「週刊読書人」2016年9月9日号4面に弊社7月の新刊、バタイユ『マネ』江澤健一郎訳、の書評「期待を裏切る志向のタブロー――バタイユによるマネ論」が掲載されました。評者は青山学院大学教授・濱野耕一郎さんです。「本書はバタイユ作品への恰好の入口になると同時に、画家をめぐる様々な思索に触れるきっかけとなるのではないか」と評していただきました。なお、下記の画像は某書店さんで開催されたバタイユ・フェア「『マネ』から探るバタイユの横断的現在性」の店頭の様子です。
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つづいて、弊社本でお世話になっている著訳者の皆様の最近のご活躍をご紹介します。
★上村忠男さん(訳書:アガンベン『到来する共同体』、パーチ『関係主義的現象学への道』、スパヴェンタほか『ヘーゲル弁証法とイタリア哲学』、共訳書:アガンベン『アウシュヴィッツの残りのもの』『涜神』、スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』)
今月、ギンズブルグの最新論考7篇をまとめた編訳書を上梓されます。まもなく発売(版元サイトによれば9月21日発行予定)。上村さんによるギンズブルグの編訳書は『歴史を逆なでに読む』(みすず書房、2003年)に続き2冊目となります。収録論文の原題や発表年、目次詳細については書名のリンク先をご覧ください。
ミクロストリアと世界史――歴史家の仕事について
カルロ・ギンズブルグ著 上村忠男編訳
みすず書房 2016年9月 本体4,200円 四六判上製304頁 ISBN978-4-622-08545-4
帯文より:〈ほとんど無名に近い個人でも、はるかに大規模な現象にかんする省察への道を拓くことがありうる〉。ミクロストリア研究の真髄をしるす、歴史家の仕事7編。
★中山元さん(訳書:ブランショ『書物の不在』)
全8巻予定の新訳『存在と時間』の第2巻が先週発売開始となりました。第2巻に収録されているのは、第一部第一篇第一章第九節から第三章第一六節まで。本書の半分以上は中山さんによる詳細な解説です。第1巻は2015年9月刊。約1年ぶりの刊行ということになります。なお今月創刊10周年を迎えた光文社古典新訳文庫の近刊予定には丘沢静也さんによるニーチェ『この人を見よ』が見えます。
存在と時間2
ハイデガー著 中山元訳
光文社古典新訳文庫 2016年9月 本体1,200円 文庫判371頁 ISBN978-4-334-75338-2
カヴァー紹介文より:現存在とは「みずからおのれの存在へとかかわっている」存在者であること、つまり現存在は実存する。この第二分冊では、その実存の概念として「そのつどわたし」である各私性、平均的な日常性の概念が提起され、現存在の基本的な構造が「世界内存在」であることが詳細に考察される。
★柿並良佑さん(共訳:サラ-モランス『ソドム』)
岩波書店の月刊誌「思想」2016年9月号(1109号)にラクー=ラバルトとナンシーの共著論考「政治的なものの「退引」」のご高訳が掲載されました(7-33頁)。これはパリの高等師範学校にある「政治的なものに関する哲学的研究センター」の成果をまとめた論集『政治的なものの退引』(Le retrait du politique, Galilee, 1983)に収録された同名論考(厳密に言えば論考の題名ではretraitがギュメで括られています)を討議の要約も含めて訳出したもので、論集の緒言と補遺も併せて訳されています。80年代の二人の共著は翻訳の空白部分となっていましたが、柿並さんをはじめ若手研究者によって再評価が進んでいます。
★近藤和敬さん(著書:『カヴァイエス研究』、訳書:カヴァイエス『論理学と学知の理論について』)
青土社の月刊誌「現代思想」2016年10月臨時増刊号「未解決問題集――リーマン予想、ABC予想、P≠NP予想…」にご高論「「内在の哲学」序説:知性の問題論的転回」が掲載されました(193-213頁)。同特集号は「シリーズ現代思想の数学者たち」の1冊。同シリーズではすでに2016年3月臨時増刊号「リーマン――リーマン予想のすべて」が刊行されています。また、近藤さんのご論考に付された注によれば、近刊として『コギトなきスピノザ主義――20世紀フランス「概念の哲学」(仮)』(上野修・米虫正巳・近藤和敬編著)が言及されています。
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また、現在弊社ウェブサイトではジャン=ジャック・ルソー「化学教程」の翻訳が好評連載中ですが、ルソーの『言語起源論〔Essai sur l'origine des langues〕』の新訳が先月、岩波文庫で発売されています(同文庫では今月16日には今野一雄訳『演劇について』〔1979年10月刊〕の重版も再開されるようです)。巻末の解説で訳者の増田さんは『言語起源論』を「ルソーが自分の作品の中で音楽論と政治思想の融合をめざしていたことを示す象徴的な作品」と評価しておられます。なお、同論考の既訳には、竹内成明訳「言語起源論 : あわせて旋律と音楽的写生について論ず」(白水社『ルソー選集』第6巻所収、1986年;白水社「ルソー・コレクション」、『起源』所収、2012年)や、小林善彦訳『言語起源論 : 旋律および音楽的模倣を論ず』(現代思潮社「古典文庫」、1970年;新装版1976年;現代思潮新社、オンデマンド版2007年)などがあります。
言語起源論――旋律と音楽的模倣について
ルソー著 増田真訳
岩波文庫 2016年8月 本体580円 文庫判160頁 ISBN978-4-00-336237-2
カヴァー紹介文より:ルソーが言語の起源と本質を論じた著作。言語の本質とは情念の表現にあり、もとは言語と音楽の起源は同一であったという。言語の起源と変遷、諸言語の地理的差異、音楽の起源、旋律、和声の原理と歴史が分析され、南方と北方の言語の抑揚の相違、言語の現状が言語の変遷といかに関係しているかなどが論じられる。
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バタイユ『マネ』書評と注目新刊
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