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備忘録(28)

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◆2016年5月13日午前11時現在。
昨年あたりからうわさが流れていましたが、ついに新聞報道が出ました。「朝日新聞」2016年5月13日付記事「紀伊国屋新宿南店、事実上の撤退へ 売り場を大幅に縮小」に曰く「7月下旬をめどに、売り場を大幅に縮小させ、事実上撤退する方針であることがわかった。計6フロア(約4千平方メートル)ある売り場のうち、6階のみを洋書専門店として残す。紀伊国屋は「ビルの所有者側と賃料交渉がまとまらなかった」としている。〔・・・〕オープンから20年を迎え、9月の契約満了を控えて交渉が続いていた」と。コメント欄付のヤフーニュース版はこちら。同記事はlivedoorNEWSでも配信されています。

また、「都商研ニュース」5月13日付記事「紀伊國屋書店新宿南店、7月下旬閉店」によれば、「紀伊國屋書店新宿南店は1996年10月に開店。タカシマヤタイムズスクエア(新宿髙島屋)南館の1~6階に入居しており、売場面積は約4,000㎡。〔・・・〕当初は日本最大の書店として話題になったものの、新宿駅東口にある新宿本店との棲み分けが出来ずに苦戦。近年は漫画の品揃えを充実させるなど差別化を行っていたが、開店20年の契約満了を機に閉店することになったという。〔・・・〕7階の紀伊國屋サザンシアターについては、昨年「賃貸契約を更新する方針」であると報道されており、今夏の公演予定も決まっているため、書店の閉店後も当面は運営を続けると見られている」。

版元としては大型店の閉店は大量返品に帰結するので、厳しいです。閉店がはっきりしているならば、新刊委託や客注はともかく、補充注文の要請には応えにくくなるというのが現実でしょう。南店の在庫を本店や各支店がフル活用する、というのも考えにくいですし、その辺は紀伊國屋書店さんがはっきりと方針を声に出してくださらないと、版元によっては出荷を抑制せざるをえなくなるものと思われます。下手をすれば補充が入らず、閉店前には棚や平台にアキが目立つようになるでしょう。これはさいきんどこかで見た風景に似ています。

いっぽうで、洋書フロアとサザンシアターが残るのは幸いでした。専門店として残るなら洋書はさらに充実されるといいのですが、什器等を一新させないと難しいでしょうか。サザンシアターでの催事関係の和書はその都度出張販売するのでしょうか。紀伊國屋書店新宿本店との棲み分け解消となるわけで、本店にも影響があることでしょうけれども、それについてはいずれ遠からず発表されるのでしょう。

ちなみに2012年3月のジュンク堂書店新宿店の撤退時には、本店・南店ともに改装を行っていました。新宿界隈ではそのさらに一年前の2011年11月にブックファーストルミネ新宿2店が閉店。ルミネ1の6Fにある同チェーンのルミネ新宿店は規模を縮小しつつも今なお営業しています。同チェーンの旗艦店であるブックファースト新宿店の開店は2008年11月。小田急百貨店の三省堂書店新宿店は2015年2月に閉店。半世紀近い営業だったため版元さんや、お客様から惜しむ声があがりました。2015年10月には、文具専門店だった丸善新宿京王店が、「書籍スペース62坪を加え、新たに書籍・文具の総合店舗としてスタート」しています。こんな風に近年変化が激しい新宿地区ですが、大型店は実質的に、駅を挟んで西口にブックファースト新宿店、その反対側に紀伊國屋書店新宿本店を残すのみということになります。

ここしばらく書店業界では、テナント契約終了による退店が目立ってきました。かつては集客の要だった書店が、売上の落ち込みにより、オーナーにとっては期待値が下がっているのかもしれません。それを挽回するためにここしばらく書店には複合化の波が押し寄せているわけですが、紀伊國屋書店新宿南店のあとのタカシマヤ・タイムズスクエア南館に複合書店が入居することはやや考えにくいような気がします。代々木東口界隈がさらにぎやかになると南館にも影響があるように思えるものの、まだ時間が掛かるのかもしれません。

閉店する紀伊國屋書店新宿南店は日販帳合です。新宿本店は日販とトーハンのダブル帳合、ブックファーストはトーハン傘下ですから当然トーハン帳合。日販としては新宿地区での巻き返しを図りたいところでしょうか。

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