★竹峰義和さん(訳書:シュティーグラー『写真の映像』)
『アドルノ、複製技術へのまなざし――「知覚」のアクチュアリティ』(青弓社、2007年)に続く単独著第二弾『〈救済〉のメーディウム』が先月下旬に発売されました。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。全3部9章構成で、2002年から2012年にかけて国内外の各誌に発表されてきた論考を大幅加筆改稿し、書き下ろし4本を加えた1冊です。シンプルで美しい装丁は山口信博さんによるもの。
〈救済〉のメーディウム――ベンヤミン、アドルノ、クルーゲ
竹峰義和著
東京大学出版会 2016年9月 本体5,900円 四六判上製472頁 ISBN978-4-13-010130-1
帯文より:〈救済〉とは、テクストに潜在する、打ち捨てられた過去の事象のアクチュアリティを開放すること。ベンヤミン、アドルノ、クルーゲが描き出す星座的布置の閃光。
★渡名喜庸哲さん(共訳:サラ-モランス『ソドム』)
ジャック・デリダの二つの講演「告白する――不可能なものを」(1998年、フランス語圏ユダヤ人知識人会議)、「アブラハム、他者」(2000年、国際シンポジウム「ユダヤ性――ジャック・デリダのための問い」)をまとめた、『Le dernier des Juif』 (Galilée, 2014)の訳書が今週発売されました。目次や概要については書名のリンク先をご覧ください。巻頭の緒言はジャン=リュック・ナンシーによるものです。未來社さんのシリーズ「ポイエーシス叢書」第69弾。なお同シリーズですはデリダの2著が続刊予定であることは先日書いた通りです。『信と知――たんなる理性の限界における「宗教」の二源泉』(湯浅博雄+大西雅一郎訳、10月下旬発売予定)、『嘘の歴史 序説(仮)』(西山雄二訳、11月刊行予定)。
最後のユダヤ人
ジャック・デリダ著 渡名喜庸哲訳
未來社 2016年9月 本体1,800円 四六判上製150頁 ISBN978-4-624-93269-5
カヴァー紹介文より:現代哲学の最先端を疾走していた晩年のデリダがユダヤ人、ユダヤ性などをめぐって1998年と2000年になされた二つの講演を、盟友ジャン=リュック・ナンシーの緒言とともに収めた講演録。1930年にアルジェリアのユダヤ人家庭に生まれたデリダが、晩年にいたってみずからの出自と「ユダヤ性」を問い直し、現代における〈ユダヤ〉という問題が呈する諸問題に正面から取り組んだ特筆すべき論を展開する。
★モーリス・ブランショさん(著書:『ブランショ政治論集』『書物の不在』『謎の男トマ 1941年初版本』)
★郷原佳以さん(共訳:『ブランショ政治論集』)
来月(2016年11月下旬)発売予定でついに大著『L'entretien infini』(Gallimard, 1969)の訳書が分冊にて刊行開始となるようです。ネット書店hontoで予約受付が開始されています。第1巻の書名は原著第Ⅰ部の題名〔La parole plurielle (parole d'écriture)〕ですから、そこから推測して、以後は原著の三部構成が部ごとに刊行されていくものと思われます。第Ⅱ部は「限界-経験〔L'expérience-limite〕」、第Ⅲ部は「書物の不在(中性的なもの、断片的なもの)〔L'absence de livre (le neutre le fragmentaire)〕」です。
終わりなき対話 Ⅰ 複数性の言葉(エクリチュールの言葉)
モーリス・ブランショ著 湯浅博雄・上田和彦・郷原佳以訳
筑摩書房 2016年11月 本体3,300円 A5判232頁 ISBN978-4-480-77551-1
なお、共訳者の郷原さんは半年前にブリュノ・クレマン(Bruno Clément, 1952-)著『La voix verticale』(Belin, 2013)の訳書を上梓されたばかりです。併せて特記します。同書の目次については書名のリンク先をご覧ください。凡例によれば「著者の申し出により、本文および注に修正を加え、さらには削除および追加した箇所があるため、原書そのままではなく、いわば改訂版の翻訳である」とのことです。
垂直の声――プロソポペイア試論
ブリュノ・クレマン著 郷原佳以訳
水声社 2016年4月 本体4,800円 A5判上製376頁 ISBN978−4−8010-0163-3
帯文より:アウグスティヌス、プラトンから、サロート、ベケット、ブランショ、デリダまで。このように語っているのは誰なのか。レトリックの一つ、プロソポペイアに光を当てた、詩学も軸にすえた独自の方法論による、修辞学の脱構築! 国際哲学コレージュで院長をつとめた著者が、不在のものの「声」という〈思考のフィギュール〉に迫る!
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注目新刊:デリダ『最後のユダヤ人』、ほか
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