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注目新刊:ちくま学芸文庫2025年2月新刊

★まもなく発売となる、ちくま学芸文庫の2025年2月新刊4点5冊を列記します。


『人間の本性を考える――—心は「空白の石版」か(上)』スティーブン・ピンカー(著)、山下篤子(訳)、ちくま学芸文庫、2025年2月、本体1,700円、文庫判512頁、ISBN978-4-480-51281-9
『人間の本性を考える――心は「空白の石版」か(下)』スティーブン・ピンカー(著)、山下篤子(訳)、ちくま学芸文庫、2025年2月、本体1,900円、文庫判656頁、ISBN978-4-480-51282-6
『経済の本質――自然から学ぶ』ジェイン・ジェイコブズ(著)、香西泰/植木直子(訳)、ちくま学芸文庫、2025年2月、本体1,400円、文庫判320頁、ISBN978-4-480-51289-5
『ロシア中世物語集』中村喜和(編訳)、ちくま学芸文庫、2025年2月、本体1,600円、文庫判544頁、ISBN978-4-480-51288-8
『日本賭博史』紀田順一郎(著)、ちくま学芸文庫、2025年2月、本体1,100円、文庫判256頁、ISBN978-4-480-51287-1
『海とサルデーニャ――紀行・イタリアの島』D・H・ロレンス(著)、武藤浩史(訳)、ちくま学芸文庫、2025年2月、本体1,400円、文庫判368頁、ISBN978-4-480-51283-3


★『人間の本性を考える』上下巻は、米国の認知心理学者スティーブン・ピンカー(Steven Arthur Pinker, 1954-)の著書『The Blank Slate: The Modern Denial of Human Nature』(2002年)の日本語訳(上中下巻、NHKブックス、2004年8~9月)の文庫化。巻末特記によれば、文庫化にあたり上下巻とし、「あらたに「二〇一六年版へのあとがき」を訳出したほか」(松本剛史訳)、「人名索引を追加した」とのことです。東大教授の佐倉統さんによる解説「人間の本性と本能をめぐる論争に新たな地平はあるか」は、NHKブックス版での解説を再録し追記を加えたもの。


★『経済の本質』は、米国のジャーナリストで都市研究家のジェイン・ジェイコブズ(Jane Jacobs, 1916-2006)の著書『The Nature of Economies』(2000年)の日本語訳(日本経済新聞社、2001年;日経ビジネス人文庫、2013年)の再文庫化。文庫版解説「そろそろ本気でジェイコブズを」は哲学者・倫理学者の平尾昌宏さんによるもの。


★『ロシア中世物語集』は、筑摩叢書の1冊として1970年に刊行されたものの文庫化。帯文に曰く「名作から知る人ぞ知る世相物語まで幅広く集成」と。全6部17篇。目次を以下に列記します。


年代記
 原初年代記(抄)
聖者伝
 フェオドーシイ聖人伝(抄)
 キーエフ・ペチェルスキイ修道院聖僧伝(抄)
自叙伝
 モノマフ公の庭訓
 主僧アヴァクーム自伝(抄)
宗教説話
 ムーロムのピョートルとフェヴローニアの物語
 ウラジーミルのチモフェイの物語
 トヴェーリ・オートロク修道院開基物語
叙事詩と軍記物語
 イーゴリ軍記
 バツのリャザン襲撃の物語
 ルーシの地の滅亡の物語
 アレクサンドル・ネフスキイ伝
 ザドンシチナ
世相物語
 不幸物語
 シェミャーカの裁判の物語
 サーヴァ・グルツィンの物語
 ロシアの貴族フロール・スコベーエフの物語
訳注
作品解説
訳者解説「ロシアの中世文学について」
訳者あとがき
文庫版解説「中村ロシア学のエッセンス」(三浦清美)


★『日本賭博史』は、評論家の紀田順一郎(きだ・じゅんいちろう, 1935-)さんの著書『日本のギャンブル』(桃源叢書:桃源社、1966年;中公文庫、1986年)の改題改訂再文庫化。「賭博史話」「近世賭博要覧」「明治賭博史」「現代賭博論」の4章立て。巻末解説は専修大学教授の檜垣立哉さんによるもの。


★『海とサルデーニャ』は、英国の作家D・H・ロレンス(David Herbert Richards Lawrence, 1885-1930)の旅行記『Sea and Saldinia』(1921年)の日本語訳(晶文社、1993年)の文庫化。巻末特記によれば、文庫化にあたり「原書初版で削除された箇所を訳出した」とのことです。巻末には単行本版訳者あとがきに加えて、文庫版訳者あとがきが加わっています。


