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注目新刊:『現代思想 10月臨時増刊号 総特集=ダニエル・C・デネット』ほか

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★まず、注目新刊既刊書を列記します。諸事情が重なり未購入のため、書誌情報を挙げるに留めます。


『水晶宮としての世界――資本とグローバル化の哲学のために』ペーター・スローターダイク(著)、高田珠樹(訳)、青土社、2024年8月、本体6,200円、46判512頁、ISBN978-4-7917-7666-5
『泥棒!――アナキズムと哲学』カトリーヌ・マラブー(著)、伊藤潤一郎/吉松覚/横田祐美子(訳)、青土社、2024年7月、本体4,200円、46判488頁、ISBN978-4-7917-7650-4

『大地に住む――ニコラ・トリュオングとの対談録』ブリュノ・ラトゥール(著)、荒金直人(訳)、以文社、2024年7月、本体2,400円、四六判上製176頁、ISBN978-4-7531-0389-8

『私たちはどこにいるのか――惑星地球のロックダウンを知るためのレッスン』ブルーノ・ラトゥール(著)、川村久美子(訳)、新評論、2024年7月、本体2,200円、四六判上製232頁、ISBN978-4-7948-1269-8

『芸術と宇宙技芸』ユク・ホイ(著)、伊勢康平(訳)、春秋社、2024年7月、本体4,500円、4-6判528頁、ISBN978-4-393-34123-0

『喜劇全集(1)』アリストパネス(著)、戸部順一(訳)、西洋古典叢書:京都大学学術出版会、2024年7月、本体4,500円、四六変判上製566頁、ISBN 978-4-8140-0484-3

『道徳教育』エミール デュルケム(著)、古川敦(訳)、丸善プラネット、2024年7月、本体4,600円、A5判408頁、ISBN978-4-86345-566-5

『真理と政治/政治における嘘』ハンナ・アーレント(著)、引田隆也/山田正行(訳)、國分功一郎(解説)、みすず書房、2024年7月、本体2,800円、四六判200頁、ISBN978-4-622-09711-2

『デカルト小品集――「真理の探求」「ビュルマンとの対話」ほか』山田弘明/吉田健太郎(編訳)、知泉学術叢書;知泉書館、2024年6月、本体4,000円、新書判上製372頁、ISBN978-4-86285-411-7

『エビデンスを嫌う人たち――科学否定論者は何を考え、どう説得できるのか?』リー・マッキンタイア(著)、西尾義人(訳)、国書刊行会、2024年5月、本体2,400円、四六判432頁、ISBN978-4-336-07619-9

『批評の「風景」――ジョン・バージャー選集』ジョン・バージャー(著)、トム・オヴァートン(編)、山田美明(訳)、草思社、2024年1月、本体3,500円、四六判472頁、ISBN978-4-7942-2695-2



★ドイツの哲学者スローターダイク(Peter Sloterdijk, 1947-)の訳書は『方法としての演技――ニーチェの唯物論』(森田数実ほか訳、論創社、2011年5月)以来13年ぶり。フランスの科学社会学者ラトゥール(Bruno Latour, 1947-2022)は近年訳書が立て続けに刊行されていますが、7月には2点出ました。対談相手のフランス人ジャーナリストであるニコラ・トリュオング(Nicolas Truong, 1967-)にはアラン・バディウとの共著『愛の世紀』(市川崇訳、水声社、2012年)があります。


★香港出身の哲学者ユク・ホイ(許煜)の訳書はこれで3冊目。古代ギリシアの劇作家アリストパネスの新訳は、岩波書店版『ギリシア喜劇全集』(全9巻別巻1)の第1巻~第4巻(2008~2009年、現在品切)以来で、全3巻予定。フランスの社会学者デュルケム(Émile Durkheim, 1858~1917)の晩年講義の新訳は、既訳『道徳教育論』(麻生誠/山村健訳、明治図書出版、全2巻1964年;講談社学術文庫、全1巻2010年、現在品切、電子書籍あり)以来。 米国の哲学者マッキンタイア(Lee Cameron McIntyre, 1962-)の訳書は3冊目。


★英国の作家バージャー(John Peter Berger, 1926-2017)は、日本ではむしろ美術評論の訳書が多く、『ピカソ――その成功と失敗』(奥村三舟訳、雄渾社、1966年)、『芸術と革命』(奥村三舟訳、雄渾社、1970年)、『イメージ――視覚とメディア』(伊藤俊治訳、PARCO出版、1986年;ちくま学芸文庫、2013年)、『見るということ』(笠原美智子訳、白水社、1993年;ちくま学芸文庫、2005年)などがあります。


