『日本妖怪図鑑 復刻版』佐藤有文著、復刊ドットコム、本体4,600円、B6判上製208頁、ISBN978-4-8354-5391-0
『フィリップ・グラス自伝――音楽のない言葉』フィリップ・グラス著、高橋智子監修、藤村奈緒美訳、2016年8月、本体4,300円、四六判上製528頁、ISBN978-4-636-93070-2
『ユートピアの終焉――過剰・抑圧・暴力』マルクーゼ著、清水多吉訳、中公クラシックス、2016年7月、本体1,800円、新書判並製204頁、ISBN978-4-12-160166-7
★佐藤有文『日本妖怪図鑑 復刻版』は「ジャガーバックス」の復刊第4弾。オリジナル特典として「妖怪ポストカード」3点が付いています。1点ずつ自宅の書棚に増えていくのを見るは実に楽しいです。『フィリップ・グラス自伝』は、Words without Music: A Memoir (Liveright, 2015)の訳書。グラス自身の著書が邦訳されるのは初めてで、貴重です。ファンにとっては待望の1冊ではないでしょうか。マルクーゼ『ユートピアの終焉』の親本は合同出版より1968年に刊行。巻頭には訳者の清水多吉さんによる「化学からユートピアへ――予兆された社会主義の終焉」が掲載されています(5-26頁)。収録されたシンポジウム記録「過剰社会におけるモラルと政治」の司会がヤーコプ・タウベス(Jacob Taubes, 1923-1987;訳書『パウロの政治神学』岩波書店、2010年)であることに改めて注目しておきたいです。
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★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。
『プリズン・ブック・クラブ――コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年』アン・ウォームズリー著、向井和美訳、紀伊國屋書店、2016年9月、本体1,900円、B6判並製445頁、ISBN978-4-314-01142-6
『人工知能のための哲学塾』三宅陽一郎著、BNN新社、2016年8月、本体2,400円、A5判並製320頁、ISBN978-4-8025-1017-2
『精神医学の科学と哲学』石原孝二・信原幸弘・糸川昌成編、東京大学出版会、2016年8月、本体4,800円、A5判上製240頁、ISBN978-4-13-014181-9
『思想の月夜 ほか五篇』李泰俊著、熊木勉訳、平凡社、2016年8月、本体3,300円、4-6判上製438頁、ISBN978-4-582-30239-4
★ウォームズリー『プリズン・ブック・クラブ』は発売済。原書は、The Prison Book Club (Viking, 2015)です。カナダ在住の女性ジャーナリストが「刑務所読書会支援の会」でボランティアをした1年間の体験記がヴィヴィッドに綴られていて、強く惹かれます。
★三宅陽一郎『人工知能のための哲学塾』はFacebookで1,500人が参加しているというコミュニティ「人工知能のための哲学塾」で開催されてきた連続夜話の書籍化。科学、工学、哲学が交差する魅力的な知の世界に誘ってくれます。8月29日(金)には、大塚英樹さん(Speee代表取締役)と山本貴光さんをゲストに刊行記念トークセッション「人工知能×ビジネス」が行われるとのことです。
★『精神医学の科学と哲学』は「シリーズ精神医学の哲学」(全3巻)の第1巻。「精神障害への対応について、精神医学、哲学、歴史学、人類学、社会学などから多角的に考察する」という注目のシリーズです。第2巻『精神医学の歴史と人類学』は9月、第3巻『精神医学と当事者』は11月刊行予定。
★李泰俊『思想の月夜 ほか五篇』は「朝鮮近代文学選集」の第7巻(第2期全4巻の第3回配本)。表題作のほか、5篇の短篇、「鉄路〔レール〕」「故郷」「桜は植えたが」「福徳房〔ポクトクパン〕」「夕陽」を収録。訳者解説によれば、李泰俊(イ・テジュン:1904~?)は1920年代半ばに日本へ留学しており、早大や上智大に入学したものの授業にはあまり出ていなかったようです。既訳書に東方社の「現代朝鮮文学選書」の1冊として1955年に鄭人沢訳『福徳房』という短編集が刊行されています。
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注目新刊:『プリズン・ブック・クラブ』紀伊國屋書店、ほか
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