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注目新刊:ハラリ第3作『21 Lessons』河出書房新社、ほか

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『21 Lessons――21世紀の人類のための21の思考』ユヴァル・ノア・ハラリ著、柴田裕之訳、河出書房新社、2019年11月、本体2,400円、46判上製472頁、ISBN978-4-309-22788-7
『オリジン・ストーリー ――138億年全史』デイヴィッド・クリスチャン著、柴田裕之訳、筑摩書房、2019年11月、本体2,200円、四六判並製416頁、ISBN978-4-480-85818-4
『美味しい進化――食べ物と人類はどう進化してきたか』ジョナサン・シルバータウン著、熊井ひろ美訳、インターシフト発行、合同出版発売、2019年11月、本体2,400円、四六判上製336頁、ISBN978-4-7726-9566-4
『河内音頭』鷲巣功著、ele-king books: Pヴァイン、2019年11月、本体3,000円、四六判上製304頁、ISBN978-4-909483-44-7
『テクストとしての都市 メキシコDF』柳原孝敦著、東京外国語大学出版会、2019年11月、本体1,900円、四六判変形並製272頁、ISBN978-4-904575-78-9



★『21 Lessons〔トゥエンティワン・レッスンズ〕』はまもなく発売。2014年『サピエンス全史』(邦訳上下巻、2016年)、2016年『ホモ・デウス』(邦訳上下巻、2018年)に続く、歴史学者ハラリ(Yuval Noah Harari, 1976-)の第3作『21 Lessons for the 21st Century』(Spiegel & Grau / Jonathan Cape, 2018)の全訳です。訳者あとがきによれば「原著刊行後に著者が行なった改訂や、日本語版用の加筆・変更を反映している」とのこと。「最初の拙著『サピエンス全史――文明の構造と人類の幸福』では、人間の過去を見渡し、ヒトという取るに足りない霊長類が地球という惑星の支配者となる過程を詳しく考察した。/第二作の『ホモ・デウス――テクノロジーとサピエンスの未来』では、生命の遠い将来を探究し、人間がいずれ神となる可能性や、知能と意識が最終的にどのような運命をたどるかについて、入念に考察した。/本書では、「今、ここ」にズームインしたいと思っている」(はじめに、7~8頁)。はじめに全文、推薦文、関連動画などをまとめた特設サイトが公開されています。目次は書名のリンク先でご確認いただけます。本書が扱う21の主題は以下の通り。幻滅、雇用、自由、平等、コミュニティ、文明、ナショナリズム、宗教、移民、テロ、戦争、謙虚さ、神、世俗主義、無知、正義、ポスト・トゥルース、SF、教育、意味、瞑想。

★『オリジン・ストーリー』は発売済。『Origin Story: A Big History of Everything』(Little, Brown and Company, 2018)の訳書。ユヴァル・ノア・ハラリの訳書も手掛ける翻訳家の柴田裕之(しばた・やすし)さんによるもので、世界29カ国語に翻訳が決定しているというベストセラーの日本上陸です。まえがき全文、目次、推薦文、関連動画、関連イベントなどを紹介した特設ページが公開されています。「私たち現代人は慢性的な分裂と意味の欠如の状態に陥ることを運命づけられてはいない〔…〕。現代という創造的な大嵐の中で、新しいグローバルなオリジン・ストーリーが現れつつある。〔…〕入念に吟味された情報と知識から成るグローバルな遺産を拠り所にしており、世界中の人間の社会と文化を受け容れる、初めてのオリジン・ストーリーだ〔…〕。その創出は集団的でグローバルな事業であり、それはブエノスアイレスでも北京でも、ラゴスでもロンドンでも通用する物語であるべきだ」(まえがき、10頁)。著者のデイヴィッド・クリスチャン(David Christian, 1946-)はマッコーリー大学教授の歴史学者。同大学のビッグヒストリー研究所所長を務めています。



★『美味しい進化』はまもなく発売。『Dinner with Darwin: FOOD, DRINK, AND EVOLUTION』(The University of Chicago Press, 2017)の訳書。目次、第1章、解説は、書名のリンク先で立ち読みできます。帯文に曰く「進化美食学をご一緒に」。「さまざまな食べ物は進化の産物であるだけではなく、長い歴史の中で人間が選択・改良し進化させてきた賜物でもある。一方で、私たち自身も食べ物によって、脳や遺伝子が変わっている。人間が食べ物を変え、食べ物が人間を変えた――本書はそんな壮大な進化の物語を、料理の起源から未来の食べ物まで、知的栄養に富んだディナーとともに供してくれる」(巻末解説より)。著者のジョナサン・シルバータウン(Jonathan Silvertown)はエディンバラ大学教授。専門は進化生態学。著書の既訳に、『植物の個体群生態学 第2版』(河野昭一/大原雅/高田壮則訳、東海大学出版会、1992年)、『なぜ老いるのか、なぜ死ぬのか、進化論でわかる』(寺町朋子訳、インターシフト、2016年)があります。


★『河内音頭』は書き下ろし。帯文(表4)に曰く「洋楽で育った著者が「音頭」に衝撃を受けて40年。日本の音楽文化論に一石を投じる快著、ついに登場」。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。「わたしにとっては、北米黒人達の生み出す音楽は圧倒的だった。〔…〕わたし達にはとても敵わないところに彼らの世界はあった。それを安易に真似して、表ヅラを誤魔化して過ぎていくこの国の音楽は、まったく情けなかった」(あとがき、287頁)。「それをひっくり返してくれたのが河内音頭だ。いきなりの実演で触れたこの生々しさ、独創性、真実味、説得力、そして同時代的な感性。これら全てがわたしの、それまでの、いい加減な音楽体験、知識、判断をぶっ飛ばした」(同頁)。河内音頭とその歴史、文化的背景をめぐる長年の体験と考察が本書に凝縮されています。鷲巣功(わしず・いさお:1954-)さんは現在、首都圏河内音頭推進協議会の議長をお務めです。


★『テクストとしての都市 メキシコDF』はシリーズ「テクストとしての都市」の第1弾。「文献を通じ、想像力を通じ、他者の記憶を通じ、都市の迷路に分け入り、過去を幻視しつつ、都市の現在を時空を超えて語る、渾身の紀行文学的都市論の誕生」(版元紹介文要旨)。写真や地図など、図版多数。カバーにはブックカフェ「ペンドゥロ」(「振り子」の意)の写真があしらわれています。同店については最終章「書店と図書館」に言及があります。巻頭のプロローグ「コンデサ」も、本屋(ロサリオ・カステリャーノス書店)での店員とのやりとりを記したもの。「本は世界であり、書店は世界である」(263頁)。執筆前の本書のことを「メキシコ市をめぐる集合的記憶の本」と表現した、著者の柳原孝敦(やなぎはら・たかあつ:1963-)さんは、東京外国語大学教授を経て現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。ご専門は専門は、スペイン語圏文学・思想文化論です。


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