「週刊読書人」12月8日号に弊社10月刊『忘却の記憶 広島』の書評「読み応えのあるヒロシマ論――「記憶」の「劣化」を防ぐために」が掲載されました。評者は好井裕明さんです。
「本書が意識的に語りだろうとする「記憶」の「ケア」という発想や実践が、とても興味深い。これまでのように直接被爆体験者の絶対性や神聖さ、真正性だけに頼っていても「被爆の記憶」の「鮮度」は保てないのだ。未発掘の資料を探求し分析したり、過去の作品を新たに読み解き、現在的な意義を確認する営みから新たな知見を創造し、その知見をもとに「記憶」に拡がっている細かい傷や裂け目が「修復」され、〝被爆をめぐる新たな意味〟を注入されることで「記憶」の〝瑞々しさ〟が回復し、「被爆の記憶」は現在や将来にとって意義あるものとして新たに息を吹き返す。その場合、従来絶対視され神聖化されていた人物や活動、実践もすべて、読み直しの対象となるだろう。本書に収められた戦後広島での「陳情書」分析や平和活動家森瀧市郎の戦前までさかのぼる思想的背景の解読、原爆資料館の蝋人形展示の変遷を読み直す論考などは、「被爆の記憶」を「ケア」する見事な実践なのである」と評していただきました。全文は記事名のリンク先からお読みいただけます。
「本書が意識的に語りだろうとする「記憶」の「ケア」という発想や実践が、とても興味深い。これまでのように直接被爆体験者の絶対性や神聖さ、真正性だけに頼っていても「被爆の記憶」の「鮮度」は保てないのだ。未発掘の資料を探求し分析したり、過去の作品を新たに読み解き、現在的な意義を確認する営みから新たな知見を創造し、その知見をもとに「記憶」に拡がっている細かい傷や裂け目が「修復」され、〝被爆をめぐる新たな意味〟を注入されることで「記憶」の〝瑞々しさ〟が回復し、「被爆の記憶」は現在や将来にとって意義あるものとして新たに息を吹き返す。その場合、従来絶対視され神聖化されていた人物や活動、実践もすべて、読み直しの対象となるだろう。本書に収められた戦後広島での「陳情書」分析や平和活動家森瀧市郎の戦前までさかのぼる思想的背景の解読、原爆資料館の蝋人形展示の変遷を読み直す論考などは、「被爆の記憶」を「ケア」する見事な実践なのである」と評していただきました。全文は記事名のリンク先からお読みいただけます。