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備忘録(18)

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◆2016年2月1日15時。
栗田の返品問題についての最終解決文書(1月29日付)が週末から週明けにかけて版元に届き始めています。溜息やら怒声やらが飛び交う月曜日の午後です。先週後半からかなり騒がしくなっている別の懸案事項については、「それはない」という説と「火のないところに」という説が交錯。今までに比べてかなり条件が整いつつある詰将棋の盤上に見えがちではあります。この業界においては杞憂という言葉はなく、実際のところ、土俵に上がっている以上は天井が崩れて落ちてくる状況から逃げようもありません。

まもなく「ユリイカ」3月臨時増刊号「出版の未来――書店・取次・出版社のリアル」が発売に。発売までは小田光雄さんの「出版状況クロニクル93(2016年1月1日~月31日)」を拝読。『出版クラッシュ!?』(編書房、2000年)の「あとがき」にある13の試案については、今後もっと様々な立場の人々を交えた議論があってよいはずです。

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◆2月3日15時現在。
ツイッター上での呟きには5日ほどまえから気になる徴候(「栗田の次は×××か・・・」)が出始めていましたが、昨日からいっそう気がかりな投稿が。
「『×××から雑誌が入ってこない、明日うちは新刊の雑誌が店に並ばない』って取引先の本屋の担当がすげー嬉しそうに話してる。」
「×××.....」
「×××帳合いの書店に、本が届かなくなっているようです…。#出版」
某社が品止めをしているという以上に、出荷停止をしている版元がある、といった方が正しいのかもしれませんが、よく分かりません。

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◆2月4日午前9時j現在。
ツイッター上での情報。「店頭も本探す端末のとことレジにしかにしか張り紙がない。」との張り紙に曰く《本日、2月3日~2月7日まで、配送倉庫トラブルの影響により商品の入荷が出来ない状況になっております。》と。別の呟きでは「調べてみると△△△全店そうらしい。」と。こうした状況では「あとはお察し下さい」という展開になってしまい、負の連鎖が広がる可能性があるだけに、気がかりでなりません。

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◆2月4日午前10時現在。
同帳合の他書店チェーンでは、新刊コミックが昨日は全店に入荷あり。さらに別の書店チェーンの方の呟きにも目立った変化はなし。

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◆2月5日午前10時現在。
9日搬入新刊の部決、本日普通にできました。しかし、すでに決まっていることもあるとの噂。この二つの要素を考え合わせると、導かれる答えは・・・。話のつじつまは合ってます。

いっぽう某店の張り紙の真相らしきものについては巨大掲示板に示唆あり。

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◆2月5日13時現在。
コミックプラザの公式アカウントより「入荷の件で大変ご迷惑おかけしており申し訳ありません。再開予定は2/10頃の予定です。今しばらくお待ちいただくよう何卒お願い申し上げます。」と。2月7日までには決着がつかないということでしょうか。逆に言えば決着のメドがついたということでもあるでしょう。

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◆2月5日15時現在。
FAX文書全7枚「書籍・雑誌等の供給継続のお願い」2月5日付。代表取締役國弘晴睦さんのお名前で。2月8日(月)15時30分、説明会。

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◆2月5日16時現在。
「新文化」2月5日付記事「太洋社、自主廃業へ」に曰く、「2月5日、出版社と書店に対して、自主廃業を前提に説明会を開くことをファックスで伝えた。〔・・・〕ファックスによると、同社は出版社への買掛金の支払いに万全を期すために「同社全資産の換価」を進めながら、取引書店の売掛金回収と同業他社へ帳合変更する合意を得ていく。自主廃業する時期については触れていない。同8日は國弘晴睦社長からこれまでの経緯などが報告される見通し。〔・・・〕」と。

「文化通信」2月5日記事「太洋社、自主廃業へ 8日に説明会を開催へ」に曰く、「太洋社は2月5日、取引先の出版社や書店などに対して、今後、自主廃業に向けて、取引書店の他取次への帳合変更などを進めることを伝える文書を送った。書店の帳合変更を進めるとともに、書店の売掛金回収と不動産…」以下有料記事。

「東京商工リサーチ」2月5日速報「出版取次業の太洋社が自主廃業へ」に曰く、「ピーク時の平成17年6月期には売上高486億6721万円をあげていたが、バブル経済崩壊以降の出版業界全体の需要減少に加え、インターネット通販や電子媒体普及により得意先の中小書店への売上が落ち込み、扱い出版物は次第に減少した。このため、売上は徐々に低下し、27年6月期の売上高は171億2152万円にまで落ち込んだ。赤字を散発し、10億円以上の繰越欠損を抱え、財務立て直しのため旧本社不動産(文京区)を売却していた。しかし、売上減少に歯止めがかからず、従業員のリストラや新狭山センター閉鎖などによる再建を模索したものの奏効せず、自主廃業に向けた調整に入った」と。

