★まず注目の既刊書から。
『名誉の起源 他三篇』バーナード・マンデヴィル著、壽里竜訳、法政大学出版局、2022年4月、本体4,800円、四六判上製428頁、ISBN978-4-588-01142-9
『学問論』シェリング著、西川富雄/藤田正勝監訳、岩波文庫、2022年4月、本体970円、文庫判356頁、ISBN978-4-00-336319-5
『《新装版》シェリング著作集 6b巻 啓示の哲学〈中〉』諸岡道比古編訳、文屋秋栄、2021年1月、本体9,000円、A5判上製544頁、ISBN978-4-906806-09-6
★『名誉の起源 他三篇』は、オランダ生まれで英国で活躍した思想家バーナード・マンデヴィル(Bernard Mandeville, 1670-1733)の論考4本をまとめたもの。4本というのは、1732年「名誉の起源に関する論究、および戦時におけるキリスト教の有用性(An Enquiry into the Origin of Honour, and the Usefulness of Christianity in War)」、1724年「公衆売春宿の穏健な擁護論、あるいは我が諸王国で現在おこなわれている婚外性交に関する試論(A Modest Defense of Publick Stews)」、1725年「タイバーンにおける頻繁な処刑の原因に関する論究、および監獄内にいる重罪人に関する規則とそこから期待されるよい効果 以上に加え、流刑とその処罰をより効果的にする方法についての論説(An Enquiry into the Causes of the Frequent Executions at Tyburn)」、1732年「ダイオンへの手紙 『アルシフロン、あるいは取るに足らない哲学者』と呼ばれる彼の本をきっかけとして書かれた(A Letter to Dion, Occasion'd by his Book Call'd Alciphron)」。
★版元紹介文は以下の通り。「主著『蜂の寓話』『続・蜂の寓話』の続篇として執筆されたキリスト教批判の書『名誉の起源』、伝統的道徳観の欺瞞と公衆衛生を論じる『公衆売春宿の穏健な擁護論』、監獄制度と犯罪抑止政策への提言『タイバーンにおける頻繁な処刑の原因に関する論究』、バークリによる批判に対する反批判『ダイオンへの手紙』の四篇を初邦訳。経済思想の枠組みに収まらないマンデヴィルの多彩で先鋭的な著作を集める」。周知の通り、『蜂の寓話』『続・蜂の寓話』はともに法政大学出版局さんから訳書が刊行されています。前者は現在品切、後者は在庫ありです。前者はロングセラーですからいずれ再刊されるだろうと想像します。
★『学問論』は新訳。ドイツ観念論の代表的哲学者シェリングが1802年にイエナ大学で行なった全14回の講義録の訳書で、岩波文庫では勝田守一訳が1957年に刊行されて以来、長らく版を重ねてきました。底本は勝田訳がマンフレート・シュレーターの編纂による全集からでしたが、今回の新訳はシェリングの子息カール・フリードリヒ・アウグスト・シェリングによる編纂による全集からです。読み比べてみると、次のような感じです。
勝田訳:人間の全人格を感動させ、その本性を全面にわたって感化する哲学は、精神を一面的教養の拘束から解放し、これを普遍者と絶対者の境に高めるにいっそうふさわしい力をもっている。(12頁、第一講「学問の絶対的概念について」より)
新訳:さらに人間を全体としてとらえ、人間本性のすべての面にかかわりを持つ哲学は、精神を一面的な形成の制約から解き放ち、普遍的なものと絶対的なものの領域へと高めるのに、一層ふさわしい。(18頁、第1講「学問の絶対的な概念について」より)
★『《新装版》シェリング著作集 6b巻 啓示の哲学〈中〉』は、燈影舎版著作集第5b『啓示の哲学』(第一書の全訳)では収録されていなかった、第二書である第九講から第二十三講までを全訳。新装版とはいえ、復刊ではなくまったくの新刊です。帯文に曰く「カント、フィヒテ、ヘーゲルを批判的に超克し、新たな地平を開くシェリング哲学の総決算」と。刊行は昨年の一月だったのですが、大書店でないと扱っていないので、私自身は発売に気づくのが遅すぎました。既刊巻中で一番の大冊です。「最古の諸宗教へ戻ろうとすることは、とりわけローマ帝国においては、あらゆる民族(全人類)に共通する宗教への希求を告げている。現在が過去と再びひとつになるならば、現在はそのものとして克服され、人は普遍的な宗教の国へと高められる」(426頁、第二十二講より)。
★続いて5月10日発売のちくま学芸文庫新刊5点を列記します。
