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注目新刊:『ライプニッツ著作集 第I期 新装版』全10巻完結、ほか

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『ライプニッツ著作集 第I期 新装版[1]論理学』G・W・ライプニッツ著、澤口昭聿訳、工作舎、2019年11月、本体10,000円、A5判上製416頁+手稿8頁、ISBN978-4-87502-514-6
『私たちが、地球に住めなくなる前に――宇宙物理学者からみた人類の未来』マーティン・リース著、塩原通緒訳、作品社、2019年11月、本体2,200円、四六判並製256頁、ISBN978-4-86182-777-8
『源氏物語といけばな――源氏流いけばなの軌跡』岩坪健著、平凡社、2019年11月、本体1,000円、A5判並製96頁、ISBN978-4-582-36460-6
『江戸水没――寛政改革の水害対策』渡辺浩一著、平凡社、2019年11月、本体1,000円、A5判並製84頁、ISBN978-4-582-36461-3
『弔いにみる世界の死生観』小西賢吾/山田孝子編、英明企画編集、2019年11月、本体1,000円、A5判並製176頁、ISBN978-4-909151-05-6

『松本悲歌 普及版』松本圭二著、航思社、2019年12月、本体2,800円、A5判並製168頁、ISBN978-4-906738-41-0
『完全版 韓国・フェミニズム・日本』斎藤真理子責任編集、河出書房新社、2019年12月、本体1,600円、A5判並製192頁、ISBN978-4-309-02837-8
『都市と文明――文化・技術革新・都市秩序 第1分冊』ピーター・ホール著、佐々木雅幸監訳、藤原書店、2019年11月、本体6,500円、A5上製672頁+口絵16頁、ISBN978-4-86578-249-3
『ベルク「風土学」とは何か――近代「知性」の超克』オギュスタン・ベルク/川勝平太著、藤原書店、2019年11月、本体3,000円、四六変型上製296頁、ISBN978-4-86578-248-6
『大陸主義アメリカの外交理念』チャールズ・A・ビーアド著、開米潤訳、藤原書店、2019年11月、本体2,800円、四六上製264頁、ISBN978-4-86578-247-9
『崩壊した「中国システム」とEUシステム――主権・民主主義・健全な経済政策』荻野文隆編、藤原書店、本体3,600円、四六判上製408頁、ISBN978-4-86578-235-6



★『ライプニッツ著作集 第I期 新装版[1]論理学』は『ライプニッツ著作集 第I期 新装版』全10巻の最終回配本。第I期全10巻と第II期全3巻が美本で購入できるタイミングというのがまさしく「今」であることを銘記したいと思います。第I期第1巻では「結合法論(抄)」「普遍的記号法の原理」「普遍的計算の試論」「概念と真理の解析についての一般的研究」などを収録。目次は書名のリンク先でご確認いただけます。帯文はこうです。「アルス・コンビナトリアとは? 普遍学構想の原点」。


★『私たちが、地球に住めなくなる前に』は、英国の宇宙物理学者、天文学者のマーティン・リース(Martin Rees, 1942-)の著書『On the Future: Prospects for Humanity』(Princeton University Press, 2018)の訳書。帯文にはロジャー・ペンローズ、イーロン・マスク、エリック・シュミットの各氏の推薦文が掲出されています。人類の未来をめぐり「希望と恐れと推測」(12頁)を提示する本書は、12年前に訳出された『今世紀で人類は終わる?』(堀千恵子訳、草思社、2007年;原著『Our Final Century?』2003年)のアップデート版と見て良いようです。


★『源氏物語といけばな』『江戸水没』は「ブックレット〈書物をひらく〉」の第20巻と第21巻。『源氏物語といけばな』は、『源氏物語』54帖にちなんで54通りの活け方を秘伝したという、18世紀後半の江戸に始まった源氏流いけばなを紹介するもの。『江戸水没』は、18世紀半ば以降の100年間に江戸を襲った水害とその対策をめぐり、人為的自然・自然現象・人間、の三者の関係を考察した災害歴史学の試み。後者は特に、台風19号の記憶も新しい現在、注目を浴びるのではないかと思われます。