★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。


『現代思想2024年10月臨時増刊号 総特集=ダニエル・C・デネット――1942-2024 意識と進化の哲学』青土社、2024年8月、本体2,200円、A5判並製278頁、ISBN978-4-7917-1470-4
『現代思想2024年9月号 特集=読むことの現在』青土社、2024年8月、本体1,600円、A5判並製230頁、ISBN978-4-7917-1469-8

『柚木沙弥郎 旅の手帖――中世美術に憧れて』柚木沙弥郎(著)、2024年8月、本体2,800円、4-6判232頁、ISBN978-4-582-83970-8

『尹致昊日記(6)1903–1906年』尹致昊(著)、木下隆男(訳注)、東洋文庫:平凡社、2024年8月、本体4,400円、B6変判上製函入480頁、ISBN978-4-582-80920-6

『13歳からの環境学――未来世代からの叫び』古庄弘枝(著)、藤原書店、2024年8月、本体2,200円、A5判並製216頁、ISBN978-4-86578-433-6

『「天皇学」入門ゼミナール』所功(著)、藤原書店、2024年8月、本体1,800円、四六変判並製416頁、ISBN978-4-86578-431-2

『玉井義臣の全仕事 あしなが運動六十年(3)あしなが育英会の誕生と発展 1994-2024』玉井義臣(著)、藤原書店、2024年8月、本体8,000円、A5判上製568頁+カラー口絵4頁、ISBN978-4-86578-432-9



★月刊誌「現代思想」の9月通常号と10月臨時増刊号。9月通常号の特集は「読むことの現在」。2本の討議、市川沙央×頭木弘樹「合理的調整としての読書バリアフリー」、石岡良治×宮﨑裕助「読むことを避けてしまう時代で、それでも本を読むということ」のほか、アダム・タカハシ、田中純、沼野充義、桑木野幸司、三宅香帆、永田希、などの各氏をはじめとする論考16本を収録。10月臨時増刊号は今春逝去した米国の哲学者デネット(Daniel Clement Dennett III, 1942-2024)の追悼特集号。


★青土社ではデネットの訳書はこれまでに、『解明される意識』(原著1991年;山口泰司訳、1998年)、『ダーウィンの危険な思想――生命の意味と進化』(原著1995年;山口泰司ほか訳、2001年;新装版2023年11月)、『解明される宗教──進化論的アプローチ』(原著2006年;阿部文彦訳、2010年)、『思考の技法──直観ポンプと77の思考術』(原著2013年;阿部文彦ほか訳、2015年)、『心の進化を解明する――バクテリアからバッハへ』(原著2017年;木島泰三訳、2018年)、『自由意志対話――自由・責任・報い』(グレッグ・D・カルーゾー共著、原著2021年;木島泰三訳、2022年)などを刊行しています。


★平凡社の8月新刊より2点。『柚木沙弥郎 旅の手帖』は、今年1月に逝去した染色家柚木沙弥郎(ゆのき・さみろう, 1922-2024)さんによる1967年3月から6月までのヨーロッパ旅行記。同社では『柚木沙弥郎自選作品集 旅の歓び、旅の色彩』も同月に発売しています。『尹致昊日記(6)1903–1906年』は全11巻中の第6巻。帯文に曰く「日露戦争勃発と共に中央政界復帰、外務次官として日韓保護条約締結を迎える。以後、官界を持して民間人として実力養成運動に専念。訳者解説に百五人事件の背景・裁判の経過を詳説」と。東洋文庫次回配本は10月、『パットゥパーットゥ――古代タミルの「十の長詩」』(高橋孝信訳)。


★藤原書店の8月新刊は3点。『13歳からの環境学』は、ノンフィクションライターの古庄弘枝(こしょう・ひろえ)さんによる書き下ろし。「電磁放射線/化学物質/遺伝子組み換え/感染症/地球温暖化」(帯文より)をめぐり、対話形式で若い世代に向けて環境問題を総合的に解説しています。『「天皇学」入門ゼミナール』は、京都産業大学名誉教授の所功(ところ・いさお, 1941-)さんによる「「天皇学」の根幹をなす「天皇史」に関心を持つ方々のためのゼミナール」(7頁)。「天皇学」とは藤原書店社主の藤原良雄さんによるネーミングとのこと。『玉井義臣の全仕事 あしなが運動六十年(3)』は、全4巻別巻1の第2回配本。付属する「月報2」には、田中澄江、宇井純、菊地良一の各氏とあしなが奨学生・卒業生、遺児の母親、と言った方々が寄稿されています。


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