『衣服のアルケオロジー ――服装からみた19世紀フランス社会の差異構造』フィリップ・ペロー著、大矢タカヤス訳、ちくま学芸文庫、2022年5月、本体1,500円、文庫判464頁、ISBN978-4-480-51115-7
『歴史学の擁護』リチャード・J・エヴァンズ著、今関恒夫/林以知郎/與田純訳、ちくま学芸文庫、2022年5月、本体1,700円、文庫判576頁、ISBN978-4-480-51116-4
『ヴァンデ戦争――フランス革命を問い直す』森山軍治郎著、ちくま学芸文庫、2022年5月、本体1,500円、文庫判544頁、ISBN978-4-480-51117-1
『琉球の富』柳宗悦著、ちくま学芸文庫、2022年5月、本体1,200円、文庫判384頁、ISBN978-4-480-51121-8
『文天祥』梅原郁著、ちくま学芸文庫、2022年5月、本体1,200円、文庫判304頁、ISBN978-4-480-51123-2
★『衣服のアルケオロジー』は、1985年に文化出版局より刊行された単行本が親本。スイス生まれでフランスで活躍する歴史社会学者フィリップ・ペロー(Philippe Perrot, 1950-)の主著のひとつ『Les dessus et les dessous de la bourgeoisie』(Fayard, 1981)の訳書です。帯文に曰く「コルセット、ペティコート、クリノリン・・・ファッションが社会構造を浮き彫りにする、モードの歴史社会学」。「文庫版訳者あとがき」によれば「文庫版の出版にあたっては、訳文に少々の修正を加えた」とのことです。
★『歴史学の擁護』は、『In Defence of History』(Granta Books, 2018)の全訳。1999年に晃洋書房から刊行された『歴史学の擁護――ポストモダニズムとの対話』の改題文庫化です。巻末特記によれば「訳文は改訂し、訳注を増やし」、2018年に刊行された原著新版のかなり長い「あとがき――批判に答えて」が新たに訳出されています(427~520頁)。訳者あとがきは文庫版用に書き換えられています。著者のリチャード・J・エヴァンズ(Richard J. Evans, 1947-)は英国のドイツ近現代史家。複数の訳書があります。彼は巻頭の「日本語版への序文」でこう書いています。
★もともと本書は、過去に関する客観的な知識に到達することは可能なのかという会議と不安がイギリスやアメリカ合衆国、その他英語圏の歴史家の間に広がり、無視できなくなってまいりましたときに、英米の読者を念頭において書かれたものであります。〔…〕本書において長々と論じましたポストモダニズト理論家によりますと、歴史家は現に扱っている史料に自分の信条や偏見をどうしても読み込んでしまい、過去をどのように扱おうと、その見方にはすべて偏向がまとわりついている、とうことになります」(5頁)。
★さらに本書の論点について次のように要約されています。「過去について知る必要があること、客観的知識を得ることは可能であること、歴史家には公平に何にも束縛されずに書くべき義務があること、過去がわれわれに残した証拠によってたてられた境界の内に歴史的想像力の働きを限定するという意味で「客観的」であることは望ましいこと」(7頁)。
★さらにエヴァンズは「あとがき」で、次のように書いています。「〔ヴィクトリア朝思想史の専門家ステファン・〕コリーニが言う「通俗化」が「大衆化」を意味するのであれば、私は喜んで有罪であることを認めよう。本書は本質的にミシェル・フーコー、ジャック・デリダ、フェルディナン・ド・ソシュール、あるいはロラン・バルト(もちろんこれらの思想家に言及されはするが)を俎上に上げるよりも、はるかにヘイドン・ホワイト、フランク・アンカースミット、キース・ジェンキンズ、パトリック・ジョイス、ドニミク・ラカプラ、ビヴェリー・サウスゲイトをいった人々を射程に収めている。正確に言えば、本書は正面から現代フランス哲学の複雑な認識論と取り組もうとした試みではない。そのようなことを試みようとするならば、それはまったく異なった書物として書かれることとなったであろう」(430頁)。「本書が、主要なポストモダニストの思想家と対決していないといって攻撃した評者は、ややあらずもがなの批判ではあるが、的を射ているのであって、それは二~三百頁で決着がつくようなテーマではない。だからこそ、論争を続けることが重要なのである」(517頁)。
