弊社出版物でお世話になっている訳者の皆さんの最近のご活躍をご紹介します。
★小笠原博毅さん(共訳:ウォルターズ『統治性』)
★阿部潔さん(共訳:ウォルターズ『統治性』)
★鵜飼哲さん(共訳:ジュネ『公然たる敵』)
航思社さんから緊急出版された新刊『反東京オリンピック宣言』(本日8月16日取次搬入)に、小笠原博毅さんが共編者として関わっておられます。同書では、鵜飼哲さんが巻頭言「イメージとフレーム――五輪ファシズムを迎え撃つために」を寄稿され、阿部潔さんが「先取りされた未来の憂鬱――東京2020年オリンピックとレガシープラン」を、そして小笠原さんご自身は「反東京オリンピック宣言――あとがきにかえて」と題した文章を寄稿されています。
なお、同書に関連するイベント「おことわり東京オリンピック」が、今週末の8月21日(日)13時半より千駄ヶ谷区民館(原宿駅徒歩10分)1Fの会議室にて開催されるそうです。参加費500円。第一部で鵜飼哲さんが「動員イベントとナショナリズム」と題した発表をされるほか、小笠原さんも討論に参加されるとのことです。
また、小笠原さんは選集発売された「現代思想」2016年9月臨時増刊号(総特集=安丸良夫――民衆思想とは何か)にも「長脇差と葡萄――下和田村治左衛門始末の事」という論考を寄せておられます。ちなみにこの安丸良夫特集号と『反東京オリンピック宣言』の両方に寄稿されている方が小笠原さんのほかにもう一人いらっしゃいます。友常勉さんです。『反東京オリンピック宣言』には「トラックの裏側――オリンピックの生政治とレガシー・ビジネス、そして効果研究」と題した論考を、そして安丸特集号には「安丸良夫における革命と実践」を寄稿しておられます。
★中山元さん(訳書:ブランショ『書物の不在』)
ご高訳書である、アレント『責任と判断』(筑摩書房、2007年)がちくま学芸文庫の一冊として今月文庫化されました。「立ち止まって考えろ!それだけが善く生きる道だ!!思考なき世界の〈凡庸な悪〉とは何か?」という帯文が痛烈です。文庫化にあたり、巻末には「文庫版への訳者あとがき」が追加されています。そこではマルガレーテ・フォン・トロッタ監督による映画作品「ハンナ・アーレント」(2013年日本公開)が言及されていて、「『責任と判断』の中心を占める「道徳哲学のいくつかの問題」という長文の講義録」が、この映画で描かれていた「悪の凡庸さ」をめぐる問題「を軸にして展開され」ていると説明されています。「わたしたち日本人にとっても無関心ではありえない問題に焦点をあてている。/アレントはこれらの〔戦争犯罪を犯した〕人々がいかにして自己の道徳的な規範を喪失し、あるいは他者の道徳規範にすり替えてみずから道徳的な判断を行うことを停止していたかを、詳細に検討する。〔・・・「悪の凡庸さ」とは〕ふつうの人々が自分で考え、自分で道徳的な判断を下すというあたりまえのことをすることを回避したことによって、そのような巨大な犯罪が置かされたことを告発する言葉である。わたしたちもまた、自分で考える責任を回避した瞬間から、こうした凡庸な悪に手を染めるかもしれないのである」と。周知の通り、筑摩書房さんでは『責任と判断』の編者であるジェローム・コーンによるアレントの編書がもう一冊刊行されています。高橋勇夫訳『政治の約束』(2008年)です。この本もいずれ文庫化されるのかもしれません。
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本日取次搬入:『反東京オリンピック宣言』航思社、ほか注目文庫新刊
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