弊社11月刊行の、森山大道・鈴木一誌『絶対平面都市』の書評が二本掲載されています。「週刊読書人」2017年2月10日号に、IZU PHOTOMUSEUM研究員の小原真史さんによる「奇妙なダイアローグ――優れた森山大道論であり写真論」が掲載されました。「本書では鈴木の言葉に誘われるようにして制作時における衝動や焦燥感が惜しげもなく語られ、そこに過去の森山の言葉がジグソーパズルのようにバラバラと組み上げられていく。そして、そのピースの中には東松照明、中平卓馬、荒木といった森山と長い付き合いのある写真家の名前も含まれており、彼らとの差異によってこの写真家の体質が浮かび上がってもくる」と評していただきました。
また「北海道新聞」2月12日付書評欄には、札幌の出版社「有限会社寿郎社(じゅろうしゃ)」の代表取締役編集長、土肥寿郎さんが「写真の本質 対話重ね迫る」という書評を寄せて下さっています。「反復される本質的問いに訥々と答える森山の言葉にはブレもボケもないことに驚く。言語化できない〈撮影の衝動〉とプリンティング・メディアとしての〈写真の本質〉に1ミリでも近づくための言葉を求めて〔・・・〕対話を重ねた写真家と想定かによる労作である」と評していただきました。
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★上村忠男さん(訳書:カッチャーリ『抑止する力』、アガンベン『到来する共同体』、パーチ『関係主義的現象学への道』、スパヴェンタほか『ヘーゲル弁証法とイタリア哲学』、共訳書:アガンベン『アウシュヴィッツの残りのもの』『涜神』、スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』)
講談社学術文庫より新訳で、グラムシのオリジナル論集を今月上梓されています。帯文に曰く「ムッソリーニに挑んだ男の壮絶な軌跡。社会党参加直後の1914年10月から逮捕・収監される直前の1926年10月まで――本邦初訳を数多く含む待望の論集! グラムシ没後80年」。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。
革命論集
アントニオ・グラムシ著 上村忠男編訳
講談社学術文庫 2017年2月 本体1,680円 A6判並製624頁 ISBN978-4-06-292407-8
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2月10日発売の月刊誌「中央公論」2017年3月号の「祝10周年! 新書大賞2017」に今年も参加いたしました。私が選んだベスト5は以下の通りです。
〔1〕小熊英二ほか編『在日二世の記憶』集英社新書
〔2〕セキュリティ集団スプラウト『闇〔ダーク〕ウェブ』文春新書
〔3〕今野晴貴『ブラックバイト――学生が危ない』岩波新書
〔4〕吉見俊哉『「文系学部廃止」の衝撃』集英社新書
〔5〕エドワード・ルトワック『中国4.0』文春新書
今年も(?)見事に他の皆さんが選んだベスト20位にはかぶりませんでした。拙評は本誌をご高覧いただけたら幸いです。また、「新書大賞10周年記念 10年間の新書ベスト3」にも投票しました。10年分のブックガイドを中公さんがお作りになられても良いような気がします。
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書評、注目新刊、新書大賞
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