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注目新刊:本邦初のガタリ入門書、上野俊哉『四つのエコロジー』

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★上野俊哉さん(著書『アーバン・トライバル・スタディーズ』)
本邦初となる、書き下ろしのガタリ入門書がまもなく発売されます(11月24日頃予定)。「ガタリは「活動家」であり、運動屋の文章をそんなに真面目にこねくりまわして読む必要はない、単に使えるところを使えばいいというアクティヴィスト系の読者や、ガタリの悪文の抽象性は度をこしており、まともに相手にするにはアカデミックでないどころか、論理的な厳密さに欠け、ドゥルーズの精密な哲学的苦闘を安直な政治的概念化に走らせたのではないかといぶかる「正しい」左翼やまともな学究のどちらとも違う視角からガタリを読むことはできるのか? 本書はこの無謀に、真面目にとりくんでみた試みである」(あとがきより、370-371頁)。

四つのエコロジー――フェリックス・ガタリの思考
上野俊哉著
河出書房新社 2016年11月 本体3,500円 46判上製376頁 ISBN978-4-309-24783-0

帯文より:自然、主体感、機械状アニミズム、カオスモーズ、地図作成、リトルネロ・・・難解なガタリの思想を解きほぐしながら、宇宙へと開かれたその思考の核心と可能性をさぐり、来たるべき分子革命としてのエコソフィー〔生成哲学〕を展望する〈全=世界〉リゾームの哲学。思考の前線とストリートを往還してきた〈思想の不良〉による未来へのマスターピース。

目次:
はじめに 『みどりの仮面』とエコロジー
序章 なぜエコロジーか? ガタリとは誰だったか?
第一章 自然を再考する
 第一節 仕組みとしての自然
 第二節 アンビエンスとしての主体感
 第三節 機械状アニミズムと反自然の融即
第二章 エコソフィーとカオソフィー
 第一節 分子革命からエコソフィーへ
 第二節 カオスとカオスモーズ
 第三節 潜在性と記号
第三章 分裂生成の宇宙
 第一節 美的なものと地図作製法
 第二節 DSM-V、あるいは発達原理の彼方に
 第三節 リトルネロと音楽のエコロジー
終章 ブラジルと日本を横切って・・・〈全=世界〉リゾームへ
あとがき

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★中平卓馬さん(写真集『都市 風景 図鑑』)
★森山大道さん(写真集『新宿』『新宿+』『ニュー新宿』『大阪+』『Osaka』『パリ+』『ハワイ』『NOVEMBRE』『にっぽん劇場』『何かへの旅』『オン・ザ・ロード』『カラー』『モノクローム』『犬と網タイツ』、著書『通過者の視線』、鈴木一誌さんとの共著『絶対平面都市』)
中平さんらが創刊し、森山さんが2号より参加した伝説的写真誌「Provoke〔プロヴォーク〕」(1~3号、1968~1969年)の縮小復刻を含む巨大なカタログ『PROVOKE』が、フランスのアートギャラリー「LE BAL」とドイツの出版社「Steidel」との共同で出版されました。これは、9月14日から12月11日までLE BALで催されている展覧会「Provoke : Entre contestation et performance - La photographie au Japon 1960-1975」の図録でもあります。同展はオーストリア、スイスなどを巡回済で、フランスの後は米国でも催されるのだとか。今回の図録はSteidlが2001年に刊行した『The Japanese Box』(『Provoke』1~3号、森山大道『写真よさようなら』、中平卓馬『来たるべき言葉のために』、荒木経惟『センチメンタルな旅』の復刻セット)に比べるとやや趣きを異にしていますが、それでも近年の資料としては購入しておいて損はないと思われます。LE BALから直接購入できますが(書籍代は60ユーロ)、送料が高く、ABEBOOKS経由で買った方が若干お得なようです。ちなみに私自身はLE BALから直接購入しましたが似姿は簡素で、配送トラブルや角のダメージ(書影にある通り背の地部分)などに見舞われ、面倒臭かったです。同書はナディッフでも販売していましたが、現在は扱いなしのご様子。

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ちなみに日本のリアル書店や古書店、ネット書店では購入できないものの実はまだ発売元から直接買える、という貴重なアート系書籍と言えば、『ハンス・ウルリッヒ・オブリスト|インタヴュー Volume 1[上]』(前田岳究/山本陽子訳、ジェイ・チュン&キュウ・タケキ・マエダ発行、2010年1月)が思い浮かびます。同書は日本語版ではあるのですが、アーティストブックとして海外で発売されたため、日本での入手がたいへん困難でした。私は何年か前に発売元のBuchhandlung Walther Königから直接購入しました。書籍代は98ユーロ。まだ購入できるのかどうか、同社のサイトで検索してみたところ、まだ買い物カゴが残っているようです。同書は6年前の本なのですでに私が購入した時点でも一部本文紙の酸化や帯の経年劣化などが生じていましたが、今でも中身を読む分には問題ないはずです。オブリストのほかのインタヴュー集は日本でも既刊があり、ある程度認知されていますから、同書はあらためて日本の版元が再刊しても良いのではないかと思います。上巻だけが既刊なので、下巻も刊行されてほしいところです。

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