有島武郎研究会さんの「有島武郎研究」第22号(2019年5月)に、弊社より2018年5月に刊行した荒木優太さんの著書『仮説的偶然文学論』の書評が掲載されました。荒木さんの前著『貧しい出版者』(フィルムアート社、2017年12月)とともに取り上げられています。評者は北海道大学教授の中村三春さんです。中村先生、ありがとうございました。
「『仮説的偶然文学論』は、著者の理論としては、『貧しい出版者』にも垣間見られ、また前掲の引用にも端的に示されたところの、対象としても態度としても断片化に徹し、断片を論証において多様に接続する手法によって構築されている。〈触れ‐合い〉の契機としての偶然性は、ここでは論述対象であると同時に論述方法でもあり、論述は内容においても言説においても断片の接続の場となる。これほど緊密な論述スタイルは希に見ると評すべきであり、〔…〕断片の〈触れ‐合い〉の限界にまで徹するそのテクスト解釈は、再三述べたように意想外の驚きを生じてやむことがない」(151頁上段)。
「『仮説的偶然文学論』は、著者の理論としては、『貧しい出版者』にも垣間見られ、また前掲の引用にも端的に示されたところの、対象としても態度としても断片化に徹し、断片を論証において多様に接続する手法によって構築されている。〈触れ‐合い〉の契機としての偶然性は、ここでは論述対象であると同時に論述方法でもあり、論述は内容においても言説においても断片の接続の場となる。これほど緊密な論述スタイルは希に見ると評すべきであり、〔…〕断片の〈触れ‐合い〉の限界にまで徹するそのテクスト解釈は、再三述べたように意想外の驚きを生じてやむことがない」(151頁上段)。