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ジャガーバックス復刊第2弾:『宇宙戦争大図鑑 復刻版』

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『宇宙戦争大図鑑 復刻版』小隅黎監修、復刊ドットコム、2016年1月、本体3,900円、B6判上製150頁、ISBN978-4-8354-5294-4
『宇宙怪物(ベム)図鑑 復刻版』小隅黎監修、復刊ドットコム、2015年8月、本体3,700円、B6判上製150 頁、ISBN978-4-8354-5233-3

★『宇宙戦争大図鑑 復刻版』は『宇宙怪物(ベム)図鑑 復刻版』に続く「ジャガーバックス」シリーズ復刊第2弾。親本は立風書房より1979年刊。いかんせん古書価が高いこのシリーズは子供向けだっただけに、愛読していた読者も大人になる前に廃棄してしまうことが多かっただろうことが推測され、また扱っている古書店の少なさもあって、再収集のしんどいシリーズではありました。復刻版の値段は2点とも4000円近くやや高額ですが、大人があの頃を思い出して買うには我慢できる価格でしょうか。

★復刊ドットコムの「最近の復刊活動」2015年8月26日付投稿によれば、同シリーズの『日本妖怪図鑑』と『世界妖怪図鑑』が《調査開始》となったようで、「本書に関する調査を開始しております。本書に関する情報(編者、執筆者、イラストレーターの連絡先など)をご存知の方は、ぜひお寄せください」と告知されています。この2点は同シリーズでももっともポピュラーな書目で古書価が1万円以下になることが少ないだけに、ぜひ復刊してもらえたらと願うばかりです。

★ちなみに個人的なことを言うと、私自身はジャガーバックスよりも学研の「ジュニアチャンピオンコース」に熱中していました。こちらも書目によっては古書価が高く、たとえばその一つ『なぞ怪奇 超科学ミステリー』は値段がなかなか下がりません。復刊ドットコムでは当然このシリーズにも票が集まっています。「ジャガーバックス」シリーズの復刊には学研プラスが協力していますが(立風書房は2004年に解散し、学研に吸収されています)、学研さんにはぜひ「ジュニアチャンピオンコース」の復刊にも力を入れていただきたいです。

★なお、復刊ドットコムでは現在「書物復権2016」を展開中。案内文によれば「専門書出版社10社で実施する共同復刊企画≪書物復権≫。各社選りすぐりの全148タイトルが、復刊候補としてエントリーされています。2月29日(月)までの応募受付期間中に寄せられたリクエストを参考に、4月中旬には復刊作品が決まります。復刊書籍は、5月下旬より復刊ドットコムで販売の予定です」と。さらに「また今回も、通常では復刊が難しい少数の要望にも応えるべく、個別の注文に対応するオン・デマンド版での復刊も実施いたします」とも。率直に言うと、復刊候補一覧は紀伊國屋書店の方が見やすいです。紀伊國屋書店の一覧では同一ページ内に詳しい書誌情報と内容紹介がある一方、復刊ドットコムの一覧は15頁に分載され、書名と版元名しかないのがほとんどで、個別商品ページに飛ばないと書誌情報詳細が見れないのが難点です。現時点では著者名に誤記が多いですが(タグないしインデクスがそのまま著者名に転用されてしまった感じ)、これはきっと改善して下さることでしょう。

★最近では上記新刊のほかに、下記の古典ものが目を惹きました。

『アリストテレス全集(9)動物誌(下)』金子善彦ほか訳、岩波書店、2015年12月、本体5,600円、A5判上製函入299/96頁、ISBN978-4-00-092779-6
『ニコマコス倫理学(下)』アリストテレス著、渡辺邦夫・立花幸司訳、光文社古典新訳文庫、2016年1月、本体1,280円、文庫判556頁、ISBN978-4-334-75324-5
『笑い/不気味なもの――付:ジリボン「不気味な笑い」』アンリ・ベルクソン/ジークムント・フロイト著、原章二訳、平凡社ライブラリー、2016年1月、本体1,500円、B6変判並製400頁、ISBN978-4-582-76836-7
『美学』アレクサンダー・ゴットリープ・バウムガルテン著、松尾大訳、講談社学術文庫、2016年1月、本体1,900円、文庫判864頁、ISBN978-4-06-292339-2

★『アリストテレス全集(9)動物誌(下)』は発売済。第12回配本です。版元紹介文に曰く「2002年に刊行された新校訂本による翻訳。下巻は、第7~8巻(動物の生き方と活動)、第9巻(ヒトの生殖・出産)、第10巻(ヒトの不妊)を収める」と。「月報12」は、鷲谷いづみ「研究誌としての『動物誌』とミツバチ」、高橋睦郎「アリストテレスまで」を掲載。次回配本は2月26日発売予定、第16巻「大道徳学/エウデモス倫理学」とのことです。

★古典新訳文庫の『ニコマコス倫理学(下)』も発売済。下巻では第6巻「知的な徳〔アレテー〕」から第10巻「幸福論の結論」までを収録。巻頭と巻末には訳者によるまえがきとあとがきを置き、解説は共訳者の渡辺邦夫さんが書かれています。カバー表4の紹介文に曰く「下巻では、行為と思慮深さの関係、意志の弱さにかんする哲学的難問、人生における愛と友人の意義、そして快楽の幸福への貢献について考察する。人間の感情と知性のはたらきを深く考え、完全な幸福とは何かを追究した、倫理学史上もっとも重要で、現代的な意味をもつ古典」と。

★『笑い/不気味なもの』は発売済。ベルクソンとフロイトの名著の初めてのカップリングです。比較的に入手が容易な文庫版ではベルクソンの論考は林達夫訳のロングセラー『笑い』を岩波文庫(1938年;改版1976年)で読むことができ、フロイトの論考は『ドストエフスキーと父親殺し/不気味なもの』(中山元訳、光文社古典新訳文庫、2011年)や『砂男/無気味なもの』(ホフマン/フロイト著、種村季弘訳、河出文庫、1995年)でも読めます。『笑い』の近年の新訳には、竹内信夫さんによる個人新訳全集版『新訳ベルクソン全集(3)』(白水社、2011年)所収の「笑い――喜劇的なものが指し示すものについての試論」があるものの、今回のようにハンディな廉価本で新訳が出るのは実に40年ぶりのことです。本書に併載されたジャン=リュック・ジリボン(1951-)の著書『不気味な笑い』は2010に平凡社より刊行された親本に手直ししたもの。このジリボンの訳書こそが、今回のベルクソンとフロイトの新訳カップリング本を生むきっかけとなっています。親本巻末にあった訳者解説「あそび・言語・生」は若干の修正されたうえ、新訳本の訳者あとがきの中に組み込まれています。

★バウムガルテン『美学』は1987年に玉川大学出版部から刊行された単行本の文庫化。原書はラテン語の著書でAesthetica(第1巻1750年、第2巻1758年)です。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。帯文に曰く「「美学(aesthetica)」という概念を創始し、後世に決定的な影響を与えた画期の書」。カバー表4の紹介文にはこうあります、「厳密な定義に基づくバウムガルテン(1714-1762)の考察があったからこそ、カントやヘーゲルは「美学」という学問を確立することができた」と。学術文庫版訳者あとがきによれば「翻訳の改訂にあたっては、30年近くの訳者の研究の進展によって得られた洞察があるので、それに基づいて「解説」を大幅に書き直し、訳文にも細かく手を入れた。〔・・・〕あらたにいくつかの註を追加し〔・・・〕「人名・作品名索引」を加え、読者の便宜を図った」とのことです。


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