まず最初に弊社出版物でお世話になった著訳者の皆様の最近のご活躍をご紹介します。
★ヒロ・ヒライさん(編著:『ミクロコスモス』第1号)
ヒライさんが監修をおつとめのシリーズ「BH叢書」の姉妹編とも言うべき単行本が以下の通り刊行されました。「BH叢書」は人文書売場で展開されていますが、今回の単行本は芸術書(西洋美術)売場がメインのようです。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。原著は、The Choice of Lorenzo: Botticelli's Primavera Between Poetry and Philosophy (英語版は未刊、伊仏二カ国語版がFabrizio Serra Editoreより2012年に刊行)です。鮮やかなカラー図版満載の一冊。著者のポンセ(Christoph Poncet, 1963-)さんはパリの学術研究所「ヴィラ・スタンダール」所長で、日本語で読める著書は本書が初めてのものとなります。勁草書房さんの編集部ウェブサイト「けいそうビブリオフィル」では著者のメッセージを読むことができます。
ボッティチェリ《プリマヴェラ》の謎――ルネサンスの芸術と知のコスモス、そしてタロット
クリストフ・ポンセ著 ヒロ・ヒライ監修 豊岡愛美訳
勁草書房 2016年1月 本体2,600円 A5判上製144頁 ISBN978-4-326-80057-5
帯文より:女神ウェヌスの視線と右手、花に包まれた女神フローラ。クピードーの矢の向かう先。右の暗い森と左の楽園・・・幻想と神秘の世界にいざなうイタリアルネサンス芸術の代表作、そこにはいまだ解かれていない謎がある。秘密の鍵をにぎるのは一枚のタロット・カード《恋人》。愛と詩情あふれるルネサンスの「知のコスモス」を豊かに描きだす!
★近藤和敬さん(著書:『カヴァイエス研究』、訳書:カヴァイエス『論理学と学知の理論について』)
『現代思想 2016年3月臨時増刊号:人類学のゆくえ』(中沢新一監修、青土社、2016年2月、本体2,200円、ISBN978-4-7917-1316-5)に、論考「普遍的精神から、ネットワーク状のプシューケーでなく、特異的プシューケーへ――思考の脱植民地化とEndo-epistemologyへの転回のために」(266-281頁)を寄稿されているほか、パトリス・マニグリエ「形而上学的転回?――ブルーノ・ラトゥール『存在様態探求 近代の人類学』について」(98-112頁)の翻訳を担当されています。同特集号には石倉敏明さんによる人物相関チャート「今日の人類学地図――レヴィ=ストロースから「存在論の人類学」まで」が掲載されています。書店員さんの棚作りにとって非常に参考になると思います。
+++
月刊「みすず」の恒例の「読書アンケート特集」号が発売になりました(2016年1-2月、645号)。デザイナーの鈴木一誌さんが、弊社が昨年10月に刊行した森山大道写真集『犬と網タイツ』を取り上げてくださいました。「森山は、自身の営為を、写真都市という〈もうひとつの〉都市を無数の断片によって構築している、とする。映像をもって映像の惑星と対峙する」と評していただきました。
+++
手前味噌で恐縮ですが、『ユリイカ 2016年3月臨時増刊号:出版の未来――書店・取次・出版社のリアル』に、トランスビューの工藤秀之さんとの対談「構造変動期の出版流通と営業」を寄稿させていただきました。有志舎社長の永滝稔さんからさっそく「『ユリイカ』2016年3月臨時増刊号の特集「出版の未来」を読んで」(「有志舎の日々」2016年2月5日付)というコメントをいただきました。永滝さんありがとうございます。また、ツイッターでは古書通信編集部さん、おまけのコーナーさん、本屋のカガヤさん、閔永基さん、小林えみさんからご感想を寄せていただきました。たいへん光栄です。
ちなみに同号の編集人をつとめられた篠原一平さんは、同時発売された『現代思想/imago 2016年3月臨時増刊号:猫!』も手掛けられておられます。また、「出版の未来」号に「その「一つの場所」であるために――民主主義と出版、書店」と題したエッセイを寄せておられる福嶋聡さんが店長をおつとめの難波店では今月いっぱい、同号を中心としたブックフェア「出版の未来」(2016年2月1日~29日)が行われています。さらに、福嶋さんは以下の通り今月末に東京で講演されます。
◎第25回多摩デポ講座『紙の本は、滅びない』
講師:福嶋聡氏(ジュンク堂難波店店長)
日時:2月27日(土) 午後6時30分~8時30分
会場:国分寺労政会館 3階第4会議室(JR中央線国分寺駅・南口徒歩5分)
参加費:500円
主催:NPO法人共同保存図書館・多摩(調布市深大寺北町1-31-18)
※NPOの会員でない方でも、どなたでも参加できます。
※事前申込不要です。当日直接会場へお越し下さい。
内容:福嶋聡氏はジュンク堂に勤められ、書店員の誇り、楽しさ、悩み、書店の立場から見た出版状況などについて、コラムや著書などを通じ長年発信されてきました。池袋店の副店長をお勤めの後、関西に戻っておられます。演題は2014年1月に出されたご著書(ポプラ社新書)のタイトルでもあります。出版売上額の減少が続き、最近の出版・書店界は元気がないように言われます。電子書籍や電子図書館の台頭に、「紙の本」は取って代わられてしまうものなのでしょうか。『紙の本は、滅びない』という福嶋氏の確信は何に由来するのでしょう? 書店と図書館は、お互い切磋琢磨して読書人口を増やしていくことが共通の課題かと思われますが、講師はどのようにお考えでしょう?「本」のこれからについて、講師の挑発を受け広い視野で議論が出来ればと思います。
↧
注目新刊:青土社月刊誌臨時増刊号三連弾、など
↧