★『ヴァンデ戦争』は、歴史家の森山軍治郎(もりやま・ぐんじろう, 1941-2016)さんが1996年に筑摩書房より上梓した単著の文庫化。版元紹介文に曰く「革命政府に対するヴァンデ地方の民衆蜂起は、大量殺戮をもって弾圧された。彼らは何を目的に行動したか。凄惨な内戦の実態を克明に描く」。学習院大学名誉教授で歴史家の福井憲彦(ふくい・のりひこ, 1946-)さんが文庫版解説「地を這うように歴史を見つめ、今とこれからを考えたい」を寄せて、次のように綴られています。「「自由・平等・友愛」というフランス革命が掲げた標語は有名だが、森山氏が指摘しているように、自由と平等をいかにして両立可能にできるのかは、難題である。ヴァンデ側では、むしろ友愛の精神が繰り返し強調されていたという。基本的人権にせよ、こうした標語にせよ、革命期に掲げられた理念は、現在でも十分に議論され、検討されるに値している」(501頁)。
★『琉球の富』は、美術評論家で宗教哲学者、「民藝運動の父」として名高い柳宗悦(やなぎ・むねよし, 1889-1961)さんによる琉球・沖縄関連の論考13篇を、日本民藝館監修のもとまとめた文庫オリジナル本。巻頭の特記によれば底本には『柳宗悦全集』第15巻(筑摩書房、1981年)を使用し「明らかな誤植、誤記は訂正し、表記を新字・新かなに改めた」とのことで「校訂の経緯については巻末の「解題」に示してある」と記されています。巻末解説「柳宗悦が沖縄で観たもの」は人類学者の松井健(まつい・たけし, 1949-)さんが寄せておられます。目次はhontoの単品頁に詳細あり。帯裏には「戦火をまぬがれた琉球の至宝が一堂に会す、日本民藝館特別展「復帰50年記念 沖縄の美」(2022年6月23日~8月21日)」との告知があります。
★『文天祥』は、宮崎市定監修『中国人物叢書』第七巻(人物往来社、1966年)が親本。文庫化にあたり「一部図版を差し替え、明らかな誤りは適宜正した。送り仮名は一部現代の慣用に従って改めた」とのことです。東京大学教授の小島毅さんが巻末解説「状元宰相の実像を描いた物語――梅原郁のメッセージ」を寄せておられます。文天祥(ぶん・てんしょう, 1236-1282)は宋の宰相。元の南下と果敢に対峙するも囚われ、フビライによる登用を固辞して死刑に処されました。獄中で詠んだのがかの有名な『正気の歌』(せいきのうた)です。忠臣として名高い生涯を活写した著者の梅原郁(うめはら・かおる, 1934-2020)さんは、京都大学名誉教授でご専門は中国宋代史および法制史・制度史。ちくま学芸文庫には編訳書、朱熹編『宋名臣言行録』(2015年)が収められています。
★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。
『新しいエコロジーとアート――「まごつき期」としての人新世』長谷川祐子編、以文社、2022年5月、本体3,200円、A5判並製336頁、ISBN978-4-7531-0369-0
『エミリーに薔薇を』ウィリアム・フォークナー著、高橋正雄訳、中公文庫、2022年4月、本体1,000円、文庫判352頁、ISBN978-4-12-207205-3
『踊る女と八重桃の花』長谷川春子著、共和国、2022年4月、本体2,500円、四六変型判上製272頁、ISBN978-4-907986-88-9
『〈知〉の取扱説明書』仲正昌樹著、作品社、2022年4月、本体1,800円、46判並製208頁、ISBN978-4-86182-892-8
★『新しいエコロジーとアート』は、編者による序文に曰く「人新世、資本新世とよばれる新しい環境下で生じてきた自然、政治、情報、精神面での変化に対する現代芸術の応答と変容、そしてこれらを伝えるキュラトリアル実践について書かれた、複数の論者によるアンソロジーである」。編者によるエマヌエーレ・コッチャへのインタヴュー「植物の生の哲学と芸術」や、ブリュノ・ラトゥールのフィールドブックを収めた「展覧会の意義と用法」をはじめ、注目論考が並びます。
★『エミリーに薔薇を』は、1988年に刊行された福武文庫の再文庫化。「赤い葉」「正義」「エミリーに薔薇を」「あの夕陽」「ウォッシュ」「女王ありき」「過去」「デルタの秋」の8篇を収録。巻末の編集付記によれば「新たに中上健次の講演二篇(「フォークナー、繁茂する南」「フォークナー衝撃」、『中上健次エッセイ撰集 文学・芸能篇』収録、恒文社21、2002年)を収録し」たとのことです。
★『踊る女と八重桃の花』は、洋画家の長谷川春子(はせがわ・はるこ, 1895-1967)の初期の画文を1冊に精選したもの。巻頭特記に曰く「1924年から37年までに発表した画や文章から編者が独自に選んだもの」。編者は共和国代表の下平尾直さんで、巻末には下平尾さんによる「解説にかえて 長谷川春子の「花下有楽」が収められています。「結論的にいえば、長谷川春子もまた、戦争に直面することによって美術家としての命運を狂わされた表現者の一人であり、本書は、長谷川春子が本格的に戦争に取り込まれてしまう以前の、みずみずしい魅力を伝えるために編まれた」(241頁)。
