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Channel: URGT-B(ウラゲツブログ)
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コレクター

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とあるライターさんから聞いた話です。


知り合いのライターのカズ君はスピリチュアル系のネタに強く、お宝の熱心なコレクターでした。彼と一緒に飲んでいたある夜、終電を逃し、自宅に寄らせてもらうことになりました。お互い酔っていなければ、私を招くようなことはなかったかもしれませんし、私も遠慮したかもしれないと思います。彼の自宅は神棚や呪物や祭具などが所狭しとひしめきあっていました。コレクションは御朱印や御札や経典だけでなく、入信しないと手に入れることができなさそうな仏具や神具にまで及んでいました。それぞれ宗旨が異なるであろう仏像や御神体、御本尊を祀った色々な祭壇を、隣り合わせにして並べています。あちこちに蝋燭を灯して、奇妙な匂いの御香を焚き、お茶を出してくれたのですが、口にしたくありません。どうやって帰ろうかそわそわしていると、カズ君は一冊のノートを私に差し出しました。開いてみるとそれは様々な宗教や祭祀について書いてある自作のカタログのようでした。ノートの表紙には「数道」と書いてありました。それは彼の名前ではなく、「スウドウ」と読むのだそうです。スウドウというのは彼の異様な収集癖と関係があるらしく、「興味あるならノートを貸すよ」と言われました。借りる気が起きないので話をはぐらかそうと「これって出版用の原稿?」と聞くと、「いや、どうかな。でも××古書店の店主にはコピーをあげたけど」と答えます。「店主も興味があるっていうから」。この夜の出来事は長らく強烈な印象を残しました。御朱印や御札や特殊な文物を集めている人のことを見聞きしたり、神棚と仏壇が一緒にある家に出会ったりすると、彼の部屋のことを思い出して落ち着きません。


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