★『弔いにみる世界の死生観』はシリーズ「比較文化学への誘い」の第5弾。「日本、ヨーロッパ、アフリカ、インド、中央アジア、東南アジア、ミクロネシア、極北地域などの各地について仏教、イスラーム、キリスト教等の教義に基づく弔いのありようと死生観・来世観を比較して観察」(版元紹介文より)し、その共通性と差異を考察したアンソロジー。3篇の座談会と4篇の論考をまとめています。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。


★『松本悲歌 普及版』は詩人でフィルム・アーキヴィストの松本圭二(まつもと・けいじ:1965-)さんの最新詩作品。「萩原朔太郎賞受賞以後の到達点」と帯文にあります。受賞は2006年であり、本書の巻頭には「松本悲歌/2006-2019/松本圭二」とシンプルに記されているほかは、まえがきもあとがきもありません。周知の通り、航思社さんでは松本さんの詩作品、小説、批評・エッセイなどを集成した「松本圭二セレクション」全9巻(2017年~2018年)を刊行されており、その継続的伴走には目を瞠るものがあります。


★『完全版 韓国・フェミニズム・日本』は、「文藝」2019年秋季号での特集を増補し単行本化した決定版。新たにイ・ラン、ユン・イヒョン、パク・ミンジョンらの小説や、ファン・ジョンウン、チェ・ウニョンらの書き下ろしエッセイ、さらに倉本さおり、豊﨑由美、ひらりさ、MOMENT JOONらによるエッセイと、江南亜美子の論考、責任編集を担当する斎藤真理子によるブックリスト、などが追加されています(以上敬称略)。ブックガイド、キーワード集、文学マップなども充実。来春には『日韓小説集(仮)』の発売も控えているそうです。


★藤原書店さんの11月新刊は4点。『都市と文明』は英国の都市計画家、地理学者のピーター・ホール(Sir Peter Geoffrey Hall, 1932-2014)の大著『Cities in Civilization: Culture, Technology, and Urban Order』London: Weidenfeld & Nicolson; New York: Pantheon Books, 1998)の訳書。全3分冊で、第Ⅰ分冊には第Ⅰ部「文化の坩堝としての都市」の第8章「創造性の鍵」までを収録。巻頭の「日本の読者へ」は、2004年2月8日の来日講演を要約したもの。大家でありながら、ホールの訳書は意外にも本書が初めてのようです。


★『ベルク「風土学」とは何か』は、フランスの地理学者オギュスタン・ベルク(Augustin Berque, 1942-)さんが2018年にコスモス国際賞を受賞した際の記念講演「持続可能性の風土学的基盤」と、静岡県知事の川勝平太(かわかつ・へいた:1948-)さんとの対談「翻訳と通態の存在論」を中心として、ベルクさんによるはしがきと序論、川勝さんによる書き下ろし論考とあとがきを加えて編まれた一冊。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。


★『大陸主義アメリカの外交理念』はアメリカの歴史家チャールズ・A・ビーアド(Charles Austin Beard, 1874-1948)の著書『A Foreign Policy for America』(Knopf, 1940)の全訳。「外交政策の性格」「アメリカの大陸主義」「アメリカの帝国主義」「国際主義の政策」「アメリカの大陸主義の粘り強さ」の全5章。アメリカの大陸主義(Continental Americanism)とは「南北アメリカ大陸に利害関係を集中させること」(26頁)であり、帝国主義や国際主義に抗する不介入的平和主義として著者は評価しています。


★『崩壊した「中国システム」とEUシステム』はフランスの政治家フランソワ・アスリノ(François Asselineau, 1957-)氏の来日(2018年10月)の記録をまとめたもの。「EU離脱を目指すフランスの政治運動の理念と分析を通して、フランスとヨーロッパさらには日本の現状と未来を展望することができる分析を提供」(399頁)すべく編まれたもの。アスリノ氏へのインタヴューや講演のほか、政治家や学者・識者らとの対談が収められています。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。


★11月新刊の投げ込み冊子である月刊「機」2019年11月号(332号)によれば、藤原書店さんはいよいよ来月、ブルデューの『世界の悲惨』(全3巻)の第1分冊と、バディウの主著『存在と出来事』(藤本一勇訳)を刊行するとのことです。『存在と出来事』の個人完訳にはただただ驚くばかりで、理系出身の藤本さんならではの労作ではないかと想像します。たいへん楽しみです。


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