★『〈知〉の取扱説明書』は、仲正昌樹(なかまさ・まさき, 1963-)さんの講義シリーズの最新刊。版元紹介文に曰く「“学び”を確実に身につけるためのテクニックを伝授。フェイクニュースの見破り方、古典の読み方、語学の学習法、ウィキペディアの使いから、独学の是非、どういう場所でいかに学ぶのか、体を使った勉強の仕方、ネットを取扱いなど」。巻末に「学ぶ気がある初心者のためのブックガイド」があり、古典10点が紹介されています。
★続いて、藤原書店さんの4月新刊4点を列記します。
『都市と文明――文化・技術革新・都市秩序(Ⅲ)』ピーター・ホール著、佐々木雅幸監訳、藤原書店、2022年4月、本体6,500円、A5判上製768頁+口絵16頁、ISBN978-4-86578-334-6
『格闘者ニーチェ(Ⅱ)自己格闘者ニーチェ』清眞人著、藤原書店、2022年4月、本体3,600円、A5判上製408頁、ISBN978-4-86578-342-1
『格闘者ニーチェ(Ⅲ)マンとハイデガー ――二つの探照燈』清眞人著、藤原書店、2022年4月、本体3,600円、A5判上製376頁、ISBN978-4-86578-343-8
『九千年の森をつくろう!――日本から世界へ』宮脇方式の森を発展させる会編、藤原書店、2022年4月、本体6,200円、A5判上製712頁+カラー口絵16頁、ISBN978-4-86578-336-0
★『都市と文明(Ⅲ)』は、全3巻の完結篇。第Ⅳ部「都市秩序の確立」と第Ⅴ部「芸術、技術と組織の融合」、原注、そして監訳者あとがきを収録。索引は人名と、地名・事項があります。
★『格闘者ニーチェ』は第Ⅱ巻と第Ⅲ巻の同時刊行で完結。帯文に曰く「ショーペンハウアーへの共感は、回転扉のように反転し、事故対決を迫る」(第Ⅱ巻)、「先行者ニーチェ! その巨大さを照らしだすマンとハイデガー!」(第Ⅲ巻)。言うまでもなくマンとはトーマス・マンのこと。
★『九千年の森をつくろう!』は「植物性退学者で森づくりのパイオニア」(帯文より)、宮脇昭(みやわき・あきら, 1928-2021)さんの2006年の講演「緑の地球環境再生を目指して――植生生態学的現地調査研究に基づく緑環境の再生」を第一部とし、横浜国立大学名誉教授の藤原一繪さんによる「宮脇方式のエッセンス」の紹介が第二部、第Ⅲ部以降は、宮脇さんとの交友を綴った国内外からの声や、関連記事、名言集などが収められている大冊。
★最後にここ最近注目した雑誌を列記します。
『世界思想 49号 2022春』世界思想社編集部編、世界思想社、2022年4月、非売品、A5判並製112頁
『中央公論 2022年5月号』中央公論新社、2022年4月、本体864円、A5判並製264頁、雑誌06101-05
『現代思想2022年4月号 特集:危機の時代の教育――こども家庭庁・ジェンダー教育・コロナ禍の修学支援…』青土社、2022年3月、本体1,500円、A5判238頁、ISBN978-4-7917-1428-5
『現代思想2022年5月号 特集:インターセクショナリティ――複雑な〈生〉の現実をとらえる思想』青土社、2022年4月、本体1,600円、A5判270頁、ISBN978-4-7917-1429-2
★『世界思想 49号』の特集は「民主主義」。宇野重規さんをはじめ17名が寄稿されており、巻末にはブックリストもあって、ブックフェアに活用しやすいかと思います。緊急寄稿として、ウクライナ研究会会長の岡部芳彦さんが「民主主義と権威主義――ウクライナ・ロシア戦争に思うこと」と題した一文を寄せておられます。毎年驚いてますが、この冊子、無料です。
★『中央公論 2022年5月号』は特集三本。「プーチン暴走 世界の悪夢」がメインで、廣瀬陽子さんによる「ハイブリッド戦争」の分析と解説などが読めます。「正義と悪意の境界線」はキャンセル・カルチャーをめぐる対談と論考。「オカルト・ニッポン」は鏡リュウジさんへのインタビューや、五島勉論など。この三特集の並びはまさに現代人の不安の諸起源に迫るものです。
★『現代思想』4月号は鉄板の教育問題。「教育をめぐる尽きない課題を前にあきらめない人々の声を集め、教育の明日を考える」(版元紹介文より)。5月号が取り上げたインターセクショナリティは昨年11月に人文書院より刊行された、コリンズ/ビルゲ『インターセクショナリティ』に繋がるもの。同概念はかの「VOGUE」誌でも記事になるほど。ウィキペディアに曰く「個人のアイデンティティが複数組み合わさることによって起こる特有の差別や抑圧を理解するための枠組み」。なお「現代思想」誌では今月半ばに、数か月ぶりの臨時増刊号を出す予定。総特集「ウクライナから問う――歴史・政治・文化」と銘打たれています。