★まもなく発売となる注目新刊書を列記します。
『道徳形而上学の基礎づけ』イマヌエル・カント[著]、御子柴善之[訳]、人文書院、2022年12月、本体3,000円、4-6判上製250頁、ISBN978-4-409-03118-6
『環大西洋政治詩学――二〇世紀ブラック・カルチャーの水脈』中村隆之[著]、人文書院、2022年12月、本体5,000円、4-6判上製490頁、ISBN978-4-409-04123-9
『ポストコロニアル研究の遺産――翻訳不可能なものを翻訳する』磯前順一/タラル・アサド/酒井直樹/プラダン・ゴウランガ・チャラン[編]、人文書院、2022年12月、本体6,800円、A5判上製350頁、ISBN978-4-409-04122-2
『吉本隆明全集30 1970-1997』吉本隆明[著]、晶文社、2022年12月、本体6,900円、 A5変型判上製692頁、ISBN978-4794971302
『自由と進化――コンストラクタル法則による自然・社会・科学の階層制』エイドリアン・ベジャン[著]、柴田裕之[訳]、紀伊國屋書店、2022年12月、本体2,400円、46判上製320頁、ISBN978-4-314-01196-9
『ヴォロディミル・ゼレンスキー――喜劇役者から司令官になった男』ギャラガー・フェンウィック[著]、尾澤和幸[訳]、作品社、2022年12月、本体1,800円、四六判上製256頁、ISBN978-4-86182-952-9
★人文書院さんの近刊書より3点。カント『道徳形而上学の基礎づけ』は、2012年に光文社古典新訳文庫より刊行された中山元訳以来の新訳です。付録として「啓蒙とは何か」の新訳も付されています。訳者の御子柴善之(みこしば・よしゆき, 1961-)さんは早稲田大学文学学術院教授で日本カント学会会長。『環大西洋政治詩学』は、早稲田大学法学学術院准教授の中村隆之(なかむら たかゆき, 1975-)さんが2007年から2022年にかけて発表してきた論考を中心にまとめたもの。『ポストコロニアル研究の遺産』は、2020年2月にニューヨークのコーネル・クラブで開催されたシンポジウムの研究成果をまとめたもの。ガヤトリ・スピヴァク「翻訳とポストコロニアル研究の遺産」舟橋健太訳、ヘント・デ・ヴリース「神(々)を翻訳すること――ポストコロニアルという契機以後の宗教研究」久保田浩訳、などを収録。2氏は本書第三部の円卓討論「ポストコロニアル翻訳論における翻訳不可能性とは何か?」でやりとりもされています。
★『吉本隆明全集30 1970-1997』は、第31回配本。吉本さんのライフワークである『心的現象論』本論を収録。巻末には付録史料として吉本さんが2008年3月31日に語ったという談話「『心的現象論』をめぐって」が併録されています。なお同『序説』は全集第10巻に収載。第30巻付属の「月報31」には、マニュエル・ヤン「吉本隆明との出会い」、小田原のどか「「転向」の自画像」、ハルノ宵子「読む掟、書く掟」が収録。なお、本論は今年2月、文化科学高等研究院出版局の「知の新書SONDEOS」でも廉価版が刊行されています。
★『自由と進化』は、ルーマニア出身で米国で長年強弁を取ってきた熱力学者ベジャン(Adrian Bejan, 1948-)による、『流れとかたち』(原著2012年、訳書2013年)、『流れといのち』(原著2016年、訳書2019年)に続く三部作完結篇。原著は『Freedom and Evolution: Hierarchy in Nature, Society and Science』(Springer, 2020)です。帯文に曰く「「生物・無生物を問わず、すべてはより良く流れるかたちに進化する」という物理法則〈コンストラクタル法則〉の理論的根拠を説明しながら、物理学における自由と進化の概念を確立し、未来に資する科学のあり方を説く」と。
★『ヴォロディミル・ゼレンスキー――喜劇役者から司令官になった男』は、フランス人ジャーナリストによる膨大なインタヴューと現地取材にもとづく、ゼレンスキーの半生記。フランス語で今年刊行され、ヨーロッパ各国で続々と訳書が出版されている話題書とのことです。このところプーチン関連の分析解説本が多く出版されていますが、ゼレンスキー関連書もようやく増えてきています。
★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。時間の都合で書誌情報のみ列記します。詳しくは各書名のリンク先をご覧ください。
『要約 イスラーム学知の革命』ガザーリー[著]、中田考[監訳]、山本直輝[訳]、木村風雅[解説]、作品社、2022年12月、本体5,400円、四六判上製464頁、ISBN978-4-86182-941-3
『不思議の探偵/稀代の探偵――『シャーロック・ホームズの冒険』/『マーチン・ヒューイット、探偵』より』アーサー・コナン・ドイル/アーサー・モリスン[原作]、南陽外史[訳述]、高木直二[編]、作品社、2022年12月、本体3,600円、四六判上製416頁、ISBN978-4-86182-950-5
『犬が尻尾で吠える場所』エステル=サラ・ビュル[著]、山崎美穂[訳]、作品社、2022年12月、本体2,700円、四六判並製304頁、ISBN978-4-86182-940-6
『線が血を流すところ』ジェスミン・ウォード[著]、石川由美子[訳]、作品社、2022年12月、本体2,600円、46判上製320頁、ISBN978-4-86182-951-2
『綿の帝国――グローバル資本主義はいかに生まれたか』スヴェン・ベッカート[著]、鬼澤忍/佐藤絵里[訳]、紀伊國屋書店、2022年12月、本体4,500円、A5判上製848頁、ISBN978-4-314-01195-2
『我方他方〔あばんたばん〕――サックス吹き・篠田昌已読本』大熊ワタル[編]、共和国、2022年12月、本体1,800円、菊変型判並製184頁、ISBN978-4-907986-03-2