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◆2月5日17時現在。
「帝国データバンク」2月5日付「大型倒産速報」欄、「中堅の出版取次業者、株式会社太洋社、自主廃業視野、説明会開催へ」に曰く、「(株)太洋社(資本金1億8000万円、千代田区外神田6-14-3、登記面=東京都中央区銀座2-2-20、代表國弘晴睦氏、従業員100名)は、自主廃業も想定し、会社の全資産の精査ならびに取引先である書店の帳合変更などを進める方針を2月5日付で明らかにした。/当社は、1946年(昭和21年)3月創業、53年(昭和28年)8月に法人改組された。国内中堅の出版取次業者として、書籍・雑誌・教科書およびステーショナリーなどの取次販売を手がけていた。特にコミックの扱いには力を入れ、「コミックの太洋社」と言われるなど業界での評価は高く、〔・・・〕。2015年6月期の年売上高は約171億2100万円に減少。同期までに10期連続減収、6期連続経常赤字を余儀なくされるなど、業況悪化に歯止めがかからない状態が続いていた。〔・・・〕2015年6月には業界4位の栗田出版販売(株)(東京都千代田区)が民事再生法の適用を申請。以降は当社に対する周囲の警戒感が高まるなか、得意先の帳合変更も相次いでいた。/負債は2015年6月期末時点で約84億7900万円だが、その後に変動している可能性がある。〔・・・〕」。

上記の速報を受けて「ITmediaニュース」でも2月5日付速報「コミックに強い取次中堅の太洋社、自主廃業も視野に」を配信しています。

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◆2月5日22時現在。
「共同通信」2月5日配信記事「太洋社が自主廃業へ――出版取り次ぎ中堅」によって全国の各紙に概要が掲載され周知されつつある状況です。

興味深いのは、「おたぽる」2月5日付、昼間たかしさんの記名記事「エロ本への影響は首の皮一枚で回避……出版取次大手・太洋社が自主廃業決定」です。曰く「とりわけ動向に注視していたのは、同社が多くのシェアを占めるアダルト系の出版社。〔・・・〕「今回ばかりは、うちも倒産するかと思いました。支払いは確保しているということなので、ホッとしていますよ」/そう話すのは、ある老舗アダルト系出版社の社長。これまでも、栗田出版販売の民事再生法の申請、協和出版販売のトーハンへの統合などさまざまな困難があったが、今回ばかりは連鎖倒産の危険が現実味を帯びていたようだ。/今回の自主廃業にあたって、太洋社側は取引先がほかの取次に移行するまで対応する旨を示している。出版社、書店での混乱は最低限になりそうな見込みだ」。

霞寿さんのツイートとアメブロ記事にも注目すべき証言と指摘あり。「エロ本取次問屋大手の太洋社が自主廃業。駅前や街の小さなエロ本屋が主要顧客だった。2月1日以降配本が停止していた。太洋社仕入れのエロ本屋はトーハン、日販への緊急口座開設制度(保証金減免)を活用するか廃業するかの選択しかないので街に根差したエロ本屋の連鎖倒産が懸念される。」「我々出版人(文屋)に急激な影響はないが、2018年の消費税増税に伴う18禁本のコンビニ販売停止は死活問題となろう。〔・・・〕問題は、約1千店の街の小さなオヤジが切り盛りしているエロ本屋と、その顧客の行き場がなくなる事だ。〔・・・〕と、考えると官能小説雑誌、文庫、コミックスの危機ともいえよう。/かつてはキヨスクでも販売していたが、キヨスクのコンビニ化が進む中で官能小説雑誌と文庫、新書は急速に棚から消えている。/歴史小説雑誌も似た客層だ…/全国約2万店ある書店のうち約1千店が今日明日、一斉に棚卸し&全品返品作業をするというのはかなりの事件なのだ。〔・・・〕ぜひトーハン、日販には保証金などの緩和を速やかにしていただき、街の小さな本屋さんが生き残ってくれる策を期待したい」。

また、帳合書店「まんが王」さんや、仲間卸で太洋社さんとの取引があった版元「ミシマ社」さんのツイートが胸を打ちます。

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