★ポール・ド・マンさん(著書『盲目と洞察』)
E・S・バート、ケヴィン・ニューマーク、アンジェイ・ウォーミンスキーの3氏によって、ド・マンの没後にまとめられた論文集『Romanticism and Contemporary Criticism: The Gauss Seminar and Other Papers』(The Johns Hopkins University Press, 1993)が全訳されました。「本書には、1954年から1981年までのおよそ30年間にド・マンによって書かれたものの一度も出版されなかった文書が収録されている」(編者序文より)。第1部が1967年の「ガウス・セミナー」(全6回の連続講義のうちの5回分の講義)、第2部が関連する論考5本を収めた「エセーと論攷」です。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。
凡例によれば、第2部冒頭の第7章「ヘルダーリンとロマン主義の伝統」は原著所収版ではなく『ダイアクリティクス』(第40巻第1号、2012年)版のテクストを訳出したとのことです。その理由について訳者付記ではこう説明されています。原著所収版「のもとになった1958年ごろに書かれたと思われる手稿が、未完のまま中断された非常に粗いものであるのに対し、その後プリンストン大学図書館にある〔…〕アーカイヴのなかから発見された〔…〕タイプ原稿は、ある公開講義(1959年2月)のために準備されたという経緯もあって、完成版にかぎりなく近いものとなっている」。このタイプ原稿が『ダイアクリティクス』版のもとになっているとのことです。
なお、巻頭の編者序文では3氏の編集方針が明かされています。「本書の出版には大規模な準備を要したが、わたしたち編者は必要最小限の介入しかしなかった〔…〕。編者が行なったのは、注を付け、欠けている書誌情報を補うこと、文法的にちぐはぐな部分を修正すること、必要に応じて引用を英訳することだけであった」(11頁)。
ロマン主義と現代批評――ガウス・セミナーとその他の論稿
ポール・ド・マン著 中山徹/鈴木英明/木谷厳訳
彩流社 2019年12月 本体5,000円 四六判上製407頁、ISBN978-4-7791-2638-3
帯文より:常に既に「内省家」と「歴史家」は、ド・マンのなかで首尾一貫した相関関係にあった。ロマン派詩人の「自己認識の深まり」を読む批評家は、ロマン派を「歴史的」に考察せざるをえない。だが、それを歴史として語ることができない。このジレンマこそが、ガウス・セミナーをはじめとする「ロマン主義研究」を通じて直面した「困難」であった。
E・S・バート、ケヴィン・ニューマーク、アンジェイ・ウォーミンスキーの3氏によって、ド・マンの没後にまとめられた論文集『Romanticism and Contemporary Criticism: The Gauss Seminar and Other Papers』(The Johns Hopkins University Press, 1993)が全訳されました。「本書には、1954年から1981年までのおよそ30年間にド・マンによって書かれたものの一度も出版されなかった文書が収録されている」(編者序文より)。第1部が1967年の「ガウス・セミナー」(全6回の連続講義のうちの5回分の講義)、第2部が関連する論考5本を収めた「エセーと論攷」です。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。
凡例によれば、第2部冒頭の第7章「ヘルダーリンとロマン主義の伝統」は原著所収版ではなく『ダイアクリティクス』(第40巻第1号、2012年)版のテクストを訳出したとのことです。その理由について訳者付記ではこう説明されています。原著所収版「のもとになった1958年ごろに書かれたと思われる手稿が、未完のまま中断された非常に粗いものであるのに対し、その後プリンストン大学図書館にある〔…〕アーカイヴのなかから発見された〔…〕タイプ原稿は、ある公開講義(1959年2月)のために準備されたという経緯もあって、完成版にかぎりなく近いものとなっている」。このタイプ原稿が『ダイアクリティクス』版のもとになっているとのことです。
なお、巻頭の編者序文では3氏の編集方針が明かされています。「本書の出版には大規模な準備を要したが、わたしたち編者は必要最小限の介入しかしなかった〔…〕。編者が行なったのは、注を付け、欠けている書誌情報を補うこと、文法的にちぐはぐな部分を修正すること、必要に応じて引用を英訳することだけであった」(11頁)。
ロマン主義と現代批評――ガウス・セミナーとその他の論稿
ポール・ド・マン著 中山徹/鈴木英明/木谷厳訳
彩流社 2019年12月 本体5,000円 四六判上製407頁、ISBN978-4-7791-2638-3
帯文より:常に既に「内省家」と「歴史家」は、ド・マンのなかで首尾一貫した相関関係にあった。ロマン派詩人の「自己認識の深まり」を読む批評家は、ロマン派を「歴史的」に考察せざるをえない。だが、それを歴史として語ることができない。このジレンマこそが、ガウス・セミナーをはじめとする「ロマン主義研究」を通じて直面した「困難」であった。