Quantcast
Channel: URGT-B(ウラゲツブログ)
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1277

注目新刊:アルノー/ニコル『ポール・ロワイヤル論理学』法政大学出版局、ほか

$
0
0
_a0018105_03044751.jpg
★まず、法政大学出版局さんの新刊2点について記します。

『哲学の25年――体系的な再構成』エッカート・フェルスター著、三重野清顕/佐々木雄大/池松辰男/岡崎秀二郎/岩田健佑訳、法政大学出版局、2021年9月、本体5,600円、四六判上製654頁、ISBN978-4-588-01131-3
『ポール・ロワイヤル論理学』アントワーヌ・アルノー/ピエール・ニコル著、山田弘明/小沢明也訳、法政大学出版局、2021年9月、本体5,000円、A5判上製500頁、ISBN978-4-588-15120-0

★『哲学の25年』はドイツの哲学者でベルリン・フンボルト大学名誉教授のエッカート・フェルスター(Eckart Förster, 1952-)による『Die 25 Jahre der Philosophie: Eine Systematische Rekonstruktion』(Klostermann, 2011)の全訳。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。18世紀末から19世紀初頭におけるドイツ観念論の展開をつぶさに追った研究書。フェルスターはカントの『オプス・ポストゥムム』の英訳者として知られています。論文の翻訳はありましたが、単行本の日本語訳は初めてです。

★『ポール・ロワイヤル論理学』は17世紀フランスの論理学教科書『La logique, ou l'art de penser』(1662年)を1683年の第5版から全訳したもの。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。著者のアントワーヌ・アルノー(Antoine Arnauld, 1612–1694)とピエール・ニコル(Pierre Nicole, 1625–1695)はジャンセニズムの拠点ポール・ロワイヤル修道院の教師で、デカルトやパスカルら当時の最新哲学の成果を本書に採り入れています。ミシェル・フーコー『言葉と物』でも論及されている古典です。

★まもなく発売となるちくま学芸文庫5点を列記します。

『近代世界の公共宗教』ホセ・カサノヴァ著、津城寛文訳、ちくま学芸文庫、2021年9月、本体1,700円、文庫判608頁、ISBN978-4-480-51066-2
『インド洋海域世界の歴史――人の移動と交流のクロス・ロード』家島彦一著、ちくま学芸文庫、2021年9月、本体1,800円、文庫判672頁、ISBN978-4-480-51069-3
『増補 現代美術逸脱史――1945-1985』千葉成夫著、ちくま学芸文庫 文庫判 496頁 刊行 09/09 ISBN 9784480510709 JANコード 9784480510709
『日本資本主義の群像――人物財界史』栂井義雄著、ちくま学芸文庫、2021年9月、本体1,100円、文庫判272頁、ISBN978-4-480-51072-3
『記憶の切繪図――七十五年の回想』志村五郎著、ちくま学芸文庫、2021年9月、本体1,500円、文庫判272頁、ISBN978-4-480-51075-4

★『近代世界の公共宗教』はスペイン生まれで米国で活躍する宗教社会学者ホセ・カサノヴァ(José Casanova, born 1951-)の代表作『Public Religions in the Modern World』(University of Chicago Press, 1994)の訳書。親本は1997年に玉川大学出版部より刊行。文庫化にあたり、著者自身による「改訂日本語版への序文」と、訳者による「ちくま学芸文庫版への訳者あとがき」が加えられています。後者の記述から推察するに訳文は改訂されています。

★『インド洋海域世界の歴史』は東京外国語大学名誉教授の家島彦一(やじま・ひこいち、1939-)さんによる東西交易をめぐる海域史研究で、親本は1993年に朝日新聞社より刊行された『海が創る文明――インド洋海域世界の歴史』。文庫化にあたり著者自身による「文庫版あとがき」が付されています。「新版を上梓するにあたって、原本にある地名や人名の一部の表記を改めた」とのことです。

★『日本資本主義の群像』は経営史家の栂井義雄(とがい・よしお, 1906-1983)さんによる代表的財界人10名の研究で、親本は1980年に教育社より刊行。文庫化にあたり、東京大学名誉教授の武田晴人さんによる解説「戦前財界を彩った企業人たち」が付されています。

★『増補 現代美術逸脱史』は美術批評家の千葉成夫(ちば・しげお, 1946-)さんによる日本戦後美術の通史で、親本は1986年に晶文社より刊行。文庫化にあたり、「この先へ」と題された約100頁もの補章、文庫版あとがき、そして多摩美術大学教授の光田由里さんによる「文庫版解説にかえて」が加えられています。

★『記憶の切繪図』は「Math&Science」シリーズの新刊。プリンストン大学名誉教授の数学者、志村五郎(しむら・ごろう, 1930-2019)さんの回想録で、親本は2008年に筑摩書房より刊行。文庫化にあたり、スタンフォード大学数学科教授の時枝正さんによる解説「きれぎれのおもいで」が付されています。

★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。

『口に入れるな、感染する!――危ない微生物による健康リスクを科学が明かす』ポール・ドーソン/ブライアン・シェルドン著、久保尚子訳、インターシフト発行/合同出版発売、2021年9月、本体1,800円、A5変型判並製240頁、ISBN978-4-7726-9573-2
『演劇で〈世界〉を変える――鈴木忠志論』菅孝行著、航思社、2021年9月、本体2,700円、四六判上製304頁、ISBN978-4-906738-45-8
『骨を引き上げろ』ジェスミン・ウォード著、石川由美子訳、青木耕平附録解説、作品社、2021年9月、本体2,600円、46判上製320頁、ISBN978-4-86182-865-2

★『口に入れるな、感染する!』は米国の食品化学の研究者二氏による『Did You Just Eat That?: Two Scientists Explore Double-Dipping, the Five-Second Rule, and Other Food Myths in the Lab』(Norton, 2018)の訳書。家の中や外出先での飲食や日常生活における危険な微生物による健康リスクを具体的に教える一冊。目次とプロローグ、解説は、書名のリンク先で公開されています。

★『演劇で〈世界〉を変える』はまもなく発売。評論家で劇作家の菅孝行(かん・たかゆき, 1939-)さんによる、演出家鈴木忠志(すずき・ただし, 1939-)さんをめぐる論考です。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。菅さんは航思社からは2019年に『天皇制と闘うとはどういうことか』を上梓されています。

★『骨を引き上げろ』は米国の作家ジェスミン・ウォード(Jesmyn Ward, 1977-)による2冊目の長篇小説で全米図書賞受賞作『Salvage the Bones』(Bloomsbury Publishing, 2011)の訳書。2005年にハリケーン・カトリーナが米国南部沿岸地域を襲った前後12日間を、とある一家を中心にして描いた作品。目次詳細と青木耕平さんの附録解説PDFが書名のリンク先で公開されています。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1277

Trending Articles