadmium ou les Dessous de la peinture』(Paris, Seuil, 1984)の全訳が昨年末に水声社のシリーズ「言語の政治」第22巻として刊行され、岡本さんは共訳者の一人として第Ⅱ部「定理」の翻訳を担当しておられます(「芸術、今日、註釈」「アンフォルメル」「戦略、1950-1960年」)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。
カドミウム・イエローの窓――あるいは絵画の下層
ユベール・ダミッシュ著 岡本源太/桑田光平/坂口周輔/陶山大一郎/松浦寿夫/横山由季子訳
水声社 2019年12月 本体4,000円 A5判上製341頁 ISBN978-4-8010-0445-0
帯文より:デッサンと色彩、抽象と具象、垂直と水平、地と図、見ることと読むこと、有限と無限……。モンドリアン、ポロック、デュビュッフェ、クレー、スタインバーグ、アダミ、ルーアンといった作家たちを導きの糸にしながら、二十世紀の美術が依拠してきた理論と歴史の布置を問い直し、その錯綜とした結び目に光を投げかける。
数十年前に刊行された書籍でもそう簡単に色あせないのは、人文学の営みというものがそもそも文化の歴史的深層へとその視線を果敢に届かせようとしているからでしょう。例えばダミッシュと同じく美術系の哲学者による「現代の古典」の翻訳としては、一年前にイヴ・ミショー(Yves Michaud, 1944-)の90年代の論争的著作『La crise de l'art contemporain : Utopie, démocratie et comédie』(PUF, 1997)の全訳が刊行されています。『現代アートの危機――ユートピア、民主主義、そして喜劇』(島本浣/中西園子訳、三元社、2019年1月、本体3,500円、A5判上製280頁、ISBN978-4-88303-471-0)。底本はカドリージュ版(2005年/2015年)。こうした書籍を意識的に扱っていらっしゃる書店さんは信用に値すると私は思います。
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