ある書店員さんから聞いた話です。
版元さんからノベルティとして送られてくる栞。会計時にお客様へ、本に挟んでお渡ししたりレジ脇に置いて無料配布しています。ある日のこと、お客様が「栞を返す」と来店されました。怪訝に思いながらも店員が受け取ると、栞は黒く変色しているように見えました。もともとは可愛らしい子犬の写真がプリントされていた栞で、社名などは一切書かれていないシンプルなものだったけど、とのこと。店長を含め誰もそんな栞のことは覚えていませんでした。一週間のうちに複数のお客様から返却があり、レジ担当がふとこんなことを口にしました。「返却したお客様、みんな手首に包帯を巻いていたような気がする」。翌週に店長が栞の返却を受けた折、やはりお客様は手首に包帯を巻いていました。返却された栞はまとめて捨てたはずですが、薄気味悪くてこの話はもう誰もしません。
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本日より5日連続で「営業夜話(出版怪談)」第3期全5話を1日1話ずつ投稿します。「営業夜話」はフィクションです。実在の店舗や会社、人物、事件に似ていることがあるかもしれませんが、それは偶然です。
版元さんからノベルティとして送られてくる栞。会計時にお客様へ、本に挟んでお渡ししたりレジ脇に置いて無料配布しています。ある日のこと、お客様が「栞を返す」と来店されました。怪訝に思いながらも店員が受け取ると、栞は黒く変色しているように見えました。もともとは可愛らしい子犬の写真がプリントされていた栞で、社名などは一切書かれていないシンプルなものだったけど、とのこと。店長を含め誰もそんな栞のことは覚えていませんでした。一週間のうちに複数のお客様から返却があり、レジ担当がふとこんなことを口にしました。「返却したお客様、みんな手首に包帯を巻いていたような気がする」。翌週に店長が栞の返却を受けた折、やはりお客様は手首に包帯を巻いていました。返却された栞はまとめて捨てたはずですが、薄気味悪くてこの話はもう誰もしません。
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