★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。


『プルードンの時代――金融資本主義を超えて』ティボー・イザベル(著)、山本光久(訳)、ぱる出版、2025年2月、本体2,400円、四六判並製240頁、ISBN978-4-8272-1460-4
『ニーベルンゲン――三部のドイツ悲劇』フリードリヒ・ヘッベル(著)、磯崎康太郎(訳)、ルリユール叢書:幻戯書房、2025年1月、本体4,800円、四六変型判448頁、ISBN978-4-86488-316-0
『新訳 神道神話の精神』J・W・T・メーソン(著)、鎌田東二(監修・解説)、高橋ゆかり(訳)、2025年1月、本体3,400円、46判並製384頁、ISBN978-4-86793-068-7
『現代思想2025年2月号 特集:国連の未来――戦後80年、国際社会のゆくえ』青土社、2025年1月、本体1,800円、ISBN978-4-7917-1477-3
『無限者の痕跡――エマニュエル・レヴィナスとヘブライ的源泉』カトリーヌ・シャリエ(著)、佐藤香織(訳)、叢書・ウニベルシタス:法政大学出版局、2025年2月、本体5,800円、四六判上製462頁、ISBN978-4-588-01130-6
『アーレントとテクノロジーの問い――技術は私たちを幸福にするのか?』木村史人/渡名喜庸哲/戸谷洋志/橋爪大輝(編)、法政大学出版局、2025年1月、本体2,700円、四六判並製290頁、ISBN978-4-588-13044-1
『病原菌と人間の近代史――日本における結核管理』塩野麻子(著)、人文書院、2025年1月、本体6,500円、A5判上製296頁、ISBN978-4-409-52094-9
『一九六八年と宗教――全共闘以後の「革命」のゆくえ』栗田英彦(編)、人文書院、2025年1月、本体5,000円、四六判上製390頁、ISBN978-4-409-42026-3
『史録 スターリングラード――歴史家が聞き取ったソ連将兵の証言』ヨッヘン・ヘルベック(著)、半谷史郎/小野寺拓也(訳)、人文書院、2025年1月、本体7,500円、A5判502頁、ISBN978-4-409-51103-9
『尹致昊日記(7上)1916-1918年』尹致昊(著)、木下隆男(訳)、東洋文庫:平凡社、2025年1月、本体3,800円、B6変型判上製函入344頁、ISBN978-4-582-80922-0
『尹致昊日記(7下)1919年』尹致昊(著)、木下隆男(訳)、東洋文庫:平凡社、2025年1月、本体3,800円、B6変型判上製函入288頁、ISBN978-4-582-80923-7
『現代“間食”考――狭間からみる人類の食』野林厚志(編)、公益財団法人味の素食の文化センター(企画)、食の文化フォーラム:平凡社、2025年1月、本体3,000円、4-6判並製288頁、ISBN978-4-582-83980-7
『宮脇綾子の芸術――見た、切った、貼った』東京ステーションギャラリー(編)、平凡社、2025年1月、本体3,000円、A4変型判上製224頁、ISBN978-4-582-20739-2
『評伝 森崎和江――女とはなにかを問いつづけて』堀和恵(著)、藤原書店、2025年1月、本体2,000円、四六判上製208頁、ISBN978-4-86578-447-3
『今 地球は? 人類は? 科学は?――生命誌研究者、半世紀の本の旅』中村桂子(著)、藤原書店、2025年1月、本体2,200円、四六変型判並製280頁、ISBN978-4-86578-448-0
『大いなるナショナリスト 福澤諭吉』渡辺利夫(著)、藤原書店、2025年1月、本体2,400円、四六判上製264頁、ISBN978-4-86578-449-7


★時間の制約により2点のみ特記します。『プルードンの時代』は、フランスの作家で編集者のティボー・イザベル(Thibault Isabel, 1978-)の著書『Pierre-Joseph Proudhon. L'anarchie sans le désordre』(Autrement, 2017)の全訳。ミシェル・オンフレによる原著序文は版権の都合で訳出されていません。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。「同時代の社会を改革する目的の下に、彼〔プルードン〕は「アナーキズム」という言葉を発明し、重要な哲学的研究を企てた」(17頁)。「無政府状態(アナルシー)とは「無秩序・混乱」の同義語ではない。それはギリシャ語の語源が示すように、「権力の廃棄」を意味する。したがってそれはプルードンの有名な定式によれば、「権力なき秩序」である」(19頁)。「われわれの誰もが、二一世紀の男も女も、かつてないほど袋小路に入っている――われわれの夢を再び蘇らせるのに、どんな方向に向かうべきかわからないのだ!〔…〕衰亡の脅威を目の当たりにしつつも、私たちは廃墟とがれきを探ることが残されている。まさに忘れられた古き理想の炎にこそ、おそらく私たちは再び希望の熱情を甦らせることだろう」(23~24頁)。


★『ニーベルンゲン』は、〈ルリユール叢書〉の第43回配本(62冊目)。ドイツの作家フリードリヒ・ヘッベル(Friedrich Hebbel, 1813–1863)が中世叙事詩『ニーベルンゲンの歌』を忠実に劇作化したものです。初演は1861年。帯文に曰く「ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指輪』四部作と双璧をなすことになった、最後の観念劇とも言われるヘッベル晩年の大傑作」。既訳には関口存男訳(『関口存男著作集〈翻訳・創作篇〉9』所収、三修社、1994年)と香田芳樹訳(岩波文庫、2024年11月)があります。短期間に2つの新訳が出たのは驚くべきことです。


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