「週刊金曜日」2018年7月6日号(1191号)の「きんようぶんか」欄に、弊社5月刊、荒木優太『仮説的偶然文学論』の書評「偶然のもたらす妙なる僥倖」が掲載されました。評者は批評家の高原到さんです。「一見雑多な〈触れ‐合い〉のさなかに著者が見出すのは、外部へと開かれた境界的な場所において、断片化された接触にときめく感性の、はかないが確かな煌めきだ。〔…〕寺田〔寅彦〕の称揚する「偶然」が、日本の風土というナショナリスティックな観念によって制御されていると論証する第九章では、テクストの「必然」を見透かす批評家の眼力に思わずうならされてしまう」と評していただきました。
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先週土曜日は、下北沢の本屋B&Bで荒木さんと吉川浩満さんによるトークセッション「クリナメンズ作戦会議」でした。皆様のご来場、ありがとうございました。お二人によって以下のような議論が提示されました。「偶然の出来事を運命だと認識させる装置として、古くは宗教があり、現代ではベネディクト・アンダーソンが指摘するようにナショナリズムがあるが、ジョン・ロールズは「愛」を強調する。しかし果たして愛は偶然を偶然のままにしておけるのだろうか(『仮説的偶然文学論』では中河与一の恋愛至上主義に論及)。偶然と運命を縫合してしまうのではなく、切開してその間に様々なグラデーションとスペクトルがあることを注意深く観察すべきではないか」(趣意)。会場からの質問では多宇宙論との関係性について問う声もあり、非常に興味深い一時でした。
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なお、来週の金曜日には代官山蔦屋書店で荒木さんと来場者が自由に語らうことのできる「人文カフェ」が開催されます。
◎第4回代官山人文カフェ:荒木優太「人生を左右しない偶然について考えよう」
日時:2018年7月20日(金)19:00~
場所:代官山蔦屋書店1号館 2階 イベントスペース
問い合わせ先:電話03-3770-2525
料金:コーヒー1杯付イベント参加券(1,000円/税込)をご予約頂いた先着50名様に参加券をお渡しいたします。
内容:「代官山人文カフェ」人文書の様々なテーマについてコーヒーを片手に語り合い、いっしょに考える。話を聴いて新たな視点を得たり、思考を深める。第4回テーマは「人生を左右しない偶然について考えよう」。偶然の出会いや事故によって人生は劇的に変わる...のですが、それ以上に私たちの日常は何気ない偶然の連続でできあがってもいます。今朝の電車が少し遅れたのも偶然、昼間訪れたコンビニのバイトがいつもと違う青年に変わっていたのも偶然、いまあなたがこの文章を読んでいるのもきっと偶然。偶然偶然、偶然ばっかり。それになのに私たちは、ある偶然を「運命だ!」「奇跡だ!」と騒ぎ立てる一方で、そうではない偶然はまるで当たり前のことのように無視してすごします。この区別のメカニズムを、荒木優太さんは最新著『仮説的偶然文学論』のなかで「偶然のフィルタリング」と呼んでいます。そもそも偶然を表象するということはどういうことなのでしょう? ちょっと印象に残ってる偶然エピソードを胸に、ぜひお立ち寄りください。
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先週土曜日は、下北沢の本屋B&Bで荒木さんと吉川浩満さんによるトークセッション「クリナメンズ作戦会議」でした。皆様のご来場、ありがとうございました。お二人によって以下のような議論が提示されました。「偶然の出来事を運命だと認識させる装置として、古くは宗教があり、現代ではベネディクト・アンダーソンが指摘するようにナショナリズムがあるが、ジョン・ロールズは「愛」を強調する。しかし果たして愛は偶然を偶然のままにしておけるのだろうか(『仮説的偶然文学論』では中河与一の恋愛至上主義に論及)。偶然と運命を縫合してしまうのではなく、切開してその間に様々なグラデーションとスペクトルがあることを注意深く観察すべきではないか」(趣意)。会場からの質問では多宇宙論との関係性について問う声もあり、非常に興味深い一時でした。
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なお、来週の金曜日には代官山蔦屋書店で荒木さんと来場者が自由に語らうことのできる「人文カフェ」が開催されます。
◎第4回代官山人文カフェ:荒木優太「人生を左右しない偶然について考えよう」
日時:2018年7月20日(金)19:00~
場所:代官山蔦屋書店1号館 2階 イベントスペース
問い合わせ先:電話03-3770-2525
料金:コーヒー1杯付イベント参加券(1,000円/税込)をご予約頂いた先着50名様に参加券をお渡しいたします。
内容:「代官山人文カフェ」人文書の様々なテーマについてコーヒーを片手に語り合い、いっしょに考える。話を聴いて新たな視点を得たり、思考を深める。第4回テーマは「人生を左右しない偶然について考えよう」。偶然の出会いや事故によって人生は劇的に変わる...のですが、それ以上に私たちの日常は何気ない偶然の連続でできあがってもいます。今朝の電車が少し遅れたのも偶然、昼間訪れたコンビニのバイトがいつもと違う青年に変わっていたのも偶然、いまあなたがこの文章を読んでいるのもきっと偶然。偶然偶然、偶然ばっかり。それになのに私たちは、ある偶然を「運命だ!」「奇跡だ!」と騒ぎ立てる一方で、そうではない偶然はまるで当たり前のことのように無視してすごします。この区別のメカニズムを、荒木優太さんは最新著『仮説的偶然文学論』のなかで「偶然のフィルタリング」と呼んでいます。そもそも偶然を表象するということはどういうことなのでしょう? ちょっと印象に残ってる偶然エピソードを胸に、ぜひお立ち寄りください。
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